[215] なのはと士郎が喧嘩した編 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:29:55 ID:q+Rborfi
[216] なのはと士郎が喧嘩した編 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:31:11 ID:q+Rborfi
[217] なのはと士郎が喧嘩した編 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:32:52 ID:q+Rborfi
[218] なのはと士郎が喧嘩した編 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:35:02 ID:q+Rborfi
[219] なのはと士郎が喧嘩した編 5 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:37:14 ID:q+Rborfi
[220] なのはと士郎が喧嘩した編 6 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:38:47 ID:q+Rborfi
[221] なのはと士郎が喧嘩した編 7 ◆6BmcNJgox2 sage 2007/09/29(土) 11:39:52 ID:q+Rborfi

なのはとユーノの二人がヴィヴィオを連れて97管理外世界の日本国海鳴市にある
なのはの実家である高町家へ訪れていた。その理由は二人もいい加減に…と言うか
ついに籍を置く事を決めて、その報告に来ていた。
「ただいま〜。」
「おかえりなのはって…。」
予め事前に帰省すると言う連絡を入れていた為、家では父・士郎と母・桃子が
快く出迎えてくれたが、それぞれが出会って早々に士郎と桃子は凍り付いていた。
無理も無い。ユーノだけじゃなく、ヴィヴィオもいたのだから。
元々士郎はユーノをフェレットに身をやつしてなのはに近付いた悪い虫と
認識している感があるし、それでいてなのはとユーノの間にヴィヴィオがいると言う構図が
明らかに仲良し夫婦と可愛い子供に見えてしまう為、士郎は完全に勘違いしたのである。
ヴィヴィオをなのはとユーノの子供であると。そして次の瞬間…
「居合い切りボンバー!!」
「んべ!!」
まるで某侍超人を髣髴とさせる士郎の居合い切りのごとく鋭いラリアートが
ユーノの首を薙いで向こう側の壁まで吹っ飛ばしていた。
「あー! ユーノ君!!」
「このフェレット男め! ウチのなのはを良くも傷物にしてくれたな!! ここで俺が引導を渡してやる!
そっちの子供が大体5〜7歳と仮定して…貴様もうそんな以前に既になのはにこんな事をぉぉぉ!!」
そのままユーノに追い討ちをかけようとした士郎であるが、なのはは士郎を止めていた。
「やめてお父さんやめて!!」
「放せなのは! 俺はお前を傷物にしたこのフェレット男を地獄へ送らねばならぬぅぅぅ!!」
「だから話を聞いてよ!!」
どうあってもユーノにドドメを刺そうとする士郎に対し、見るに見かねたなのはは
お話を聞いてもらう為に士郎にバインドを仕掛けた。
「おわー! 動けん! お前何かしたな!?」
「お父さんごめんなさい…まずちゃんと私のお話を聞いて…。」
士郎はバインドを仕掛けられながらもまだもがいていたのだが、桃子の方は
まだ士郎に比べれば冷静な方だった。
「その子…もしかしてちょっとワケあり?」
「うん…一応…。」
「やっぱり…。なのはの顔を見れば分かるわ。ちょっと聞かせてくれないかしら?」
「うん…。」

