最終更新: nano69_264 2012年09月02日(日) 15:00:04履歴
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■ 4
アインスは内勤職員制服の胸ポケットからカード型ストレージデバイスを取り出し、クロノに手渡す。
カード型デバイスは戦闘用以外にも、管理世界におけるデジタル携帯機器の標準的な形状に用いられている。
アインスの制服は、胸の生地が大きく張って盛り上げられており、そこへポケットに物を入れれば、乳房の圧力によって締め上げられる様子がつぶさに観察できる。
クロノとアインスの身長差では、ちょうどクロノの目の前にアインスの胸が来る。
普通に立ったままアインスに身体をもたれれば、ちょうど胸の谷間に顔を預ける体勢になる。
眼鏡のレンズに瞳の赤色が反射し、アインスの目が幻想的にゆらめいて見える。くっきりとした力強い睫を纏った切れ長の目は、その表情によっては優しく垂れ、眼差しをくれる。
胸が激しく高鳴り、膝が震えている。アインスの視線に捕らえられ、クロノは自分の股間から、何かが漏れていくようにあふれ出すのを感じた。実際にもらしたわけではない、緊張のあまり、精気を吸い取られてしまっているように感じる。
手の震えを気取られないように必死で意識を保ちながらカードを受け取り、自分の着けている執務官用ポーチに入れる。
無限書庫に依頼していた、これまでに発見されていたジュエルシードの発動した記録および周辺住民への臨床データ。これをもとに、第97管理外世界でのジュエルシード処理が適切になされた事を証明する。
これを受け取りに来るだけだったはずだが、今は、その本来の用事を忘れてしまいそうになるほど、胸が切なく締め付けられる。
今日これで帰ったら、次に無限書庫に来ようとすればどんな用事を作らないといけないのか。アインスに会いに行くためにどういう言い訳を、リンディやエイミィにしなければならないのかということである。
そのこともアインスはお見通しだ。今渡されたカードを、そのまま持ち帰ればクロノはそれっきりだ。無限書庫から出てくる資料は、そのままではただ過去のことがらを列挙しただけのもので、整理はされていない。
これからの仕事の進め方を考えるなら、ここで、ここにいるうちに、資料のまとめを行う必要がある。
「使うならあの端末が空いている」
指差して示され、クロノはおずおずとコンソールに向かった。カードをスロットに差し込み、魔力投影のタッチスクリーンのスイッチを入れる。
とはいえ、こうしてアインスと二人きりで小さな部屋にこもるということは、それだけでも、クロノの意識を激しく惹きつける。
スクリーンに表示させた資料の文書を読もうとするが、なかなかまるで頭に入らない。
アインスは待っている。クロノが、自分に助けを求めてくることを待っている。この状態で、クロノがどうこうできることはない。できたらそれは大した自制心だといえるだろうが、それを思春期の少年に求めるのは酷なことだ。
コンソールの操作席に腰を下ろしたクロノは、そこから身を動かすことができなくなっていた。
席に座って作業を始めたのに、また立ち上がるということはアインスのところへ向かうということである。アインスのところへ向かうということは彼女に面と向かって話しかけることである。それは、今のクロノにとっては刺激が強すぎた。
一方、クロノの向かい合わせの席についているアインスはコンソールに視線を落として自分の作業をしている。
クロノの位置からは、俯いた姿勢になっているアインスの目と眉根に前髪がかかり、さらさらの銀色が白い肌にコントラストを与えている様子が見える。
花びらのような白い瞼が瞳を隠し、なめらかな鼻筋、潤んで熟れた唇が、顔の肉感を強調する。少しの曇りもない澄んだ肌の頬が、白く輝いている。
そういえば昨日は意識しなかったが、年齢は、リンディよりは若いだろうか。化粧は最低限の薄いもので、口紅も塗っていないように見える。それでも、顔を飾らずとも稀有な美しさがある。
思えば、エイミィはまだ化粧はしない年齢だし、リンディも、たまに自宅で出勤前の身支度の様子を見ていると数十分もかけている。グレアムの下で修行していたとき、リーゼロッテにキスを浴びせられて首元などに口紅の跡をつけられた事もあった。
キスのときに口紅の味がしては気分が乗らないかもしれない、と思案する。大人はどうしているのだろう、とクロノは考えた。そして、今ならば、アインスに対してはそのような心配をしなくてもいいと気づく。
アインスも、対外的な業務を行うときは化粧をするだろう。女性の身だしなみとして、眉を整えたり口紅を塗ったりするのは当然だ。
口紅はどんな味がするのだろう。リップクリームと似たようなものだろうか。唾液に溶けて、飲んでしまっても問題は無いものだろうか。口紅が溶けるほどのキスは、やはり、公然の場所では避けるべきだろう。
何を調べているのだろう。無限書庫では、一応蔵書の整理という業務があるにはあるが、そもそも蔵書そのものの量が多過ぎ、収集される情報はまったく取捨選択されないまま蓄積されていくので資料としては使いづらいことこの上なく、管理局でも重視はしていない。
それゆえ、何らかの理由で第一線を退いた局員のとりあえずの雇用を確保するポストと位置づけられており、現に実際に業務を行っているのは今のところ、アインス一人である。
今、話しかけて大丈夫だろうか。彼女の仕事の邪魔をすることにはならないだろうか。柄にも無く、クロノは思考を激しく回転させて心配を繰り返していた。執務官といえば権限も大きく、多少の事なら一般職員をアゴで使えるとすら認識されている。
そんな執務官であるクロノが、自分の地位を忘れてこのように思慮しているのは、アインスに対する特別な感情に由来している事はもはや疑うべくもない。
無限書庫の中では、彼女にかなう者はいない。頭を下げて、彼女に乞わなければ仕事ができない。
まっさらの新人局員になったつもりで、アインスに、手取り足取り、腰取り、教えてもらわなければならない。
そうすることを、クロノも、アインスも、やりたいのだ。
そういう関係のやり方がある。二人きりで、つきっきりで教えてくれる。邪魔する者はいない。隣の席でうるさく電話したり雑談をする同僚もいない。ここでなら、気持ちよく作業ができる。
もちろん、気分転換に他の事も……。
ふらふらと、夢遊病者のように立ち上がり、クロノはアインスの席へ歩いた。歩く姿勢がおかしくなっているような気がしたが、もう、どうにもならない。
先日エイミィと散策に行った時、公園の庵の中で抱き合い、射精したが、ぎこちなさからほとんど発散できていなかった。
ただ無我夢中に抱きついて服の上から擦っただけで、きちんと愛撫をしたわけではない。ペッティング、といえるほどのこともしていない。結局あれから後は自宅でも、リンディの目も気になってろくに自己処理できず、数えてまる5日間ほど射精をしていない。
ほんの1ヶ月前まではそれでもなにも気にならなかった。第97管理外世界での一連の作戦任務の間も、もちろん自室で処理などすることはなかったし、高町なのはと接していてもそのような気分にはならなかった。
なのに、ここ数日は、ちょっと時間があくと下半身が疼いて仕方がない。最初は、なのはのことを思い出してなのかとも考えたが、やはり彼女にそのような感情はないと気づいた。
となればやはり、本局に帰ってきてから出逢った、あの銀髪の彼女に惹かれているからなのか──
「アインスさん、少し、手伝ってもらっていいですか」
何を手伝う?邪な行為を連想してしまう自分が恨めしい。男はみな獣、などというのはからかいの言葉だと思っていたが、今の自分を考えると本当にそうだという気がしてくる。
「わかった。ジュエルシードはこれまでにもいくつかの次元世界で発見されている、ロストロギアとしては比較的研究が進んでいるから取り扱いのノウハウもある」
