632 名前:エリオの本意 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/05/07(木) 22:14:18 ID:ItlOfb3I
633 名前:エリオの本意 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/05/07(木) 22:15:23 ID:ItlOfb3I

 あくる日、ユーノはエリオとテーブルを挟んで面と向かい合っていた。
何故ならば、エリオに大切な話があったからである。

「ユーノ先生、一体話とは何ですか?」
「うん…ちょっとキャロについてなんだけどね。君達二人は昔はあんなに仲が良かったと言うのに
一体どうしてあんな事になってしまったんだい? 君がまさかキャロを『牛女』と呼ぶなんて…。」

 エリオはフェイトそんやシグナムを筆頭とする巨乳美女に囲まれた少年時代を過ごした反動で
巨乳に魅力を感じなくなっており、むしろ貧乳に興奮する様になっていた。その為、エロけしからん
巨乳に育ったキャロを『牛女』と呼び切り捨て、比較的貧乳…もといスレンダーな肢体となっていた
ルーテシアと結ばれていたのであった。確かに単純にエリオがキャロでは無くルーテシアを選んだと
言うだけならユーノも何も言わないが、いくらなんでもキャロを『牛女』呼ばわりは無いだろと。
 その『牛女』呼ばわりはユーノとしても腹立たしく、直接エリオに直談判したのであった。

「だってそうじゃありませんか。あんな下品極まりない牛の体なんて…あれじゃ百年の恋も冷めるって!」
「え……エリオ! 幾らなんでもそんな言い方は無いだろう!?」

 軽々しく答えるエリオの頬に対し、ユーノの平手打ちが勢い良く叩き付けられていた。

「そういう事は冗談でも言っちゃいけない! そんな事も分からないのか!? 昔は家族同然に
暮らして、同じチームで共に戦ったキャロに対しどうしてそんな事が言えるんだ!?」

 ユーノは珍しく熱くなっていたが、エリオは不思議な事に冷静だった。

「その答えは今のユーノ先生の反応の時点で出ていますよ。ユーノ先生がキャロの為に
そんなに熱くなって…僕にこんな痛い平手打ちをする。それだけでキャロとユーノ先生との
仲が実に上手く行っている証明になります。」
「え……………?」

 ユーノは思わず固まるが…エリオはなおも続けた。

「キャロは僕には過ぎたる女ですから。幾らかつて家族同然に暮らした仲であろうとも
良い夫婦関係が築けるとは限りませんから。そしてその僕の考えは今日の事で確信に変わりました。
キャロはユーノ先生と結婚して、本当に幸せに暮らしてるんですね?」
「え…ま…まあ…。」

 冷静かつ澄んだ目でユーノを見つめるエリオの姿に、ユーノも知らず知らずの内に怒りが失せて行く。
エリオはただ悪意があってキャロを牛女呼ばわりしたわけでは無いのだと…

「確かに僕がキャロを『牛女』と呼んだ事は我ながら酷い事だとは分かってます。しかし…ああするしか
無かったんです。下手な突き放し方じゃぁキャロは僕を諦めきれずに何処までも追い駆けていたと
思うんです。そして…エロゲーなんかにあったりする様なヤンデレ惨劇が起こっていたかもしれません。
だからこそ、あえて『牛女』と厳しく突き放したのです。」

 エリオは知らないが、キャロは本当にヤンデレ惨劇を起こしそうになった。ヴォルテールを
召喚し、エリオとルーテシア殺害を行おうとしていた事があったのである。その後ユーノの
頑張りによって未遂に終わり、それがユーノとキャロの結婚のきっかけになっていたのだが…
今は別にそういう話をしなくても良かろう。

「エリオ…やっぱり君はただ貧乳しか頭に無い様な男になってしまったわけじゃないんだね。」
「今更こんな事言える口では無いかもしれませんが…この話はキャロには秘密にしていて下さい。
今のユーノ先生と幸せに暮らしているキャロの心を揺らがさせるわけには行きませんから。」
「そうか………分かった。」

 キャロの幸せの為にあえて汚れ役を買って出たエリオの行動…。それにはユーノも
複雑な心境を感じ取っていたのだが…………その直後、エリオは突然立ち上がり叫んだ。

「なぁぁぁぁんて! う! そ! だ! よぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 誰があんな下品な牛女の為に
そんな奇麗事を考えるものかよ! でも淫獣司書長と牛女のカップルは正直お似合いじゃねーか!
精々幸せになりやがれぇぇ!! と言う事で僕はこれから我が美しき妻ルーとイチャイチャしに
行くんでさいならぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
「えええええええええええええええええええええええええ!?」

 先程の澄んだ目とは打って変わった凶悪な表情に豹変したエリオはそう叫びながら
その場を走り去り、ユーノは開いた口が塞がらなかった。

「え……じゃ…じゃあ…今までのは…な…何だったの?」

 エリオの本意は一体何だったのか? キャロの幸せの為にエリオはあえて汚れ役を
買って出たと言う話は本当なのか…嘘なのか…。またまた先の豹変もまた汚れ役の一環なのか…
全ては謎のまま。真相はエリオ本人のみぞ知る所である。

 まあそれはともかくとして、ユーノとキャロの二人は幸せに暮らしましたとさ。

                    おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます