206 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:01:19 ID:1qaVAMQG
207 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:02:25 ID:1qaVAMQG
208 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:03:13 ID:1qaVAMQG
209 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:04:17 ID:1qaVAMQG
210 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:05:10 ID:1qaVAMQG
211 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:06:01 ID:1qaVAMQG
212 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:06:46 ID:1qaVAMQG
213 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:07:35 ID:1qaVAMQG
214 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:08:21 ID:1qaVAMQG
215 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:09:26 ID:1qaVAMQG
216 名前:ダディクール[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:10:22 ID:1qaVAMQG

ゲンヤ・ナカジマ、46歳。
管理局地上部隊の一部隊長にして、二児の父親である。
今日は休日。一日、家でのんびりと過ごすつもりだった。
だが、ゲンヤは朝から末娘のおねだりに頭を抱えていた。
おねだりの内容は何のことはない。
末娘が敬愛し憧れている空のエースのインタビュー記事が
載っている雑誌を手に入れてきて欲しいというものだった。
雑誌の値段がバカ高いということもない。
至って安価で、どこの書店にも置いてありそうな類の雑誌だ。
ただ……。

「スバル…おめぇ……もういっぺん。その雑誌の名前、言ってみろぃ」
「だーかーら、『メガミパラダイス』だってば」
「オタク系雑誌じゃねぇかよ……」


『メガミパラダイス』
それは専ら美少女の活躍するアニメーションやギャルゲー、
アダルトゲームなどを中心に扱っている雑誌である。
毎号、表紙は美女・美少女キャラクターの顔がデカデカと載っている。
もういい年をした中年男性が手にするにはあまりに恥ずかしい。
もし、知人に知られたら何と言われるやら。
ちなみに内容にアダルトなものも含まれるので、18歳未満は購買禁止だ。
だから、スバルは自ら買うことはできず、こうしてゲンヤに頼み込んでいるわけだが。

何でエース・オブ・エースがそんな雑誌のインタビューなど受けているのか。
新聞や管理局系の広報誌、ミリタリー系のホビー誌、子供向けの学習雑誌などで
彼女が取材を受けさせられていたのは知っていたが、流石にこれはどうなのか。
たいたい、当の本人はエースと言ってもまだ15,6歳だったはずだ。
ゲンヤは管理局広報部の責任者を小一時間問い詰めたい気分に襲われた。

「んでだ、スバル。そのメ、メ……」
「『メガミパラダイス』だよ、お父さん。略して『メガパラ』っていうんだって」
「あー、そうかい。で、その『メガミパラダイス』とやらを5冊も買えって?」
「うん!」


なぜそんなに買う必要があるのか。
持ち歩いているだけで恥ずかしいあの雑誌を1冊ならまだしも5冊もまとめ買い。
傍から見れば、その道の人物にしか見えないだろう。

「ねー、お父さん、いいでしょー」
「スバルよぅ……何でそんなにたくさん買う必要があるんだ?」
「切り抜き用と鑑賞用と保存用と神棚用と布教用!」

娘の言っていることが全く理解できない。
こんなことははじめてだ。

「切り抜き用と鑑賞用と保存用と神棚用と布教用に使うから5冊必要なんだよ!」
「お前…」
「お願い、お父さん! あたしにはなのはさんが必要なんだ!」

言っていることの意味がやはりよくわからなかったが、(むしろわかりたくなかった)
娘の必死におねだりする姿に、結局ゲンヤは首を縦に振らざるを得なかった。
やはり娘はかわいい。それに普段、仕事で家を空けがちなだけに、
子供のお願いには色々と甘くなってしまうらしい。



炎天下の中、ゲンヤは近所の書店を目指して歩いていた。
8月の太陽はギラギラと輝き、地上にいるものすべてを
焼き尽くすがごとく照りつけていた。
まだ10時過ぎだというのに、この日差の強さはどうだし。
はやく、買い物を済ませて、家に帰ろうとゲンヤは心持ち早歩きになった。

どうせ本屋に行くなら、とスバルから渡されたメモ用紙を、
ズボンのポケットから取り出して、道すがら眺めてみた。
それは買ってきて欲しい書籍類のリストだった。


◎『メガミパラダイス 8月号』               
・『陸士訓練校 闘魂式・裏技解法テクニック』,ガイウス・イノキ著
・『フェレットさんのやさしいまほうし』,ユーノ・スクライア著
・『現職人事の教えるラクラク面接突破法』,レティ・ロウラン著
・『72年受験用:速攻の時事問題』,アンドレアス・シモンズ著
・『漫画で学ぶ管理局法』ジム・グリーン/アン・グリーン共著