なのはは話した。自分とヴィヴィオとの出会いや、ヴィヴィオを養子にした事などを…。
「な〜んだ…そういう事なのね?」
「全く驚かせるな。俺はてっきり本当になのはとフェレット男の子供かと
勘違いしちまったじゃないか!」
桃子と士郎の二人は笑いながらそう言っていたが、ヴィヴィオはご機嫌斜めだった。
「違うもん! ヴィヴィオは本当にママとパパの子供だもん。ママ〜、この二人は誰なの?」
なのはに抱き付きながら頬を膨らませていたヴィヴィオは初めて会う士郎と桃子に
首を傾げていたが、その点もちゃんとなのはは説明する事にした。
「こっちの二人は私のお父さんとお母さんなんだよヴィヴィオ。」
「え…? ママのパパとママ? じゃあヴィヴィオのおじいちゃんとおばあちゃん? わーい!」
と、ヴィヴィオも納得して士郎と桃子の方に近寄っていたが、桃子はヴィヴィオを抱きながら
なのはに問い掛けた。
「そちらの方でも色々あったと思うけど…本当にこの子を養子に?」
「お前はそれで良いのか?」
桃子に合わせて士郎も問い掛けるが、なのはは冷静に頷いた。
「うん。血は繋がってないけど、ヴィヴィオは立派に私の子供だから。」
「そうか…ならもう何も言うまい! コイツは立派に高町家の一員だ!」
と、士郎と桃子は納得してヴィヴィオに対して見る目を変えていた。つまり士郎が言った通りに
ヴィヴィオを高町家の一員として認めた事なのだが、この二人と来たら年齢不相応に若々しいもんだから
あんまりおじいちゃん&おばあちゃんって感じがしないのがちょっと問題だろうかな?

「わーい! おじいちゃん! おばあちゃん!」
士郎と桃子にすっかり懐いてしまったヴィヴィオはその日、事あるごとにそんな事を
言ってはしゃいでいた。元々試験管の中で生を受けた身であるし、なのはに保護される以前も
研究所で色々されていたのだろう。だからこそ人の何倍も親の愛を欲していたヴィヴィオが
おじいちゃんとおばあちゃんと言う存在に喜びを感じないはずは無かった。
だが、これはさりげなく士郎にも都合が良かったりする…。何故なら…

その日の晩、夕食を終えた後でなのはとユーノが立ち上がって二人揃って玄関へ向かった。
「何処に行くんだ?」
「ちょっと夜の散歩に行って来る。」
士郎が訪ねた結果、なのははそう答えていた。
「ヴィヴィオも行くー!」
ヴィヴィオも付いて行こうとするが、なのはに両肩を掴まれて止められた。
「ヴィヴィオには悪いけど…夜は危ないからまだダメ。」
「その代わりにヴィヴィオの好きそうなお菓子やジュースを買って来てあげるから我慢出来るよね?」
「うん! それならヴィヴィオ留守番してるー!」
お菓子やジュースによって釣られたとは言え、ワリとあっさりそう答えたヴィヴィオに
なのはとユーノは安心して散歩に出かけて行った。なのはとユーノを二人きりにさせる…。
それは未だユーノを良く思っていない士郎にとって面白い事では無かったが、
今こそ先に言った都合の良い状況とも言えた。何故なら…ヴィヴィオの口から
色々聞き出す事が出来るからだ。子供は正直だし、ヴィヴィオもまた子供故に
素直に色々と士郎と桃子の知らないなのはと、特にユーノに関しての話もズケズケ
話してくれたりするかもしれない。これによってユーノの弱みを握って優位に立とうと
言う思惑だったのだが…その時彼は知らなかった。これこそが地獄の釜の開くきっかけになろうとは…

「ヴィヴィオ、こっちでおじいちゃんと遊ぼうか?」
「うんうん! あそぶー!」
士郎が笑顔でヴィヴィオを誘い、ヴィヴィオも何の疑いも無く付いて行った。
そうしてミッド暮らしのヴィヴィオの知らない97管理外世界の子供の遊びなんかを
教えたりしたりと、微笑ましい光景が繰り広げられるのだが、そんな最中に士郎は
ヴィヴィオに笑顔で訪ねた。
「ヴィヴィオはママとパパは大好きなのかな?」
「うん大好きー! おじいちゃんとおばあちゃんも好きー!」
「ハハハ〜! 嬉しいな〜!」
士郎はなおも笑顔でそう答え、さらにもう一度ヴィヴィオに訪ねていた。
「ママとパパは仲が良いのかな?」
「うん。とっても仲が良いよ。だってね、毎晩夜になったら二人同じベッドで
ズッコンバッコン♥ ってやってるの! ヴィヴィオはとっても眠い真夜中なのに
ママとパパは昼間と変わらないくらいに元気で、ズッコンバッコン♥ って何度も
色々と体勢を変えながらやってるの! 二人とも裸で、汗だくになりながら
ズッコンバッコン♥ って何度も何度も!」
「!!」
地獄の釜が…開いた…

