[273] なのはのお見合い!? 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/02/20(水) 23:02:39 ID:m93xqJeD
[274] なのはのお見合い!? 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/02/20(水) 23:03:25 ID:m93xqJeD
[276] なのはのお見合い!? 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/02/20(水) 23:04:25 ID:m93xqJeD
[277] なのはのお見合い!? 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/02/20(水) 23:05:45 ID:m93xqJeD
[278] なのはのお見合い!? 5 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/02/20(水) 23:07:11 ID:m93xqJeD

ある日、高町士郎がミッドチルダにはるばるやって来た。ある大切な話を娘であるなのはにする為である。
「自分の無理を聞いてくれたハラオウンさんには心から礼を言いたい。
だからこそ、それに報いる為にもこの話は是非とも成功させなければ…。」
士郎は大きな封筒を大切に抱えた状態でなのはが住んでいると言う部屋へ向かった。
そしてドアの前に立ち、一度深呼吸してからノックするのである。
「士郎だ。お前の父がはるばるやって来たぞ。それじゃあお邪魔しま〜す。」
士郎はドアノブを掴み、なのはの部屋の中へと入るのであったが………
「な……………。」
部屋の中を見た士郎は愕然とした。何故ならば………

「なのは…なのは…なのは……ハァハァ…。」
「アッ! ユーノ君…ユーノ君…ユーノ君…アアン…。」
部屋の真ん中に布団を敷き、なのはがユーノとお互い全裸になった状態で激しく交わりあっていたのだ。
「な…何をしとるんじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
士郎は切れた。無理も無い。彼の愛娘が真昼間から男と…それも士郎にとって良い目で
見られてはいなかったユーノと親密に交わっていたのだから…これで怒らない方がむしろ不自然だ。
「このフェレット小僧!! 俺の娘に何をやっとるかぁぁ!!」
「んご!!」
怒りに身を任せた士郎の蹴りがユーノの横腹を直撃し、ユーノは吹っ飛ばされ壁へ叩き付けられた。
「ユーノ君!」
「このフェレット小僧がぁ!! 娘に手を出すとは生きて帰れると思うなよぉぉ!!」
士郎はそのままユーノに掴みかかろうとするが、それをなのはが引っ張って止めた。
「お父さんやめて! って言うかどうしてお父さんがここにいるの!?」
「離しなさいなのは! 俺は今からこの不届きなフェレット小僧に制裁をしなければならぬぅぅぅ!!」
もう滅茶苦茶だ。真昼間から娘が男とエッチしてる光景見せられてブチ切れた今の士郎に
冷静な判断力などあるはずがない。それ故に部屋は半ばカオスと化していた。

