705 名前:お人形遊び 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/05/27(火) 21:08:37 ID:o/7n160p
706 名前:お人形遊び 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/05/27(火) 21:09:33 ID:o/7n160p
707 名前:お人形遊び 3 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/05/27(火) 21:10:45 ID:o/7n160p

ある日、ユーノは机に向かって何かをしていた。
机の隅っこには『フィグマ』と言う全身フル稼働フィギュアシリーズの一つ、
『高町なのは』が可憐なポーズを取った状態で置かれており、それを見つめつつ
ユーノは針金を組んで何かを作っていた。そしてその針金を骨組みにし、
紙粘土を使って肉付けして行くのである。そこでユーノが何を作ろうとしているのかが
かすかにだが見えて来た。そう、それは人型のフィギュア。机の隅っこに置いてある
なのはのフィギュアとほぼ同サイズのフィギュアを作ろうとしていたのである。

人型としての大まかな形を作った後で、ユーノはヘラを手に取って
まだ紙粘土の塊に過ぎない人型を刻んで行く。そうして刻めば刻む程ユーノが
作ろうとしている物の形が見えて来る。そう、それはユーノ自身。
「なのはのフィギュアは沢山出ても僕のフィギュアを作ろうなんてメーカーは
無いだろうからね…。なら自分で作るだけだよ。」
と、独り言を言いながらユーノはヘラで紙粘土の人型を刻み、自分と違わぬ姿を描いて行く。
その手際の良さはとても素人とは思えない。まるでプロさながらの技術である。

「よし。まずは第一段階…。」
まだ色は塗られていないが、確かにそれはユーノだった。既に机の隅に置かれている
なのはのフィギュアと並べても違和感の無い程綺麗な出来の自作ユーノフィギュア。
しかし、今度は何やら糸ノコを手に取ってそのユーノフィギュアの首、胸、胴体、腕、脚と
各関節ごとに切り離し始めたでは無いか。せっかく出来たと言うのに何をするのだろうか?

「切り離し完了と…さて次はシリコンゴムシリコンゴムと…。」
ユーノが次に取り出したのはシリコンゴム。シリコンゴムとはフィギュア等を自作する
上級モデラーが型を取る際に使用するゴムなのだが…ユーノがシリコンゴムを必要とした
理由もそれ。自分が先程各関節ごとにバラしたユーノフィギュアの型を取って行くのである。
「さてキャストキャストと…。」
ユーノが次に取り出したのはキャスト。『無発砲ウレタン樹脂』とも言われる素材。
溶かして液状にしたそれを先程作ったシリコンゴム製の型に流し込んで行くのである。

一時し、シリコンゴム製の型に流し込んだキャストがしっかりと固まった後で
ユーノは部品をそれぞれ型から取り出した。そこからさらに細かい段差や筋等を
紙ヤスリで削って綺麗にし、さらに各部関節の断面部分を抉る様に削って行くのである。
「次は関節関節と…。」
次にユーノが取り出したのは模型店の片隅何かに置かれていたりする、上級モデラー向けの
汎用関節部品。そう。ユーノはその関節を仕込む事によってフィグマのなのはフィギュアの様に
全身稼動するユーノフィギュアを製作しようとしていたのである。

「ついにここまで出来たか。後は塗装だなっと…。」
各部関節の稼動やバランス調整等を済ませた後でユーノは部屋の窓を開け、マスクを
着用、新聞紙を敷く等の下準備をした後でユーノフィギュアに下地材を吹き付けた。
そして下地材が乾いた後で本格的な塗装に入るのである。
この塗装に関してもユーノの技術はプロ級だった。髪の毛や肌の色、着ている服の色に
至るまで全てを完全に再現していたのである。そこからさらに塗装が剥げるのを防ぐ
クリアスプレーを吹きかけ、完全に乾燥させた後でついにユーノフィギュアは完成した。
「やった! ついに完成だ!」

完成したユーノフィギュアは早速なのはフィギュアの隣に寄り添う様に立てられた。
既に何度も言った通り、その出来はまさにプロの技だった。
なのはフィギュアと並べても違和感の無い程にまで良く出来ていたのである。
しかしこれで終わりでは無い。むしろこれから始まるのである…。
「よし…それじゃあ…やろうか…。」
ユーノはなのはフィギュアとユーノフィギュアをそれぞれ手に取り…笑みを浮かべた。