「ユーノたち、スクライア発掘団が見つけた21個も、ある程度のまとまった単位で使用されていたと」
「テスタロッサ女史が企てたように、数十個単位で艦船の動力として使うことが出来たようだ」
「やはり、それ単体ではそれほど大きな力は無いものということですね」
似たケースとしてはやはり、発掘直後に複数のジュエルシードが接近していた状態で魔力があふれ出すという事故の例がある。これについても、次元震の規模を算出し、第97管理外世界における事例と照らし合わせて故意性がない事を確認する。
クロノの席の隣に立ち、横から腕を伸ばしてアインスはコンソールを操作する。この立ち位置だと、腕を伸ばした事でスーツの生地が引っ張られ、それがバストをさらに押し上げて盛り上がりを強調させる。
ラフに着崩したブラウスの胸元の合わせ目から、胸の谷間がぷっくりとこぼれ出しそうだ。
アインスはクロノの右手側に立っているが、この体勢ではアインスの左腕が、クロノとアインスの胸との間をさえぎる格好になる。なんとかして左腕ごしに、彼女の胸を見られないか。クロノの背の低さでは、アインスが膝を屈めていても高すぎて見えない。
「何を見ている?」
「い、いえ」
「嬉しいよ、お前がそうやって意識してくれていると」
微笑み。凛々しく整った顔立ちがつくる、強さと優しさを兼ね備えた微笑み。
吸い込まれそうな美しさがある。彼女に心を奪われたら、それはきっと恋よりも怖ろしい。
「データの保存を忘れるなよ。……時間がかかるようなら、ここには仮眠室もある。リンディ提督に連絡しておくか?」
そうだ、これは仕事だ。仕事が長引いて、今日は泊まりになる──それ自体はなんら珍しい事ではない。
今はフェイトの裁判の初公判が迫り、仕事が増えているから。言い訳は出来る。
リンディもエイミィも、そう言われてクロノを疑わなくてはならない理由は無いはず。二人は、無限書庫にアインスがいる事を知らないはずだ。
だから、何も心配する事はない。そのはずだと、クロノは自分に言い聞かせる。
「そうですね……。これはもう少し、かかりそうです」
本当なら、手早く片付けてさっさとベッドへ直行したいところだ。それでも、フェイトのためにきっちり資料を精査しておこうとしたのは、クロノの理性がまだなんとか踏みとどまっていた証拠だった。
アインスに指摘され、確かにクロノは、自分はフェイトを意識していたと思っていた。
彼女はプレシア・テスタロッサによって作られたクローン、人造魔導師である。クローン体であるというだけでは、それは少なくとも医学的には普通の人間と全く同じである。問題になったのは彼女の人格形成である。
当然ながら、ただのクローンでは記憶は引き継がれない。胚から神経細胞が形成されていく段階で何らかの原始記憶のようなものが生成されているのではないかという仮説はあるがあくまでもオカルトの領域である。
プレシア・テスタロッサが求めたもの、すなわち死んだ人間を蘇らせることは、いかにクローンを用いても実現できるものではない。だからこそ彼女はアルハザードを目指し、そのためにジュエルシードを集めた。
フェイトは、生まれてからずっと、プレシアが所有している時の庭園で過ごしてきた。外の世界というものを全く知らなかった。
そんな人間を罪に問うことが出来るかといわれれば、現在の法制度では情状酌量の余地は大きい。
「アインスさん──、今回の、PT事件は、グレアム提督は知っているんですか?」
「そうだ。機動一課から調査報告が上がった」
「しかし、僕らアースラには、本局からは何も音沙汰がありませんでした」
もし第97管理外世界におけるジュエルシード流出を本局が察知していたのなら、ただちに対策部隊が派遣されるはずである。それがなく、たまたま近くにいたアースラに調査任務が割り当てられた。
本局は何か、第97管理外世界に近づけない事情があったのか。確かに魔法技術のない管理外世界となると、大掛かりな捜査が難しいのはわかる。だがそれ以上に、本局の動きの不審さが目立っていた。
ジュエルシードの影響を過小評価していた──傍目にはそう見えるかもしれないが、クロノにとっては引っ掛かりがあった。
「正直、管理局の──上層部に、何かを企んでいる者がいる──ただの陰謀論だと僕も思ってたんですが、本当にそういう事がありそうな気がしてくるんです。
しかし、今回の事件は──、いってみればロストロギアの不法所持が問題なだけで、これが何かに影響するというような心当たりがありません」
喋りおえ、ため息をついたとき、不意にアインスがクロノの肩に手を回し、もたれかかってきた。
胸の柔らかさが肩に当たり、アインスの肩口からこぼれた髪が流れ、クロノの首筋から喉元までを撫でながら落ちていく。
心臓がどきりとした。ここ数日、味わうようになった、心地いい緊張だ。女性に接近されてどぎまぎするという、子供の頃だったらわからなかった感情。
男は、女に近づきたい、触れたいと願う。それは本能だ。男としての、欲望だ。
一般的にはそれは性欲だ。男は、ある程度の年齢になると、女とセックスしたいという欲望が生まれる。クロノももうそんな年齢になった。
椅子の上で硬直しているクロノに、アインスはゆっくりと手を回し、クロノの胸を撫でるように指を組み、クロノを斜め後ろから抱きしめる体勢になった。
クロノが椅子に座ったままなので、アインスは中腰で、クロノに身体を預けて体重を支える。アインスの重みをいっぱいに感じ、クロノは自分の肩に触れているアインスの乳房を、手で掴みたいという欲望が芽生えた。
「あ、アインスさん、とりあえずジュエルシードの資料はまとめました、少し休憩しましょう」
慌てて、席から立ち上がる。アインスも一旦クロノを離し、それでも近い距離を保って立っている。
アインスに見下ろされ、クロノは、とうとう観念した。
今日は、無限書庫に泊り込む。その目的はもちろんひとつしかない。
互いに、それは理解し、はっきりと言葉に出さなくとも互いに求め合っている。アインスはそっとクロノに手を差し出し、クロノも黙ってアインスを見上げながらうなずき、そっと手を取り、アインスの胸に飛び込んだ。
そのまま、しばし、立ったまま抱き合う。
両手を、祈るように組み、アインスはクロノを抱きすくめる。クロノもさすがに慣れてきて、落ち着いてアインスに身体を預けている。
股間の動きを気取られないようクロノは腰を引こうとするが、アインスはクロノの背を押して制し、密着状態を続ける。
何も恥ずかしがる事はない。むしろ、自分に意識が向けられているのは嬉しい。その感情表現はアインスもエイミィも同じだったんだとクロノは理解した。
「グレアム提督は、大規模な部隊を派遣してしまうと闇の書を刺激することになると考えた。近くにいたのが、リンディ提督の艦であったことが幸いした。
もし闇の書が不意の起動をしてしまえば、もたらされる被害はジュエルシードの比ではない」
声が、肺に響き、アインスの胸からクロノの耳へ、密着した肉体が空気を介さず直接声を伝える。
アインスの肉体に響く、彼女の、鋭利な金属楽器のような澄んだ宝石のような声。言葉だけで、船乗りを惑わす妖精セイレーンのように心を奪われてしまう。
「闇の書は複数あるんですか?本局で、機動一課が封印をしようとしていたと……」
「魔導書端末を自己複製可能なことが判明している。これによって転生機能を実現している──ただ、では現存する魔導書をいちどに破壊する事が可能かといえばそうではない。
これはある種の波動関数になぞらえられる。本局にある魔導書と、第97管理外世界にある魔導書を同時に攻撃して破壊することは相対論的に不可能だ。必ずどちらかが生き残り転生してしまう。
闇の書が生成するどの魔導書も中核としての機能を代替でき、今のところ、グレアム提督の調べでも全宇宙にある闇の書の全てを把握する事はできていない」
クロノを抱きしめるアインスの腕の力が強くなる。クロノを、ぎゅっと、堪えるように抱きしめる。
「このロストロギアが人工物なのかそうでないのかというのも確定は出来ていない」
