[678] 名無しさん@ピンキー sage 2008/01/14(月) 18:22:25 ID:TtbGPB3S

「なのはさんは……」
 その人は、私の独り言のような小さな呟きでも、私の髪を撫でる手を止めてこちらを見る。
「ズルイですよね」
 少し不思議そうな顔をしていた。
「ズルイかな?」
「ズルイですよ」
「そんな評価を受けたのは初めてだよ……」
 何だか新鮮だな、と呟いて、クスクスと笑った。
「多分、言うのは私が初めてだとは思いますよ……」
 私はその人の目を見つめたまま。
「きっとみんな、なのはさんはいい人だみたいな評価ばかりでしょう?」
「それも悪くはないと思うよ」
「そうですね……でも、なのはさんはそれが正しい評価じゃないことを知ってる」
「そこがズルイ?」
 またそうやって微笑む。
「違います、そういう風に評価させてるのがズルイと思うんです」
「そうなの?」
 そうですよ、だってそれは……
「もっと正確に言うとですね、本当の自分を誰にも見せないのがズルイんです」
「見せてるよ」
「見せてません、誰にも、一番大切な人にだって」
 騙してるんですから、みんなを。
「何でティアナにそんなことがわかるのかな」
 なのはさんはまた笑う。でも、その笑顔は少し苦い。
「……きっと、私となのはさんは似てるんですね」
「それが理由?」
「それが理由です」
 今度はなのはさんは何も顔に出さずに、ただ私を抱きしめた。
「疲れたら、言ってください……」
 抱きしめ返す。
「私はズルイなのはさんが好きですから」



著者:45スレ678

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