最終更新: nano69_264 2010年01月20日(水) 16:38:55履歴
106 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:16:12 ID:uz.N3BFQ
107 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:19:09 ID:uz.N3BFQ
109 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:20:30 ID:uz.N3BFQ
110 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:21:59 ID:uz.N3BFQ
111 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:23:25 ID:uz.N3BFQ
112 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:24:19 ID:uz.N3BFQ
113 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:25:52 ID:uz.N3BFQ
海鳴市中央部にある商店街には、『翠屋』と言う名の喫茶店兼洋菓子店がある。
平日でも自慢のスイーツを求めて人が絶えない超有名店だ。
しかし翠屋には、一般の客には知られていないもうひとつの顔があった……。
「はいはやてちゃん、ツメシボとアリアリね」
「ありがとうございますー、桃子さん」
ムダヅモ無き管理局改革 〜ミッドチルダ電撃作戦〜
「ローン!! ホンイツ2000てーんっ!!」
翠屋の奥から、かわいい声でアガりを宣言する声が聞こえる。
店の奥にひっそり設置された全自動麻雀卓。
それを囲む女性たち。一人はこの店のオーナーの娘、残り三人は常連客。
「くっ、またアリサちゃんにバカホンされた……」
眼鏡を頭に乗せた美由希は、タコスのメキシカンな香り漂う麻雀ルームで悔しそうにつぶやいた。
その香りの発生源であるアリサは東場ですでにノリノリである。
「まぁまぁ美由希さん、あとで捲くったればええんですよ」
「あらはやて、そんな事許さないわよ? この半荘はアリサ・バニングスが頂きます!!」
金髪のショートヘアーを揺らし、点棒を数本指に挟みポーズを決めながらアリサは高々とぶっちぎり宣言をした。
その様を見て、はやてとすずかと美由希が燃えないわけが無い。
17牌2段の麻雀牌が現れると共にすぐに次の局の準備が始まる。
「アリサちゃんばかりに勝たせるのも何だか悔しいな……」
なぜかノエルのメイド服を借りて気合を入れたすずかが、山から牌を取る。
しかし、その九萬は残念ながら望んだものではない。
(あー、これはちょっと……捨てよう)
一瞬で判断したすずかは、そのまま牌を卓へと静かに置いた。
しかし牌を捨てた瞬間に声が上がる。
「すずかちゃん、それロン」
「ええっ……!?」
「チャンタや」
にっこり笑って手元の牌を開き、はやてはご満悦である。
振り込んでしまった悔しさに軽く目に涙を浮かべたすずかとは対照的に、
はやては嬉々として卓のスイッチを押して牌を混ぜる。
その時、現代日本にはおよそ似つかわしくない空間モニターがはやての前に展開した。
『はやてちゃん! ごめん、フェイトちゃんに大変なことが起きたの!』
「あれ、なのはじゃない! 管理局の仕事がんばってる?」
『え、あ、うんお姉ちゃん。まぁそれなりに……じゃなくて!!』
モニターの中には、陸士の制服を着たなのはが映っていた。
今日ははやてが休みで、なのはとフェイトはどうしても仕事があって地球に来れなかった。
機動六課がらみで何か事件でもあったのか。はやての顔色が一瞬で仕事モードに変わる。
「なのはちゃん、まず状況説明や。何があったん?」
「あのね、……………という訳なの」
「あー、それマジなん? かなり厄介やな……」
―――――時空管理局地上本部、レジアス・ゲイズ中将がいるその部屋に、
ミッドに急いで帰ってきた制服姿のはやてが乗り込んだ。
ドアが自動で開くと、部屋の奥にはレジアスとその副官オーリス、それに別の女性局員が一人。
対峙するのは高町なのは一人だけ。
「なのはちゃん」
「はやてちゃん、フェイトちゃんが……っ!!」
はやてが声をかけると、なのははすぐに反応して振り向いた。