「というと──?」
つま先を踏ん張り、やや背伸びした格好になるクロノと、クロノを抱きしめて背をかがめた格好になるアインス。
胸に抱きしめたクロノの耳に口を近づけて、そっと言葉をささやく。
「もし──闇の書が自然発生したものだとしたら、人類は生態系の頂点から転落することになる」
無限書庫の中は静寂に満ち、執務室に設置されている情報端末がかすかに冷却ファンの風切り音を出している程度だ。
アインスの言葉の意味を、クロノは理解するのに数秒かかった。ロストロギアと生態系がどう関連するのか。闇の書は生物だというのか。
たしかに、有機物を構成材料にするロストロギアもこれまでに発見されているが、それはただ材料が有機物であるだけで実質はただの機械だった。
そこまで考えて、クロノはあるひとつの答えを閃いた。
「闇の書が──その内部に持っている、プログラム生命体──それが本当に生命体として動き出したら、いつか、生身の人間が駆逐されてしまう──そういうことですか?」
アインスはしばし、応えを待つ。クロノが自分で思考し導き出した結果を、クロノ自身に言葉に出させ、再度の検討を促す。
その言葉、クロノ自身が予想した仮説がもし正しければ何が起きるのか。それを、考え続けさせる。
「闇の書は、守護騎士という、主となった人間を守る仕組みがあると聞いています──母さん、リンディ提督から聞きました。
過去の事件でも、闇の書に向かうまでにまずこの守護騎士を突破しなくてはならず管理局側にもかなりの損害が出たと──
しかし、彼らは、主の命令に従うだけのプログラムではないのですか?それが、ただ、人型をしているだけという──」
「単なるプログラムの枠に留まらない可能性が出てきている。彼ら、闇の書の戦闘端末が、単なる魔力兵器ではなく、独立した生命体である可能性が出てくる。
そうなれば、──われわれ、人類は、喰うか喰われるかの戦いに挑まなくてはならなくなる。
──クライド艦長が、グレアム提督に託した闇の書の実態を、私はこの無限書庫で調べ続けてきたのだ」
「アインスさん……」
父の遺志を継ぐ人間がいた。それだけでも、クロノにとっては抗いがたく心を動かされることである。
そしてアインスにとっても、クライドを救えなかった自分ができるせめてもの償いであった。だからこそ、クロノに惹かれているのかもしれない。クロノ・ハラオウンという少年を、ただの執務官としてではなく、クライドの血を引く男として見ている。
ひそかに、しかし着々と次元世界を侵食しつつある闇の書に立ち向かう、おろかでしかし健気な勇者たち。
彼らを止めることはできない。人間は、敵とみなした存在を殲滅するまで戦いをやめない。
「クロノ、まずはいったんすべてを忘れて、頭を整理しよう。休息をとることは大事だ」
「はい」
アインスに促され、クロノは無限書庫近くに隣接して増築された居住区画へ足を踏み入れた。
一応、体裁としては無限書庫職員のための福利厚生施設という扱いになってはいるが、今のところ利用するのはアインスしかいない。
管理局のほかの部署の職員でも、オフィス内のレクリエーションルームを半ばカプセルホテル代わりに使って泊り込みの仕事をしている者がいる。
そういった施設はしっかりと予算をかけて備されているが、この無限書庫の部屋は間に合わせ程度のつくりで雑然としていて、しかしそれが不思議と、長年住み慣れた古巣のような安心感を醸し出している。
女の部屋に招かれる。アインスも実際には、クラナガンのどこかにきちんとした自宅を持っているのだろうが、この部屋も実質、アインスのセーフハウスのひとつといったようなものだ。
任務の性格上決まった住居を定めておけない秘密捜査官が町のあちこちに確保しているベッド、といった趣きである。
部屋の中に吊るしてあるハンガーに、まずスーツのジャケットを脱いで掛け、それからスカートのサイドホックを外す。クロノにとっては初めて見る、働く女性がスーツを脱ぐ瞬間であった。
アインスはストッキングを使わず、膝上まである黒いハイソックスを穿いて太ももは素肌を出していた。
たまらない刺激だった。座っていても、立っていても、スカートとソックスの間のわずかな部分から露出する素肌が、輝く星のようにクロノの視線を釘付けにしていた。
下着の上に白いブラウスを纏っただけのアインスの姿は、14歳のクロノにとってはあまりにも煽情的に過ぎた。
もともと開けてあった胸元からのぞく谷間もさることながら、ブラウスの裾に半分ほど隠された尻は、股下の部分が見え隠れし、クロノはアインスの後姿を見つめている自分を危うく見失いそうになった。
視姦、である。ただ見て興奮するだけではない、そこに自分の性器を突っ込む事を想像している。
タイトスカートの拘束を逃れたアインスの尻は、まさしくはちきれそうなほどの肉の弾力を惜しげもなく見せ付けていた。
ヒップサイズは間違いなく100センチ以上あるだろう。少なくとも、リンディより大きい。
一児の母であるリンディよりも、大きな腰。骨盤内部に収められている子宮の容積は想像を絶する。そこから伸びる両脚も、ファッションモデル並みの高い身長を持つアインスの体格にぴったりと調和した、しなやかなものだ。
街を歩くそこらの娘のように、無理なダイエットをして鳥がらのように細くなっていたりはしない。鍛えぬかれた筋肉が土台にあるであろう、引き締まった太もも、ふくらはぎ。肌の張りが、均整の取れたボディのシルエットを生み出している。
片足ずつを上げてハイソックスを脱ぐアインスの姿に、クロノはさらに、立ち尽くしたまま硬直した。自分の股間が激しく勃起しつつある事をもはや忘れるほど、アインスの後姿に見入ってしまっていた。
上体をかがめ、つま先からソックスを引っ張る態勢になると、アインスの穿いている下着があらわになる。その肉感的なボディからは一見あっさりとしすぎているほどにも思える、柄も飾りも無い純白のパンティ。かすかに、レースの縁取りがあるのが見えた。
それでもこのアインスの腰と尻を包み込むのは容易ではなく、布地はぴんと張り、股間の肉がその形をくっきりと浮かび上がらせていた。
アインスはクロノに背を向けているので、かがんだ状態で股間がクロノの目の前に見せ付けられる格好になる。
女性の陰部は、前のほうから順に尿道口、膣口、肛門と3つの穴が並んでいる。このうち尿道口と膣口は、ひだのような形をした陰唇に包まれ、外からは肉の割れ目のように見える。ここまでは、クロノも学校の保健体育の授業で習ったので知っていた。
ただし、実物をしっかりと見た事は無かった。幼い頃、リンディと一緒に入浴していたが、その頃のクロノにはそんな知識も意識もなかった。
魔法学院初等部の頃、ほんの数回、リンディと一緒に風呂に入ったとき、彼女が浴槽から上がるところでなんとか股間を見上げようとしたがついにかなわかなった。
クロノの目の前、わずか1メートル半かそこらのところに、アインスの股の間が、薄手のパンツに覆われただけの無防備な状態で見せ付けられている。
ぱんぱんに張ったパンツの布が、むしろこのほうがより淫猥だと思えるほどに、アインスの女性器の形状を浮かび上がらせている。
内股まで余すところなくついたなめらかなもも肉に挟まれるようにして、二つのすじ状の盛り上がりがある。クロノの目が疲れていたせいではないだろう、二つの盛り上がりの間が、わずかに湿っている。
すじ状の盛り上がりは身体の前側、つまり太ももに隠れる下側に向かうにつれて太くなだらかになり、パンツの布地もそれにつれて引っ張られ、ついに割れ目に食い込んでいる。
そこから先は陰になって見えないが、それでも、普通に正面から向かい合ったままでは見えない、女性の股間の様子を、クロノはあまさず観察する事が出来た。
わざと見せたのだろうか。アインスは、クロノに対してきっちり真後ろを見せた。横を向いたりすれば、脚に隠れて股間は見えないだろう。
アインスは、見せたかったのだ。クロノに、見て欲しい。これからやることをしっかりと心に意識して欲しい。
