蝋燭の炎が揺れる静かな一室……
「こんなところにつれこんで……なにをするつもりなの?」
 夜、狭い部屋に二人っきり――その相手が何を考えているかわからないメガネだから、よけいに不安が募る。
 いきなり手首を掴まれ、あれよあれよという間にこの部屋に連れ込まれ狼狽していたユイは、ここでようやく、恐る恐る質問した。
「何って? お仕置きでやんすよ」
「……お仕置き?」
「そう、盗みを働いたユイちゃんにはそれ相応の罰を受けてもらうでやんす」
「そんな……きゃぁっ!!」
 不安そうな表情のユイに近寄った凡田がすっと唇を奪った。
 体の密着度を高めるため腰と後頭部に腕が回される。
「……んふぅ……んん」
 あまりに突然の出来事にユイは即応することができなかった。
 だが、凡田が舌で唇をくすぐってきたことではっと我に返る。
 唇をべろべろと舐めてくる変態メガネを突き飛ばそうとした。
「……んくぅ……んぷっ」
 しかし凡田の力は予想以上に強く、為す術もなく壁際へ追い詰められてしまう。
 凡田の舌があやしく蠢いてユイの柔らかな唇を無理矢理こじ開けた。
 咄嗟に歯を閉じても歯列を、歯茎を、そして頬の内側をベロベロと舐められてしまう。
 劣情に燃える舌が歯をちょんちょんとつついてくる。
 食い縛っている歯を開けと言っているのだろう――ユイはぶんぶんと首を振った。
「ふん、まったく……ぬすっ人猛々しいとはこのことでやんすね」
 唇を離し、少々体勢を変えながら凡田はぐちぐちと嫌味を垂れる。
 その口元からユイの美味しそうな唇に架かる唾液の糸が蝋燭の光で橙に輝いた。
 依然壁に押し付けられているユイは乱れた呼吸を整えながらキッと凡田を睨みつける。
「なぜそんな目をするでやんすか? 罪人に罰が与えられるのは当然のことでやんすよ?」
「だけど……こんなの……っ」
「フフフ、まったく――くんは甘すぎるのでやんす、だからユイちゃんにこんな思い違いをさせる」
 優しい彼の愚痴をこぼしながら胸のふくらみに指を沈めてきた。
「んんっ……」
 強く握られたことによって生じたむず痒さと痛みに顔を歪め、ユイは苦悶の吐息をこぼした。
 凡田の手付きはどんどん荒々しくなり着物が乱れされていく。
 袷が大きく肌蹴て細い肩が露になった。
 蝋燭の灯りに照らされ神秘的な色香を放つ健康的な素肌を前に凡田の鼻息が荒くなる。
「ユイちゃんだって何のお咎めもなしじゃ居心地が悪いでやんすよねぇ?」
「それは……そうだけど……」
「――乳臭い考えの彼にはユイちゃんの気持ちが何一つわかってないのでやんすよ」
 衣服越しとはいえ乳房を不躾に揉みこねられて背筋がゾクゾクと粟立ってしまう。
 迸るおぞましさにユイはギュッと瞳を閉じた。
 しめしめと顔を寄せる凡田――首筋にふっと息を吹きかけベロリと舌を這わせる。
「フフフ、覚悟はいいでやんすね――まあ、オイラに任せておけばすぐに終わるでやんすよ」
 心細さに震えるユイを見下ろし凡田はニマニマと笑った。


 魔手が肌蹴た襟元をバッと掻き開いた。形のいい乳房が露になる。
「や、やだぁ……」
 乳房にむちゅっと吸い付かれユイは悲鳴をあげる。
「むはぁ……んちゅ……ずるっ……ぺろっ」
 凡田はヌラヌラと舌を躍らせ若い乳房を舐めまわす。
 右手は反対側の乳房を揉みたて味蕾と掌でユイの美丘を堪能した。
「いやっ……はなして……っ」
 盗みを働いたことは事実だが、こんなひどい事をされる筋合いはないと必死に抵抗する。
 だが、凡田も一応は男だ。力勝負で敵うはずもない。
 敏感な先端をチュウチュウと吸いたてられてしまう。
(こんなっ……気持ち悪いっ……)
 反対側の膨らみも汗ばんだ掌が好き放題に揉み潰しズキズキと妖しい波動が広がっていく。
「ずるるるるっ……んむぅ……ずるっ、ずるるるるるる」
「ひぃっ、いやぁ! はなしてっ」
「ぷはぁ。まったく、往生際が悪いでやんすよ。おとなしくオイラに身を任せるでやんす」
 すっと立ち上がると凡田は懐から細く丈夫な縄をとり出した。
「い、いや! こないで!」
「まあ、そう言わず……おとなしくしていればすぐにすむでやんすよ、フフフ……」
 凡田が双眸をギラギラと輝かせ迫ってくる。
 ユイも縛られまいと必死に抵抗するのだがやはり敵わなかった。
 手首と足首を縛られた挙句うつぶせにされ、まるでだらけた犬のような格好をさせられてしまう。
 尻をクッと上げた恥辱の体勢に美貌が真っ赤に上気する。
「魅力的な格好でやんすよ、ユイちゃん」
 激しい抵抗を受けボロボロになった凡田が紅潮した美貌を見下ろし下卑た笑みを浮かべると
 裾を素早く掻き開き、いっそすがすがしいほど豪快に下半身を露出させた。
「……っ ……?!」
 ぷるんと飛び出してきたものの衝撃的な姿にユイは言葉を失ってしまった。
 剥き出しの下半身に脈打っているのはガチガチに勃起し隆々と天をさしている肉の柱。
 幹部には何本も血管が浮かび上がり、桃色の先端は何らかの液体に濡れ蝋燭の光を受け不気味に輝く。
 そんなもの見たくないはずなのに何故か目を奪われてしまう。
 脳裏にガチガチにこわばった凡田自身の姿が鮮明に灼きつけられた。
「フフフ、驚いたでやんすか? どうでやんす? オイラのチンポは?」
 にたにたと腰を下ろして切っ先をユイの鼻先に急接近させる。
「い、いや……近づけないでっ……汚いっ……」
 饐えた臭いに鼻腔を灼かれ、ユイは首を捻って距離をとった。
 だが、勃起から目を離すことはできない。顔を背けると頬にぬめ光る肉の塊を擦りつけられてしまうと思ったからだ。
「汚いとは……言ってくれるでやんすね……」
 凡田は苦笑しながら立ち上がった。そして下半身剥き出しのまま移動しユイの足元で腰を下ろす。




 メガネの奥の双眸を一層ぎらつかせてユイの臀部へと手を伸ばした。
「きゃあっ!! な、なに?!」
 着物が強引に剥かれていく。衣擦れがおさまると高く掲げた双臀にひんやりとした空気が触れた。
(あたしのお尻、凡田さんに見られてる?!)