よく部屋の奥を見ると、レジアス中将の足元には黒い下着姿でなぜか縛られているフェイトがいた。
その姿は、フェイトの成長しすぎと言っても過言ではない胸や尻をさらに扇情的に……
いやそんなことは今はどうでもいい。
「はやてっ!!」
「フェイトちゃん!? どないしたんその格好!?」
「レジアス中将が『私に勝ったら六課の予算に幾らか回してやる』って言うから、少しでもはやての役に立ちたくて……」
半裸のフェイトはそこまで叫ぶと、悔しげに唇を噛んだ。
どうやらフェイトはレジアスと『政治的取引』をした挙句、スカンピンになったようだった。
しかし政治的取引に麻雀を持ってくるくらいなら、フェイトは相当な腕前の雀士なはず。
幾らなんでもここまでぼろ負けと言うのはおかしいと思われるが……
「でもレジアス中将の麻雀、ジャ○アンもの○太くんもいないんだ! こんなルールわからないよ!! ノーテン罰符って何!?」
「……フェイトちゃん、それ麻雀やなくてドンジャラや」
どうやら根本的にゲームを間違っていたらしい。
半裸のフェイトを足蹴にしかねないレジアスは、表情を変えずにはやてに告げる。
「八神、お前のところの部隊はどういう教育をしているんだ? この執務官、一ミッドも持たずに鉄火場に来よったぞ」
ちなみに一ミッドは現代日本の一円相当の金額である。
レジアスの台詞には、表情には出ていない嘲笑の感情がやや含まれていた。
はやてはそれを感じ取り、拳をぎゅっと握り締める。
「レジアス中将、フェイトちゃ……いや、ハラオウン執務官をどないするおつもりですか」
「どうしようと私の勝手だ。すっこんでろ八神」
その物言いで、はやての導火線に火が点いた。
元々楽しい休暇がお流れになって少々イライラしていたのだ。それにレジアスとは、ある因縁がある。
表情そのままで静かに闘志を燃やすはやては、レジアスの挑発にこのまま乗ってしまうことにした。
「……わかりました。麻雀を打(ぶ)ちましょう。なのはちゃん、入ってくれへん?」
「え、でも私……家族麻雀くらいしか打ったこと」
「ええから!! 部隊長命令やっ!!」
「は、はい!!」
はやての尋常ならざるオーラを感じ取り、なのはは自分でも驚くほど素直にはやてに従っていた。
これが数々の交渉を乗り越え、齢十九で一部隊を築いた少女の『気』なのだ。
東・オーリス。南・なのは。西・はやて。北・レジアス。
部屋の真ん中から全自動卓と椅子が自動的にせり上がり、局が始まった。
「ハラオウンだけでは物足りんな……レートはどうする、八神」
「そうですね、点アインへリアル(1000点につきアインへリアル一機分相当の予算)でどないですか?」
「……よかろう。お前が負ければ六課は当然予算不足で削減対象だがそれでいいのか?」
「かまいませんよ? 負けへんかったらええわけですし」
「その減らず口、いつまで続くかな」
局が始まり、皆卓に意識を落とす。
なのは以外の三人は牌の捨て動作からして洗練されている。
フェルト張りの卓から、ビシビシと牌を捨てる乾いた音がしていた。
「ロン。1000は1300です」
東二局、オーリスは二フーロの後にアガり。
オーリスが手牌を晒すために牌を指で撫でた瞬間、触った牌に光が点ったような幻想をなのはは見た。
魔法が使えないはずのオーリスの見せた芸当に、つい反応してしまう。
(ほ、蛍返しだ……!!)
思わずなのはは息を呑む。通常の勝負の枠を超えた麻雀だけが魅せる光景。
牌を掴むなのはの手に気持ち悪い汗が伝った。
一方のはやては冷静に局を薦めていく。
オーリスやレジアスの打ち方を見ながら、二人のクセの研究を続ける。
「ロンだ。七対子で裏ドラも乗ったな」
次の局は早めに勝負がついた。なのはが捨てた牌を見てレジアスがアガりを宣言。
レジアスに点数が追加され、逆になのはの点数が下がる。
なのはは責任を感じ、半分涙目になって上家のはやての顔を見た。
「はやてちゃん、ごめん……!!」
「大丈夫。なのはちゃんはなーんも心配せんでええ」
そんななのはを見てもはやてはまったく動じない。むしろ余裕さえ感じる。
はやてはいつもの通りのスロースタート。
時にはオーリスに振り込み、時にはなのはを助ける。
そうこうしているうちに調子が上がってきた。
(ほな、行こか! リインフォース!!)
はやての気配が一気に変わる。
はやての体からオーラが吹き出し、真っ黒い翼が背中から生えたような幻想をレジアスもオーリスもなのはも見た。
オーリスはその様子にたじろぎながらも、はやての手を封じようと牌を打つ。
(八神二佐の得意手は嶺上開花でのツモアガり。それだけは阻止する!)