そう思っていた。
「クロノ、ハンガーはこれを使え」
時間にしてほんの10秒にも満たない間だったが、アインスの声にクロノはあわてて我に返った。
スーツの上着をハンガーに掛けた後、スカートのホックをはずしてからソックスを両足とも脱ぐまで。ほんのわずかな時間だったが、クロノの意識はその間完全に奪われていた。
もはや言い訳は出来ない、とクロノは思った。
管理局執務官として、またただでさえ14歳という若年での勤務で、なにかと自分に厳しくなりがちだった。浮ついたことなどあってはいけない、たとえどんな場所、場面であっても、厳格に、真摯にあらなければならない。
それはそれで立派な心がけではあるが、今のアインスが求めているのは違う。
闇の書の犠牲となったクライドの一人息子である。クライドの血を引くただ一人の人間である。クライドの命がこの世から喪われ、しかし残った、ただ一人の人間。ただ一人の男。
かけがえの無い人間である。世界中で、クロノしかいない。
アインスにとっては、他の男がどれだけいても意味が無い。クロノでなければ意味が無い。
クロノを、絶対に失いたくない。
その思いを、クロノに伝えたい。
クロノの上着を脱がせるため、襟に手を掛ける。アインスの手のひらがのど元に触れ、クロノはかすかに身震いした。
やわらかく、しかし力強い手のひら。デスクワークしかやっていないというわけではないだろう、戦闘魔導師であるクロノには、アインスにも同じように、強力な魔法を使いこないして戦うことが出来る、特有の強靭な皮膚ができあがっていることが感じ取れた。
手を見れば、熟達者なら相手が優れた魔導師かどうかがわかる。
エース級魔導師。それほどの力を持つ人間であっても、人間である以上、単純な魔力量だけでは戦えない。
心が強くなければ戦えない。どんなに歴戦の魔導師であっても、いつか、杖を置き、一線を退くときが来る。
「……どうした?」
宙を見るような目でハンガーを受け取り、何度か袖口を通しそこねながら上着を掛ける。
上をワイシャツだけ、下はズボンのまま、クロノはアインスを見上げた。
「アインスさん……」
見上げ、見下ろす。自然、上目遣いになるクロノ。普段は強がっているのだろう、少年の、純な瞳。管理局員になっていなければ、今頃は一般学校の中等部3年生、最後の学園生活を送る年齢だ。
まもなく大人になろうとしている少年。普段は重厚なデザインのバリアジャケットで鎧っている、年齢相応の少年の心。
きっと彼は、まだ女を知らない。グレアム提督が、自身の使い魔二人を師匠につけて修行させていたと聞くが、もちろん彼女らとてきちんと線引きはしていただろう。
その一線を、初めて踏み越えるのが自分なのだ。アインスと、クロノ。互いに初めてで、そして、互いに因縁を持つ。
「──クロノ。──私に、見せてくれ──私も、お前を見たい」
「はい──きれいです、アインスさんの──ぜんぶ」
互いに。
最初にアインスが一歩を踏み出して上体を近づけ、それに応じるようにクロノがアインスの胸に身を投げる。
抱きしめあい、そして顔を向け合い、キス。精一杯背伸びしてクロノはアインスに唇を届かせる。アインスはクロノを抱き上げ、背をかがめる。
アインスの力強い腕を背中に感じ、クロノは大きな人間に抱かれる心地よさを味わった。
アインスはクロノを抱きかかえてベッドに座り、クロノが足を浮かせなくて済むようにする。初々しい、クロノの唇。まだ男臭くなっていない、ピュアな少年の唇だ。
舌を入れることにも慣れ、クロノは自分からアインスに求めてくる。
やや上体を後ろにもたれ、クロノを胸の上に載せるようにする。自然、クロノはアインスの胸にしがみつく格好になる。アインスの、抱えきれないくらいの豊かなバストに、埋もれるようにしてクロノはアインスに抱きつく。
「アインスさん」
「お前の好きなようにしていい、何も遠慮することも、恥ずかしがることも無いぞ」
「はい、──アインスさんの胸、とっても──大きくて、すごい」
「ふふ……好きなんだな、胸が……クロノ、先にシャワーを済ませよう──お前が脱がせてくれ」
顔を起こし、クロノはアインスのこんもりと盛り上がった二つの柔丘ごしに彼女の表情を見た。
深い慈しみとかすかな憂いを含んだ微笑み。青い少年を優しく見守る、大人の女の表情。隠し切れない、雌の獣の貌。あらゆる余裕をもってクロノを見下ろしているアインスの表情が、堪らなくクロノの感情をくすぐる。
ベッドに身体を寝かせても、アインスの乳房は全く重力に負けることなく、きれいな釣鐘型の形を保ち、雄大な山のようにそびえている。
ブラウスのボタンをひとつずつ外していき、ゆっくりと左右に引っ張ってどける。
淡い水色のブラジャーに覆われた乳房があらわになる。アインスはクロノの手を取り、背中側へ伸ばさせる。手探りで、左右のカップを腋側からつないでいる紐を軽く引いてフックを外す。
拘束を解かれた二つの乳房が、はずむようにクロノの目の前で踊り、頬を撫でていく。
澄んだ肌。甘いフェロモンのような、薄めの皮脂の匂い。思わずむしゃぶりつきたくなるほどの、女体の甘い香り。
最後に肩紐をどかし、腕を抜くと、とうとうブラジャーはアインスの身体から完全に離れた。上半身が、裸になった。
女の下着を見慣れていないクロノには、ブラジャーだけでも相当の重厚感がある。大きな乳房を支えるには大きなカップのブラジャーが必要だ。カップの裏側には、厚めのクッション層があり重さを支えられるようになっている。
普通の女性が着けるものでは、これは服の下に隠れるので見かけのバストサイズを稼ぐために使われたりもするが、アインスが着けているものはそれがなく、乳房を支える機能のみを持ち純粋に巨大なバストを見せ付けている。
促されるまま、ベッドの上に脱がせたブラジャーを放り置き、今度は腰に手を伸ばす。
間近にいると、視界に入りきらないほどの大きな腰幅だ。まず左足側をずり下げていき、クロノの手に合わせてアインスはももを上げる。
肉付きのよい太ももがクロノのすぐそばで艶かしく動く。向こう脛から踝、足の指までのなめらかなラインは芸術的にすら感じられる。
引っ張る力加減に気を配りながら、アインスが脚を引き抜くのをそっと待つ。パンツを脱がせながら足を上げたので、クロノの目の前には今度こそアインスの秘肉の花弁があらわになった。
ベッドに腰掛けたアインスの前にひざまずくような形で、クロノは床に膝をついた体勢になっている。
パンツを脱がせるために両手を使っているので手は出せない。目の前で、自分の掴んでいるパンツからアインスの脚が引き抜かれ、彼女が全裸になる様子を間近で見つめている。
「初めてか?」
アインスの問いかけに、クロノはすぐに声を出せなかった。
のどがひくつき、唇が震える。飛びかかりたい衝動と、腰が抜けてくずおれそうになる不安定さがせめぎあう。
「お前のも見たいな……」
アインスは裸になった。今度は、クロノが脱ぐ番だ。
無意識にズボンに手をかけようとして、股間が思い切り盛り上がっていることに気づく。思わず見下ろして、ズボンの前がテントを張っていることに目を見開き、再び顔を上げると、アインスが微笑みながらクロノの股間を見下ろしていた。
だめだ、とクロノは思った。もう完全にやられた、と。
最初から無茶なことだったのかもしれないが、自分とアインスと、どちらが手練かといえばアインスに決まっている。童貞の自分が、年上の女とのセックスで主導権を握ろうなど土台無理な話だ。
今は仕方が無い。アインスに導いてもらって、とにかく経験するしかない──
そう思いながら、おずおずとクロノはズボンとパンツを順番に下ろしていく。身体をかがめ、膝下までおろしてから脚を抜く。
ここから身体を起こせば、むっくりと大きくなった自分のものが、アインスの目の前に晒される。誰にも──リンディは幼い頃の育児で見ているだろうが──見せたことの無い、自分のペニスを、初めて女性に見せる。
「恥ずかしがるな。堂々としろ」
「は、はい」
アインスに手を引かれ、クロノはシャワールームへ歩く。
