35 名前:ティーダ×ギンガ[sage] 投稿日:2009/02/23(月) 23:28:41 ID:X2H7bQeF
36 名前:ティーダ×ギンガ(2/2)[sage] 投稿日:2009/02/23(月) 23:29:28 ID:X2H7bQeF

 それは、二つの月だけが見ていた物語……。
「んっ! ……ふぅっ! ……あぁっ」
 真新しいベッドのスプリングが軋む音と切ない喘ぎが部屋の中に響く。
「ひっ……あっ……もう、ダメっ、ですっ!」
 自分の秘部から突き上げられる快感と衝撃に、ギンガ・ナカジマの頭の中はすでに真っ白になりかけていた。
「くっ……オレも、やばいっ! ……出すぞっ」
 快感のスピードがさらに速まり、体の熱が天井知らずに上がっていく。
 さながらガソリンを体に塗られて、そのまま火を付けられたような気分だ。
「あっ、イクッ! イキますっ! ああああああああああああああっっっ!!!!」
 快感が最大級のビッグウェーブとなって押し寄せたと思った瞬間、秘部から熱の根源が引き抜かれ、熱い欲望の塊がギンガの肢体に振りかかった。
「はぁっ! はぁっ! あぶねぇ……」
 ギンガと重なっていた男は、彼女の隣にばたりと寝転がり、心底胸をなで下ろしたように息を吐いた。
 秋の優しい日差しを思わせる亜麻色の髪、対照的に淀んだ空気を思わすダークグレーの瞳、汗に濡れた体は細見ながらも鍛え抜かれていて、彫刻のような美しささえも感じる。
 年は結構(と言うかかなり)離れているが、顔立ちは整っていて一般論で言えばファッション雑誌の特集に写真を載せられるぐらいの美形に入る。
 妹の友人の兄と言うちょっと複雑な間柄で知り合って、何より本当は6年前に死んだと言われた人。
 そんな人と付き合って、こうして体を重ねるようになってどれくらい経ったのか……ギンガは思い返す。
「ティーダさん……、あなたはどうして生きていたんですか?」
「なんで、そんな事聞くんだ?」
「聞いてはいけませんか? これだけの事をしている関係なのに、私はあなたの事を知りません……」
 ティーダは何も教えてくれない。元は他人のギンガだけでなく、最愛の妹であるはずのティアナにも。
 おもむろに彼は立ち上がって、バスルームから湯で濡らしたタオルを持って来た。
「体吹いて、服着な。朝までスル空気じゃないだろ?」
 そう言ってティーダも体を拭いて服を着始めた。ギンガも習うように服を着る。
 汗とその他いろいろとついたシーツも新しい物に代えて、改めて二人とも横になる。
「生きてるだけで奇跡だと思ったよ……あの時は」
 ティーダの言うあの時とは、犯罪者を追って殉死したとされるあの事件の日だ。
 あの後、レジアス・ゲイズの抱える地上部隊に助けられ、奇跡的に命を取り留めた。
「けど、オレは死人にならざるを得なかった。オレが追っていたのは最高評議会と戦闘機人の研究機関を繋ぐ仲介人だったんだよ。
 用は知りすぎたから謀殺されかかったって事さ。ゲイズのおっさんには感謝してるよ、偽造の住民票とかいろいろ構ってくれた」
 レジアス・ゲイズには一度自分の部下を犠牲にしてしまった事がある。奇しくもその中にはギンガの義母であるクイント・ナカジマの存在もあった。
 そして、彼は悪人になりきる事は出来なかったのだろう。
「世界って、案外狭いのかも知れないな」
「じゃあ、世界の狭さに感謝しないといけませんね♪」
 ギンガの返しに、ティーダは思わず吹き出してしまう。
「くくっ……確かにな。少し違えば、オレはあんたに惚れる事もなかった」
「でも、私なんかでいいんですか? 私は戦闘機人です。人間のティーダさんとは……んんっ!」
 ギンガの言葉は、唇を重ねることで強引に阻まれていた。さらに舌をねじ込まれて吸い上げられる。
 なんの味もないはずの唾液が、この世界の何よりも甘い調味料に思えてくる。味をつけるのは無論二人の心にだ。
「違いすぎるなんて言う気かい? 知った事かよ。邪魔するんなら脚本家でもプロデューサーでも狙い撃ってやる」
「神様とかじゃないんですか?」
「なんとなく、な。ところであんたの妹はどんな感じだ? ウチの妹、どうやらヴァイスのヤツとデキてるらしくてな。知らない仲じゃないけど心配だ」
「スバルだったら、『彼氏欲しい』って3日に1度は呟いてます♪」
 友人と姉に恋人がいれば、置いてけぼりにされた気分もひとしおと言う事だろう。ましてや、職場の8割が同性と来ればなおさらだ。
「そいつはまた難儀な事だ」
「あの子にはかわいそうだけど、私、再来月で18歳になりますから♪」
 ギンガはどうやら情けをかけるつもりはないらしい。
「けど、民間の警備会社員にそこまで高望みされるのは困るぞ?」
「でも、二人以上で幸せになる事を望むのはアリですよね?」
(殺したって死にそうにない女だから好きになった、なんて口が裂けても言えないよな)
 とても敵わない、内心ティーダはそう思っていた。
 これは、ifの物語……二つの月が作り出す幻影なのかも知れない……。


著者:96スレ32

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