114 名前:ユーノ ストリップ劇場へ行くでござるの巻 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2010/12/31(金) 18:17:44 ID:3PkjI5To [2/3]

 無限書庫司書長ユーノ=スクライアには幼き頃からの密かな夢があった。
それはストリップ劇場に行く事である。ストリップ劇場は女性の踊り子が衣服を脱ぎながら踊る
との事だが、ユーノにはそれが一体如何程の物なのか子供の頃からずっと気になっていた。
無論子供の時点ではそんな物を見に行けるはずが無い。

 しかし今は違う。ユーノも立派な大人である。故に意を決してストリップ劇場へ足を運ぶ
決意を固めていたのであった。

 だが問題が無いわけでも無いのも事実。何しろストリップ劇場である。もしもそういう所に
足を運んでいると言う事が知人に知れたりしよう物ならばユーノは確実に笑い者にされてしまうだろう。
クロノならば絶対面白がって周囲に言いふらす。そんな事になればユーノは破滅だ。

 故にユーノは知人に知られない様に注意深くストリップ劇場へ向かい、チケットを購入して入場するのだった。

 やっと劇場内の席に座って後はショーが開始されるのを待つだけ…と思いきや、ここで案の定ユーノは
知人に見付かってしまうのである。しかも相手は女性。男の知人に知られるならともかく、女性とあっては
確実にユーノはスケベ男認定は必至である。だが…ここから少し違っていた。

 そもそもその女性は一体何処にいて、何処からユーノの存在を知ったのかと言うと…
それは舞台の上。何と『彼女』はストリップ劇場のストリップダンサーになっていたのだった。

 これはユーノにとって大ショックだった。ユーノにとって幼馴染でもある友人の『彼女』が
まさかこんな所でストリップダンサーをしているなんて…何か悪い夢であって欲しかった。

 『彼女』は幼少の時点で既に優れた魔導師の才を発揮していた。それは『彼女』に直接
魔法を教えたユーノが一番良く分かっている。ユーノでも使いこなせなかった強力なデバイスを
使いこなし、強力な魔法を次々にマスターするのみならず、世界の存亡に関わる様な大きな事件の
解決にも貢献した彼女の姿にユーノも嫉妬どころかむしろ興奮していた。

「彼女はきっと歴史に残る大魔導師になる!」

 ユーノはそう確信していた。これは確実に歴史に名を残せるレベルの逸材だと。

 その後ユーノ本人は魔導師としてでは無く、司書としての道に進む事になったのだが、
『彼女』はますます魔導師としての腕に磨きをかけ、エリート街道まっしぐら…と思っていたと言うのに…
現実は非情。一体何処で道を間違ったのか、『彼女』はストリップダンサーになってしまっていた。

 ユーノが『彼女』の顔を見間違えるはずが無い。しかも『彼女』の首には昔ユーノが送った
デバイスがアクセサリーとして下げられている。これは他人の空似でも何でも無く間違い無く彼女だ。

「クロノ…キミの言った事は正しかった。やっぱりこの世界はこんなはずじゃない事ばかりだよ…。」

 ユーノは泣いた。『彼女』が鼻息を荒くさせている大勢の男達の前で衣装を一枚一枚脱ぎ下ろし、
豊満に育った乳房を揺らしながら卑猥な踊りを披露していく姿にユーノは涙するしか無かった。

 一体彼女に何があったのか、ユーノはそれが知りたかった。あんなに凄い魔導師だった『彼女』が
何故こんな所でストリップダンサーをやっているのか…

 『彼女』も客席にユーノがいる事に気付いているだろう。しかし、動揺する素振りを見せる事無く
平然と卑猥なポーズを取り、音楽に合わせ踊り続ける。時には舞台に観客を上げて乳房を揉ませる
なんて事もやっていた。その様がユーノには自分自身が刃で切り裂かれるかの様に苦しかった。

 確実に歴史に名を残す事が出来る程の優秀な魔導師になると信じていた『彼女』が
ストリップダンサーとなってその肢体を男達に対し見世物にしていた。その余りにも非情すぎる
現実にユーノはショーが終わるまで…いや終わった後もしばらくの間涙を流し続けていた。

「一体何があったんだ? 何かあるなら…せめて僕に相談位して欲しかった…。」

 後で『彼女』の楽屋を訪ねてみる事も一度は考えたが、結局ユーノはそうする事無く
ストリップ劇場を後にした。

 『彼女』はその後もストリップダンサーとしてその美し肌を人目に晒し、豊満な乳房を揺らして淫らに踊り続ける。

 END


著者:◆6BmcNJgox2

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