 そう考えただけで顔がかっかっと熱くなる。額にいやな汗が浮かび心音がドクドクと加速した。
「フフフ、可愛いお尻でやんすね」
 ねっとりと笑うと彼の両手が剥き出しの臀部を撫ぜ始めた。時折頬擦りまでしてくる。
「いいでやんすよぉ、ユイちゃんのお尻、プリプリのムチムチでシミ一つない……最高でやんす」
「……ぅうっ……」
 縄で縛られ身動きできないユイは顔を俯かせ、ギュゥッと下唇を噛んで恥辱に耐えた。
 これは盗みを働いた罰だから仕方のないことなのだと自分に言い聞かせなければやってられない。
 凡田は尻肉に指を沈めたり頬擦りしたりを執拗に繰り返している。
「じゃあそろそろユイちゃんの匂いを……」
「え……? ひっ! きゃああああっ」
 双臀にぶにゅりと何かを押し付けられた。掌ではない、凡田がユイの尻肉に顔面を埋めたのだ。
 それも臀裂に鼻がすっぽり沈んでしまうほど強く顔面を押し付けている。
 しかも凡田は尻肉の感触を味わうだけでは飽き足らず鼻を鳴らし不浄の穴の臭いをくんくんと嗅ぎ出した。
 排泄口の臭いを知られてしまったユイは燃え上がる羞恥に悲鳴を上げる。
「可愛いユイちゃんでも、さすがにお尻の穴からはウンチの臭いがするでやんすねぇ」
「やめて……そんなとこ、嗅がないでぇっ!」
「まあ、そう恥ずかしがらなくてもいいでやんすよ」
「きゃ……っ、いやあああああっ」
 だらしなく顔を緩めて感想を述べると、再び鼻を菊門に押しあてる。
 凡田はわざとらしくクンクンと鼻を大きく鳴らして排泄口の香りを堪能した。

(お尻の臭いを嗅がれるなんて……もうお嫁にいけない……)
 必死に身を捩ってみるが縄がくい込んで痛くなるばかりでほどける気配はまるでない。
 それどころかお尻が揺れ、ふりふりと男を誘っているかのようになってしまう。
 ユイが羞恥と絶望に打ちのめされていると今度は生温かい物体が臀部を這った。
 おぞましい感触にビクンッと身を震わせる。
「はぁぁ……ユイちゃんのお尻は最高でやんす」
「ちょ、ちょっと……」
「ウンチの穴はどんな味がするでやんすかね」
(やだ……そんな汚いこと……ウソ、よね……?)
 排泄口を舐めるなど理解の外だ。ユイは凡田の言葉が信じられず冗談を言っているのだと思った。
 しかし、尻肉は割り開かれたっぷりと唾液を乗せた舌が乙女の尻穴を容赦なく擽ってくる。
「ひ……っ」
 おぞましい行為に息がつまる。他人の尻穴に口をつけるなどありえない。
 あまりの変態行為に全身が粟立つ。うねうねと舌を捻じ込まれた臀部で強い掻痒感が生まれた。
 自然とお尻が揺れてしまう。
「……ええいっ、おとなしくするでやんす」
「きゃあっ」
 バシンと尻たぶを張られジンジンと痛みが広がっていく。
 凡田はユイが大人しくなると尻舐めを再開した。
 穴をほじり、括約筋をねとねとといじめ、にゅぽにゅぽと抜き差しをする。
「妙な味でやんすね、まあ、ユイちゃんがひり出したもののカスと思えばいくらでもいけるでやんす」
「くぅ……うっ……」
 肛門をちろちろとほぐされる妖しい感覚だけでも手一杯だというのに
 変な場所の味まで聞かされ気が遠くなるほどの羞恥が押し寄せてくる。
「おやぁ、お尻に汗をかいているでやんすね」
 しかも凡田の奇行はまだ終わっていない。
 彼は尻たぶに口を寄せるとクンクンと鼻を鳴らしながら汗を舐めとり始めた。
 まろやかな臀部全体に唾液を塗り広げるようとするかのようにベロベロと舌を滑らせる。
 そうかと思えば今度は健康的な太ももの方まで舐めてくるのだ。
 嫌悪感と掻痒感に襲われ腰がビクビクと跳ねてしまう。
(いやぁ……もう……はやく、終わって……)
 耳まで赤くしているユイは背を丸め額を床に押し当てて、おぞましいくすぐったさを必死に耐えていた。


「れろっレロンッ……ふはぁぁ〜〜〜……」
 ユイの尻を隅々まで舐め尽くした凡田は一旦立ち上がり美味しそうな双丘を見下ろす。
 唾液まみれのそこは蝋燭の光を浴びて幻想的に照り輝いていた。
 シミ一つない尻肌は舐めている際、彼女がもがいたため何度かしばいたせいで少し赤くなっている。
 唾液と手形、どちらも自分がつけたものだ――凡田の胸中にどす黒い達成感が湧いてでる。
(ユイちゃんのすべてを手に入れるまで、あと一歩といったところでやんすかねぇ)
 邪悪な笑みを湛えて腰を下ろし、尻たぶを鷲掴みにする。
「ひっ……」
 臀部を持ち上げると非常にか細い悲鳴が上がった。