ただ歩くだけの動作でも、アインスのふくらはぎや太もも、尻の筋肉が連携して動く様子が、たまらなく興奮を誘う。くっきりとくびれのラインが入った尻たぶが、腰の大きさを強調する。
散らかり気味の仮眠室の床を歩くには、時には物をよけて足を大きく上げる。そのたびに、内股を走る筋肉に力が入って浮かび上がり、股間への視線を導く。
早く見たい。アインスの股間を見たい。クロノの心臓の鼓動はどんどん速まっていく。
自分も、ペニスをかっちりと勃起させたまま裸で部屋の中を歩くという、ある意味異様な行動をしている。もうこの状況を、こういうものなんだと受け入れるしかない。
カップルなら、彼氏と彼女なら、こういうことに気兼ねをする必要が無い。そういうものなんだ、と。
「洗ってやろうか?」
「あ、だ、大丈夫ですよ」
シャワーのノズルを持ってクロノの股間に手を伸ばそうとするアインスを、クロノはあわてて両手で股間を覆って制する。
ふっと鼻を鳴らして微笑み、アインスはクロノと正面から抱き合う格好になった。
湯の栓を開き、手で温度を確かめてからノズルをフックにかけ、そのままでシャワーを浴びられるようにする。
今更のように、クロノはアインスの胸から目をそらしてボディソープの容器に手を伸ばした。
といっても、ボディソープを手にとってしまうと、やはり正面に向き直って、そうすれば目の前にはアインスの裸身がある。
アインスもボディソープを手にとるために身体をかがめると、体勢にしたがって下を向く乳房が、シルエットで思い切りその形と大きさを強調する。
一般的な成人女性の体格からしてもアインスはかなり大きい。胴が太いので、そのぶんバストとのバランスがよく見える。
両肩、両脇、そして胸から腹、そして股間へ、白いパールカラーのボディソープを塗りつけていく。
ぎこちない手つきのクロノを見下ろしながら、アインスもゆっくりと自分の身体に白い液真珠を纏わせていく。手指で撫でるにつれて泡だっていき、アインスの珠のような肌に濡れ泡が絡みついていく。
濡れて、シャワールームの温白色の照明で、盛り上がった乳輪がきらめく。
「こすりあわせるんだ」
一歩前に踏み出し、アインスはクロノの胸板に自分の胸を合わせる。身長差で、ちょうどクロノの両肩に乳房を乗せる形になり、クロノの頬は両側からアインスの乳房に挟まれる。
石鹸の泡で、濡れた肌が滑り、ぬめる。滑り落ちないように、アインスは両手で乳房を寄せて支え、クロノの顔を挟む。
「あ、アインスさんっ、そ、その、胸が」
「見せたいんだよ……恥ずかしがるなと言っただろう、お前も遠慮することは無いんだ、私を触ってくれ」
「っ、ふぁっ」
乳首が、首筋を撫でる。勃起したペニスが、アインスの太ももに触れる。このまま腰を前に出せば、アインスの股間に触れてしまいそうだ。
「じれったいな、この、手のかかる軟弱モノめ」
「す、すみません……」
「お前も男なら、しっかりしろと……言っているだろう」
執務官の仕事をしているときは気を張っているが、こと男女の間柄となるとクロノはまるで初心になってしまう。
アインスも本気でクロノを怒っているわけではないので、声に笑みを含ませながらクロノの身体を抱き寄せる。ぴったりと引っ付いて、クロノの股間の肉棒が、勃起の圧力でアインスの内股をいっきになで上げる。
その先に、アインスの陰唇がある。
立ったままでは、クロノの身長ではアインスまで届かない。シャワーの湯のしずくを浴びながら、クロノをシャワールームの床に座らせ、アインスがクロノの腰の上に跨る。
流れ落ちた石鹸でぬめるペニスが、同じように滑りのよくなったアインスの肌の上を走り、腹肉を叩く。
なかなか、秘所に侵入させてはくれない。焦らされ、クロノは息が上がり、じわじわと興奮が高められていく。シャワーの水滴にはじかれ、屹立したクロノのペニスは、尿道口が震えるようにカウパー液を搾り出していた。
「くっ、あ、アインスさん、僕は」
背中を壁にもたれ、苦しい体勢で、クロノは身体を寝かせ、ペニスをアインスの尻の真下へ持っていく。
アインスがそのまま腰を落とせば、ちょうどクロノのペニスをつかまえられるように。
「可愛いよ、その健気さ──たまらない、お前の姿が──」
湯で濡れただけでなく、アインスもまた、性的興奮の高まりによって淫肉を充血させ、膣口を膨らませていた。恥丘の頂上部のみほのかに萌える銀色の陰毛は、細く柔らかいまっすぐな毛で、一般的なミッドチルダ人と比べてもはるかに薄い。
肉感に満ちた女性器を、隠さず見せ付ける。光の影になり、股間の肉の形が輪郭を浮かび上がらせる。平らな股間のラインに、緊縮と弛緩を繰り返す海棲貝類のような陰唇がぱっくりと口を開け、ペニスに喰らいつく瞬間を今か今かと待っている。
「お前は私のものだ──っ!」
クロノの目の前にアインスの巨乳が迫り、視界が完全にふさがれる。アインスの股間を見られなくなったが、代わりに、敏感になりきっていたペニスに、今まで触れたことの無い異様な接触の感覚が走る。
反り返りが自分の腹に触れるほどにまで高く勃起していたクロノのペニスの、裏筋を縦に咥えるようにアインスの陰唇が密着した。
触れ合った圧力で、粘液が噴き出す音が響く。既にアインスも、我慢に我慢を重ねて濡れきっていた。膣内に満ちていた愛液が、クロノのペニスに股間を押し付けた圧力で、音を立てて搾り出されるように噴出する。
二人のそれぞれの性器は、あっという間に淫らな粘つく分泌液で覆い尽くされた。
「ああっ、あ、あ、アインスさん、アインスさんっ僕っ、な、だ、だめですっこんないきなりっ」
「くぅ、う、すまないクロノ、だめだ私ももう限界だ、もう我慢できない、クロノ──ッッ!!」
巨大な重量を持つアインスの腰が、クロノの小さな身体を嬲り喰らうように前後に振られる。
腫れ上がるほどに興奮し膨れていたアインスの秘花が、腹に押し付けられたクロノの棒を裏側から挟み、扱き上げる。
さらにアインスは下腹部に手を差し込み、クロノのペニスに手を添えて自身のヴァギナに押し付ける。クロノの亀頭にアインスのクリトリスが当たる形になり、さらに硬い疣状の肉果実に擦られるという未知の感触を味わったクロノはさらに高まっていく。
もはやクロノはなすすべなく、アインスにしがみつくのも忘れ、シャワールームの床に押し倒され、アインスに蹂躙されていた。
かろうじて両手を広げて床につき身体を支えているが、それで精一杯になり、下半身の暴走をコントロールできない。アインスの手にペニスをつかまれ、こすられ、あっという間に限界がやってくる。
「アインスさん、あっ、で、出ます!出ます!でそうですっアインスさんっ!」
うっすらと開けた目で、激しく振り乱されるアインスの乳房が見えた。
暴力的なまでの肉感を持つ巨乳。
自分の上に載っている腰の重量だけで小さな子供ほどの質量がありそうだ。太ももだけでも、少女のウエストほどもありそうな太さ。それでいて贅肉ではない、引き締まった筋肉。
あらゆる肉体のプロポーションが渾然一体となり、この規格外な女体を見せ付けている。
腹に、胸まで飛んできた。
自分の肌に自分の精液が降りかかる感触。
アインスの手のひらからもあふれ出す、白濁の奔流。
ゆっくりとペースを落としながらアインスは腰の動きを落ち着けていき、クロノを解放した。
惚けているクロノの股間に、シャワーを当てて粘液を洗い流していく。
「凄いな……溜まっていたのか?これほどの量はさすがだ」
クロノは返事を返せる気力もない。それでも、亀頭は赤々と張りあがり、勃起は少しも収まっていない。
シャワールームの床に、腰を抜かして倒れこんでいるクロノ。目の前にアインスがしゃがんで、自分をシャワーで洗ってくれている。
太ももからヒップラインへのつながりがまっすぐなめらかで美しい。ヴァギナはすでに割れ目をぱっくりと開き、いつでも受け入れる用意ができている。
しゃがんだ体勢で、無駄な肉がついていないアインスの腹筋が浮かび上がっている。そこから、ぎゅっと絞られたウエストラインの上に、これ以上ないと思えるほどの張りと弾力を持つ巨大な乳房。