「裏技」だの「やさしい」だの「らくらく」だの、そういった文字列が
含まれている参考書を選んでくるあたり、何と言ったらよいものか。
ゲンヤは思わずため息が出た。

「そりゃあ、なぁ。今から超特急で陸士訓練校入学試験の勉強の
追い込みをかけにゃならんのは分かるが、どうもなぁ…ハァ……」

娘の将来に一抹の不安を覚えつつ歩いていると、
目当ての書店がゲンヤの目にはいってくる。
だが、様子がいつもと違う。
出入りする人がやたらと多いのだ。

「今日は盛況だなおい。サイン会でもやってるのか?」

そうひとりごちながら、ゲンヤは書店の中に入っていった。
書店の中は冷房が効いていて、ゲンヤはほっと人心地ついた。
それにしても今日は混んでいる。ガヤガヤと本屋に
似つかわしくない活気がその場を満たしていた。
ゲンヤの目の前をリュックや大きなカバンをもった男性達が、
妙に嬉しそうな表情で次々とレジの前に並んでいく。
ゲンヤは気になって、レジに並んでいる男達のもっている本に
視線を向けた。雑誌のようだった。みな、一人何冊も買い込んでいる。
店内を歩きながら、レジのほうに近づいて、チラリと男達の
持っている雑誌の表紙を見ると、何か水着を着た美少女キャラの
イラストが描かれているようだった。そして表紙の上のほうには――

『メガミパラダイス』

――雑誌のタイトルがポップな字体で踊っていた。

ゲンヤは呆然としてその場に立ち尽くした。
入り口から入ってきた青年達が迷惑そうに
ゲンヤの脇をすり抜けて雑誌コーナーに向かっていく。
それにハッと気づいてゲンヤも急いで、そのコーナーに向かっていく。

「や、やべぇなこりゃ。はやく買わねぇと売り切れちまう」

だが、時既に遅し。雑誌コーナーの一角へ辿りついたゲンヤは
一箇所だけ、平積みがきれいになくなっているのに気づいた。
確かめるまでもない。きっと『メガミパラダイス』の積まれていた場所だ。
周辺では、買い損ねたらしい男達が狂ったように雄叫びをあげていた。

「何で開店30分で売り切れとるんじゃ、ゴルァァァァ」

「きぃぃぃぃいいいいいいいいい」

「くそおおおおおおおおおおおお、2冊しか取れなかった!
切り抜き用と鑑賞用と保存用と神棚用と布教用とお守り用と
ぶっかけ用とスリスリ用と転売用に最低20冊は必要なのに!」

「転売屋は死ねやぁああああああうらうらぁぁぁ」

「ひぃ! お、お客様! おやめください!」
「お客様、どうか落ち着いてください!」
「ああ、暴れないでぇ」



その書店を急いで出たゲンヤは、他の書店に足を向けた。
だが、次に行った書店でも既に『メガミパラダイス』はみな売り切れていた。
焦ったゲンヤは、公衆通信機に駆け込み、そこにあったタウンページで
近場にある書店を調べ、手当たり次第にまわったが、どこも同じ状態だった。

「何てこった。これじゃ、スバルに会わせる顔がねぇ」



家ではかわいい愛娘が父親の帰りを待っているはずだ。
あんなに楽しみにしていたのに、
期待を裏切っては父親としての面目が保たれない。
ここは何としてでも見つけ出さなければ。

ゲンヤはさらに区外にも手を広げて、探索の旅にでた。
電車を乗り継ぎ、大小さまざまの書店をまわる。
その甲斐あってか、数時間後、ゲンヤはついに
『メガミパラダイス』が残っている書店にたどり着いた。

そこは、とある森の中の一風変わった書店だった。
鬱蒼とした木々が周りを囲む中、
こぢんまりとした木製の建物が建っている。
2階にあがると「ここはとある書店」と書かれた
金のプレートが扉に打ち付けられていた。
変な名前の書店だ、とゲンヤは思った。
1階はレストランらしいが、誰の気配もしなかった。
なぜ森のなかにこのようなレストランや書店があるのか、
という疑問がゲンヤの頭の片隅に浮かぶ。

まあ、いいか。

はやく雑誌を買って、家に帰ろう。
この書店での売れ行きNo.1は『フェレットさんのやさしいまほうし』。
みなそちらを買ってばかりで、『メガミパラダイス』はまだ残っていた。

ゲンヤは『メガミパラダイス』の平積みに手を伸ばした。

「やれやれ、これでやっと家に帰れるぜ。ええと、ひぃ、ふぅ、みぃ……」

ゲンヤが3冊ほど雑誌を手に取ったところで、
誰かが横からゲンヤの腕を荒々しく掴んだ。

「うお? おい、何しやがる?」


ゲンヤの手を掴んだ男は、ぽっちゃりした体型の小男だった。
しかしその握力は凄まじく、ゲンヤの右腕をギリリと締め付けてくる。
小男の顔色は悪く、汗にまみれ、鼻息も荒かった。
声は掠れ声になっているが、その瞳はランランと輝いていた。