 それを聞いてまたにまにま笑いながらすっと手を伸ばす。
 凡田の次なる狙いは尻穴――ではなく微かに蜜をわかせている女陰だ。
 尻を少し持ち上げ、にたにたとしたまま股間を下から覗き込む。
 淡い恥毛に飾られた秘唇は清楚なたたずまいで綺麗な縦筋といっていい。
「これがユイちゃんのマンコでやんすか」
「ひぅっ……いやぁ……見ないでぇ……」
「恥ずかしがることはないでやんすよ? 芸術的なマンコでやんす……」
(実物を見るのは実は初めてなのでやんすが……すごく、面妖――いやいや、妖艶でやんす……)
 凡田はゴクリと生唾をのんだ。
 牡を誘うかのようにヒクヒクと蠢く女陰を見ていると分身が急速に硬くなるのを感じた。
 持ち上げていたユイの尻をゆっくりと下ろし半身に手を添える。
「あひっ……な、なに……? やめてっ……ううっ……はぁぁっ……」
 腰を落とすと勃起を双丘の谷間に埋めて尻肉の感触を楽しんだ。
 一方、会陰と菊門を裏筋で擦られるのが快感なのかユイの口から悩ましい嗚咽が漏れ始めた。
 腰を動かし臀裂を扱くたびに太ももや腰をぴくぴくと跳ねさせている様子がひどく淫靡だ。
「色っぽい声を出すでやんすね……ここを擦られるのがそんなにいいのでやんすか?」
「そんな……わけっ……うくぅう……ひゃゃぁっ!!」
 腰の動きを速くして強く擦ってやると、やはり気持ちいいのか明らかに感じている悲鳴をあげた。
 いい気になった凡田は男根を一旦離して角度を変え今度は股下に潜り込ませる。
 一物の峰にあたる部分と清楚な秘唇がぴったり重なり合っていい感じだ。
「うぅ……んくぅ……」
「フハハッ、気持ちがいいのなら思いっきり声をあげてもいいのでやんすよ?」
「違……っ、ひうぅぅ……くぅ……ぁぁっ……」
「まあ、情けない声を上げまい必死に我慢しているユイちゃんもそれはそれで魅力的でやんすけど」
 唇を噛んで喘ぎ声を抑えようとしているユイをにやにやと見下ろしながら腰を振った。
 あそこから溢れ出してきた愛液のおかげで滑りもよく肉棒が蕩けそうなほどの快美が送られてくる。
 ユイも秘唇を凡田の一物で擦られるのが相当いいらしく嬌声じみた鼻声をしきりに漏らしていた。
(さて、そろそろ次のお仕置きに移るでやんす……)
 このまま素股の快感に浸っていたいという怠惰な気持ちを抑えて凡田はすっと腰を引いた。



「そういえばさっきから変な臭いがするでやんすね?」 
 唇を奪われ、乳房を吸われ、尻を嬲られ、菊門を穿られてもお仕置きとやらはまだ終わらない。
 欲情した男が女陰を覗き込んだだけで満足するはずがないのだ。
 しかもユイは緊縛され身動きがとれない状態。
 ぷりぷりのお尻の方で凡田がごそごそと蠢いている。
 恐らく腹這いになって前進しているのだろう。
 凡田の鼻先がユイの股ぐらにぶつかった。
「ひぁっ……」
「臭いの発生源はここでやんすか」
「な、何を言って――」
「ユイちゃんのマンコから変な臭いがすると言っているのでやんすよ」
「あぅっ――いやぁああああああっ」
 いきなり秘唇をくつろげられ、ユイは思わず悲鳴を上げた。
「おお、スケベな汁がトロトロと溢れてくるでやんす」
「う、ウソっ……いやっ、見ないでっ」
 身体をあがかせ束縛を解こうとするがぎしぎしと空しく縄が軋むだけ。
 首を捻り肩越しに凡田の姿をとらえることさえ困難だ。
 そして制止の言葉は当然のように無視され不躾な指に秘部を探り回される。
「あっ……くぅっ……」
「おやぁ、なんだか白いカスみたいなものがあるでやんすねぇ、これが臭いのもとでやんすか」
 恥ずかしい指摘に耳まで熱くなる。
 確かにユイはつい先日まで食い物を盗み生きるのがやっとという状況で身体を清潔にする余裕などなかった。
 だが股の汚れをこともあろうに凡田に見られてしまうとは。
 溶けて消えてしまいたくなるような羞恥に襲われる。
「オイラがきれいにしてあげるでやんすよ」
「え……? ひぁっ!!」
 瞬間、何を言われたのかわからず戸惑っているとユイは熱い軟物体に恥部をベロリと舐めあげられた。
 寒気が迸りぴくぴくと艶かしく細腰がはねた。
(う……そ……そんな……)
 生温かいそれがなんなのか瞬時にはわからなかったが一瞬遅れて凡田に性器を舐められているのだと気付く。
 ただでさえ火照っている顔がかっかと熱くなり確認することも、視線をむけることすらも叶わない。
 下唇を噛み締めあられもない喘ぎ声を漏れないようにするのが精一杯だ。