レジアスとオーリスによるコンビ打ち。
これに先ほどは局員を加えてフェイトを狙っていたのだ。
オーリスが回し、レジアスが決める。まさにゲイズ親子の阿吽の呼吸がなせる技だ。
今回もそれではやてを撃破するつもりだった……のだが。
「甘いわオーリス三佐。ロン」
「え?」
はやてはオーリスが捨てた牌に即座に反応した。
オーリスが警戒していたリンシャンツモなどはやては端から狙っておらず、
出来た役には東牌が3個、北牌が2個。
「東北新幹線や!」
「そ、そんな役聞いたことがないわ!! 認められませんっ!!」
「しゃあないですね、ローカル役やしなぁ。ほんなら一気通貫と混一色と……」
「くうっ……!」
はやてに振り込んだオーリスが唇を噛む。
しかしこの程度でへこたれる様では百戦錬磨の副官は務まらない。
さっきよりも警戒を強め、徹底的にはやてにアガらせない。
(あー、さすがにちょおキツいなぁ……オーリス三佐、なかなか絞るの上手いやん)
さらに、オーリスは一計を案じる。
指でトントンと数回卓を何気なく叩き、レジアスにサインを送る。
(父さ……中将、あれで行きましょう)
オーリスの手には牌が握られていた。
それは、レジアスの河から予想した『レジアスの欲しい牌』だった。
通称・エレベーターと呼ばれるれっきとしたイカサマ。
気づかれないように表情も変えず目線も一瞬だけ合わせ、それを伝える。
(待て、幾らなんでも)
(方法はどうあれ撃ち落とせばいいんでしょ、八神二佐を!)
(そうか、お前が言うなら……)
レジアスはそっと卓の下に手を伸ばした。
幾多の勝負どころで使ってきたイカサマである。その動作は洗練されており、後ろから見ない限りまず気づかれない。
オーリスから渡された牌を、なのはやはやてに気づかれないように自分の手牌に混ぜた。
その後は何事も無かったように繕い、ゲームを進める。
(今年度の予算の件、忘れたとは言わせんぞ八神!)
イカサマをしてでも勝ちたい理由がレジアスにはあった。
数ヶ月前に行われた今年度の地上本部予算争奪麻雀大会で、はやては見事に優勝。
対するレジアスは、よりによって決勝戦ではやてに狙われて点数と予算をごっそり奪われた。
長年管理局に勤めてきてキャリアも人望も厚かったレジアスにとって、
みっともない負け方をしたと言うことは面目にかかわる。
「ロン。大三元だ」
レジアスが自慢げに手牌を倒し、役を見せた。
にやりと歯を見せながらはやてに向かって笑い、はやての動揺を誘おうとする。
「おー、役満やないですか。いいなぁ……」
当のはやては、きれいに揃ったレジアスの手牌を見て素直な感想を漏らす。
そして、動揺する代わりにややうつむきながらぽそりと一言付け加えた。
「でも、今度からは牌はちゃんと山から取ってくださいね♪」
「っ!?」
はやての台詞に、逆にレジアスの精神が揺らぐ。
はやてがどんな表情をしているのかは、前髪の陰に隠れてよく見えない。
しかし、明らかにはやての意識が変わったのだけは感じ取れた。
(失敗は無かったはず……でもそれを見抜きながら、しかもあえて見逃したですって!?)
オーリスも当然その一言が耳に残って離れない。
イカサマに気づいたならば、その瞬間腕をつかんでしまえば当然無条件ではやての勝ちである。
しかしはやては何も言わなかった。獲物を狙う肉食獣のようにその影を潜めている。
(かましてくれるやんか……ほんならこっちもやったろかな、イカサマ。覚悟しいや……!!)
一度流局した後、はやてが牌を引く番がやってきた。
はやてが親指と人差し指と中指を使い、包むように牌を持ってくる。
その時、なのはははやてから違和感を感じた。
(この気配……!?)
オーリスやレジアス達は気が付かない様だが、どう考えても魔力だった。
しかし牌をすり換えるために仮に転移魔法を使ったとしても、一瞬だけではどうしようもない。
魔法陣が派手に出て、幾らなんでも視覚的に即バレてしまうだろう。
だが先ほどのはやてから感じた魔力は一瞬で消えた。
いったいはやて何を考えているのかわからないまま、なのはも牌を捨てた。
(ん、あの捨て方はまさか)
レジアスはふとはやての捨てた牌がある河に目線を落とした。
字牌と老頭牌があからさまに無い。
それらを狙って集めているのが容易に見て取れる。
(国士無双……? 万が一アガられるとさすがにまずいな。オーリス、白を集めてくれ。あるんだろ?)