「キサマ、サテハテンバイヤーカ!?」

ゲンヤが突然のことに面食らっていると、
周囲にいつの間にか似たような感じの男達が寄ってきていた。
息も絶え絶えといった風にやつれているものの、
身を震わせ、口々に怒りの言葉を浴びせかけてくる。

「テンバイデモウケルツモリカ!」
「ヲタノカザカミニモオケン!」
「キサマノヨウナヤツガイルカラ!イルカラ!」

「お、おい!違うって!」

ゲンヤは慌てて否定の声をあげるが、
男達の狂気はとまらない。
どの男も目が血走っていた。
その視線の先はゲンヤの持つ雑誌。
ゲンヤは思わず後ずさった。

「コロシテデモ」
「ウバイトル!」
「ウバイトルァァァ」
「テォアアアア」

「だから違うって! これは娘が! やめろ!」

「タワゴトヲ!」
「コモチノブンザイデ!」
「キシャァァァァァ!」


ゲンヤはほうほうのていで書店から出て行った。
もみくちゃにされたおかげで髪はぼさぼさに荒れ、
服はところどころ破かれズタボロだった。
そしてその手には1冊の本も持ってはいなかった。
「何て奴らだ……」
ゲンヤは諦めて、歩き出した。休日に揉め事はごめんだった。

しばらくしてゲンヤは気づいてしまった・・・
ここはとある書店・・・
売れ筋の・・・本は・・・『フェレットさんのやさしいまほうし』・・・

恐怖に身を震わせながらゲンヤは森の中を駆けて行った。



森を出たゲンヤはがっくりと肩を落として、公園のベンチに腰掛けていた。
そこは木陰になっていて、心地の良い風が吹いていた。
陽はすでに傾き、空は茜色に染まっていた。
さてどうしたものかと、目頭をもみながら考えていると、

「ナカジマ三佐?」

自分の名を呼ぶ声が聞こえてゲンヤは顔をあげた。
駆け寄ってくるのは陸士制服を着た年若い少女だ。
ゲンヤにはその少女に見覚えがあった。

「おう。ヤガミじゃねぇか…警邏中か?」
「あ、はい、そうなんですが。今日はやけに脱水症状起こして
倒れる人が多くてかなわんのですわ。ナカジマ三佐、大丈夫ですか?」
「ああ…」
「何や顔色悪いですよ?」

八神はやてを見て、ふと、ゲンヤは思いついたことがあった。
「そういや、ヤガミ……」
だが、言いかけて、言葉が続かない。羞恥心が勝ったのだ。
こんなことを頼んだら、彼女はどう思うだろう。

「何です?」
「いや、何でもない」
「あ、さよですか」
「…………」

風が吹き、公園の木々がさわさわと揺れた。
この辺りの気候は乾燥しているので、このような
真夏日でも夕方になれば過ごしやすくなる。

「今日は暑かったな」
「まあ、夏ですからねぇ」
「そうだなァ……」

会話が続かず、気まずい空気が漂う。
ちらりとはやてがゲンヤに訝しげな視線をよこした。
ゲンヤは言葉を捜すようにして口を開いた。

「なぁ、ヤガミよ……」
「何です?」
「お前、そのう……」
「?」
「……何だ、そのう」

「一体、何ですか?」

ゲンヤの煮え切らない態度にじれったくなったのか、
はやてが少々語気を強めて問いかけた。
それで、ゲンヤも覚悟を決めた。
パトロール中の彼女を長く引き止めてしまっては申し訳ない。

「空隊の、いや、教導隊か。タカマチ二等空尉と……あー」
「ああ。なの…いえ、高町教導官とは確かに同郷の幼馴染ですが、何か?」

怪訝な顔で問いかけてくるはやてに、
ゲンヤは頬をかきながら歯切れ悪く言葉を続けた。


「じゃあ、だな。彼女が取材を受けた…その…」

その先が言えず、ゲンヤは口ごもって、グルリと目を動かした。
はやては首をかしげて、聞いた。

「先週の『ミッドチルダ・タイムズ』の記事のことですか?」
「いや……それじゃなくてだなァ」
「ほんなら、『デバイスマガジン』臨時増刊号ですか?」
「いや、いや。それはもう家にある」

スバルが蒐集しているから。
『デバイスマガジン』付録の特大ポスターはスバルのベッドルームの天井に
貼られている。こうしておけば、朝、目覚めるために、今にも攻撃してきそうな
大迫力の白い魔導師が嫌でも目に入る。娘の寝起きも良くなろうというものだ。