 その間にも凡田の舌と思われる物体は肉園を貪欲に舐め穿っていた。
「ほほぅ、これがユイちゃんの味でやんすか…………
 こくがあってまろやかで……そこに汗の塩味と甘酸っぱさが加わって何とも言えない……ん〜〜〜美味でやんす」
「〜〜〜〜〜〜っっ」
 舌鼓まで打たれ感想まで述べられるともうぐうの音も出ない。
 火照っている身体がさらに熱くなり下腹の奥が何故だかキュウゥンと切なく疼く。
 美貌には大粒の汗が浮かび後れ毛がねっとりとはりついた。
 あまりの羞恥に心臓がどくどくと跳ね回り胸が苦しくなる。
「びちゃぁ……垢のほうは味が濃厚で……ゴクッ……くせになりそうな臭いがまた――」
「いやぁ…………」
 凡田は恥垢まで丁寧にこそげ落とし舌の上でその味を堪能しているようだ。嚥下音がやけに大きく聞こえる。
 性器に溜まった垢を味わうという変態行為に甘えるような鼻声をあげることしかできない。
 しかも心なしか恥部の感度が上がっているような気がした――恥垢を穿られた影響だろうか。
 湿った舌が蠢くたび甘美な痺れが脳天に突き抜ける。
「フフフ、書物にあったとうりでやんす……ならば……」
「ぅ……あぁ……そこはぁ……」
 知識は豊富な彼の次なる狙いは包皮に包まれた敏感な肉豆だった。
 敏感な豆粒を鞘ごしとはいえ生温かい軟物体につつまれ甘ったるい痺れが湧き起こる。
 視界が霞み鼻にかかった声を漏らしてしまった。
 ぬめる舌で器用に皮を剥かれるとさらなる甘美が押し寄せてくる。
 艶かしい唇がぴくぴくとわなないた。
「んあっ……あっ……あん……」
「やっぱりここにも垢がたまっているでやんす……オイラが綺麗に舐め舐めしてあげるでやんすよ」
「あっ……うぅ……あはぁ……」



 貪婪な舌が蠢き恥垢がでろでろと剥かれていく。
 剥き出しになった突起から、これまで経験したことのないめくるめく快感が生まれ甘美に息が詰まる。
 下腹の奥がキュンキュンと脈動しドロッとした蜜を滴らせた。
 舌が一瞬動きを止めるとホゥッと熱を帯びた嘆息を漏らしてしまう。
 大きな瞳は快美の涙に覆われ肌からねっとりとした汗が噴きだす
「垢が取れてきれいになったでやんすよ……きもちいいでやんすか?」
 そう言いながらねちょねちょと舌を躍らせる凡田。肉豆を何度も優しく撫ぜてくる。
 ユイは拳をかため畳に押し付けて望まぬ快感に耐えようとする。
「ンン……んふぅ……」
 だが、陰核を舐めまわされ鋭い喜悦が生じると尻が勝手にピクピクとくねる。
 それを煩わしく思ったのか凡田は細腰に腕を回しユイをグッと抱き寄せ密着度を高めた。
「ンっ……ふあっ、ああっ――」
 ぬめぬめの舌に豆を押し潰され一際甘美な電流が駆けめぐった。
 理性を蕩けさせる快感にうっとりとした嬌声が止まらなくなる。
 肉がグジュグジュにほぐれ意識が桃色の靄に覆われていく。
 ユイが舌愛撫に悩ましく乱れれば凡田の鼻息は火が点きそうなくらい荒くなった。
 当然舌の動きも激しくなる――与えられた夥しい快感にユイは艶かしく身体を震わせて喘いだ。
「あ、あっ、ああんっ、いやぁ……もうだめぇ……」
「駄目? ユイちゃんの下のお口は物欲しそうにひくひくしてるでやんすよ?」
「はぁぅ……いやぁっ……そんなこと言わないでぇっ……」
「まったく、素直じゃないでやんすね、こうなったらさらにお仕置きでやんす」
「あわっ、あわわっ、きゃあぁんっ」
 敏感なお豆が凡田の生温かい舌に包まれた。甘い痺れがどくどくと広がっていく。
 舌がにゅるにゅると陰核を扱きたてると、強すぎる快感が弾けユイの瞳からつぅっと涙がこぼれた。
 どの感情が高ぶり涙となったのか本人にも分からない。
 官能の琴線を的確に爪弾かれ彼女の理性はグズグズに溶けかかっている。
「可愛い声で啼くでやんすねぇ……こっちはどうでやんすか?」
「うひっ……ああっ……そこぉっ……」
「おお、お尻もいいでやんすか」
 ひくひくと蠢く尻穴に熱い鼻息を吹き掛けられ、ビクビクと身体を震わせる。
 しかも凡田は恥部を舌で嬲りながら声を発している。
 振動が甘美な波となって子宮に直撃した。ドクドクと第二の心臓のように脈打ちドバァッと愛液を垂らす。
 身体がどうしようもないくらい火照っていた。切なさに胸を締め付けられる。
「はぁっ、ああっ、もうだめぇっ、おかしくなっちゃうぅ」
「ホウ? けどこのお豆ちゃんは構って欲しそうにピクピクしてるでやんすよ」
「あっ、あああぁぁあぁああっ」