(わかりました)
はやての手を封じるために、慎重に通しサインが交わされる。
卓の下での一瞬のやり取りの後、オーリスの手元に白牌が四枚揃った。
しかしオーリスはカンをかけずにそのまま四枚を集めて持つ。
この局が終わった時にオーリスの手牌を見て悔しがるはやての顔が、レジアスには容易に想像できた。
緊張感からやや開放されたレジアスは、一筒を場に捨てる。
「ロン」
「なにっ!?」
しかし、はやてはレジアスの捨てた牌にすぐ反応した。
パタパタとはやての手牌が倒れ、はやての役が晒される。
「御無礼。ダブル役満でええですか? これ」
一・九萬、一・九筒、一・九索、東・西・南・北・白・發・中。
それにレジアスが放った一筒を加えれば唯一無二の役が出来上がる。
発祥の地である地球の国では『天下に並ぶ者の無い優れた人物』を表す言葉となるその役を見た瞬間、
レジアスの額から冷や汗が噴き出した。
「ばっ……ばかなっ!? 国士無双十三面(ライジング・サン)だと……!?」
にこやかなと言うよりは奥に何かどす黒い感情を秘めたような、冷たい笑み。
手牌を開いた時のはやての表情はいつもとは違っている。
はやては右手を卓に、左手を腰に当ててレジアスに詰め寄った。
「何ですか? まさか白が五枚あるんですか? そんなオカルトありえへんですよねー♪」
イカサマだろうと分かってはいても、現行犯で指摘できなかった時点でどうしようも出来なかった。
はやてのその目線に、レジアスは苛立ちと同時に19歳の少女らしからぬ凄みへの恐怖も感じていた。
その後数局打ったが既にはやてを止める術は無い。
希少な役も飛び出しながら、レジアスをどんどん突き放す。
「御無礼。門前清一色平和でドラは……あー、裏ドラ乗らんかったか」
「御無礼。嶺上開花断幺九対々和三暗刻三槓子ですね」
「御無礼ですー。リーチ一発門前混一色チャンタ二盃口にドラドラっと」
はやてが点数と予算をごっそりとかっさらい、部屋から出て行った後。
レジアスはデスクで絶望に打ちひしがれながら頭を抱え、オーリスはそんな父に詰め寄っていた。
「どうするんですか父さん!? アインへリアル何機分の予算を八神二佐に……!!」
「わからん……ワシにも、わからん……っ!!」
動揺した姿の父を見て、オーリスは唇を噛んだ。
窓の外の夕日を見つめれば、深層心理が自然と口からあふれ出す。
「八神はやて……まるで人の姿をした鬼だわ……」
無事開放され、三人は足早に地上本部を後にした。
執務官の制服を取り戻したフェイトと陸士の制服姿のなのはが、はやてと並んでミッドの街中を歩く。
レジアスをコテンパンにしてすっきりしたのか、はやての顔色はすこぶる良い。
と、なのははふとさっきの対局で疑問に思ったことをはやてに聞いてみた。
「はやてちゃん、さっき魔法使ってた気がしたんだけど……何かしたの?」
「あーあれな。なのはちゃん、ちょおコレ見て。こっそり途中ですり替えといたんよ」
上着のポケットから、はやてがタバコチョコと共にある物を取り出した。
それはさっきまで使っていたはずの麻雀牌。
はやてはその牌を、なのはの手の上に置いた。
「これはさっきの局で使ってた牌……あれっ!? け、削れてる……!?」
なのははその白牌の異常にすぐ気づいた。
中央部分が異様にえぐれている。
まるで何かで削り取ったかのように、新たな面が出来上がっていた。
「『轟盲牌』や。私の力じゃ握り削るのは無理やしな。魔法使わざるをえんかったんや」
この牌をツモった時にはやてはちょっとした魔力を手の先にこめていた。
その魔力で魔力刃を生成し、牌の表面を削り取ることによって白牌を作り出す。
魔力の無いレジアスとオーリス相手だったからこそ出来たイカサマであった。
「あ……ありえない、あの局面で……」
フェイトは目を丸くして、はやての大胆なイカサマに驚いていた。
確かにレジアスもオーリスも魔法の素質は無いものの、それなりに部屋にセキュリティを敷いている可能性はある。
何らかの形でイカサマがバレれば、今頃どうなっていたかなどわからない。
「さて、フェイトちゃんも無事帰ってきたし、今から六課メンバーと打(ぶ)たへんか?」
「え、ええっ!? でも私……」
「だーいじょうぶ。フェイトちゃんには私が麻雀とドンジャラの違いをしっかり教えたるさかい」
咥えていたタバコチョコをパキンと歯で割り、はやてはにこっと微笑んだ。
―――――同時刻。
『……ドクターですか? ……ええ、『八神はやて』はなかなかの玄人、いや雀士です』
「そうかそうか。ありがとうドゥーエ」
局員としてレジアスの傍で諜報活動をしているドゥーエからの通信を切ると、スカリエッティはまた卓へと体を向けた。
対面にウーノ、上家にトーレ、下家にクアットロ。
全自動卓によって牌が混ぜられ、17牌2段の山が現れる。
「どうしました? ドクター」
「いや、これから始まる宴に思いを馳せていただけさ……」
クアットロの問いに、スカリエッティはそれだけ答えた。
ビシィッ!! と音を立て、スカリエッティの手から卓へ一筒が捨てられる。
貨幣の形を象ったと言われるその大きな丸が、卓の真ん中で自己主張していた。