その頃、なのはとユーノは地獄の釜が開いた事など知る由も無く、夜の海鳴市を散歩してた。
「昼間は本当の事を言えなかったね?」
「うん…。」
二人の本来の目的は士郎と桃子に結婚すると言う報告をする事であるが故、この散歩は
今度こそそれに関して告白する為の相談を兼ねていた。だからこそヴィヴィオを
高町家に残していたのである。
「でもおかしいな…今まで本当に色んな事があって…少々の事では動じなくなったつもりなのに…
いざお父さんとお母さんに結婚するって言うとなると…手が震えてきちゃうよ。」
「それは仕方ないと思うよ。誰にでも克服出来ない物はあるんだし…。」
確かになのはは今まで様々な戦いを乗り越えてきた。ジュエルシード事件…夜天の魔導書事件…
ジェイル=スカリエッティ事件…それ以外にも既に数年前の謎の機動兵器の奇襲による
再起不能ギリギリの重症事件によって死の恐怖も既に克服している。
しかし、それでもなお士郎と桃子になのはがユーノと結婚すると言った後、二人が
どう反応するのか? と言うのが実に怖くて怖くて仕方が無かった。
とりあえず桃子は普通にOKしてくれるかもしれない。だが士郎が問題である。
既にユーノをフェレットに成りすましてなのはに近付いた悪い虫と認識しているし、
前述した重症事件の際も「お前が魔法を教えるからなのははこんな目に」とか
ユーノに当り散らした事もあった。今日だって会って早々に某侍超人の様な居合い切りのごとき
鋭いラリアートを食らってしまっている。ならば本当に二人が結婚すると言った時、
今度はどんな反応を見せるか想像に絶する物であり、なのはの手は震えていた。
しかし、そんな彼女の手をユーノは優しく掴むのである。
「怖がらなくても大丈夫だよなのは…。僕はもう覚悟は出来てる。なのはと結婚する為なら
ラリアートの一発やニ発…喜んで受けるよ。」
「でも…無理しないでね?」
ユーノに手を掴まれていると、なのはの震えも自然に止まっていた。むしろ安らぎさえ感じられる。
前述した通り、士郎はユーノの事をなのはに付いた悪い虫だと勘違いしているが、ユーノが
そんな邪な人間では無い事はなのはが一番良く知っている。たしかになのはに対してムラムラ
させる事はあるけど、それは男だから仕方ない事であるし、同時に愛が感じられるので
なのはにとってはあまり淫らな感覚は無かった。
「(やっぱりユーノ君と一緒にいると落ち着くな…。)」
誰にでも世界の何処かに本当に運命の人と言うのがいるらしいが、やはりなのはにとっての
運命の人はユーノなんだなとますます実感していた。そしてなのはは知らず知らずの内に
ユーノにより近付いて寄り添ってい、二人は高町家へ帰って行った。

「ただいまー!」
なのはとユーノは笑顔で帰って来ていたのだが…
「死ねぇ! このフェレット男ぉ!!」
「おわ―――――――――――――――!!」
いきなり士郎が日本刀を振り回しながら襲って来たでは無いか。
「何故!? 何故いきなり襲ってくるんですか!?」
「貴様! どうやら本当になのはを傷物にしてくれたらしいじゃないか!」
「え!?」
ユーノは逃げ回りながら士郎に問いかけ、士郎もまた日本刀を振り回して追い駆けながら答えていた。
「ヴィヴィオが全部教えてくれたぞ! お前が毎晩ウチのなのはとズッコンバッコン♥ って…
ゆるせねぇぇぇ!! お前はこの俺の手で叩っ斬ってやるぅぅぅぅ!!」
「ヴィヴィオ――――――!!?」