それから一時して、何とか落ち着いた士郎ではあるが…それでも完全に怒りが収まっているとは
言えず、なのはとユーノを裸のまま部屋の真ん中に正座させた状態で二人の前を左右に歩き回っていた。
「まったく真昼間から…けしからんぞ!! このフェレット小僧だけじゃない!!
なのはもなのはだ!! 第一嫁入り前の娘が真昼間から男とズコバコズコバコと……………
お父さんは悲しいぞ!! お前の母さんはお父さんと結婚するまで処女を守り通したと言うのに…
何故お前は嫁入り前の段階で…よりにもよってこんな男とズコバコズコバコ……ふざけるな!!」
一度は落ち着いたが説教を続けていく内に士郎の怒りのボルテージは徐々に上昇し、
何時再びユーノへ殴りかかっていてもおかしくない程にまでなっていたのだが……
「嫁入り前じゃないよ!! 私達もう結婚したんだよお父さん!!」
「え………。」
頬を膨らませたまま言うなのはに士郎は絶句した。
「おい…幾らその場凌ぎとは言えその冗談は無理があり過ぎないか?」
「冗談ではありません。僕となのはは正式に結婚したんです。」
「な…なんだってぇぇぇぇぇぇ!?」
士郎の絶叫が部屋中に響き渡った。そして二人の手の薬指に注目して見ると、
確かに結婚指輪がはめられていたのである。
「ちょっと待てよ!! そんな話は聞いて無いぞ! 一体何時結婚したんだよ!」
「あ…。」
「そう言えば連絡入れるの忘れてた…。」
戸惑いの色を隠せない士郎に対し、なのはとユーノも苦笑いするしか無かった。
確かになのはとユーノが晴れて結婚した事は事実だ。しかし………その事を97管理外世界の
海鳴に住むなのはの家族に連絡を入れる事を忘れるという初歩的ってレベルじゃねーぞって
言わんばかりの超絶ミスを犯していたのであった。
「何で教えてくれなかったんだよ!! しかもよりにもよってこんな男と………。」
「いや〜その……JS事件とかで色々忙しくて……。」
「そうそう。本当こっちも色々ありまして…連絡を入れる余裕が無かったんですよ…。」
「真昼間からエッチする余裕はあるくせにか…?」
士郎は涙目になった状態でユーノを睨み付ける。既に二人が結婚したとは言え、
やはり士郎にとってユーノがなのはの婿と言うのは認めたくなかったのである。
「畜生……百歩譲ってこのフェレット小僧を認めるとして……せめて
なのはのウェディングドレス……お前の晴れ姿を見たかった…。」
「あの…義父さん…一応写真としては撮ってるんですけど…見ます?」
「お前に義父さん呼ばわりされたくないわ!! ったくお前等が結婚したって
教えてくれなかったせいでとんだ無駄足になっちまったじゃないか!!」
士郎はなおも涙目になって叫ぶが、そこで二人に新たな疑問が生じる。
「無駄足って…そもそもお父さんがわざわざここに来た理由って何なの?」
「うむ…実はな……なのは…お前にお見合いの話を持って来ていたんだ。」
「ええ!? お見合い!?」
士郎の口から出たお見合いと言う言葉に二人は口を揃えて驚いた。
そして士郎はなおも目に涙を浮かべたまま手に持っていたファイルから
一枚の写真を取り出す。それに写っていたのはお見合い用写真であるが故に正装した姿で
あったが何か格闘技か何かでもやっていそうなガッチリした体格の男であった。
「これがお前のお見合い相手になるはずだった男の写真だ。名前は『山田格男』
若干二十代でフルコンタクト系空手の最大手『鉄鋼会』の師範を務める程の男でな、
あちらさんもなのはの写真見て一目で気に入ってくれたんだがな〜……
ハァ……でも…もう結婚してるんじゃ仕方ないよな………お父さんの方で断っておくよ。
でも………何て言って断ったら良いんだろう………下手すりゃ…殺されるかも………。」
士郎はやはり目に涙を浮かべたまま溜息を付いていた。それにはなのはとユーノも
流石に士郎が可哀想に思えて来た。そして二人は互いに見つめ合い、頷き合う。
「お父さん。私達も行くよ。」
「こうして実際に僕となのはが結婚してるって事を示してあげれば
あちらさんだって理解を示してくれますよ。義父さん。」
「お…お前等………。」
士郎の目から涙がさらに流れ落ちた。なのはがユーノと結婚した事は悔しかったが…
今この瞬間だけは二人がこの上無く頼もしく思えた。しかし…こう言う感動的な状況に
ありながらなのはとユーノの二人は裸のままであった故に…逆にシュールだった。
間も無くして、三人は97管理外世界の大手空手道場、鉄鋼会へと訪れた。
そこでは既にお見合いの準備を済ませていた山田格男が今や今やと待っていたのであるが…
「押忍! 大変です師範!」
「何だどうした!?」
お見合いの席と言う事で、一応形として正装をしていた道場関係者が慌て顔で格男の前へ現れた。
「実はあちらさんから急にお見合いのキャンセルがありました!
しかも師範のお見合い相手の女性は何時の間にか結婚してたらしくて………。」
「な…何ぃぃぃぃ!?」
格男は絶句した。嫌…絶句するしか無かった。

生まれてこの方、ひたすらに空手一筋に生きて来た山田格男にとって高町なのはと言う存在は衝撃だった。
「女性と言うのはこうまで美しいのか………。」
男だらけの環境の中…空手の腕を磨く事に必死だった山田格男にとって高町なのはは美しい。
まるで天上の女神が自分の前に降臨して来たかの様な美しさだった。
そのなのはとお見合いが出来ると知った時は嬉しさの余り心躍った物だ。
しかしその喜びは全て無駄となった。裏切られたのである。
「畜生!! 誰だぁ!! 俺のなのはさんを奪った輩はぁぁぁ!!」