 ぬめった舌に剥き出しの肉豆をギュウッと包み込まれた。同時に菊門に指先をつっこまれる。
 ユイの頭の中が真っ白になり視界で眩い光がチカチカと瞬いた。
 括約筋の抵抗を破りズブッと指が尻穴に沈む。劣情にたぎる舌がしこっている陰核を扱きあげた。
「はわああっ、ああっぁあぁぁあああああああああああああああっ」
 切羽詰った悲鳴を聞いても凡田は必死に陰核を追いかけ舐めあげる。
 そしてついに昇りつめたユイは喉を仰け反らせ絶頂の咆哮を迸らせた。
 汗みずくの肢体がピンッとつっぱる。両手両足首を縛っている縄がギチギチと悲鳴を上げた。
 ブシャアッと愛液が溢れ赤く充血している肉壺の潤いがぐんと増す。



「い、イッたでやんすか……」
 気をやらせた興奮に震えながら凡田はユイの小刻みに震えている尻を優しく撫でた。
「そんな……だって……そんなのぉ……っ、〜〜〜っ」
 絶頂の余韻に浸りながらユイは必死に言い訳しようとする。
 だが、適当な言葉は浮かんでこない。それどころか甘えた鼻声を振り撒き凡田をにたつかせてしまう。
 もどかしさといたたまれなさを感じて悶々と内腿をすり合わせた。薄暗い部屋にねちゃねちゃと湿った音が響く。
「………………?」
 腹這いになってうぶな股間をいじめていた凡田がおもむろに立ち上がった。
 悩ましく乱れた呼吸を整えるユイは不安と期待がごちゃ混ぜになった動悸に襲われる。
 凡田は一体何をするつもりなのだろう――心臓がドキドキと高鳴った。
「ふぁっ……ひっ……」
 膣口にネチャッと熱い弾力が押しあてられた。甘い痺れが跳ね子壺にまで伝わっていく。
「覚悟はいいでやんすか? ユイちゃん、これが最後のお仕置きでやんす」
 すっと細腰に手が添えられた。
「うっ、ぁっ、だめっ、そ、そこだけは……そこだけはだめぇ……」
 口では拒みながらも膣口は物乞いするようにヒクヒクとわなないている。
 その上声色もお願い入れてとばかりに甘く掠れているのだ。
 凡田はニヤリと笑ってグッと力を籠めた。
「ふぁっ、あっ、あぁぁああぁ〜〜〜っ」
 先走りに濡れていた亀頭がユイの肉園へと沈んでいく。
 ユイは痛みか悦びからか分からない蕩けた悲鳴をあげた。
 濡れそぼった粘膜も始めは異物を押し返そうとするような反応を見せていたが、
 その内凡田を奥へ奥へと誘うような蠢きに変わる。
「おおおっ、すごいでやんす……ユイちゃんの……ツブツブざらざらがオイラの息子を締め上げて……」
 初めての交合に嬉しい悲鳴を上げる凡田。
 極上の快感にのまれそうになりつつも、書物で身に付けた知識を実践して小刻みに腰を遣う。
「うんんっ……あんっ、やぁ……あぁんっ……」
 浅瀬をねちゃねちゃと按摩され切ない痺れが沸き起こる。
 心地よい気怠さに襲われユイはあられもない嬌声をあげてしまう。
 凡田がゆるゆると腰を動かすたび、脈動する子宮にもどかしさが募る。
「おっ、おおおっ!! キツキツでやんすっ」
 ユイの肉壺が生み出す快美に凡田は思わずうめき声を放った。不肖の息子を蕩かすような快感に腰が止まらなくなる。
 顔に似合わず存外巨大な一物がユイの胎内へズブズブと沈んでいく。
「はわっ、ああっ、いやぁっ、凡田さんっ、お、大きいっ、壊れちゃうぅっ」
 泣き声を聞きはっと我にかえった凡田。書物の内容を思い出し膣肉に男根を馴らすようにゆったりとした腰振りに戻す。
「はぁっ、はぁっ、あああっ、だめぇっ、それ以上はっ入らないぃ……」
「大丈夫でやんす、オイラに任せておくでやんすよ」
「ふっ、ひぃっ、いぃっ」
 快感にひきつった声をあげるユイの細腰をがっちりと掴んで少しずつ男根を深みまで埋め込んでいく。
「すごいッキツキツでやんす……ユイちゃんのマンコは名器でやんすね」
「ひっ、や、やだっ、変なこと言わないでっ」
「何を言っているでやんすか、ユイちゃんのなかはとぉ〜っても気持ちいいでやんす、名器であるとオイラが保障するでやんすよ」
「そんなぁっ、恥ずっ、ふ、ふぁぁっ、ひぁぁっ!!」
 亀頭がコツンと硬いものにぶつかった刹那ユイが一際大きな嬌声を上げた。
 肉壺のしまりがぐっと強くなり凡田も快楽に呻く。今にも達してしまいそうなほど甘美な締め付けだ。
「はぁっはぁっ……どうしたでやんすか、ユイちゃん?」
 凡田はだらだらと汗を流しながら腰を回した。亀頭がコリコリの子宮口を揉みこねる。
「んああっ!! はぁ……おく、凡田さんのオチンチンが、奥に当たってるのぉ……」