予想だにしない状況で二人の最も恐れる事態が発生してしまった。
確かに毎晩とは言わないが、なのはとユーノがちょくちょく交わっている事は本当だ。
それがたまたま真夜中にトイレの為に起きたヴィヴィオに目撃された事もまた事実で、
なのはとユーノは外でその様な事は言わないようにと念には念を押して、
実際にヴィヴィオはフェイトにさえ話していなかったと言うのに、よっぽど士郎に対しては
警戒を解いていたのか、あっさりその事を話してしまった様子である。
「うおおおおお!! 死ね死ねぇぇ! この糞フェレットがぁぁぁ!!
なのはを傷物にした罪は万死に値するぅぅぅぅ!!」
士郎は狂った様に日本刀を振り回しながらユーノを追い駆け回す。
しかも彼はユーノが一方的になのはを犯したのだと勘違いしているのだから性質が悪かった。
だが次の瞬間…士郎の動きが止まった。なのはからバインドを仕掛けられていたのである。
「な! またこれか!?」
「もうやめてよお父さん…。」
「なのは!?」
士郎の背後から現れたなのはから冷ややかに話しかけられた士郎は一瞬青ざめた。
口調が冷ややかなだけじゃない。その目や奥底に存在する気迫も冷ややかな物になっていたのである。
「ラリアートの一発やニ発くらいなら覚悟はしていたし…その位なら許してあげてたけど…
日本刀で斬り殺そうとするなんて…許せないよ…。」
「何故だ!? 何故お前はこの糞フェレットを庇うんだ!? お前をレイプした男なんだぞ!?」
やっぱり士郎は勘違いしている。しかもそれがなのはを余計に怒らせるのである。
「何勘違いしてるの? 私は私の意志でユーノ君とズッコンバッコン&hearts ってしてたんだよ…。」
何故かヴィヴィオ流の言い方=「ズッコンバッコン&hearts」がなのはに移ってしまっていた様子だが、
なのはの口からこの様な言葉が出るとは士郎は信じられない事だった。
「それはひょっとしてギャグで言っているのか?」
口をあんぐりと空けながら言う士郎だが、首を横に振るなのはにますまず唖然とする。
「今日久し振りに帰って来た理由だってユーノ君と二人で結婚するって報告をする為だったのに…。」
「それはひょっとしてギャグで言っているのか?」
やはり唖然としながら言う士郎だが、これもなのはは首を横に振って士郎を愕然とさせる。
「ゆ…許さんぞ!! お父さんはこんな軟弱な男の所に嫁に行く等許さんぞ!!」
「どうして?」
滅茶苦茶に焦りながら言う士郎になのはは冷ややかに問う。
「な…何でって…。」
いざ何故かと言われて士郎も思わず気まずくなった。目の前のなのはが今まで士郎には
見せた事が無いくらい冷ややかな目で見つめてくると言う非常に恐ろしい状況も相まって
その理由と言うのが上手く浮かんでこない。
「ねぇ…どうして?」
「そ…それは…フェレットだからだ! フェレットに成りすまして高町家を欺いたじゃないか!」
「それがどうかしたの? ユーノ君がフェレットだった事もちゃんとした理由があったんだよ?
どうしてそれがいけないの?」
苦し紛れに言った言葉もあっという間に切り返されてしまった。しかもなのはの冷ややかな目の
上に抑揚の無い冷ややかな口調がプラスされて有無を言わせぬ迫力がある。
「あ…あとほら…ウチって道場とかあったり…恭也と美由希も剣道やってるしさ…なんていうか…
武門の家柄じゃない? そこに彼みたいな軟弱な男は似つかわしく無いな〜なんて…。」
なのはの有無を言わせぬ迫力に士郎も知らず知らずのウチに弱腰な口調になっていたが、
なのはの冷ややかな迫力は変わらなかった。
「でも私も剣道やってないよ。なら別に良いじゃない? それでもダメって言うなら…
私は高町の姓を捨てて高町家を出て行く…。なのは=スクライアになる…。
それなら問題は無いでしょう?」
「何――――――!? ダメだ! それは許さないぞお父さんは!! ってぐふっ!」
バインドで身動き取れない状態にされながらも再び向かって行こうとしていた士郎だったが、
次の瞬間、なのはの指先から放たれた魔砲が士郎を吹飛ばして壁に叩き付けていた。

