「おい、小波」
紫杏が小波のほうに顔を向ける。
「これは一体」
今度は妙子が後ろから囁く。
「どういうことなん?」
最後に和那が小波の顔に近づけた。
「どうって言われてもこういうことっていうしか…」
しどろもどろになりながら小波は答えた。
無理もないだろう今、小波の家には6人の女性がリビングにいり、しかも小波を除いた全員がこう思っていた
(折角小波と一緒に暮らせると思ったのに!)
しかし現状は詐欺のごとく違っており自分の他にも女がいるとは誰も思わなかった。
それが許せない和那は不満をさらに小波にぶつける。
「アホォ!あたしは…あたしは小波とずっと一緒に居られると思うてここへ来たんやで!」
苦しかったジャジメントとの戦い、リーダーからの解雇宣言
苦労が報われたと思いきや好きな人には他の女が…正に踏んだり蹴ったりである。
「私も…」
妙子にも不満があった。
和那や紫杏とは違い後ろ暗い物は無いものの小波との付き合いを自治会に尽く邪魔をされていた。
そしてようやく高校卒業という監獄を脱出したと思いきや小波はさっさと所属する球団へ行ってしまった
おまけに小波とは違うクラスなので小波との思い出が何一つない、そのため他の子に劣等感を抱いていた
「それなのになんで他の人がいるですか?」
奈桜も奈桜で不満があった。
奈桜は我慢をしていた、妹であるさらに…いや、小波に対してだろう
小波のおかげでさらとの確執が若干薄まり話をする機会が増えた
しかし、仲を修復するまでとはいかなかったため奈桜はある誓いを立てた
さらと仲直りするまで小波君には会わない…と
そしてついにさらとの仲を普通、いや、それ以上に回復して見せた。
だがまさかさらまで小波が好きだとは奈桜は先日まで気が付かなかった。
「そりゃあ…俺が許可したに決まってるだろ?だってここは俺の家だし」
小波が飄々とした顔で和那に言う「せやけど!」
小波の返答が気に入らない和那はさらに食って掛かろうとした時五十鈴が静かに口を開いた
「……五月蝿い…」
お茶をすすりながら怒っている和那たちをちらりと見る
「五十鈴、お前は不満はないのか?こんな事になってしまって」
紫杏は五十鈴に意見を求めるが五十鈴も小波と同じように涼しい顔をして
「…・・・私は小波と一緒なら。それに…そんな事で小波を嫌いになったりはしない」
「うっ…」
五十鈴の言葉に一同は反論できない
いままで黙っていたさらも口を開いた
「私、小波君が一緒に住んでも良いっていうからここへ来たんです。だから小波君のいうことには従います」
さらの言葉の裏には小波への信頼と愛情が思いっきり積もっていた。
そしてこんなことに怒鳴り散らしている和那たちへの皮肉も若干混じっていた
「芳槻、いいのか?」
意外な味方に五十鈴はすこし戸惑った。
「はい」
さらにとって小波は愛する人、その人が近くにいてくれといってくれた
たったそれだけだがさらは嬉しかった
「…ふう、五十鈴の一人勝ちやな…まあええわ、あたしも小波には従うで」
五十鈴とさらの言葉に観念した和那
「そうね、意地を張って小波君の機嫌を損ねちゃ追い出されるかもしれないわね」
妙子も仕方無しに同意する
「そうだな、他に行く当てがあるわけでもないし…」
紫杏も同意した
「話は付いたか?」
問題の張本人が皆に聞く
「はい、みんなこの家に住むことにしましたよ」
最後の一人である奈桜が意見をまとめた


「そうか…じゃあ歓迎会でもするか」
「さんせーい」
小波の提案に一同が賛同する
こうして6人は小波の家に住むこととなった

「ふう…」
小波は歓迎会の後片付けをしていた
「まさか、みんな酒癖が悪いとは思わなかったぞ…」
まず和那、泣き上戸でキス魔に変身してしまった
次に紫杏、脱ぎ魔の上笑い上戸だった
そして妙子、絡み酒の上説教が長い
さらに奈桜、酒のせいでいつもの性格がオーバーブースト
おまけにさら、アップダウンが激しい差を披露して辺りに迷惑をかける
最後に五十鈴、無言のまま酒を飲み干す、倒れる
「ご苦労様です」
どこからともなく声が聞こえる
そして、小波の目の前に何者かが現れる
「あっ、お前は悪魔!」
「お久しぶりですね」
小波と悪魔は昔契約を交わした
だが、今の今まで小波はその存在をすっかり忘れていた
「ご希望通り、みんなを幸せにしてくれを叶えさせていただきました」
「……これで彼女達は幸せなのか?」
疑問に思っていた事を口に出す小波
「いえ、これから幸せになるんですよ、あなたの手でね」
「へ?」
悪魔の言葉にあっけに取られる小波
「あなたの願いは「みんなを幸せにしてくれ」ですから…いやぁ、苦労しましたよ彼女達を集めるのを…」
小波は悪魔の考えをようやく理解した
「……ありがとうな」
そして理解したことを言葉にして悪魔に伝えた
「おや、こんなこと望んでなかったなんていうと思ったのに…」
小波の答えに少し驚く悪魔
「俺の知らない所で不幸になるより、頑張ればどうにかなる環境を作ってくれたんだろ?」
「……まあ、そうとも取れますね」
そう、あの未来を変えることができるという事実が小波を突き動かしていた
「俺、頑張るよ!じゃあな、悪魔」
小波が手を振ると悪魔は去って行った

月が美しい夜空で悪魔はこう思った
「まさかありがとうだなんて…いえ、彼は本当に彼女達の幸せを願った、ただそれだけだったのでしょう
今時あんな人間が居るだなんて…仕方ありませんね、別の獲物を探すとしましょう」
そして悪魔はもっと欲が深い人間を探す為に夜の闇へと消えて行った
続く

荷田「みんな、元気でやんすか!?荷田でやんす
皆で小波君の家に住むことになったでやんすけどどうもギクシャクしてるでやんす
そこで交流を深める為に皆でお風呂にはいることに!次回!裸のお付き合いは打撃音にレッツガンダー!」

続く

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