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目次:夜天牌 〜リリカル麻雀飛竜伝説〜
著者:CRR
107 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:19:09 ID:uz.N3BFQ
109 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:20:30 ID:uz.N3BFQ
110 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:21:59 ID:uz.N3BFQ
111 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:23:25 ID:uz.N3BFQ
112 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:24:19 ID:uz.N3BFQ
113 名前:CRR [sage] 投稿日:2009/08/13(木) 00:25:52 ID:uz.N3BFQ
海鳴市中央部にある商店街には、『翠屋』と言う名の喫茶店兼洋菓子店がある。
平日でも自慢のスイーツを求めて人が絶えない超有名店だ。
しかし翠屋には、一般の客には知られていないもうひとつの顔があった……。
「はいはやてちゃん、ツメシボとアリアリね」
「ありがとうございますー、桃子さん」
ムダヅモ無き管理局改革 〜ミッドチルダ電撃作戦〜
「ローン!! ホンイツ2000てーんっ!!」
翠屋の奥から、かわいい声でアガりを宣言する声が聞こえる。
店の奥にひっそり設置された全自動麻雀卓。
それを囲む女性たち。一人はこの店のオーナーの娘、残り三人は常連客。
「くっ、またアリサちゃんにバカホンされた……」
眼鏡を頭に乗せた美由希は、タコスのメキシカンな香り漂う麻雀ルームで悔しそうにつぶやいた。
その香りの発生源であるアリサは東場ですでにノリノリである。
「まぁまぁ美由希さん、あとで捲くったればええんですよ」
「あらはやて、そんな事許さないわよ? この半荘はアリサ・バニングスが頂きます!!」
金髪のショートヘアーを揺らし、点棒を数本指に挟みポーズを決めながらアリサは高々とぶっちぎり宣言をした。
その様を見て、はやてとすずかと美由希が燃えないわけが無い。
17牌2段の麻雀牌が現れると共にすぐに次の局の準備が始まる。
「アリサちゃんばかりに勝たせるのも何だか悔しいな……」
なぜかノエルのメイド服を借りて気合を入れたすずかが、山から牌を取る。
しかし、その九萬は残念ながら望んだものではない。
(あー、これはちょっと……捨てよう)
一瞬で判断したすずかは、そのまま牌を卓へと静かに置いた。
しかし牌を捨てた瞬間に声が上がる。
「すずかちゃん、それロン」
「ええっ……!?」
「チャンタや」
にっこり笑って手元の牌を開き、はやてはご満悦である。
振り込んでしまった悔しさに軽く目に涙を浮かべたすずかとは対照的に、
はやては嬉々として卓のスイッチを押して牌を混ぜる。
その時、現代日本にはおよそ似つかわしくない空間モニターがはやての前に展開した。
『はやてちゃん! ごめん、フェイトちゃんに大変なことが起きたの!』
「あれ、なのはじゃない! 管理局の仕事がんばってる?」
『え、あ、うんお姉ちゃん。まぁそれなりに……じゃなくて!!』
モニターの中には、陸士の制服を着たなのはが映っていた。
今日ははやてが休みで、なのはとフェイトはどうしても仕事があって地球に来れなかった。
機動六課がらみで何か事件でもあったのか。はやての顔色が一瞬で仕事モードに変わる。
「なのはちゃん、まず状況説明や。何があったん?」
「あのね、……………という訳なの」
「あー、それマジなん? かなり厄介やな……」
―――――時空管理局地上本部、レジアス・ゲイズ中将がいるその部屋に、
ミッドに急いで帰ってきた制服姿のはやてが乗り込んだ。
ドアが自動で開くと、部屋の奥にはレジアスとその副官オーリス、それに別の女性局員が一人。
対峙するのは高町なのは一人だけ。
「なのはちゃん」
「はやてちゃん、フェイトちゃんが……っ!!」
はやてが声をかけると、なのははすぐに反応して振り向いた。
よく部屋の奥を見ると、レジアス中将の足元には黒い下着姿でなぜか縛られているフェイトがいた。
その姿は、フェイトの成長しすぎと言っても過言ではない胸や尻をさらに扇情的に……
いやそんなことは今はどうでもいい。
「はやてっ!!」
「フェイトちゃん!? どないしたんその格好!?」
「レジアス中将が『私に勝ったら六課の予算に幾らか回してやる』って言うから、少しでもはやての役に立ちたくて……」
半裸のフェイトはそこまで叫ぶと、悔しげに唇を噛んだ。
どうやらフェイトはレジアスと『政治的取引』をした挙句、スカンピンになったようだった。
しかし政治的取引に麻雀を持ってくるくらいなら、フェイトは相当な腕前の雀士なはず。
幾らなんでもここまでぼろ負けと言うのはおかしいと思われるが……
「でもレジアス中将の麻雀、ジャ○アンもの○太くんもいないんだ! こんなルールわからないよ!! ノーテン罰符って何!?」