「それが気持ちいいのでやんすね?」
 生まれて初めて体験する強い快感で訳が分からなくなっているユイは凡田の問いにこくこくと頷いた。
「フフフ、それならばもっと気持ちよくしてあげるでやんすよ」
 細腰をぐぅっと引き寄せ密着度をあげると当然亀頭と子宮口の接吻も深くなる。
 そのままぐるぐると腰を回し膣奥に先走りを塗り込めるように熱く揉みこねた。
「はひぃっ! だめぇ! ほんとにおかしくなるっ! ああっ……ああぁ〜〜〜ん!!」
 快感がいくつも弾けユイの身体がぴくぴくと艶かしく跳ねまわる。
 ドプドプと蜜の量が増え、凡田が少し腰を動かしただけでグチュグチュッ……と卑猥な水音が響いた。


 頭をどろどろにしてしまいそうなほど強力な悦信号にあられもない嬌声がだだ漏れになる。
 甘美な刺激ですっかり色づき汗に濡れた肌、そこからさらに汗が噴き出た。
 腋の下はもちろん、うなじや背中、太ももなども濡れ濡れになり女の色香を濃厚に漂わせ凡田を挑発する。
 凡田に奥を抉られることが心底気持ちよくてお尻が独りでにぷりぷりと揺れてしまう。
「はぁ……はぁ……ンああっ……あっっ」
「かはっ、なんというっ……締め付けッッ、タマごと持っていかれそうでやんすッッ」
「はひ……うごいちゃっ……だめぇ……」
 ズル……ズル……ッ――虚無を埋めていたギンギンの男根が後退していく。
 濡れそぼった媚粘膜を捲り返される感覚にユイは蚊の鳴くような悲鳴を上げた。
 キュッと体を丸め、ギュッと拳を畳に押しつけて、えもいわれぬ甘美に耐える。
「はぁぁっ……うくっ……ううンッ……」
 巨大な一物が抜け出るギリギリまで引かれ雁首に膣口を擦られる。
 掻き出された透明な蜜とともに狂おしい痺れが全身に広がっていく。
 汗と唾液にまみれたお尻がぴくぴくと痙攣する。




 歓喜に震える尻房を鼻息荒い凡田にべチャッと掴まれた。
「いくでやんすよ、ユイちゃん」
「へっ? い、いく……?」
 言葉の意味がわからず首を捻って肩越しに凡田を見る。
「オイラがユイちゃんを楽園に連れて行ってあげるのでやんすよ」
 フッと見得をきるとユイの尻を両脇からギュムッとおさえ男根を再び突き込んだ。
 そこからゆるゆるとした抜き差しを開始する。
 グチャ……グチャッと粘膜が擦れ合い妖しい水音を奏でた。
「ひ、あ、だ、だめぇッ……あっ、ああっ……」
 膣奥を圧迫され胸が切なく締め付けられる。
 男根の裏側に尿道の裏をゴリゴリ擦られると失禁してしまいそうな感覚に襲われた。
「あっ……ひっ、もっ、漏れちゃうっ……ああっ」
 尿口をキュッとしめてもじもじと内ももを擦り合わせる。
 ひょっとすると少し出てしまったかもしれない。
 とんでもない失態にユイはカァァッと赤面した。
「ほう、何が漏れそうなのでやんすか?」
 腰を振り振り凡田が質問してくる。失禁を示唆する言葉に興奮したのか動きが激しくなってきた。
「なっ、なんでもないのっ、知らないっ、そんなのっ」
「ウソはよくないでやんすね、悪い子にはこうしてやるでやんすっ、それっ」
「あっ! ああ〜〜〜っ」
 狂おしい痺れを生み出す地点を的確に擦られる。尿意が膨れ上がり小水がピュッと少しあふれた気がした。
「ユイちゃんが正直に言うまで続けるでやんすよ」
「ひっ、いぃっ――」
「ほぉれ、何が漏れそうなのかオイラにさっさと教えるでやんす」
「あぁあっ、ああぁあぁぁあぁあああっ!! だめぇえええぇええええ!!」
 甘痺れが何度も何度も迸る。肉も骨も理性もグチャグチャに溶けてしまいそうな快感だ。
 めくるめく肉悦にユイは束ねた髪を振り乱し汗の雫をこれでもかと辺りに撒き散らす。
 強すぎる快楽電流に涙が自然にぽろぽろと溢れてくる。媚びるような声色がもうどうにも止まらない。
 虚無を埋める男根の存在感に圧倒されぱくぱくと口を開いた。
「フフフ、そろそろ白状する気になったでやんすか?」
 尿道に迸る狂おしいまでのむず痒さに負けてユイはこくこくと首肯した。尻尾みたいな髪がゆらゆら揺れる。
「お、おしっこ……」
「ほう、おしっこ?」
 ここまで言えば分かっているだろうに凡田は白々しく質問を重ねた。
 だが、もうここまでくれば堰をきったように言葉が出てくる。
「ああぅっ、オシッコ……オシッコが漏れそうなのっ!!」
 恥ずかしい告白をした瞬間どくどくと狂おしく胸が弾んだ。
 なぜそんな気持ちになるのか分からずギュッと瞳を閉じて悩乱するユイ。
