日が暮れようとしていた。
沈み行く夕陽を浴びながら、俺は家路を急ぐ。
黄昏時の街並みを見ながら、俺は感傷に浸る。
「この街に来て、もう四年か…。」
俺がこの時代に派遣されてから四年の月日が、
あの島から帰還してから二年以上が経過しようとしていた。
和桐製作所の壊滅、そして島送りという受難を見舞いながらも、
なんとかあの島から帰還し、和桐製作所を再建させることができた。
俺の歴史を修復するための努力は功を奏しつつあるようである。
無論、これで完全に歴史を修復できたのかといわれると、
そうだとはまだ断定できないわけではあるのだが。
本来ならば、俺はもう未来へ帰還しなければならないはずなのだが、
俺はこの時代に留まることを選んだ。
歴史が本来在るべき方向へと進んでいくのか、
それを見届ける義務が俺にはあると思っている。
もし何者かがこの歴史を、この世界を歪めようとするのなら、
俺はそれを阻止しなければならない。
それもまた俺に課せられた任務であり、使命だと思っている。
それに、俺は今という時代、そしてこの時代を生きる人々が好きになった。
彼らと共にこの時代を生きていくのもいい、そう思っていた。
そしてもう一つ、俺がこの時代に留まる選択をした大きな理由があった。
それは、この時代で出会えた、俺がこの世で最も愛しい女性と一緒に生きていたいから。


俺は足を速める。家はすぐそこだ。
我が家で今この瞬間も彼女は俺の帰宅を待っているはずだ。
玄関の扉に手をかけ、扉を開ける。

「おかえりなさい、小波さん。」
彼女は満面の笑みで俺を出迎えてくれた。
彼女の笑顔を一目見ただけで、今日一日の疲れがどこかへと飛んでいってしまったかのように感じた。
「ただいま、瞳さん。」
俺も彼女に微笑みかける。
「今日も一日、お疲れ様でした。」
「うん、お互いにね。」


今日これからは、もう二人だけの時間だ。


俺が瞳さんと同棲を始めてからもう二年が経つ。
島送りになっていた間は彼女に本当に辛い思いをさせてしまったが、
それでも彼女は俺の帰還を信じて待ってくれていた。
かつて彼女と交わした約束―「一生傍にいる」という約束を一時的にとはいえ破ってしまった俺を許し、
俺の島からの帰還を誰よりも喜び、俺を優しく迎えてくれた。
しあわせ島から帰還してから、俺が還る場所は、もう彼女のもと以外はあり得なかった。
もう、彼女を一人にはしないことを、俺は改めて誓った。
和桐を再建させて、状況が落ち着いてから、俺達は同棲を始めた。
彼女と共に過ごした時間は本当に幸せだった。
今までの人生の中で一番幸せな時間だと思えるぐらいに。
かつては、こんな平穏な、そして幸せな生活を送ることを望んでいなかったし、
ましてやそんな生活を送れるとは思ってもいなかった。
やはり、彼女と出会ってから、俺の人生観が変わってしまったのだろうか。
今の俺は、この平穏な幸せがいつまでも続くことを望んでいた。
彼女との、この穏やかで幸せな時間を。


夕食を食べ終えて、後片付け終えた後、俺達はしばらく一緒にテレビを観ていた。
観ていた番組が終わった後、瞳さんがお風呂のお湯を入れてくれたので、
一風呂浴びようかと俺はソファーから腰を上げた。
「あ、あの…小波さん。」
そんな俺を瞳さんが呼び止める。心なしか、頬が照れてるように見える。
「ン…どうしたの、瞳さん?」
「た…たまには、一緒にお風呂に入りませんか?」
その言葉に、一瞬我が耳を疑った。
い、一緒にお風呂だと…!?
この二年間に俺達はお互いの体温を求め合い、身体を重ねたが、
家で一緒にお風呂に入ったことなど一度もなかった。
「あ、あの…ダメ…でしょうか?」
「い、いえ、たまにはいいですね。…入りましょう。」
動揺を隠せない俺だったが、彼女の頼みを聞かないわけにいかない。
それに、こんな機会は初めてである以上、決して期待がないわけではなかった。


…我ながら、いやらしい期待をしてしまったものだ。
「あ、でも…」
「ン?」
「え、えっちはまた後ですからね…。」
照れながらの瞳さんの言葉に、俺も思わず苦笑いする。