あごに手をやりながら、しばらく黙考していた
はやてがおもむろにポンと手を打った。

「あっ、『ジ・アグレッサー』のほうですか? 
あれは手に入れにくいですよね……。局内限定販売の小冊子ですし。
ご想像の通り、なの…じゃなくて、高町教導官と私は仲ええですから、
彼女から何冊かもらってますよ。何だったら、お分けしましょうか?」

ゲンヤは首を横に振った。
「それも、もう家にあるんだ」
ギンガに頼んで買ってきてもらったのか、ゲンヤが気づいたときにはすでに、
クリアカバーを付けられた『ジ・アグレッサー』がスバルの机の上に鎮座していた。
娘よ、陸士志望なのに航空関連の知識ばかり増えていくのはいかがなものか。

「んー。他に取材受けてたメディアあったかなぁ。
それにしても、最年少での教導隊入りだったとはいえ、
陸上のナカジマ三佐までなのはちゃんに注目していたとは……」

このままでは埒があかないと、ゲンヤは咳払いをした。
わずかにためらってから、ゲンヤは切り出した。

「あー、そのな…メ、メガミ、パラダィ…ス…という雑誌なんだが…」

数拍の間をおいて、ポカンと開いたはやての口から間の抜けた声が漏れた。

「え……?」

紺色の瞳を困惑が埋め尽くしていた。
何と言うべきか計りかねているのだろう。
はやては微妙な表情で黙ってゲンヤを見た。
はやての視線がゲンヤには痛かった。

「…………」

その場にぎこちない沈黙が訪れる。
ゲンヤはそれを振り切るようにして、一つ息を吐き、
ままよとばかり改めてはやてに向き直って言った。

「『メガミパラダイス』が欲しいんだ、ヤガミ。出来れば5冊ほど――」



その後、八神はやては妙なボタンのたくさんついた小型デバイスで
誰かと通信したあと、「ここで10分ほど待っていてください」と言い残し、
ゲンヤを置いてどこかへ去っていった。

そして、10分後、一体どうやったのか彼女の腕の中には、
ゲンヤが捜し求めていた雑誌がきっちり5冊あった。
斜陽を背にした八神はやての笑みに、何か子悪魔めいたものが
まじっていたような気がするが、気にしない。断じて気にするものか。
今度、ゲンヤがクラナガンの高級料亭で八神家全員に食事をおごる
かわりに、今回のことは口外しない約束をしてくれた八神はやては、
これで契約成立ですね、と含み笑いを残して去っていった。
どうやら口止め料は高くつきそうだ。
だがあらぬ噂を流されるよりははるかにましというもの。

兎にも角にも、これで目的のブツは手に入れた。
やっと大手を振って、娘のもとへと帰れる。
ゲンヤが自宅につく頃にはもうすっかり辺りは暗くなっていた。

「わああ、お父さん、ありがとう!」
「おうよ」
「あれ、1冊だけ、写真のところにサインがある!」
「まさか……」
「わーい、なのはさんの直筆サインだ! お父さん凄い!」
「ハハ……どうってことねぇよ……」
「これラミネート加工してお守りにする!」
「ああ、そうかい……よかったな」

愛娘が目を輝かせて喜ぶ姿を見て、複雑な気持ちがしたが、
ゲンヤはやっとホッと一息つくことができたのだった。



そんな騒動も忘れかけていた1ヵ月後のとある休日。
ゲンヤは自室で趣味の詰め将棋に没頭していた。
すると、ドアが開いて、ギンガがお茶を持ってやってきた。
「父さん、お茶どうですか」
「おう、すまねぇな。いただくよ」
ゲンヤは、将棋盤から離れ、ギンガの煎れてくれた緑茶をすすった。

「あの…父さん……」

目をあげると、盆を胸に抱いたままギンガがもじもじとしている。
ゲンヤはその様子にピンときた。何かおねだりをしにきたに違いない。
ゲンヤは言いづらそうにもじもじしているギンガを見て、内心嬉しく思った。
ギンガがこうして頼みごとに来るのは珍しい。
母親がなくなって以来、迷惑をかけまいと我が侭も言わなくなった。
しっかりしているとはいえ、ギンガもまだ13歳なのだ。
すこしは子供らしく父親に甘えて欲しい。

「どうした、ギンガ?何か欲しいもんでもあるのか?」
なるべく優しげな口調でゲンヤは尋ねた。
すると、ギンガは意を決したのか、口を開いた。「あのね……」


「『メガミパラダイス』買ってきてほしいの」

「…!?」

ゲンヤの手から、湯のみがゴトリと零れ落ちた。
嫌な汗が背中を流れる。

「えっと、今月号にね……フェ、フェイトさんのブロマイドが――」


END



著者:鬼火 ◆RAM/mCfEUE

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