肌には少しの曇りもなく澄み、整った凛々しい顔立ちは、紅潮が肌の白さゆえに際立っている。
シャワーを浴び終え、バスタオルで身体を拭き、足元がおぼつかないままベッドまで運ばれたクロノは、アインスが体勢を変えて仰向けになって自分を迎えようとするのを半ば放心状態で見ていた。
ベッドの上に膝をつき、ペニスを丸出しにした状態だ。
目の前の乳房から、股間へ視線を下ろすと、そこはすでに、再び萌出した愛液で潤みきっており、みずみずしい花の蜜のように、聖なる泉のように水面をきらめかせている。
「アインスさん……僕は……」
「大丈夫だ、私にすべて任せろ……そのまま、ゆっくりこっちに来い」
仰向けになるので、アインスは長い銀髪を背中に引っかからないよう、左右に流している。
銀箔を織り込まれたシルクの絨毯の上にいるかのようだ。銀色と、乳白のような肌色の淡いコントラスト。ベッドは厚さのある敷き布団と枕で、よく沈み込み、身体を包むようになる。
ぴったり真上を向いて張ったアインスの乳房と乳首が、淫靡に揺れる。
「そうだ、ペニスの向きを合わせろ……カリ首の周りも、裏側もよく塗りつけて濡らすんだ。よし、それでいい……そのまま、まっすぐだ……」
軽く上体を起こし、自分の股間を見下ろせる体勢で、アインスはクロノに指示する。
言われるままに、自分のモノをつまみ、カウパー液と愛液を亀頭に塗りつけ、挿入の抵抗にならないようにする。
そしてとうとう、クロノは前へ進んだ。
まだ誰にも許したことのない、無垢ゆえに獰猛な少年のペニス。
クロノの初々しいペニスが、広大な桃源郷のように陰唇の中に愛液をたっぷりと湛えたアインスの膣口に、ゆっくりと沈み込んでいく。
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目次:闇と時と本の旅人
著者:SandyBridge ◆UKXyqFnokA
717 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:39:06 ID:HvBmBf.o [3/13]
718 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:39:38 ID:HvBmBf.o [4/13]
719 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:40:20 ID:HvBmBf.o [5/13]
720 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:40:52 ID:HvBmBf.o [6/13]
721 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:41:25 ID:HvBmBf.o [7/13]
722 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:42:17 ID:HvBmBf.o [8/13]
723 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:43:31 ID:HvBmBf.o [9/13]
724 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:44:40 ID:HvBmBf.o [10/13]
725 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:45:49 ID:HvBmBf.o [11/13]
726 名前:闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA [sage] 投稿日:2012/05/30(水) 20:47:18 ID:HvBmBf.o [12/13]
■ 4
アインスは内勤職員制服の胸ポケットからカード型ストレージデバイスを取り出し、クロノに手渡す。
カード型デバイスは戦闘用以外にも、管理世界におけるデジタル携帯機器の標準的な形状に用いられている。
アインスの制服は、胸の生地が大きく張って盛り上げられており、そこへポケットに物を入れれば、乳房の圧力によって締め上げられる様子がつぶさに観察できる。
クロノとアインスの身長差では、ちょうどクロノの目の前にアインスの胸が来る。
普通に立ったままアインスに身体をもたれれば、ちょうど胸の谷間に顔を預ける体勢になる。
眼鏡のレンズに瞳の赤色が反射し、アインスの目が幻想的にゆらめいて見える。くっきりとした力強い睫を纏った切れ長の目は、その表情によっては優しく垂れ、眼差しをくれる。
胸が激しく高鳴り、膝が震えている。アインスの視線に捕らえられ、クロノは自分の股間から、何かが漏れていくようにあふれ出すのを感じた。実際にもらしたわけではない、緊張のあまり、精気を吸い取られてしまっているように感じる。
手の震えを気取られないように必死で意識を保ちながらカードを受け取り、自分の着けている執務官用ポーチに入れる。
無限書庫に依頼していた、これまでに発見されていたジュエルシードの発動した記録および周辺住民への臨床データ。これをもとに、第97管理外世界でのジュエルシード処理が適切になされた事を証明する。
これを受け取りに来るだけだったはずだが、今は、その本来の用事を忘れてしまいそうになるほど、胸が切なく締め付けられる。
今日これで帰ったら、次に無限書庫に来ようとすればどんな用事を作らないといけないのか。アインスに会いに行くためにどういう言い訳を、リンディやエイミィにしなければならないのかということである。
そのこともアインスはお見通しだ。今渡されたカードを、そのまま持ち帰ればクロノはそれっきりだ。無限書庫から出てくる資料は、そのままではただ過去のことがらを列挙しただけのもので、整理はされていない。
これからの仕事の進め方を考えるなら、ここで、ここにいるうちに、資料のまとめを行う必要がある。
「使うならあの端末が空いている」
指差して示され、クロノはおずおずとコンソールに向かった。カードをスロットに差し込み、魔力投影のタッチスクリーンのスイッチを入れる。
とはいえ、こうしてアインスと二人きりで小さな部屋にこもるということは、それだけでも、クロノの意識を激しく惹きつける。
スクリーンに表示させた資料の文書を読もうとするが、なかなかまるで頭に入らない。
アインスは待っている。クロノが、自分に助けを求めてくることを待っている。この状態で、クロノがどうこうできることはない。できたらそれは大した自制心だといえるだろうが、それを思春期の少年に求めるのは酷なことだ。
コンソールの操作席に腰を下ろしたクロノは、そこから身を動かすことができなくなっていた。
席に座って作業を始めたのに、また立ち上がるということはアインスのところへ向かうということである。アインスのところへ向かうということは彼女に面と向かって話しかけることである。それは、今のクロノにとっては刺激が強すぎた。
一方、クロノの向かい合わせの席についているアインスはコンソールに視線を落として自分の作業をしている。
クロノの位置からは、俯いた姿勢になっているアインスの目と眉根に前髪がかかり、さらさらの銀色が白い肌にコントラストを与えている様子が見える。
花びらのような白い瞼が瞳を隠し、なめらかな鼻筋、潤んで熟れた唇が、顔の肉感を強調する。少しの曇りもない澄んだ肌の頬が、白く輝いている。
そういえば昨日は意識しなかったが、年齢は、リンディよりは若いだろうか。化粧は最低限の薄いもので、口紅も塗っていないように見える。それでも、顔を飾らずとも稀有な美しさがある。