 一方、告白をきいた凡田はにまにまと頬を緩ませていた。
「大丈夫でやんすよ、ユイちゃんが漏らしてもオイラがきちんと片付けるでやんす」
 身を乗り出し耳元で優しく囁かれると背筋がゾクゾクと震えた。
 恥辱的なことを言われているはずなのに何故かどきどきと胸が弾む。
 もう自分で自分がわからなくなってきた。
 ユイは必死に理性を繋ぎ止めようとするが凡田の生み出す快感の前ではまったくの無駄――
 凡田の逞しい男根で胎内を掻き回されていると脳内もグチャグチャと掻き回されているかのようだ。
 フワフワと空を飛んでいるような感覚に襲われ、かつて味わったことのないほど幸せな気分になる。
(気持ちいい……? ああ、そうか、あたし凡田さんにおちんちんでいじめられて……気持ちいいんだ)
 そう自覚すれば虚無を埋められる快感もいや増した。
 つぶらな瞳はとろんと蕩けて唇は半開きに。熱い吐息はどんどん艶めかしくなっていく。
 凡田のこわばりで体を揺さぶられるたび乳先が畳に擦られるのがたまらない。
 甘いお菓子を食べた時の幸せな気分をも凌ぐ快感が止めどなく送られてくる。
「気持ち良さそうにしているでやんすねぇ、ユイちゃん、オイラのチンポがそんなにいいでやんすか?」
「アンッ……あっ……あっ……」
 幸せをくれた人の質問に答えようとするのだが、膣奥をこねられ喘ぎ声しか出ない。
 凡田に対する嫌悪感などもはや綺麗さっぱり消えていた。
 この里に雇われてからはもちろん、セクハラがひどくて抜け忍になる前ですら感じたことのない
 幸せな感覚をもたらしてくれた男性を嫌いになる理由など一体どこにあるだろう。
 むしろ凡田とその分身を愛しく思っているくらいだ。



 怒涛の喜悦がおさまった時を狙ってユイは質問に答える。
「きもちいいっ……凡田さんのおちんちん……きもちいいのぉっ」
 本心を吐き出した瞬間、感極まって泣き出しそうになってしまう。本音を漏らすたびに快感が強くなっていく。
「ほう……」
 興奮に上擦った告白をきいた凡田は感慨深そうに、意外そうに呟いた。
「そういう風に言ってもらえるとオイラとっても嬉しいでやんすよ」
「凡田、さん……? あっ……ああんっ……」
 凡田の声が微かに震えていたのが気になって後ろを振り返ろうとしたのだが、めくるめく快感におとかいを跳ね上げてしまう。
 ズズッと鼻を啜る音が聞こえた。
「ふふふっ、もっともっと気持ちよくしてあげるでやんす」
 ズグンッと逞しい男根を奥まで埋められ蜜壺を目一杯拡張されてしまう。
「んああっ? あ、あれっ? ……すごいっ……凡田さんのおちんちん? ……さっきより、大きくなってるぅっ……」
「それはきっとユイちゃんが嬉しいことを言ってくれたからでやんすよ」
「そんな……あんっ……あっ……ああっ? 凡田さんっ、大好きっ」
「オイラもユイちゃんのことが大好きでやんすよ」
「あはぁ……ああっ……うごいてっ……凡田さんのおちんちんであたしをめちゃくちゃにしてぇっ」
「ふふ、了解でやんす」
「きゃんっ? あっ、ああっ」
 凡田の手がガシッと細腰に添えられた。ユイにとってはそこから伝わる掌の温もりすら心地いい。
 ましてや腰振りを激しくされると、めくるめく快感で忘我の境地に飛ばされ何がなんだかわからなくなる。
 ぐぽっぐぽっと姫鳴りが響き愛液の飛沫が飛び甘酸っぱい芳香が漂えば胎内の一物はさらに硬くなった。
(はぁん、あっ? 凡田さんのおちんちん……またおっきくなって……)
 充足感が跳ね上がり、巨大した男根が子壺がギュムッと押し込まれる。
 下腹がキュンキュンと疼き白く濁った愛液がドバドバと滴った。
 凡田の一物がユイの本気汁にまみれて根元から先端まで白くなる。
「うぉおおっ、すごいっ、締め付けでやんすぅ」
「あっっ……あっっ……ああンッッ……」
 腰振りの速度が増し子種汁をいっぱい溜めた陰嚢が勃起した陰核をぺちぺちと叩く快感が弾ける。
 陰毛で会陰をくすぐられるのもまた快美だ。
 臍の裏側あたりがキュンッと脈動して濃い蜜が追加され抽送が滑らかになる。
「んぅ〜〜〜、たまらないでやんすっ」
「んんっ……はぁ……あ? ああんっ」
 凡田が喜ぶ声に鼓膜を震わされるだけで幸せな気分になれる。
 肉洞がザワザワと蠢き凡田のものをギュウッと抱きしめた。
 その収縮の凄まじさは膣が凡田の形で固まり、もうもとに戻らなくなるのではと危惧してしまうほど。
(あぁっ、もぉ凡田さんのおちんちんに壊されちゃいそう?)