「……フェイトちゃん、それ麻雀やなくてドンジャラや」
どうやら根本的にゲームを間違っていたらしい。
半裸のフェイトを足蹴にしかねないレジアスは、表情を変えずにはやてに告げる。
「八神、お前のところの部隊はどういう教育をしているんだ? この執務官、一ミッドも持たずに鉄火場に来よったぞ」
ちなみに一ミッドは現代日本の一円相当の金額である。
レジアスの台詞には、表情には出ていない嘲笑の感情がやや含まれていた。
はやてはそれを感じ取り、拳をぎゅっと握り締める。
「レジアス中将、フェイトちゃ……いや、ハラオウン執務官をどないするおつもりですか」
「どうしようと私の勝手だ。すっこんでろ八神」
その物言いで、はやての導火線に火が点いた。
元々楽しい休暇がお流れになって少々イライラしていたのだ。それにレジアスとは、ある因縁がある。
表情そのままで静かに闘志を燃やすはやては、レジアスの挑発にこのまま乗ってしまうことにした。
「……わかりました。麻雀を打(ぶ)ちましょう。なのはちゃん、入ってくれへん?」
「え、でも私……家族麻雀くらいしか打ったこと」
「ええから!! 部隊長命令やっ!!」
「は、はい!!」
はやての尋常ならざるオーラを感じ取り、なのはは自分でも驚くほど素直にはやてに従っていた。
これが数々の交渉を乗り越え、齢十九で一部隊を築いた少女の『気』なのだ。
東・オーリス。南・なのは。西・はやて。北・レジアス。
部屋の真ん中から全自動卓と椅子が自動的にせり上がり、局が始まった。
「ハラオウンだけでは物足りんな……レートはどうする、八神」
「そうですね、点アインへリアル(1000点につきアインへリアル一機分相当の予算)でどないですか?」
「……よかろう。お前が負ければ六課は当然予算不足で削減対象だがそれでいいのか?」
「かまいませんよ? 負けへんかったらええわけですし」
「その減らず口、いつまで続くかな」
局が始まり、皆卓に意識を落とす。
なのは以外の三人は牌の捨て動作からして洗練されている。
フェルト張りの卓から、ビシビシと牌を捨てる乾いた音がしていた。
「ロン。1000は1300です」
東二局、オーリスは二フーロの後にアガり。
オーリスが手牌を晒すために牌を指で撫でた瞬間、触った牌に光が点ったような幻想をなのはは見た。
魔法が使えないはずのオーリスの見せた芸当に、つい反応してしまう。
(ほ、蛍返しだ……!!)
思わずなのはは息を呑む。通常の勝負の枠を超えた麻雀だけが魅せる光景。
牌を掴むなのはの手に気持ち悪い汗が伝った。
一方のはやては冷静に局を薦めていく。
オーリスやレジアスの打ち方を見ながら、二人のクセの研究を続ける。
「ロンだ。七対子で裏ドラも乗ったな」
次の局は早めに勝負がついた。なのはが捨てた牌を見てレジアスがアガりを宣言。
レジアスに点数が追加され、逆になのはの点数が下がる。
なのはは責任を感じ、半分涙目になって上家のはやての顔を見た。
「はやてちゃん、ごめん……!!」
「大丈夫。なのはちゃんはなーんも心配せんでええ」
そんななのはを見てもはやてはまったく動じない。むしろ余裕さえ感じる。
はやてはいつもの通りのスロースタート。
時にはオーリスに振り込み、時にはなのはを助ける。
そうこうしているうちに調子が上がってきた。
(ほな、行こか! リインフォース!!)
はやての気配が一気に変わる。
はやての体からオーラが吹き出し、真っ黒い翼が背中から生えたような幻想をレジアスもオーリスもなのはも見た。
オーリスはその様子にたじろぎながらも、はやての手を封じようと牌を打つ。
(八神二佐の得意手は嶺上開花でのツモアガり。それだけは阻止する!)
レジアスとオーリスによるコンビ打ち。
これに先ほどは局員を加えてフェイトを狙っていたのだ。
オーリスが回し、レジアスが決める。まさにゲイズ親子の阿吽の呼吸がなせる技だ。
今回もそれではやてを撃破するつもりだった……のだが。
「甘いわオーリス三佐。ロン」
「え?」
はやてはオーリスが捨てた牌に即座に反応した。
オーリスが警戒していたリンシャンツモなどはやては端から狙っておらず、
出来た役には東牌が3個、北牌が2個。
「東北新幹線や!」
「そ、そんな役聞いたことがないわ!! 認められませんっ!!」
「しゃあないですね、ローカル役やしなぁ。ほんなら一気通貫と混一色と……」
「くうっ……!」
はやてに振り込んだオーリスが唇を噛む。
しかしこの程度でへこたれる様では百戦錬磨の副官は務まらない。
さっきよりも警戒を強め、徹底的にはやてにアガらせない。
(あー、さすがにちょおキツいなぁ……オーリス三佐、なかなか絞るの上手いやん)
さらに、オーリスは一計を案じる。
指でトントンと数回卓を何気なく叩き、レジアスにサインを送る。
(父さ……中将、あれで行きましょう)
オーリスの手には牌が握られていた。
それは、レジアスの河から予想した『レジアスの欲しい牌』だった。
通称・エレベーターと呼ばれるれっきとしたイカサマ。
気づかれないように表情も変えず目線も一瞬だけ合わせ、それを伝える。
(待て、幾らなんでも)
(方法はどうあれ撃ち落とせばいいんでしょ、八神二佐を!)