格男は怒りの余り、部屋の戸を正拳で殴り砕いて外へと飛び出した。
部屋の外では鉄鋼会の館長でもある格男の父親に士郎が何度も頭を下げているのが見える。
「すみませんすみません。」
「そうですか…それならば仕方はありませんね。」
格男の父親は落ち着きのある人物らしく、何度も頭を下げる士郎に対しても寛容な心を見せる。
しかし……息子の格男は落ち着いてはいられなかった。
「なななななのはさんが既に結婚していたと言うのは本当ですかぁ!?」
「すみません…。え〜と…か…格男さん…。」
「僕達が義父さんに連絡を入れていなかったのが悪いのです。申し訳ありませんでした。」
士郎の後ろにいたなのはとユーノが格男に対して申し訳無さそうに頭を下げるが…
格男にとっては衝撃的だった。自分を差し置いてなのはと結婚した男とは
一体どれだけ凄まじい大和男児かと思っていたら……華奢な外国人だったのである。
これに格男が怒らないはずは無いだろう。
「き…貴様ぁぁぁぁ!!」
「わ!」
「ユーノ君!」
怒り狂った格男はユーノの胸倉を掴んで持ち上げ、物凄い形相で睨み付けた。
「貴様ぁぁぁ!! 今直ぐ道場に来い!! なのはさんの婿の座を賭けて勝負だぁ!!」
「ええ!?」
空手一筋で生きて来たバリバリの体育会系の格男にとって、『美男子』とは即ち『強い男』の事だった。
だからこそ、なのはの目の前でユーノを倒す事で自分こそ真になのはの婿に相応しい男と証明したかったのだろう。

鉄鋼会の道場にて、空手着に身を包んだ格男と無理矢理空手着を着せられたユーノが
面と向かって立っていた。
「さぁ来いやぁ!!」
「いや…その…あの…格男さん? もっと穏やかに行きませんか?」
気合を入れている格男に対し、ユーノは苦笑いするばかり。無理も無い。
ユーノは格男と違って戦いをする人間では無い。それにここは97管理外世界であり
かつ相手は普通の人間であるからして、魔法を使う訳にも行かないのだ。
「ええい問答無用じゃぁ!! せぇい!!」
格男の有無を言わせぬ正拳がユーノに襲い掛かった。
「嫌ぁ! ユーノ君…。」
なのはは思わず目を背けた。相手は大手空手道場の師範。その超絶的な正拳を
まともに受ければタダで済むはずが無い。なのはの脳裏には彼の正拳を
受け、絶叫しながら倒れるユーノの姿が浮かんでいたのだが……
「あれ?」
ユーノの絶叫が聞こえて来る事は無かった。不審に思って恐る恐る目を開けて見ると…
そこには平然と立っているユーノと、焦り顔で倒れている格男の姿。
「こ…コイツ…俺の正拳をかわしやがった…。」
格男は信じられないと言った顔をしていた。確かに格男の正拳はユーノの胸を捉えていた。
しかし…それが直撃するよりも早くユーノは身体の位置をずらす形で回避し、
逆に格男は勢いによってスリップしてしまっていたのだ。
「ハァ…良かった…。何だかんだ言って手加減してくれてたんですね?」
「何ぃ!?」
とぼけ顔で言ったユーノの言葉に格男の顔は豹変した。彼にとって間違い無く
先の正拳は本気の突きだった。しかし、それさえユーノにとって大した事無いと言った物だったのである。
「こ…この野郎! せい! せい! せい!」
格男は立ち上がりユーノへ再び速攻をかけた。上段突き…中断突き…下段突き…と
次々に空手の技を繰り出していくが…ユーノはのほほんとした顔でかわしていく。
「ユーノ君凄い…。」
「い…一体何なんだあの外人優男…。師範の突きを全部かわしていくなんて…。」
これにはなのはや士郎…そして格男の父や、その他道場関係者やたまたまいた
道場生達も驚きを隠せないでいた。しかし、驚いていたのは彼らだけでは無い。
ユーノ自身もまた何故これだけの事が出来るのかワケが分からなかった。
「(この人ってこの世界での格闘技で結構強い人なんでしょ? なのに何故僕は
こうも彼の技が手に取る様にわかるんだろう………。あ! もしかして………。)」
しかし、ここで一つの心当たりがユーノの頭の中に浮かんだのだ。