「痛い? ねぇお父さん…痛い? でもね…不当にユーノ君を傷付けられた私の心はもっと痛いんだよ…。」
「なのはもういい加減にしなさい!」
流石にこの状況は見ておれぬとばかりに桃子が現れてなのはの頬の平手打ちを放とうとしていたが、
それより先になのはのバインドが桃子の手を固定していた。
「お母さんは少し黙っててくれないかな?」
「!!」
なのはに冷ややかな目で見つめられた桃子は凍り付いて動けなくなった。
そして桃子もまたこの様な目のなのはを見るのは初めてであり、瞬時に理解したのである。
なのはがここまで怒る程にまでユーノの事を大切に思っている事を…。
「大丈夫…非殺傷設定+思い切り手加減して撃ったから死ぬ事は無いよ。」
「て…手加減してこれかよ…ぐふ…。」
士郎は現役を離れて久しいが、それでも軽いトレーニイング位は続けていた。
だからこそ、若い頃の様な激しい戦いは出来なくとも、その辺のチンピラに殴られた位では
ビクともしないくらいの耐久力はあったのだが、そんな自分にここまでダメージを与える
力を持ったなのはに驚愕し、同時になのはがユーノをどれだけ強く想っているのか理解していた。
「まだ分からないなら…もう私は行くから…。さようなら…多分もう二度とここには来ないと思う…。」
「おじいちゃんにおばあちゃん…バイバイ…。」
なのはは冷ややかな目のままユーノとヴィヴィオの手を引っ張って高町家から出て行った。

もはや夜遅くに高町家から出た事もあって、なのは達がミッドに付いた時には深夜になっており、
ヴィヴィオはすっかり寝てしまっていた。故にユーノがヴィヴィオをおぶっていたのだが
なのはずっと黙ったままだった。
「(やっぱり…なのはも何だかんだで悲しかったんだろうな…実の両親と喧嘩するなんて…。)」
帰るまでの間、なのはは他の者に当り散らす様な事はせずにただただ黙ったままだった。
だが、それが逆にユーノにとっては痛々しかったのである。
そして家に辿り着いた時にそれまで溜まっていた物が爆発した様に泣き叫んでいた。
「うわぁぁぁぁぁん!! ユーノくぅぅぅぅん!!」
「なのは…。」
ヴィヴィオが起きてしまうかもしてないと言う事も構わずに泣き叫びながらユーノに抱き付くなのはに
ユーノは黙って抱擁するしか無かった。

その後、なのはは泣き疲れて眠ってしまっていたが、翌日もなのはは泣きっぱなしだった…が…
「なんや! 別にええやんお互い20歳になったんやし! 20歳になれば、親の同意無しでも
結婚出来るんはミッドも97管理外世界も同じや! やから結婚してまえばええんや!」
「あ! そっか―――――――――――――――――!」
「なのは切り替えが早すぎ――――――――――――!!」
はやてに言われてあっさり泣き止んでいたなのはにユーノは呆れてしまっていた。
確かに単純に結婚するだけなら男は18歳から、女は16歳から可能であるが、その場合
親の同意が必要になる。しかし20歳以降は親の同意は態々必要が無いわけで、
何故かミッドチルダでもたまたまそんな法律が適応されていた故にあっさり事は解決してしまっていた。