ユーノがなのはフィギュア・ユーノフィギュアとは別に机の上に
特撮番組に出て来る怪獣のソフビ人形を置き、それに対してなのはフィギュアが
シューティングモードのレイジングハートを向けたポーズを取らせていた。
「そんな! ディバインバスターが効かないなんて!」
「ギャオーン!」
と、何やら独り言を始めるユーノ。その上魔法で声を変えてまでやっているのだから
相当の物である。だがこれがユーノのやりたい事だった。
突如街を襲撃した巨大怪獣に対してなのはが出動して迎撃するけど
ディバインバスターが通じずに苦戦する…と言うシチュエーション。
怪獣役が特撮怪獣のソフビ人形なのが残念だが、今はそれを言っても仕方が無い。
そして、その後でユーノはなのはの背後にユーノフィギュアを置くのである。
「なのは! 慌ててはいけない! 冷静に相手の弱点を探すんだ! 確かにあの怪獣は
全身を強固な甲羅で覆ってあるけど…目の部分! 目だけは弱いはずだよ!」
「さっすがユーノ君頭良いー!」
と、ユーノフィギュアのセリフの部分のみ自分本来の声に戻し、
なのはのセリフの際に再び魔法で声を変えると言った器用な事をするユーノ。
だが戦闘魔法以外に関してはトップレベルと誉れ高いユーノならば造作な事では無い。
この一連のシーンは一度はピンチに陥ったなのはをユーノが的確な
アドバイスで救うと言うシチュエーション。そしてアドバイス通りに
なのはフィギュアが怪獣の目を攻撃して倒すと言った行動を取らせた後で、
ユーノはなのはフィギュアとユーノフィギュアをそれぞれ抱き合わせるのである。
「ユーノ君のアドバイスが無かったら勝てなかったよ。ありがとう。ユーノ君大好き。」
「それほどでも無いよ…。」
と、その時のユーノはまるで本当に抱き合っているかの様ににやけ顔になっていた。

だが、これでユーノの人形遊びは終わらなかった。
なのは・ユーノの両フィギュアに合うサイズのミニチュアベッドを用意し、
それになのはフィギュアを仰向けに寝かせ、そこからさらになのはフィギュアに
多い被せる様にユーノフィギュアを置いたのである。そして…
「嫌ぁ! ユーノ君いきなり何をするの!?」
「僕はもう我慢出来ないんだ! なのは! なのはぁぁ!!」
「キャァァァ! 嫌ぁぁぁ!!」
と、明らかに先程までの怪獣と戦ってたシチュエーションとは路線が違う。
そう、これはユーノが我慢出来なくなってなのはを押し倒すと言うシチュエーションである。
そしてなのはフィギュアを大きくM字開脚させ、その太股をユーノフィギュアの両手に掴ませる。
「ユーノ君どうして!? どうしてこんな事するの!? 私達友達でしょ!?」
「うるさい! もう『ただのお友達ごっこ』は終わったんだよ! これからは僕の事を旦那様と呼ぶんだ!」
「そ…そんな!」
その後でさらにユーノはなのは・ユーノの両フィギュアの股間同士を押し付けあった。
「痛い! 痛いよ! ユーノ君やめてよ! 赤ちゃん出来ちゃうよぉー!」
「そうだよ! 最初から僕はそのつもりでやってるんだよ! ハッハッハッ!」
ユーノはミニチュアベッドの上でなのは・ユーノの両フィギュアを激しく擦り合わせる。
ユーノが魔法でなのはのセリフの際にのみなのはの声に変声させているだけに
まるで本当にやっているかの様な生々しさが感じられた。しかし…………

「ユーノ君…凄く楽しそうだね。」
「!」
背後から突然訪ねられ、ユーノは硬直した。恐る恐る後ろを向いて見ると…なのは本人がいるでは無いか。
「へ〜、ユーノ君自分の人形作ったんだ〜。良く出来てるね〜?」
「……………。」
なのはは怒るワケでも無く、優しい笑みでそう言う。だがそれがユーノには恐ろしい。
「ユーノ君…お人形遊び…楽しい?」
「……………………。」
やはりなのはの表情は優しい。それに対しユーノは驚愕しながら硬直するのみだったが
そこでなのははユーノに対しゆっくりを顔を近付け…こう呟いた。
「ユーノ君の…い・く・じ・な・し……。」
「!!」
ユーノの精神は崩壊した。

一時して、なのはは自室でテーブルに向かって何かをしていた。
そしてテーブルの隅にはユーノから没収したと思われるなのは・ユーノの両フィギュアが置かれている。
「まったく…ユーノ君ったら…ああ言うのは直接本人相手にしないと意味無いじゃない。」
と、半ば愚痴を言いながらなのはは白い布を切ったり縫ったりし…一通り出来上がると
それを寄り添うように立たせていた両フィギュアへ優しく被せた。
「ま…こういう事やってる私も結局は同じ穴のムジナって事なんだろうけど…。」
白い布を被せられたなのは・ユーノの両フィギュアは不思議と結婚式に臨む新郎新婦の様に見えた。
                    おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

なのはのフィグマ買いてぇ〜!

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Posted by 卓也 2013年04月07日(日) 21:06:54 返信

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