私は昨日───時間的には今日というのが正しいが───小波から酷い仕打ちを受けた。
 何をされたかなど、私もあまり口にしたくないので割合するが、私が泣くほど酷い事だったとだけ言っておく。
 しかもやった後がまた酷い。女を泣かせて、やるだけやって、そのくせ自分は熟睡し、私におぶらせるときたものだ。
 帰り道にその温もりが少し嬉しく思ったのも事実だが、それとこれとはまた別の話。女を泣かせた罪は本当に重い。
 償ってもらおうと心に誓った。昨日、小波が口にした言葉『新しい刺激』に習うとしよう。
 ならば
「私が受けた辱めを身を持って味あわせてやる……」
 どこか黒い感情に身を任せ、私は行動を開始した。


『埼川珠子の逆襲』


 作戦は朝早くから始まった。
 昨日行為をした身体で早起きするのはかなり辛いが、小波が目を覚ましたりしたら話にならない。
 音を発てないようにベッドから抜けだし、イスを一つ、そしてロープを少々用意する。準備物はこれで終わり。
 次に、小波を起こさないように全裸にする。上半身はたやすく脱がせたのだが、下半身はそうはいかない。
 悪戦苦闘しながらズボンを脱がす。………まさか朝立ちが敵になるとはな。
 ズボンを脱がしたら次は下着。薄い布を取り外すと、アレがドン!と勢いよく飛び出した。
(き、昨日あれだけ出したのにか?)
 ………どれだけ元気なんだこいつは。
 少々言葉を失ったが止まっている時間などない。衣類を全て剥ぎ取った小波を担ぎ、イスのに座らせ、手足をイスに括りつけた。
 ………準備完了。あとはこいつを起こすだけ。
「おい小波、起きろ」
「んぅ…………あと……5分……」
 肩を揺らして声をかけると、寝ぼけた様に身じろぎした。
 今はまだ分からないようだが、すぐに自分が置かれた状況に気がつくだろう。
「却下だ。ほら、早く起きろ」
「ん〜〜、タマちゃんが……厳しい……」
 小波の瞼がゆっくりと開く。起き上がろうと体を起こそうとしたその瞬間、目がパッチリと開いた。
 ニヤリ
 顔が邪に歪むのがわかる。驚いた顔で、自分の状態を確認している小波に向かって一言。
「おはよう、小波」
「おはよう…………………………ねぇ、タマちゃん」
「ん?」
「朝っぱらからだけど、少し叫んでもいいかな?」
「別に大丈夫だ」
 そう言うと、小波は大きく呼吸をし始めた。肺いっぱいに空気を補給し、最大音量で叫ぶ。
「なんじゃこりゃぁぁああああああああああ!!!!!」
 絶叫が部屋中に響き渡った。多分隣の部屋まで聞こえただろうな………近所迷惑な奴だ。


「タマちゃん、何コレ!? 罰ゲーム?!」
 ……全裸でイスに縛りつけられるって、いったいどんな罰ゲームだ。
 まぁそれは置いといて。
「まぁ簡単に言うなら、昨日お前が私を散々虐めてくれたからな? 私もお前にお返しをしようと思ったんだが……」
 そう言って、余ったロープで作ったムチをしならせる。小波の顔がどんどん引き攣っていく。
「じゃあ何? 俺にお仕置きとか体罰でもするの?」
「体罰とは失礼な」
 いくら私が怒ったからといっても、お前にそんな事を絶対にやりはしない。
「これはアレだ。お前の読んでる本にあった、確か………SMだったか? それをやってやろうと思って……」
「いや、これは違うって! これ明らかにイジメだって!!」
 頑なに否定する小波。
 ちなみにSMと言っても私の服はいたって普通だ。あんな恥ずかしい服が着れるわけがない。
「だがな小波、口では拒んでも身体の方は………」
 視線を下へと下ろす。目標はいつも猛々しい小波の一物。
 寝ている間も存分にいきり立っていたそれは………………完全に勢いを失ってしょぼくれていた。
「…………まだダメみたいだが………まぁそのうち元気になるだろ」
「ならない! 絶対ならないから!」
「大丈夫だ。常時発情期のお前なら」
 そう言い捨て、鞭を手にして一本前に踏み出す。………小波の顔色が悪いようだが………気のせいだろう。
「ふふふふふふふふふふふふふふふ………」
「止めて! お願い! 違うから! SMと体罰は全然違うからぁああ!!」
 止めるつもりなどさらさらない。止めろと言われて止める程度の事なら初めかやりはしない。
 何より、私が止めろと言ってこいつが止めた事があっただろうか?
 答えは否、だ。
「では………いくぞ?」
「ダメ! 来ないで!!」
 小波の言葉を無視して、私は鞭を振るった。

