[394]『魔法少女リリカルなのはStrikerS』絶賛放映中!<sage>2007/08/08(水) 01:07:24 ID:6pEpjkXR
[395]『魔法少女リリカルなのはStrikerS』絶賛放映中!<sage>2007/08/08(水) 01:10:08 ID:6pEpjkXR
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[397]『魔法少女リリカルなのはStrikerS』絶賛放映中!<sage>2007/08/08(水) 01:15:01 ID:6pEpjkXR

ミッドチルダの空の下。
金属音と火花を散らし、二人のベルカの騎士が空戦を繰り広げていた。

一方は、ピンクのポニーテールを振り乱す。
もう一方は、ユニゾンで金色になった髪をなびかせる。

デバイスとデバイスがぶつかり合い、不協和音を奏でる。
永遠に続くかのような、激しいドッグファイトg『はーい!!!シグナムさん!ゼストさん!オッケーでーす!!!』






『魔法少女リリカルなのはStrikerS』絶賛放映中!






「ふむ……やはり騎士同士の戦いが一番面白いと思いませんか、騎士ゼスト」
「全くだな、騎士シグナム」
「では、これから訓練室で続きでも……」

「あかん!まだ撮影残っとるんよ!」

すっかり騎士精神に火がついたシグナムとゼストに、はやてが歯止めをかける。

「しかし、主……」
「ほーう?ほんならシグナムはまたOP一瞬だけの出演でええの?」
「うっ………」
「さんざん『NEET侍』とか『働きたくないでござる』とかボロクソに言われとるやんか。少しは出番稼がな」
「はい………」

はやてに諭され、耳があったら垂れ下がっているような落ち込みようで、シグナムはゼストに謝る。

「申し訳ない……っ!!これも家のローン返済のためなのです……解って頂きたい」
「………心得た」




ミッドチルダ郊外に設けられた撮影ベース。
ここでは今、次元世界で大ブームのTV番組『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の新オープニングの撮影が進んでいた。

そもそも、この『魔法少女リリカルなのは』シリーズは、当時人手不足だった時空管理局の魔導士のプロモーションを目的として、
10年前に第一作が発表された。
当時は民間魔導士だった高町なのはと、嘱託魔導士だったフェイト・テスタロッサ。
この二人の幼女……もとい少女をメインに、魔法を使った熱血バトルを描いたこの作品は瞬く間に大ヒット作品となった。

その後、続編の『A's』でのテコ入れ、グッズ展開、その他もろもろのプロモーション活動が功を奏し、
見事に管理局に入局する魔導士の数を爆発的に増やす事に成功した。

今回は10年を経ての新作という事で、新しいメンバーを大量追加。
世界観は徹底的にリアル思考に方向転換され、賛否両論を巻き起こしている。
そんな『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の撮影の総指揮をとるのが、『A's』にも出演した機動六課長・八神はやてその人であった。

「まったく……10年前とは違うんやで!どんどん貪欲にやっていかな生き残れんわっ!」





気を吐くはやてを、撮影ベースの片隅からファ○タのオレンジを飲みながら見ているリイン。
そこへ、さっきの撮影から戻ってきたアギトがやってきた。

「ふー……やっぱユニゾンは疲れる……あんまり旦那とは相性よくないしなぁ」
「お疲れ様です♪アギトちゃん、これ飲んで頑張ってくださいね♪」
「お、さーんきゅ♪……ん?」

汗を拭きながら、リインからファ○タを受け取ったアギトの表情が曇る。

「……おい、バッテンチビ」
「何ですか?」
「ファ○タっつったらグレープに決まってんだろーが!このド素人!」
「なっ……聞き捨てなりません!!オレンジの良さが分からないなんてそれこそ素人さんですよっ!!」
「ああん!?」
「何ですかっ!ヤりますかっ!」