なのはは戦技教導隊。ユーノは無限書庫司書長と言うワリと高給取りな立場にあるし、
その高給に反比例するかの様に金を使う機会が少ないので(生家は管理局の宿舎だし、
光熱費も管理局が払うし、食事も個人的に外食する時以外は管理局関係の食堂を主に使用するし、
何より二人とも忙しくて遊びにいける機会のが稀)こんな金どうやったら使ったらええねんって
叫んでしまう位に無駄に溜まりまくっていた為、結婚指輪もウェディングドレスも結婚式費用も
楽に捻出する事が出来た。それ以外にもなのはとユーノのそれぞれに人脈がある為、
沢山の人が式に参列してくれる事になった。これはもうかなり賑やかな式になるかもしれないと
思われたが…

なのはに決別されてしまった高町家は重苦しい空気に包まれていた。
「俺は…もしかして取り返しの付かない事をしてしまったのでは無いか…。」
部屋の中でうな垂れながら士郎はそう呟いていた。
「貴方は本当にそれで良いの?」
士郎に対してそう問い掛けたのは桃子だった。
「私は別に結婚を認めてあげても良いと思うわ。だってあの優しいなのはがあそこまで
本気で怒るんですもの…それだけなのはがあの子をどれだけ大切に思ってるか分かるはずじゃない。」
「しかしあいつはフェレットに成りすましてなのはに近付いて…。」
「だからそういう先入観だけで見るからなのはがあんなに怒ったんでしょ?」
「……。」
桃子に速攻突っ込まれて士郎も声が出なかった。
「あの子がフェレットになってたのはちゃんと理由のある仕方ない事だったんだし、
それになのはがあそこまでするんだから…悪い子ははずが無いわ。
だからもういい加減認めてあげましょうよ?」
「だがアイツはなのはを傷物に…。」
「それもなのはが自分の意思でやったって言ってたじゃない。あの子も何時までも
子供じゃないんだし…好きな男の子が出来たらそういう事やりたくなって当然じゃない。
なのはが生まれて来たのだって、私と貴方がそう言う事やったからこそなんだし…。」
「……………。」
桃子に言われて士郎は声も出なかった。確かになのはが生まれたのは士郎が桃子と
ヴィヴィオ流の言い方で表現してズッコンバッコン♥ ってやったからであり、
そのなのはもまたユーノとズッコンバッコン♥ とやる様な歳になった事に
士郎は時の流れとは何と早い物だろうと考えていた。
「どうする? 今すぐ謝りに行く?」
「もう少し…考えさせてくれ…。」
「そう…。」
後は士郎次第と言う事で桃子は一度その場を後にした。

婚姻届は提出し、結婚式の場所や日時も決まり、また招待状も出し終えるなど準備は全て整った故、
後は当日を待つのみになっていたなのはとユーノは新婚旅行は何処に行くのか? などの話題で
盛り上がっていたのであるが、そんな時に呼び鈴が鳴った。
「はーいどなたですか?」
なのはが玄関に出てドアを開けるのだが、そこには気まずそうな顔をした士郎と桃子、
そして苦笑いしながら両手を合わせているエイミィの姿があった。
「ごめんねなのはちゃん…この二人がどうしても会いたいって言うから連れて来ちゃった…。」
エイミィはそう言ってなのはに謝っていたが、士郎と桃子の二人を見たなのはの顔が
笑顔から急速に冷ややかな物へ変わっていた。
「何しに…来たの?」
「なのは…ちゃん?」
先程までの明るい声とは打って変わった冷ややかな口調にエイミィもまた驚愕した。
なのはと士郎が喧嘩したと言う話は聞いていたが、ここまでとは彼女は想像も出来なかったのである。
「ねぇ…何しに来たの? またユーノ君との結婚を邪魔しに来たの?」
なのはは士郎を冷ややかな目で見つめながらそう言う。
それは一見静かに見えるが…その奥底には恐ろしい殺気が迸っている事をエイミィは悟っていた。
「それともまた高町家は武門の家だからインテリ系なユーノ君は似合わないとでも言うの?
言っておくけどそんなのもう関係無いよ。私はもう高町家の人間じゃないんだよ…。
これからユーノ君と結婚して…なのは=スクライアになるの…。」
エイミィは動けなかった。確かに直接エイミィがなのはに睨まれているワケでは無いが、
いつとばっちりが来てもおかしくない状況であったのである。そしてこの状況で士郎は
何をしたのかと言うと…何と土下座を始めたでは無いか。