 そう思うだけで破滅的な喜悦が湧き起こり火照りきった身体がびくびくと淫靡に舞い踊ってしまう。
 全身汗まみれになり、濡れたうなじにほつれた髪がべっとりとはりついているのが少々うっとおしい。
 だが、凡田の嬉しそうな呻き声を聞けばそんな気持ちも吹っ飛ぶ。
「あン? あ? あぅぅ?」
 目の前でチカチカと火花が舞い散りはじめた。
 グチュグチュッと鳴り響く蜜音が邪魔して気付かなかったが妙な耳鳴りまで起こっている。
 太腿はガクガクと震え――それどころか全身いたる所が小刻みに痙攣し止まらなくなっていた。
「ああ? 凡田さん? あたしの身体、なんだかおかしいのっ」
 不安になって愛しい人を肩越しに見る。凡田は腰をパンパンと打ち付けながら応えた。
「おかしい? ああ、あれが近いということでやんすか、そういうときはイクと言うらしいでやんすよ」
「い、イク?? あっ? ああ?? イきそう? 凡田さんのおちんちんでっ……イクッ、イっちゃいそう?」
 よく分からないが、なるほど、確かに今の状態にぴったりな単語のように感じられた。


「そうでやんす、気持ちいいのが爆発しそうになったら、そう叫ぶといいでやんすよ」
「はい……あっ……ああんっ」
 凡田の腰振りが一段と速くなった。ユイもお尻を振り振り合い腰を打つ。
 ぷりぷりのお尻と凡田の下腹がぶつかるたび、汗と愛蜜がぼとぼとと飛び散った。
 二人はまるで快楽神経まで一つに繋がってしまったかのように共に頂点へ駆け上がっていく。
「……んン?……はぁ……? あっ?」
 虚無を埋めつくされ掻きまわされる快感にふっと意識が緩む。
 その瞬間、股間からブシッと水飛沫があがり黄金の水流がチョロチョロとはしたない音をたてて迸った。
 足元に恥ずかしい水溜りが広がり、異臭が立ち込める――燃えるような羞恥心がユイの身をやき焦がした。
(いやぁ……止まらない……んくぅ、んはぁ……いやあああ……止まってぇ……)
 意識を下半身に集中させ放水を止めようとするのだが快楽に浸りきった身体はまるで言うことを聞かない。
 こんな失態をみせつけてしまっては幻滅されるだろうと思うと悲しくて泣き出しそうになる。
 だが、肝心の彼はそんな失態見えていない、と言わんばかりに無言で腰を振り続けていた。
(ああっ……凡田さん……)
 絶対に馬鹿にされると思ったのに、恥ずかしい失敗をからかうこともなく無言で快感を与え続けてくれる凡田。
 彼の度量の広さを身をもって教えられ目頭がグッと熱くなり嬉しさで胸がいっぱいになった。
 しかし失禁の恥ずかしさは完全には消えず勢いよく小水を迸らせた尿道がむずつき内腿をモジモジと擦り合わせる。
 快感はひっきりなしに押し寄せ膀胱が空になったせいか男根がより深くまで満たしてくれる気がした。
「はぁん……ぁっ……あっ……イきそう……ああン……イクぅ……あああぁああ〜〜〜〜〜〜ッッッ」
「うぉっ、オイラも限界でやんすっ……うおおおおおおっ」
 ユイと凡田はほぼ同時に頂点へと登りつめた。
 本気汁に濡れドロドロに蕩けた媚粘膜が貪欲に子種を求めて力強くうねり、躍動する剛直をギュウッとしめ付ける。
 灼熱の奔流がびゅくっ、くっと子宮口を貫いた。
「……あッ?……あぁッ……?」
 子壺を熱湯のようなとろみで満たされ、総身が溶解してしまいそうなほど過激な恍惚感に包まれる。
 息吐く暇もなくさらなる高みに押し上げられたユイは汗みずくの肢体を縄が千切れんばかりにつっぱらせて
 その直後、艶かしい痙攣をビクンッ、ビクンと走らせると幸せそうな吐息をこぼしながら泥のように崩れ落ちた。



(……ああっ……)
 目を覚ますと精神的にも肉体的にも心地よいぬくもりに包まれていた。
 手足を縛っていた縄はほどかれ、いろいろな体液でびしょびしょになっていた着物もちゃんと脱がされている。
 生まれたままの姿のユイの隣には凡田がこちらも全裸で腰掛けていた。
「目が覚めたでやんすか」
 肩に頭をのせた格好で眠っていたのでごそごそと動いているとそれに気付いた凡田が声をかけてくれる。
 ユイがうっとりとした目でみつめると彼は爽やかな微笑を返しギュッと抱きしめてくれた。
 たったそれだけのことで胸がどきどきと心地よく高鳴り下腹が熱くなる。
「気分はどうでやんすか?」
「う〜〜〜ん?」
 答えは決まっている。
 凡田に抱かれるまでは居心地の悪いことこの上なかったが今は理解者を得て安心感がほんのりと胸をあたためている。
 ぽうっと頬を赤らめ、この幸せをどう言葉にしようかと思案していると耳元で凡田がそっと囁いた。
「まァ、何にせよユイちゃんはこの里にいてもいいのでやんす。お仕置きは終わったでやんすからね」
「でも――」
 それでもまだ償いは完了していない……ユイが少し不安になっていると、凡田はそんなことお見通しとばかりに。
「それでもまだ罪悪感が残るならユイちゃんはユイちゃんに出来ることをすればいいのでやんす」
「あたしに、できること?」
「くのいちの力を存分に発揮すればいいのでやんすよ」
「あ――」
 確かな頼もしさを抱かせる声色で助言されユイは不安で暗くなっていた表情をぱっと明るく綻ばせた。
(そうだ……どうしてそんな簡単なことに気づかなかったんだろう……)
「ありがとう、凡田さん」
 感謝の言葉を述べると穏やかな気分で瞳を閉じ、凡田にしなだれかかった。
 この里に来てからというもの居心地が悪くて仕方がなかったが二人ならなんとかやっていけそうだ。
 ユイは久しぶりに朗らかな笑みを浮かべると頼りになる凡田の肩にすりすりと頬擦りした。
 彼は嬉しそうに、また照れくさそうに頬をたるませる。
(凡田さん……大好き……)
 あふれんばかりの気持ちを伝えようと、瞳を閉じ唇を凡田の方へつきだした。
 それに気づいた彼はユイの後頭部と腰に手をまわしグッと抱き寄せて、ぶちゅっと唇を重ねる。
 凡田とユイは二人とも本当に幸せそうな顔をして肌を重ね合うと、そのまま隠し部屋で一夜を明かしたのだった。

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