895 名前:キャロちゃん破廉恥BJ症候群 [sage] 投稿日:2010/12/14(火) 19:57:46 ID:uFHocn9k [2/4]
896 名前:キャロちゃん破廉恥BJ症候群 [sage] 投稿日:2010/12/14(火) 19:58:24 ID:uFHocn9k [3/4]

キャロちゃん破廉恥BJ症候群


 さてはて、皆々様はあの話を覚えておいでだろうか。
 リリカルなのはStrikerSにおけるティアナぶん殴ったり、昔のなのはの映像を見せるアレですよ、アレ。
 あれが一体誰に撮影されたものかとか、そういう話は置いておこう。
 関係ないし。
 今回の話において重要というか、問題になったのはフェイトの昔の映像であった。
 なのはの昔の戦闘映像やらなんやらを彼女の教え子が見たのだから、そこはほら、フェイトちゃんも見せるべきじゃん?
 って流れになってもおかしくないわけで。
 自分の保護児童であるキャロとエリオに、心優しき金色の閃光ことフェイトは過去の映像データを貸したわけである。
 今だ羽ばたく事を知らぬ若きひな鳥たちに、かつて自身が巡った戦歴をより鮮明な絵として見せる。
 それは実に有意義かつ、賢明な判断と言えよう。
 もちろん、純粋にして穢れを知らぬ子供達はその意思を酌んでフェイトの過去の勇姿をしかとその目に焼き付けた。
 それはもう何度も。
 まあ、ここまでは良しとしよう。
 問題はそこからだった。
 私室にて、キャロはかつてのフェイトの姿を見ていてどうしても気に掛かる事があった。
 それは……彼女のバリアジャケットである。
 思い出してみてほしい、幼い頃フェイトが纏っていた防護服の形状を。
 あれは、その、なんというか……かなり破廉恥ではなかろうか?
 ってかマント除いたらほとんど水着じゃん!?
 かような際どい装束を着て縦横無尽に飛び回るわけなのだから、必然的に視線は釘付けになってしまう。
 キャロからしてみれば、フェイトのバリアジャケットとは今のあの露出度の低いものという固定観念があった。
 それがどうだろう、昔はあんな服着てんですよ。
 何度も見ているうちに、キャロはなんだか恥ずかしくなってしまった。
 そして同時に思い出す。
 この映像を以前エリオと一緒に見たとき、彼は恥ずかしそうに頬を染めながらも食い入るように見つめていた事を。
 やはり男の子は露出が激しい方が好みなのだろうか。
 ふと、キャロは自分のバリアジャケットのデザインを思い出す。
 露出度など、一片もない。
 スカートはロングで足も見えないし、袖もゆったりとしている。
 もちろん少女的で愛らしいものだとは思うが、もしパートナーたる少年の好みに合っていないとなると少し寂しいものがある。


「よし……やってみよう」


 そう一人つぶやき、自室のベッドに腰掛けていた少女はうんしょと身を起こした。
 同時にキャロの手に光を伴って纏われる手袋。
 宝玉を宿したそれは、魔法術式を演算する能力を有したデバイス、ケリュケイオンである。
 起動と同時に呼ぶ起こすプログラムは、数ある術式のうちの一つ、防護服に関する項目だ。
 そして見ていた映像データから転送させたデザインを元に新しいものを構築。
 意を決し、キャロは新しいバリアジャケットを展開する。
 柔らかい桃色の魔力光が乙女の身を包み、一瞬の閃光が衣服を魔力で編み上げ置換。
 瞬くほどの間の後、キャロの衣服はいつも着ている制服とまったく別のものに変わっていた。


「う、うわぁ……」


 自分の姿を見下ろし、キャロは思わずそんな声を漏らした。
 彼女の身を包むそれは、マントを省いた状態のフェイトのバリアジャケットであった。
 もちろんデザインは十年前のものである。
 ぴっちりと体を包む水着のような服の上に幾つかベルトが配され、腰回りには短いスカート。
 そしてほっそりとした太腿には黒いニーソックスがある。
 正直、かなり扇情的かつ倒錯的な装束だった。
 少女の白い頬が羞恥で赤く染まる。
 いつもゆったりとした服を着ている分、股やお尻のところを抜ける空気がやけに冷たく感じる。
 もじもじと太腿を合わせ、手で薄い胸を覆う。
 誰に見られているというわけでもないが、少女は身を隠すように軽く屈んだ。
 その瞬間だ。
 キュッ、っと。
 尻のところの生地が思い切り食い込んできた。


「あ、あれ? やだなもう……」


 指を這わせて直そうとするが、背面なので綺麗に上手くできたかよく分からない。
 仕方ない、と、少女はとてとて歩いて鏡のある洗面所まで移動する。
 洗面所の鏡の前に立ち、キャロはくるりと後ろを振り向いて小さなかわいいお尻に食い込んだ黒い生地を丁寧に直した。
 その後も鏡の前でスカートをぺろっとめくって何度か股のところを確認。
 これでよし、とキャロは頷く。
 と、そんな時だった。

 ピンポーン、と、呼び鈴の電子音が鳴り、聞きなれた少年の声が乙女の耳を打つ。


「キャロいるー? なのはさんがちょっと訓練の事でミーティングがあるんだってさ」

「え、ちょ、ええ、エリオくん!? ちょ、ま、今きき、着替え……」


 唐突な来訪に慌てた少女に、冷静な判断などできようものか。
 キャロは顔をスカートの裾をつまんだままオロオロと走り回る。
 バリアジャケットを解除するだけで良いという話だが、混乱した人間にそれを求むるは酷というものである。
 そして部屋の外の少年はしびれを切らしたのか、部屋にロックが掛かっているかどうか確認した。
 なんと間の悪い事に、その時部屋のロックは掛かっていなかった。
 そして性急なる少年は……禁断の扉を開放してしまったのだ。


「「あ……」」


 目が合った瞬間、二人の口からまったく同じ音色が漏れた。
 キャロ、顔真っ赤、目をぱちくり。
 エリオ、呆然、視線を下に下げる、そして赤面。
 いや、やばいよこれは。
 そう少年は思った。
 未成熟な細く危うい肢体を、露出度の高い黒き衣装が進む。
 なだらかな胸の頂点、薄すぎる生地がゆえに小さな肉の蕾さえその形を露にし。
 無駄な贅肉など一部もなき下腹部ではへそのラインまで見える。
 そしてスカートの間から垣間見える股とニーソックスを纏った細い太腿。
 まったくもって……破廉恥なこと極まりない衣装である。


「や、やだ……あんまり、みないで……」


 しかもキャロときたら、そんなか細い声で可憐に恥らうのである。
 フェイトのバリアジャケットの攻撃力を倍加させる恥じらいと言う名の付随効果が発動。
 もはやその威力は少年の精神の許容量をはるかに超え、そして……爆発した。


「ごぷぁ!!」


 素っ頓狂な声と共に、エリオが鼻から盛大に赤い血を噴出してぶっ倒れる。
 どしゃぁ、と床に倒れ付し、己の流した血潮の海に浮かびながら少年はそっと手を掲げて親指を立てた。
 そして一言、


「きゃろ……ぐっじょぶ……」


 と残して、とうとう意識を失った。
 少女は駆け寄り、慟哭する。


「ちょ、エリオくん!? エリオくーん!!」


 嗚呼、少年よ……君はまだ幼すぎた。
 かくしてエリオ少年は医務室送りとなり、なんとか一命を取り留めたのであった。
 教訓、過激な衣装は用法容量を守って正しく使いましょう。
 そんなお話。



終幕。


著者:ザ・シガー

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