 ビシィッ!!

「痛ぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!」

 バシィッ!!

「ぎゃああ!! タマちゃんお願い、止めて!!」
「………こんな時は、確かこう言うらしいな。『女王様とお呼び!』」

 バシィン!!

「ぬぁあああ!! 女王様お願いです! 止めてください!」
「えっと……確か次は…………『もっといい声でお鳴き!』だったか」

 ズバン!!!

「ぐぉあっ!! …………タマ……………ちゃ…」

 ビシッ!バシッ!バシン!ズバッ!バン!

「か、は……………………」

 ズバンッ!バシュッ!パシンッ!ビシュッ!ズバァアン!!ドゴッ!バキッ!グシャッ!

「……………………………」
「………ん?」
 声が無くなった。小波の様子を確認してみる。
「小波…………?」
「………………………」
 返事はない。完全に気を失っていた。
「おい、小波!?」
 慌てて鞭を放り捨て、意識の無くなっている小波の介抱を早急に開始した。


「ううう……………タマちゃん……酷い」
「あ〜〜…………本当にスマン、悪かった」
 あの後、身体を揺すったり応急処置をしたりすると小波は直ぐに意識を取り戻した。取り戻したのだが────その後が問題だった。
 イスから解放されると、私に背を向けて体育座りでさめざめと泣きだした小波。
 なんと後味の悪い事だ。
 ………………まぁ、自業自得なのだけど。
「うう………こんな身体じゃ……練習なんて行けない…………」
「ああ、休んでいいから。私と特訓していると言っておいてやるから」
 今だに人差し指で『の』の字を床に書き続ける小波に向かって言う。
 確かに体中に痛々しい傷痕を付けていては、練習どころではない。もし人に見られたら大変な事になるだろう。
「許せ……………とは言わんが………本当に悪かった」
 小波はこういう事をいつまでも根に持つ様な奴ではないが、今回は全面的に私に非がある。
 感情に流されるがままに行動してしまい────結果、小波を傷付けてしまった。
 やはり、償うべきだろう…………いや、償わなければいけない。
 少しの間考えて、私は小波に言った。
「詫び……………にはならんかもしれんが………何か好きな事をしてやるから」
 何か物をやる───でもよかったのだろうが、何か味気無いものがあるし、物ですむ問題でもないだろう。『物より思い出』とは、正にこの事だろうか。
 馴れない事だが、料理でも作ってみるかな─────とか、考えていると
「………………何でも?」
 小波が突然泣くのを止め、ゆっくりと立ち上がった。
 私に向けたその背中にすさまじい気迫を感じる。
「好きな事………………何でも?」
 まずい。
 そう思った時には、もはや後の祭り。いつの間にか距離を詰められ、肩を掴まれて逃げる事ができない。
 私の瞳に、欲望に燃えた小波の目が映る。
「あ〜〜…………一つだけだからな?」
 せめての妥協案。………あまり意味がないかもしれないが。
「わかったよ。じゃあ、まずは買い物に行こうか」
「? そんな事でいいの…」
「で、その後は……」
「いや、一つだけと言ったんだが……」
 結局妥協案など完全に無視され、服を着た小波に手を引かれるがまま、私達は買い物へと出掛けていった。