思えば、エイミィはまだ化粧はしない年齢だし、リンディも、たまに自宅で出勤前の身支度の様子を見ていると数十分もかけている。グレアムの下で修行していたとき、リーゼロッテにキスを浴びせられて首元などに口紅の跡をつけられた事もあった。
キスのときに口紅の味がしては気分が乗らないかもしれない、と思案する。大人はどうしているのだろう、とクロノは考えた。そして、今ならば、アインスに対してはそのような心配をしなくてもいいと気づく。
アインスも、対外的な業務を行うときは化粧をするだろう。女性の身だしなみとして、眉を整えたり口紅を塗ったりするのは当然だ。
口紅はどんな味がするのだろう。リップクリームと似たようなものだろうか。唾液に溶けて、飲んでしまっても問題は無いものだろうか。口紅が溶けるほどのキスは、やはり、公然の場所では避けるべきだろう。
何を調べているのだろう。無限書庫では、一応蔵書の整理という業務があるにはあるが、そもそも蔵書そのものの量が多過ぎ、収集される情報はまったく取捨選択されないまま蓄積されていくので資料としては使いづらいことこの上なく、管理局でも重視はしていない。
それゆえ、何らかの理由で第一線を退いた局員のとりあえずの雇用を確保するポストと位置づけられており、現に実際に業務を行っているのは今のところ、アインス一人である。
今、話しかけて大丈夫だろうか。彼女の仕事の邪魔をすることにはならないだろうか。柄にも無く、クロノは思考を激しく回転させて心配を繰り返していた。執務官といえば権限も大きく、多少の事なら一般職員をアゴで使えるとすら認識されている。
そんな執務官であるクロノが、自分の地位を忘れてこのように思慮しているのは、アインスに対する特別な感情に由来している事はもはや疑うべくもない。
無限書庫の中では、彼女にかなう者はいない。頭を下げて、彼女に乞わなければ仕事ができない。
まっさらの新人局員になったつもりで、アインスに、手取り足取り、腰取り、教えてもらわなければならない。
そうすることを、クロノも、アインスも、やりたいのだ。
そういう関係のやり方がある。二人きりで、つきっきりで教えてくれる。邪魔する者はいない。隣の席でうるさく電話したり雑談をする同僚もいない。ここでなら、気持ちよく作業ができる。
もちろん、気分転換に他の事も……。
ふらふらと、夢遊病者のように立ち上がり、クロノはアインスの席へ歩いた。歩く姿勢がおかしくなっているような気がしたが、もう、どうにもならない。
先日エイミィと散策に行った時、公園の庵の中で抱き合い、射精したが、ぎこちなさからほとんど発散できていなかった。
ただ無我夢中に抱きついて服の上から擦っただけで、きちんと愛撫をしたわけではない。ペッティング、といえるほどのこともしていない。結局あれから後は自宅でも、リンディの目も気になってろくに自己処理できず、数えてまる5日間ほど射精をしていない。
ほんの1ヶ月前まではそれでもなにも気にならなかった。第97管理外世界での一連の作戦任務の間も、もちろん自室で処理などすることはなかったし、高町なのはと接していてもそのような気分にはならなかった。
なのに、ここ数日は、ちょっと時間があくと下半身が疼いて仕方がない。最初は、なのはのことを思い出してなのかとも考えたが、やはり彼女にそのような感情はないと気づいた。
となればやはり、本局に帰ってきてから出逢った、あの銀髪の彼女に惹かれているからなのか──
「アインスさん、少し、手伝ってもらっていいですか」
何を手伝う?邪な行為を連想してしまう自分が恨めしい。男はみな獣、などというのはからかいの言葉だと思っていたが、今の自分を考えると本当にそうだという気がしてくる。
「わかった。ジュエルシードはこれまでにもいくつかの次元世界で発見されている、ロストロギアとしては比較的研究が進んでいるから取り扱いのノウハウもある」
「ユーノたち、スクライア発掘団が見つけた21個も、ある程度のまとまった単位で使用されていたと」
「テスタロッサ女史が企てたように、数十個単位で艦船の動力として使うことが出来たようだ」
「やはり、それ単体ではそれほど大きな力は無いものということですね」
似たケースとしてはやはり、発掘直後に複数のジュエルシードが接近していた状態で魔力があふれ出すという事故の例がある。これについても、次元震の規模を算出し、第97管理外世界における事例と照らし合わせて故意性がない事を確認する。
クロノの席の隣に立ち、横から腕を伸ばしてアインスはコンソールを操作する。この立ち位置だと、腕を伸ばした事でスーツの生地が引っ張られ、それがバストをさらに押し上げて盛り上がりを強調させる。
ラフに着崩したブラウスの胸元の合わせ目から、胸の谷間がぷっくりとこぼれ出しそうだ。
アインスはクロノの右手側に立っているが、この体勢ではアインスの左腕が、クロノとアインスの胸との間をさえぎる格好になる。なんとかして左腕ごしに、彼女の胸を見られないか。クロノの背の低さでは、アインスが膝を屈めていても高すぎて見えない。
「何を見ている?」
「い、いえ」
「嬉しいよ、お前がそうやって意識してくれていると」
微笑み。凛々しく整った顔立ちがつくる、強さと優しさを兼ね備えた微笑み。
吸い込まれそうな美しさがある。彼女に心を奪われたら、それはきっと恋よりも怖ろしい。
「データの保存を忘れるなよ。……時間がかかるようなら、ここには仮眠室もある。リンディ提督に連絡しておくか?」
そうだ、これは仕事だ。仕事が長引いて、今日は泊まりになる──それ自体はなんら珍しい事ではない。
今はフェイトの裁判の初公判が迫り、仕事が増えているから。言い訳は出来る。
リンディもエイミィも、そう言われてクロノを疑わなくてはならない理由は無いはず。二人は、無限書庫にアインスがいる事を知らないはずだ。
だから、何も心配する事はない。そのはずだと、クロノは自分に言い聞かせる。
「そうですね……。これはもう少し、かかりそうです」
本当なら、手早く片付けてさっさとベッドへ直行したいところだ。それでも、フェイトのためにきっちり資料を精査しておこうとしたのは、クロノの理性がまだなんとか踏みとどまっていた証拠だった。
アインスに指摘され、確かにクロノは、自分はフェイトを意識していたと思っていた。
彼女はプレシア・テスタロッサによって作られたクローン、人造魔導師である。クローン体であるというだけでは、それは少なくとも医学的には普通の人間と全く同じである。問題になったのは彼女の人格形成である。
当然ながら、ただのクローンでは記憶は引き継がれない。胚から神経細胞が形成されていく段階で何らかの原始記憶のようなものが生成されているのではないかという仮説はあるがあくまでもオカルトの領域である。
プレシア・テスタロッサが求めたもの、すなわち死んだ人間を蘇らせることは、いかにクローンを用いても実現できるものではない。だからこそ彼女はアルハザードを目指し、そのためにジュエルシードを集めた。
フェイトは、生まれてからずっと、プレシアが所有している時の庭園で過ごしてきた。外の世界というものを全く知らなかった。
そんな人間を罪に問うことが出来るかといわれれば、現在の法制度では情状酌量の余地は大きい。
「アインスさん──、今回の、PT事件は、グレアム提督は知っているんですか?」
「そうだ。機動一課から調査報告が上がった」
「しかし、僕らアースラには、本局からは何も音沙汰がありませんでした」
もし第97管理外世界におけるジュエルシード流出を本局が察知していたのなら、ただちに対策部隊が派遣されるはずである。それがなく、たまたま近くにいたアースラに調査任務が割り当てられた。
本局は何か、第97管理外世界に近づけない事情があったのか。確かに魔法技術のない管理外世界となると、大掛かりな捜査が難しいのはわかる。だがそれ以上に、本局の動きの不審さが目立っていた。
ジュエルシードの影響を過小評価していた──傍目にはそう見えるかもしれないが、クロノにとっては引っ掛かりがあった。