「…脱がしますよ。」
瞳さんは赤面しつつ俯いたまま、コクリと頷いた。
了承を得たので、順番に彼女の着ているものを脱がしていく。
「あ、あまりじろじろ見ないでくださいね。」
「は、はあ。」
返事をしながら、下着も全て取り外す。
瞳さんは俯いたまま、胸を手で覆い隠していた。顔は真っ赤なままである。
やっぱり綺麗だな、と俺は思った。
身に付けているものを全て脱ぎ去って、生まれたままの姿になった彼女は、本当に美しかった。
…もっとも、いつも美しいが。
彼女の体型を一言で言い表すならば、俗に言うボン、キュッ、ボンといったところか。
まさに女性の理想そのものの体型だった。
美しい肌に腰の曲線、太もも、桃のようなお尻、そして形の良く、豊満な乳房。
思わず見惚れてしまう。
彼女とは何度も行為を重ねているので、
当然彼女の裸身も何度も見ているのだが、それでもやっぱり見惚れてしまう。
「こ、小波さん…じろじろ見ないで…。
 や、やっぱり、そんなに見られてしまうと…そ、その…はずかしいです…。」
「あ…す、すいません。先、入っててください。」
赤面しながらも苦笑いしつつ、瞳さんが浴室に入っていくのを見届けると、
俺も身に付けているものを脱ぎ去った。


「ふう…」
瞳さんを後ろから抱きすくめる形で、二人一緒に湯船に浸かる。
瞳さんはというとまだはずかしそうに俯いている。
自分から一緒に入ろうって誘ったのに、と思い、苦笑いしてしまうが、
そんな彼女のはずかしそうな姿はとても愛らしかった。


あまりの愛らしさに、俺は彼女を後ろから抱きしめる。
びっくりしたのか、瞳さんは「きゃっ」と小さく悲鳴を上げるが、
そんな彼女の姿がまた愛しくて、より強く抱きしめてしまう。
「もう、小波さんったら…」
「フフッ、ごめん。…やっぱり二人一緒にお風呂だと、はずかしいですか?」
「は、はい…」
瞳さんははずかしそうに答える。
「で、でも…」
「ン?」
「確かにはずかしいですけど、それ以上にとっても幸せです。
 二人一緒だと、一人のときよりもあったかくて、気持ち良くって、幸せな気分です。」
そう言って彼女は優しく微笑む。
「瞳さん…。」
次の瞬間、俺の唇は瞳さんのそれで塞がれていた。
一瞬の出来事に俺は困惑するが、瞳さんは俺の頬を両手で優しく包み込み、俺の唇を貪った。
「ん……はぁ…ぁ…ん…」
やがて彼女の舌が俺の口内に侵入してきた。
俺もそれに応えるように彼女の舌と己のそれを絡ませる。
胸板に彼女の豊かな乳房が押し付けられ、その感触に思わず下半身に血が昇りそうになる。
…まずい。
「っぷはっ、はぁ…はぁ…」
俺は唇を離した。このままだと、俺の理性がもたなくなる。
「……キスするの、イヤ、ですか?」
キスの余韻の残った艶のある表情で瞳さんが聞いてくる。
「だ、駄目ですよ、瞳さん。えっちするのはまた後でしょう?
 これ以上キスしたら、ここでえっちしたくなっちゃいますよ。」
「ええ、えっちはまた後ですよ。でも…キスだけ、もう一回…。」
そう上目遣いで目を潤ませて言う瞳さん。
…もともとあなたの頼みなんて断れないのに、
そんな目で頼まれたら、余計断ることなんてできないじゃないか。
もう少し、己の理性をもたせることにしよう。
「ん…むぅ…はぁ…」
もう一度瞳さんを強く抱きしめ、俺達は再びお互いの唇を、口内を貪り合った。