飲み物一つを引き金に、おチビ同士の宇宙小戦争(リトル・スターウォーズ)が勃発した。




爆発音が空に響き渡る。

『はいカットぉ!!だめだよスバルちゃん!IS発動させちゃ!』
「あ、すみません……17話撮ったばっかだからなんか感情移入しちゃって」

ウイングロードの上から、スタッフに謝るスバル。

「このバッカやろー!撮影続行できねぇじゃんか!」
「だからゴメンって……」

地面を見ると、コンクリートに叩きつけられたノーヴェがスバルに文句を垂れていた。
ノーヴェの体、固有武装共に一部破損が見られる。

『しょうがないなぁ……撮影は一時中断!』

その姿を見ていたウーノとスカリエッティ。

「……どのくらいで直るでしょうか」
「なぁに、私の手にかかれば、30分で撮影に耐えられるクオリティまで回復できるとも。はーっはっはっはっ!!」

まさに才能の無駄使いであった。





「さて、今度はヴィヴィオとなのはさんが手を繋ごうとして離れてしまうシーンなんですけど」

アシスタントのシャーリーが困った表情でヴィヴィオを見る。
ヴィヴィオの腹には青いベルトががっちり巻かれており、
これで『敵に捕まっているヴィヴィオ』を表そうとしているのだが……

「う―――………」

ヴィヴィオはなぜかへそを曲げてしまい、一向に演技を始めようとしない。

「ねぇヴィヴィオ〜……がんばってくれないと、ママ困っちゃうな〜」
「う―――………」
「ふにゃ、どうしよう……」

なのはの説得にも応じない。これは重症である。

「なのはちゃん、ここは私に任せて」
「シャマルさん?」

どこからともなく現れたシャマルが、クラールヴィントをなぜか使う。

「クラールヴィント、導いてね♪」
『Ya!!』

すると、ヴィヴィオの背中から手がにょきっと現れた。
そのまま、その手はヴィヴィオのわき腹をくすぐりだした。

「きゃ―――ははははぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!まま――――!!!まま――――!!!」

よっぽどシャマルのテクニックがいいのか。
ヴィヴィオは発狂したかのように笑いながら体をくねらせ、なのはに手を伸ばし助けを求める。

「シャマルさん……」
「うふふ♪」

その後、このシーンのヴィヴィオの動きには、TV放映時にファンの間で『ヴィヴィオダンス』という名が付けられた。





「……うわー……」

スバルの全裸シーンを見て、ティアナは絶句した。
ただいま撮影した素材を編集中。スバルやティアナ達もスタッフに加わり、〆切に間に合わせるべく詰めの作業を行っていた。

「えへへ、ちょーっと恥ずかしいけどね……まぁ、これ肌色のボディスーツだし、何とか割り切れるよ」
「ナカジマ三佐が見たら泣くんじゃないかしら……」

映像に、歌を重ねていく。
『リリカルなのは』シリーズ恒例、フェイト・T・ハラオウンが歌うOPテーマが流れる。

「は〜……やっぱフェイト隊長の歌はいいね〜。なんかこう、燃えるって言うか何て言うか」
「スバル!聞き惚れてないで作業再開っ!」
「は〜い………あ、そういえばそろそろ……」

スバルがTVを点けると、モニターにフェイトが映っている。
主題歌の売れ行きが好調で、今日は音楽番組『MUSIC SATAN』に異例の出演を果たしていた。

「あ、フェイトさん照れてる」
「しょうがないよ、向こうはコメディアンだし、フェイトさんがトークで勝てると思う?キャロ」
「………無理だと思う」

小さいころからフェイトを見てきたちびっ子二人は、モニター越しに、番組MCに弄られるフェイトを生暖かく身守っていた。




機動六課隊舎の屋上に人影が見える。
なぜか体育座りで、月を眺めていた。

「ザフィーラの兄貴………」
「……何だ、ヴァイス……」
「数字って、残酷っすよね……」
「うむ……」

新OPで、がっつり出番を省かれた二人がそこにいた。
やがて二人は立ち上がり、その場を離れる。

「……ヴァイス、酒でも飲みにいこうか……」
「いいっすね。でも……今日は何か、何飲んでも酔えない気がするんすよ……」

月明かりに照らされた二人のとぼとぼ歩く姿は、とても小さく見えた。

「あ、あと、グリフィスも連れて行きましょうよ、兄貴……」
「うむ……」



おわり。

著者:CRR

このページへのコメント

何処までがメタフィクションなのか、よく分かりませんねえ。

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Posted by subaru-ota 2008年12月26日(金) 18:58:43 返信

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