 買い物の内容はダイジェストで説明する。
 私が買ったのは食料などの生活必需品であり、特にたいした物ではない。小波も初めのうちは服やスポーツ用具など、至って普通の物を眺めていた。
 ………そう、初めのうちは。
 そしてその時はやって来た。
 続いて私が連れて来られたのは、マニアショップとはまた違った怪しい感じの店。あれ以上に悍ましい雰囲気が周囲に漂っている。
 中で何を購入したかは、その内分かるだろうから省略する。中での出来事など正直思い出したくもない。
 そして話は現在に移る。

「おい、小波…………」
「ん? なぁに?」
 時と場所は移って、今いるのは私のアパート。購入時から言いたかった質問を小波に投げかける。
「いったいコレは何だ?」 震える手で小波の購入物を掴み、本人の目の前にさらけ出す。
 手の先で青い布がヒラヒラと揺れている。
「何って……………服だけど」
「分かった、質問を変えてやる。これは何をする服だ?」
 服とは人が外に出る時に着る『衣装』だ。しかし、これは絶対に『衣装』などではない。こんな物を着て外に出る奴なんていないだろう。
 ────警察官の服なんて。
「まぁぶっちゃけて言うと、それを着たタマちゃんとヤりたいな〜って思って」
「お前の頭の中はそんな事しかないのか!」
「着たまま帰ってもらおうとも思ったんだけど、タマちゃんもさすがにそれはキツいと思ってさ」
「………………そんな事させられたら、多分私また泣くぞ?」
 改めて手に持ったそれを見る。心なしか一般のこれよりスカートの裾が短いような…………いや、間違いなく短い。
 こんな恥ずかしい服、本当に誰が好んで着るのだろうか。
「じゃあ早速、タマちゃん着てください!」
 悪魔の宣告が私を襲う。
「断る。何故私がこんな恥ずかしい格好を……」
 私がここまで言うと、小波がある所を指差した。
 指の先を追う。そこにはイスにロープに鞭───朝の惨劇の跡が広がっていた。
「…………………こ、今回だけだからな」
「やったー!」
 ……今回の事もそうだが、もしかして私は一生こいつに勝てないのではないか………?
 これからの生涯に不安を覚えながら、私はこの服を身につけた。


 …………着替え完了。


「おおおおおおおおおおお!!」
「………そんなに凝視するな……バカ者」
「タマちゃんイイ! 恥じらってるところが、またイイ!」
(こ、これは恥ずかしい……)
 こんな格好、もはやバカでしかないではない。
 しかもこのスカートはいくらなんでも短かすぎて、少し動けば下着なんてまる見えになってしまう。
 不安に思うその辺りに、視線が集まるのを感じる。
「さて、よいしょっと」
「わ、わわわっ!」
 小波が近づいたと思うと、私を軽々と持ち上げた。どこかの姫を運ぶ様に丁重に運び、行き着いた先はベッドの上。
 優しく置かれ、頬を撫でられる。
「タマちゃん……」
「ん……………」
 近づく唇。私達は口づけを開始した。