「はぁ…はぁ…」
お風呂から上がった後、お互いを求め合う衝動を抑えられなくなった俺達は、
ベッドの上でお互いに一糸纏わぬ姿になって絡み合っていた。
部屋内の灯りは全て消灯してあり、月明かりだけが、部屋の中を、俺達二人を優しく照らしていた。
「ひゃ…あ…ぁん…」
俺は瞳さんの豊満な乳房を優しく撫で、揉んだ。
乳房を撫でられ、揉まれる度に、瞳さんはかわいらしい悲鳴を上げる。
やわらかい。まるでマシュマロのようだ。
瞳さんの乳房を存分に撫で、揉みしだいた後、今度は彼女の胸の谷間に顔を埋めてみた。
気持ちいい。ふわふわする。それにいい匂い。
まるで天に昇るような気持ちよさだ。
少し顔を上げると、瞳さんと目が合った。
瞳さんは優しく微笑むと、俺の頭を撫でてくれた。
「フフッ、小波さん、かわいいっ。」
そう言って今度は彼女の方から俺を抱きしめた。
彼女の胸に俺の顔が更に強く押え付けられる形となり、思わず息が止まりそうになる。
本当に天に昇ってしまいそうだ。
「ねえ…今度は」
「ン?」
一旦瞳さんの胸から顔を離し、上げると、
瞳さんが聖母のような優しい笑顔で、優しく囁いた。
もっとも、彼女も俺と同じくらい呼気が荒くなって、頬も上気しているのがわかる。
「おっぱい吸って…小波さん…。」
その言葉に、俺は返事を返す間もなく、彼女の豊かな乳房にむしゃぶりついた。
「んんっ…はぁ…」
瞳さんの口から熱っぽい吐息がこぼれる。
赤子のように、俺は一心不乱に瞳さんの乳房を吸い、舐める。
やがてやわらかい豊かなふくらみの頂のかわいらしい突起に気付き、今度はそれにしゃぶりつく。
「ぁ…はぁっ…んんっ…」
舌で何度も舐め、唇で優しく挟み込み、時々軽く甘噛みし、強く吸った。
「フフッ…まるで赤ちゃんみたい…。」
そう言って我が子を愛でる優しい母親みたいに優しく俺の頭を愛撫する瞳さん。
俺はしばらく母親に甘える赤子のように、瞳さんの乳房を愛撫し続けた。

「ねえ、小波さん、私…もう、我慢できない…。」
乳房への愛撫を止めた俺に、瞳さんが言った。
その声は、愛撫のせいか先ほどよりも更に熱っぽい艶を帯びていた。
「小波さん、入れて…。」
そう言って瞳さんは指で自身の性器を広げた。
膣は充分すぎるほど濡れており、そこからこぼれた蜜はすでに太ももを濡らしていた。
俺は無言のまま、自身の性器を瞳さんのそれに宛がった。
「…入れますよ?」
コクリと彼女がかわいらしく頷くのを確認してから、俺は一気に彼女を貫いた。
「!ひあっ!あ…はぁ…」
「くっ…!」
気持ち良過ぎる。即座に射精感に襲われてしまうが、それに耐える。
「はぁ、あっ、気持ちいいですっ!」
「俺も気持ち良いですっ、瞳さんっ!」
瞳さんの嬌声に、俺の快感は更に高まる。
「…動きますよ。」
「は、はい…。」
俺はゆっくりと自身の性器を半ば引き抜き、また突き刺す。その動作を繰り返す。
「あっ!あっ!気持ちいいっ…気持ちいいですっ!」
気持ち良いのは俺も同じだった。
ただこれだけの動作一回で、非常に強い快感に襲われてしまう。
「あはぁっ!小波さんっ!小波さんっ!」
俺の名を呼びながら、俺の背中に手を廻し、強く抱きしめ、キスをせがむ瞳さん。
そんな彼女の姿があまりのも愛おしすぎて、
俺も彼女をより一層強く抱きしめ、激しいキスで応える。
「はあっ!ん…んむぅ…はぁ…」
激しい口付けを交し合いながら、動作を速める。
やがて、お互いに限界が近づいてきたようだった。
「はぁっ…瞳さん、俺、もうっ!」
「あぁっ!出して…くださいっ!小波さんの熱いものを…私の中に、出してくださいっ!」
俺は瞳さんを強く抱きしめ、彼女の膣内に己の精を勢い良く解き放った。
「はあぁぁっ、あっ!ああぁぁぁんっ!」
「…っはあっ…!」
射精を終えると、俺達二人は抱き合ったままベッドに倒れこんだ。
しばらくして目と目が合うと、どちらからともなく唇を重ね合い、再び長い間口付け合った。

「スゥ、スゥ」
俺の腕の中で、瞳さんが幸せな寝顔でかわいらしい寝息を立てている。
幸せな夢でも見ているのだろうか。
彼女の寝顔に、俺も幸せな気分になる。

あの後、あれではお互いを求め合う衝動は治まらず、
お互いに力尽きるまで、何度も何度も互いを求め合った。
それこそ、文字通りに精魂が尽き果てるまでに。
だけど、幸せな時間だった。

さて…と、そういえば明日(といってももう今日だが)は休日で会社も休みだったな。
せっかくの休日だし、瞳さんとどこかへ出かけようかな。
そして…そろそろプロポーズしようかな。
だとしたら、プロポーズの言葉はどうしようか。あぁ、そういえばもうその言葉は決めていたな。
そんなことを考えながら、俺の意識は眠気に誘われていき、やがて安らぎの眠りへと落ちていった。


また、幸せな一日になりますように。

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