(そうか、お前が言うなら……)
レジアスはそっと卓の下に手を伸ばした。
幾多の勝負どころで使ってきたイカサマである。その動作は洗練されており、後ろから見ない限りまず気づかれない。
オーリスから渡された牌を、なのはやはやてに気づかれないように自分の手牌に混ぜた。
その後は何事も無かったように繕い、ゲームを進める。
(今年度の予算の件、忘れたとは言わせんぞ八神!)
イカサマをしてでも勝ちたい理由がレジアスにはあった。
数ヶ月前に行われた今年度の地上本部予算争奪麻雀大会で、はやては見事に優勝。
対するレジアスは、よりによって決勝戦ではやてに狙われて点数と予算をごっそり奪われた。
長年管理局に勤めてきてキャリアも人望も厚かったレジアスにとって、
みっともない負け方をしたと言うことは面目にかかわる。
「ロン。大三元だ」
レジアスが自慢げに手牌を倒し、役を見せた。
にやりと歯を見せながらはやてに向かって笑い、はやての動揺を誘おうとする。
「おー、役満やないですか。いいなぁ……」
当のはやては、きれいに揃ったレジアスの手牌を見て素直な感想を漏らす。
そして、動揺する代わりにややうつむきながらぽそりと一言付け加えた。
「でも、今度からは牌はちゃんと山から取ってくださいね♪」
「っ!?」
はやての台詞に、逆にレジアスの精神が揺らぐ。
はやてがどんな表情をしているのかは、前髪の陰に隠れてよく見えない。
しかし、明らかにはやての意識が変わったのだけは感じ取れた。
(失敗は無かったはず……でもそれを見抜きながら、しかもあえて見逃したですって!?)
オーリスも当然その一言が耳に残って離れない。
イカサマに気づいたならば、その瞬間腕をつかんでしまえば当然無条件ではやての勝ちである。
しかしはやては何も言わなかった。獲物を狙う肉食獣のようにその影を潜めている。
(かましてくれるやんか……ほんならこっちもやったろかな、イカサマ。覚悟しいや……!!)
一度流局した後、はやてが牌を引く番がやってきた。
はやてが親指と人差し指と中指を使い、包むように牌を持ってくる。
その時、なのはははやてから違和感を感じた。
(この気配……!?)
オーリスやレジアス達は気が付かない様だが、どう考えても魔力だった。
しかし牌をすり換えるために仮に転移魔法を使ったとしても、一瞬だけではどうしようもない。
魔法陣が派手に出て、幾らなんでも視覚的に即バレてしまうだろう。
だが先ほどのはやてから感じた魔力は一瞬で消えた。
いったいはやて何を考えているのかわからないまま、なのはも牌を捨てた。
(ん、あの捨て方はまさか)
レジアスはふとはやての捨てた牌がある河に目線を落とした。
字牌と老頭牌があからさまに無い。
それらを狙って集めているのが容易に見て取れる。
(国士無双……? 万が一アガられるとさすがにまずいな。オーリス、白を集めてくれ。あるんだろ?)