「ん………んん……」
 唇が熱い。何の味かよく分からないが、好ましい味が口の中に広がる。
 一度、二度、三度と触れるだけの優しい口づけが繰り返される。耳に届く呼吸音、目を閉じているのに小波が近くにいると分かる。
「タマちゃん、両手上げて?」
「ん? ……分かった」  小波の言葉に何の疑いも持つことなく言われた通りに両手を上げた。
 そして再び始められる口づけ。今度は舌を使った、大人の激しいそれだった。
「ふ………ぁ、ん……………ん?」
 手首に違和感を感じる。何かが絡まっているような、そんな感じ。
「何………だ?」
 体を捻って上を見る。
 小波がベッドに両手を括り付けていた。
「ちょっ、コラ! 小波!?」
 小波に向かって吠える。だがあいつは相変わらずの調子で言い返した。
「いや、普通にヤってもいいんだけど、せっかくタマちゃんがそんな格好してるんだから
雰囲気は大切にしないとね。テーマは『悪人に捕まった女警察官』って事で」
「止めろ小波、これを外せ!」
「あれ? タマちゃん結構ノリノリ……」
「違う! 本気で嫌がってるんだ!」
 何とか外そうと体をよじる。このままいくと、昨日、今日と二日連続で縛られた事になる。何が嬉しいものか。
「ん〜〜でもタマちゃん、朝止めてくれなかったし……」
「それは普段お前が止めないから………………んんっ!」
 言葉が途切れる。小波が私の胸をまさぐっていた。
 服の上から少し強く揉まれ胸の形が変わる。抵抗しようにも身動きは取れない。
「んっ、は…………あぁ」
「大丈夫、昨日みたいに誰かに見られる心配はないから」
 それ以前にお前の行動が心配だ。調子に乗って足まで縛る、とかやりかねん。
 胸の刺激に耐え、何とか逃れようと必死に体を捻る。
「♪〜〜〜〜〜」
「………………どうした?」
 何故か至極ご満悦の小波。
「タマちゃんが動くとさ、スカート短いから下着がこうチカチラと……」
「なっ!」
 慌てて下を見る。スカートが捲り上がってショーツがまる見えになっていた。
 隠そうと手を動かすが、動かない。下半身に熱い視線を感じて、体中が熱くなる。
「そ、そんなに見るな! 見慣れているだろ?」
「いや違う! 違うんだよタマちゃん!」
 力強い声。………できれば別の場所で聞きたかったが。
「チラリズムは神秘なんだよ! 脱がして見るのもいいけど、俺はこっちの方が好きだ!」
 そして力説。男というのはよく分からん。


「そう言う訳で……」
 小波が私の方を向いた。ギラリと光る瞳、本能的に足を閉じる。
「じっくり見せてね」
「わっ! おい、コラ! やめっ…………んんっ!」
 抵抗虚しく、強引に足を開かれた。できた隙間に身体を入れられ閉じる事が出来ない。
 そして膝を持ち上げられ、足の裏がベッドにつく。属に言うM字開脚の状態。
「あっ!………たの、む………恥ずかしい……から……」
 最後の辺りは消えるような声だった。
「もっと恥ずかしい体位でした事もあるのに?」
「恥ずかしいものは………恥ずかしいんだ……!」
 思わず顔を背ける。こんなの私のキャラじゃないだろう。
「でもさ、もっと恥ずかしい格好になるんだけど」
「なっ!」
 再び襲う悪魔の宣告。今の私に逃げる術などない。
 服のボタンが外され、下のブラが露にされる。そしてそれも上にズラされ、胸が外に露出した。
「何で………服を脱がさない」
「脱がしたら服の意味がないからね」
 そう言って胸を触り始める小波。円を描くように揉みながら時々乳首を摘んでくる。
 しかしこの状況……映画とかでよく見る、犯される直前の警察官と犯人にそっくりじゃないか?
「ん! は…………くんっ!」
 胸感じるヌルヌルした感触、おそらく小波の舌。乳首の周りを丹念に舐めていき先端でその中心を弾く。
 噛み付かれ、吸われ、全身の力が抜けていく。
「あ、ああ…………あああっ!」
「ん〜、やっぱりまだ母乳はでないね」
「孕んで、ないんだ、から……当たり前、だ」
 ………まぁ何度も危ない時はあったが。
「んんっ!?」
 そんな事思っていると、突然股間に刺激が走った。指で撫でるだけの優しいものだが、敏感な所だけに刺激は強い。
「やっ! あ゙っ! やぁっ!」
 しかしそこを何度も擦られる。ショーツに形作る筋に沿って、何度も何度も何度も何度も。
「あ゙っ! うぁ………あっ! あ゙あ゙あ゙!」
 指が動く度に身体が震える。蒸れているのだろうか、股間の周りが熱い。
 そして蒸れているのなら、私のアソコはもう完全に濡れているのだろう。
「タマちゃん、もうパンツグショグショであそこ透けちゃってるよ?」
「うぁ゙………だか、ら……言うな……と」
 分かってはいても、口にされると異常に恥ずかしくなる。
 言葉だったり格好だったり、こいつは私を辱めるのが本当に好きらしい。
「それじゃあ、脱がすよ」
「………へ? お、おい!」
 私が声を出した頃には既に半分以上脱がされていた。ただしスカートは穿いたまま。
 最後まで剥ぎ取られるショーツ。小波に凝視された後、それが宙を舞った。