「士郎さん!?」
突然土下座を始めた士郎にエイミィは慌てるが、士郎は床に自身の額を押し付けながら叫んだ。
「すまんなのは! この通りだ! 俺が浅はかだった!!」
「…………。」
士郎が土下座しながら叫ぶ中、やはりなのはは冷ややかな目で見下ろしていた。
「俺は父親でありながらお前の事を全然理解していなかった!!
こう言う状況でも何を言って良いのか分からないが…今のお前を見ていれば何となく分かる!!
お前がそうやって真剣に怒ってるのも全てはそれだけアイツを大切に考えてる証拠なんだな!?
そこを理解せずにただただ否定するなんて…本当にすまんかった!!
それでも許せないって言うのならお前の魔法とやらの一発やニ発喜んで受けてやる!!
だから高町家から出て行くなんて事は言わないでくれ!!」
土下座している士郎が自身の頭を押し付けている床に水溜りが出来ているのが見えた。
そう、士郎もまた真剣に号泣していたのである。しかし、それでもなおなのはは
冷ややかな目で見下ろすのみであり、それにはエイミィも桃子も凍り付いたままだった。
「その言葉…本当? 本当に一発やニ発受けてくれるの!?」
「本当だ! 男に二言は無い!!」
「そう…。」
士郎が頭を上げた時、なのはは左腕を大きく振り下ろしていた。そしてなのはの魔法が
士郎に襲い掛かる…と思われた時…そこには魔法では無く一枚の紙がなのはの左手に握られていた。
「ハイ、結婚式の招待状。当日は遅れないで来てね?」
「え…。」
先の冷ややかな目から一転して笑顔へ変わったなのはに士郎・桃子・エイミィの目は点になった。
「私の方こそごめんなさい。そりゃあの時のフェレットの正体が実は私と同年齢の男の子だったなんて
お父さんが怒らない方がむしろ不自然だよね…。だからあんなに怒ってごめんなさい…。」
笑顔でそう言って頭を下げながら言うなのはに士郎も思わず結婚式の招待状を手にとって
より激しい号泣をかまし出したのであった。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「何はともあれ良かった良かった。」
「本当めでたしめでたしね。」
親子喧嘩の収束に桃子とエイミィの二人も手を叩いて祝福していたのだが…
「でも…とりあえず約束通り魔法の一発やニ発受けてもらうからね?」
「ええ!?」
「大丈夫だよ…。非殺傷設定で、思い切り手加減するから痛いだけで死にはしないから…。」
冷ややかな目のなのはもそれはそれは怖かったが…今の笑顔のまま凄い事を言うなのはは
それ以上に恐ろしく、思わず士郎は真っ青になっていた。
「おわ――――――――――――――!!」
桃色の輝きと共に士郎の絶叫が響き渡った。

結婚式当日は多くの人が集まってくれるなど予定通りに行われ、賑やかな物になったと言う。
ただ問題があるとするならば…
『こうらフェレット男!! なのはを幸せに出来なかったらその時こそ本当に叩っ斬るからな!!』
「あーうるさいうるさい!!」
祝辞の言葉で士郎がマイクの音量最大にして号泣しながらそう叫んでた事であろうか…。
勿論その後でなのはから直々に頭冷やされたけど…。

                   第二部に続く


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目次:三部作(仮題)
著者:◆6BmcNJgox2

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