それはユーノが晴れてなのはと結婚する以前の事………
「フェレット男! お前なんかに私のなのはは渡さない!」
「わっ! フェイト! 落ち着いて! 落ち着いてよ!」
なのはは自分の物だと心から信じて疑わぬフェイト=T=ハラオウンにユーノは何度命を狙われた事か……。
酷い時には新ソニックフォームで襲われた事さえもあった。しかし、こうしてフェイトの超スピードから
逃げ回っている中で、知らず知らずの内にユーノは凄まじいまでの反射神経や運動神経を手に入れていたのだ。
「(そっか…あの時は本当死ぬ思いだったけど…そのおかげなのか。)」
ユーノは内心フェイトに感謝していたのだが、かと言って避けてばかりいても格男には勝てない。
故に如何にすればこの男に勝てるのかと内心考えていたのであったが……
そうしている間に格男の方は先の速攻が祟ってスタミナ切れを起こし、さらに自らのかいた汗に
よってスリップして道場の壁へ思い切り突っ込み、頭を強く打って気絶してしまった。
「あらら…。」
ユーノは結局何もしないまま格男の自爆によってこの試合はユーノの勝利に終わった。

「俺の負けだ…。なのはさんと結婚出来る権利はお前の物だ。」
「権利って言うか…既に結婚してるんだけど…。」
格男は良い意味でも悪い意味でも体育会系だった。現にこの通り、素直に負けを認めていたからだ。

こうして問題も解決し、なのは・ユーノ・士郎の三人は帰って行った。が………
「けど……やっぱ悔しいぜ…………。」
自らの敗北を素直に認めた格男ではあるが…やはり悔しさは変わらなかった。
だが、そんな彼の肩を彼の父親がポンと叩く。
「息子よ安心するが良い。こんな事もあろうかと…他にもお見合い相手見つけておいたぞ。」
「ええ!? マジ!? って言うかみんな美人ばっかじゃん!!」
泣いたカラスがもう笑った。この切り替えの早さには皆も呆れるばかりであったが…
むしろこんな事もあろうかととか言って他にもお見合い相手を探してきてる父親にも
問題はあるのかもしれない。いずれにせよ無事に相手が見付かると良いね。

さて、一方帰路に付いていた三人であるが…なのはとユーノの二人は
本当に疲れた表情になっていた。
「ハァ…今日は本当に散々な目にあったよ。」
「まったくね…。」
「しかしな、お前達二人がきちんと結婚した事を連絡入れていれば
こう言う事にはならなかったんだぞ。言うなれば自業自得だ。」
「は〜い…。」
士郎に注意され、二人は頷くしか無かった。
「確かにあちらでも色々あるらしいし、忙しいと言うのは分かる。そのくせ何故昼間から
ズコバコやってんねん! って突っ込みもこの際我慢しよう。しかし……
それでも最低限こちらに連絡入れるべき事はあるはずだろう? だからこれからは
ちょくちょく…とは言わんが、たまには連絡を入れる事。分かったな?」
「ハイ…。」
結局士郎の説教が始まってしまい、二人も苦笑いしながら答えるしか無い。だが…
「でも…忙しいって言うのはただの建前で、本当は私とユーノ君が結婚なんて
お父さん絶対反対するに決まってるって分かってたからあえて連絡しなかったんだけどね…。」
「ん? なのは今何か言ったか?」
「いえいえ何も?」
「そうか。なら今日はちょっと家まで寄って帰りなさい。昼間からあんな事出来るんなら
どうせ二人とも休みなんだろう?」
と、こうして三人は一路海鳴の高町家へ向かうのであった。
                   おしまい



著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

まあ、結果オーライってことでいいんじゃね?

0
Posted by ユーノの兄 2013年05月29日(水) 22:19:18 返信

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