「おお……こういうのもいいな……」
 舌で舐められるような視線が全身に走る。
 今の私は手を縛られ、服は開けて、生殖器を完全に露出しているただの女。もういつ犯されたって可笑しくはない。
「はぁ………ぁ……はぁ……」
 息が荒い。身体も熱い。そのまま何もしないでいると、小波が股間に顔を近づけてきた。
 自分であそこの様子を見る事はできないが、大体予想はできている。
「ふぁっ!」
 息が吹き掛けられる、たったそれだけで体中に電流が走ってしまう。
 更に強くなる吐息。顔を限界まで近づけてきた。太股に小波の顔が当たる。
「タマちゃんのココ、凄い臭い」
「う…………あ、うああ………やぁ…だ…」
「愛液でベタベタになって……舐めてもきりがないね」
 顔から火が出るとはこんな時に使うのだろう。もはや声も出ない。
 そして股間を襲う刺激。指とは違う柔らかい物が侵入してきた。
「あ゙あ゙あ゙! やめっ………きた、ないっ!」
「大丈夫。綺麗だしおいしいよ」
「や……あ、ぁぁあああ゙あ゙っ!」
 私の中で舌が動き回る。奥に入り掻き回し、私の中を壊していく。
 舌が抜けたと思うと、液体を下品に飲むような音が聞こえた。愛液が吸い取られていく。
「あっ! う………ぁああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!……………あ………ぁ………」
 軽く頂点に達し身体が硬直する。股間が緩む、何かを噴き出してしまった。
「ぁ…………ぅぁ………」
「………これが、タマちゃんの味………」
 互いにぼーっとする二人。ただし私は動けないでいるが、小波は今にも襲おうと臨戦体制だ。
 存分にそり立った生殖器を私の入り口へと動かしている。
「タマちゃん、いくよ?」
「………え? いや、まっ……」
 言葉を言い切る前に、衝撃が全身を走った。
「うあ゙ぁ゙!! んんっ! あ゙あ゙あ゙!!」
 腰を掴まれ一気にアレが私を貫いた。さっき達したばかりなので、敏感過ぎてしょうがない。
「あ゙あ゙あ゙!! や、ぁ………ゔあ゙ぁ゙!」
 また軽く飛んだ。小波が私の中を動く度に快楽の波が押し寄せる。
 絡み合う肉体。刺激で頭が可笑しくなりそうだ。
「ゔぁ…………あ、うあ!?」
 身体が回される。俯せにされ、お尻を突き出した体制になった。
「や、恥ずか、しぃ!!」
 再び貫かれる。しかしさっきとは違い、深くまで入りこんでくる。
 しかもこの体制では、お尻の穴までまる見えではないか。
「うあっ! ああ! ああああぁぁぁぁ!!」
 無意識に手を固く握る。獣のような体制で犯される私。それでも快楽を受け入れる私。
 口からあそこから液体が溢れ、ベッドを汚していく。
「タマ、ちゃん……やば、い」
「こ、こわ! あ゙っ! れ、る! ぁあ゙あ゙!!」
 小波のアレが膨んでくのが分かる。私なの中で欲望を吐き出そうと暴れ回る。
 マグマの噴火の前触れ。秒読み体制に入った。
「うあっ! はあっ! あっ、あっ、ああぁ!!」
「鈴……霞、いくよ!」
「!!」
 名前を呼ばれると体中がときめく。刺激が倍になった感覚。
 激しく頂点に達し、小波が中にぶちまけられた。
「んぁ!! あぅ、ああああああぁぁぁぁ、ゔああぁぁ゙あ゙!!」
「うあぁ………あ、あぁ……」
 中に感じる熱い液体。抱きしめられる体。互いの生殖器が締め付け合う。
 硬直が解けて力が抜ける。その場に倒れるように寝転ぶと、小波も上に覆いかぶさってきた。
「あ…………あぁ……」
 体に力入らない。おそらく小波も同様だろう。それに、例え力が入っても、動けないのなら同じ事。
(………しばらくは……このままでいるか)
 そう結論づけて、小波の腕を枕にして目を閉じた。