(わかりました)
はやての手を封じるために、慎重に通しサインが交わされる。
卓の下での一瞬のやり取りの後、オーリスの手元に白牌が四枚揃った。
しかしオーリスはカンをかけずにそのまま四枚を集めて持つ。
この局が終わった時にオーリスの手牌を見て悔しがるはやての顔が、レジアスには容易に想像できた。
緊張感からやや開放されたレジアスは、一筒を場に捨てる。
「ロン」
「なにっ!?」
しかし、はやてはレジアスの捨てた牌にすぐ反応した。
パタパタとはやての手牌が倒れ、はやての役が晒される。
「御無礼。ダブル役満でええですか? これ」
一・九萬、一・九筒、一・九索、東・西・南・北・白・發・中。
それにレジアスが放った一筒を加えれば唯一無二の役が出来上がる。
発祥の地である地球の国では『天下に並ぶ者の無い優れた人物』を表す言葉となるその役を見た瞬間、
レジアスの額から冷や汗が噴き出した。
「ばっ……ばかなっ!? 国士無双十三面(ライジング・サン)だと……!?」
にこやかなと言うよりは奥に何かどす黒い感情を秘めたような、冷たい笑み。
手牌を開いた時のはやての表情はいつもとは違っている。
はやては右手を卓に、左手を腰に当ててレジアスに詰め寄った。
「何ですか? まさか白が五枚あるんですか? そんなオカルトありえへんですよねー♪」
イカサマだろうと分かってはいても、現行犯で指摘できなかった時点でどうしようも出来なかった。
はやてのその目線に、レジアスは苛立ちと同時に19歳の少女らしからぬ凄みへの恐怖も感じていた。
その後数局打ったが既にはやてを止める術は無い。
希少な役も飛び出しながら、レジアスをどんどん突き放す。
「御無礼。門前清一色平和でドラは……あー、裏ドラ乗らんかったか」
「御無礼。嶺上開花断幺九対々和三暗刻三槓子ですね」
「御無礼ですー。リーチ一発門前混一色チャンタ二盃口にドラドラっと」
はやてが点数と予算をごっそりとかっさらい、部屋から出て行った後。
レジアスはデスクで絶望に打ちひしがれながら頭を抱え、オーリスはそんな父に詰め寄っていた。
「どうするんですか父さん!? アインへリアル何機分の予算を八神二佐に……!!」
「わからん……ワシにも、わからん……っ!!」
動揺した姿の父を見て、オーリスは唇を噛んだ。
窓の外の夕日を見つめれば、深層心理が自然と口からあふれ出す。
「八神はやて……まるで人の姿をした鬼だわ……」
無事開放され、三人は足早に地上本部を後にした。
執務官の制服を取り戻したフェイトと陸士の制服姿のなのはが、はやてと並んでミッドの街中を歩く。
レジアスをコテンパンにしてすっきりしたのか、はやての顔色はすこぶる良い。
と、なのははふとさっきの対局で疑問に思ったことをはやてに聞いてみた。
「はやてちゃん、さっき魔法使ってた気がしたんだけど……何かしたの?」
「あーあれな。なのはちゃん、ちょおコレ見て。こっそり途中ですり替えといたんよ」
上着のポケットから、はやてがタバコチョコと共にある物を取り出した。
それはさっきまで使っていたはずの麻雀牌。
はやてはその牌を、なのはの手の上に置いた。
「これはさっきの局で使ってた牌……あれっ!? け、削れてる……!?」
なのははその白牌の異常にすぐ気づいた。
中央部分が異様にえぐれている。
まるで何かで削り取ったかのように、新たな面が出来上がっていた。
「『轟盲牌』や。私の力じゃ握り削るのは無理やしな。魔法使わざるをえんかったんや」
この牌をツモった時にはやてはちょっとした魔力を手の先にこめていた。
その魔力で魔力刃を生成し、牌の表面を削り取ることによって白牌を作り出す。
魔力の無いレジアスとオーリス相手だったからこそ出来たイカサマであった。
「あ……ありえない、あの局面で……」
フェイトは目を丸くして、はやての大胆なイカサマに驚いていた。
確かにレジアスもオーリスも魔法の素質は無いものの、それなりに部屋にセキュリティを敷いている可能性はある。
何らかの形でイカサマがバレれば、今頃どうなっていたかなどわからない。
「さて、フェイトちゃんも無事帰ってきたし、今から六課メンバーと打(ぶ)たへんか?」
「え、ええっ!? でも私……」
「だーいじょうぶ。フェイトちゃんには私が麻雀とドンジャラの違いをしっかり教えたるさかい」
咥えていたタバコチョコをパキンと歯で割り、はやてはにこっと微笑んだ。
―――――同時刻。
『……ドクターですか? ……ええ、『八神はやて』はなかなかの玄人、いや雀士です』
「そうかそうか。ありがとうドゥーエ」
局員としてレジアスの傍で諜報活動をしているドゥーエからの通信を切ると、スカリエッティはまた卓へと体を向けた。
対面にウーノ、上家にトーレ、下家にクアットロ。
全自動卓によって牌が混ぜられ、17牌2段の山が現れる。
「どうしました? ドクター」
「いや、これから始まる宴に思いを馳せていただけさ……」
クアットロの問いに、スカリエッティはそれだけ答えた。
ビシィッ!! と音を立て、スカリエッティの手から卓へ一筒が捨てられる。
貨幣の形を象ったと言われるその大きな丸が、卓の真ん中で自己主張していた。
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目次:夜天牌 〜リリカル麻雀飛竜伝説〜
著者:CRR
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そんな分かりきったこと聞きません。得意わざとが嶺山開花、続編の「あきらめたら終わり」とか、明らかに咲のパロディな部分があります。
>元ネタは咲-saki-ですか(笑)?
『ムダヅモ無き改革』でクグれ。
元ネタは咲-saki-ですか(笑)?