「…………この………バカ……!」
 それからしばらくたった後、私が目覚めた時には既に小波も目覚めていた。
 とりあえず真っ先に頭に浮かんだ言葉を放つ。
「へ? えっと……よく分からないけど……ゴメン」
 怪訝そうな小波。何故怒られているのか分かっていないらしい。
 だが私は更に言葉を繋ぐ。
「ドS、変態」
「いや、それは……」
「何か文句があるのか? あれだけ散々好き勝手やっておいて」
「ゔ…………………」
「万年発情期、縛りプレイ好き、制服マニア」
「ゴメン。すいません。許してください」
 ここぞとばかりに反撃する。やはり、やられっぱなしというのは性に合わない。
 責められる苦しみをお前も味わうがいい。
「悪いと思っているならコレを外せ、今すぐに」
「あ、うん」
 いそいそと動き出す小波。紐が解かれ、ようやく腕の拘束が解かれた。
「まったく………見ろ、跡が付いてしまった」
 腕を伸ばして手首を見せる。そこには縄の縫目が赤々と付いていた。
「それは………本当にゴメン」
「いくらなんでもやり過ぎ……」
「でもね、タマちゃん」
 私の言葉を小波が遮る。停止した私に、上半身を開けて一言。
「俺はそれが全身に付いてるんだけど」
「うっ!」
 鞭の嵐、朝の光景が頭を過ぎる。
 このままではマズいと、話題をそらした。
「と、ところで聞きたい事があるんだが」
「…………ごまかした。今すっごいごまかした……」
 小波が何か言っているが気にしない。
「え〜と………だな……」
 頭をフル回転させて言葉を探す。
 小波に聞きたい事、小波に聞きたい事、小波に聞きたい事───
「!! そうだ、お前………何でやる時はあんな執拗に私を責めるんだ?」
 咄嗟に浮かんだ疑問、しかし確かな疑問。
 普段のこいつはそんな風に見えはしない。どちらかと言うと正反対の人間に見える。
 だが、いざそんな雰囲気になると人が変わった様に責めてくる。何故なのか分からなかった。
「ああ、それはね───」
 そう疑問を浮かべる私に向かって、小波はあっけらかんと言った。
「責められてる時のタマちゃん、すっごく可愛い顔するから」
「…………………」
 ……何だこの気持ち。今なら鞭一撃でこいつを気絶させれそうな気がする。
 ではあれか?小波は私の表情を見る為に、毎回あんなに責めていたと言うのか……?
「こ、の…………!」
 理解は出来ても納得できない。黒い感情が再び私を支配する。
 まぁ今日みたいな例があるから、流石にあんな事はやらない。
 が、仕返しはたっぷりとやらせてもらおう。
「小波………………お前、明日球場の周回100周な?」
「えっ?! なんで!?」
「お前は選手、私はコーチ。練習メニューを考えるのは当然だろう」
「いや、だからって100周は多過ぎ……」
「100周な?」
「絶対無理だから! 丸1日終わるって」
「100周な?」
「タマちゃん、それはパワハラ……」
「ひゃ・く・しゅ・う・な!?」
「タマちゃん〜〜……」
 苦しむ姿をとくと見せてもらおうじゃないか。
 うなだれる小波のその頭を、励ましの意味も込めて優しく撫でた。

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