「正直、管理局の──上層部に、何かを企んでいる者がいる──ただの陰謀論だと僕も思ってたんですが、本当にそういう事がありそうな気がしてくるんです。
しかし、今回の事件は──、いってみればロストロギアの不法所持が問題なだけで、これが何かに影響するというような心当たりがありません」
喋りおえ、ため息をついたとき、不意にアインスがクロノの肩に手を回し、もたれかかってきた。
胸の柔らかさが肩に当たり、アインスの肩口からこぼれた髪が流れ、クロノの首筋から喉元までを撫でながら落ちていく。
心臓がどきりとした。ここ数日、味わうようになった、心地いい緊張だ。女性に接近されてどぎまぎするという、子供の頃だったらわからなかった感情。
男は、女に近づきたい、触れたいと願う。それは本能だ。男としての、欲望だ。
一般的にはそれは性欲だ。男は、ある程度の年齢になると、女とセックスしたいという欲望が生まれる。クロノももうそんな年齢になった。
椅子の上で硬直しているクロノに、アインスはゆっくりと手を回し、クロノの胸を撫でるように指を組み、クロノを斜め後ろから抱きしめる体勢になった。
クロノが椅子に座ったままなので、アインスは中腰で、クロノに身体を預けて体重を支える。アインスの重みをいっぱいに感じ、クロノは自分の肩に触れているアインスの乳房を、手で掴みたいという欲望が芽生えた。
「あ、アインスさん、とりあえずジュエルシードの資料はまとめました、少し休憩しましょう」
慌てて、席から立ち上がる。アインスも一旦クロノを離し、それでも近い距離を保って立っている。
アインスに見下ろされ、クロノは、とうとう観念した。
今日は、無限書庫に泊り込む。その目的はもちろんひとつしかない。
互いに、それは理解し、はっきりと言葉に出さなくとも互いに求め合っている。アインスはそっとクロノに手を差し出し、クロノも黙ってアインスを見上げながらうなずき、そっと手を取り、アインスの胸に飛び込んだ。
そのまま、しばし、立ったまま抱き合う。
両手を、祈るように組み、アインスはクロノを抱きすくめる。クロノもさすがに慣れてきて、落ち着いてアインスに身体を預けている。
股間の動きを気取られないようクロノは腰を引こうとするが、アインスはクロノの背を押して制し、密着状態を続ける。
何も恥ずかしがる事はない。むしろ、自分に意識が向けられているのは嬉しい。その感情表現はアインスもエイミィも同じだったんだとクロノは理解した。
「グレアム提督は、大規模な部隊を派遣してしまうと闇の書を刺激することになると考えた。近くにいたのが、リンディ提督の艦であったことが幸いした。
もし闇の書が不意の起動をしてしまえば、もたらされる被害はジュエルシードの比ではない」
声が、肺に響き、アインスの胸からクロノの耳へ、密着した肉体が空気を介さず直接声を伝える。
アインスの肉体に響く、彼女の、鋭利な金属楽器のような澄んだ宝石のような声。言葉だけで、船乗りを惑わす妖精セイレーンのように心を奪われてしまう。
「闇の書は複数あるんですか?本局で、機動一課が封印をしようとしていたと……」
「魔導書端末を自己複製可能なことが判明している。これによって転生機能を実現している──ただ、では現存する魔導書をいちどに破壊する事が可能かといえばそうではない。
これはある種の波動関数になぞらえられる。本局にある魔導書と、第97管理外世界にある魔導書を同時に攻撃して破壊することは相対論的に不可能だ。必ずどちらかが生き残り転生してしまう。
闇の書が生成するどの魔導書も中核としての機能を代替でき、今のところ、グレアム提督の調べでも全宇宙にある闇の書の全てを把握する事はできていない」
クロノを抱きしめるアインスの腕の力が強くなる。クロノを、ぎゅっと、堪えるように抱きしめる。
「このロストロギアが人工物なのかそうでないのかというのも確定は出来ていない」
「というと──?」
つま先を踏ん張り、やや背伸びした格好になるクロノと、クロノを抱きしめて背をかがめた格好になるアインス。
胸に抱きしめたクロノの耳に口を近づけて、そっと言葉をささやく。
「もし──闇の書が自然発生したものだとしたら、人類は生態系の頂点から転落することになる」
無限書庫の中は静寂に満ち、執務室に設置されている情報端末がかすかに冷却ファンの風切り音を出している程度だ。
アインスの言葉の意味を、クロノは理解するのに数秒かかった。ロストロギアと生態系がどう関連するのか。闇の書は生物だというのか。
たしかに、有機物を構成材料にするロストロギアもこれまでに発見されているが、それはただ材料が有機物であるだけで実質はただの機械だった。
そこまで考えて、クロノはあるひとつの答えを閃いた。
「闇の書が──その内部に持っている、プログラム生命体──それが本当に生命体として動き出したら、いつか、生身の人間が駆逐されてしまう──そういうことですか?」
アインスはしばし、応えを待つ。クロノが自分で思考し導き出した結果を、クロノ自身に言葉に出させ、再度の検討を促す。
その言葉、クロノ自身が予想した仮説がもし正しければ何が起きるのか。それを、考え続けさせる。
「闇の書は、守護騎士という、主となった人間を守る仕組みがあると聞いています──母さん、リンディ提督から聞きました。
過去の事件でも、闇の書に向かうまでにまずこの守護騎士を突破しなくてはならず管理局側にもかなりの損害が出たと──
しかし、彼らは、主の命令に従うだけのプログラムではないのですか?それが、ただ、人型をしているだけという──」
「単なるプログラムの枠に留まらない可能性が出てきている。彼ら、闇の書の戦闘端末が、単なる魔力兵器ではなく、独立した生命体である可能性が出てくる。
そうなれば、──われわれ、人類は、喰うか喰われるかの戦いに挑まなくてはならなくなる。
──クライド艦長が、グレアム提督に託した闇の書の実態を、私はこの無限書庫で調べ続けてきたのだ」
「アインスさん……」
父の遺志を継ぐ人間がいた。それだけでも、クロノにとっては抗いがたく心を動かされることである。
そしてアインスにとっても、クライドを救えなかった自分ができるせめてもの償いであった。だからこそ、クロノに惹かれているのかもしれない。クロノ・ハラオウンという少年を、ただの執務官としてではなく、クライドの血を引く男として見ている。
ひそかに、しかし着々と次元世界を侵食しつつある闇の書に立ち向かう、おろかでしかし健気な勇者たち。
彼らを止めることはできない。人間は、敵とみなした存在を殲滅するまで戦いをやめない。
「クロノ、まずはいったんすべてを忘れて、頭を整理しよう。休息をとることは大事だ」
「はい」
アインスに促され、クロノは無限書庫近くに隣接して増築された居住区画へ足を踏み入れた。
一応、体裁としては無限書庫職員のための福利厚生施設という扱いになってはいるが、今のところ利用するのはアインスしかいない。
管理局のほかの部署の職員でも、オフィス内のレクリエーションルームを半ばカプセルホテル代わりに使って泊り込みの仕事をしている者がいる。
そういった施設はしっかりと予算をかけて備されているが、この無限書庫の部屋は間に合わせ程度のつくりで雑然としていて、しかしそれが不思議と、長年住み慣れた古巣のような安心感を醸し出している。
女の部屋に招かれる。アインスも実際には、クラナガンのどこかにきちんとした自宅を持っているのだろうが、この部屋も実質、アインスのセーフハウスのひとつといったようなものだ。
任務の性格上決まった住居を定めておけない秘密捜査官が町のあちこちに確保しているベッド、といった趣きである。
部屋の中に吊るしてあるハンガーに、まずスーツのジャケットを脱いで掛け、それからスカートのサイドホックを外す。クロノにとっては初めて見る、働く女性がスーツを脱ぐ瞬間であった。
アインスはストッキングを使わず、膝上まである黒いハイソックスを穿いて太ももは素肌を出していた。
たまらない刺激だった。座っていても、立っていても、スカートとソックスの間のわずかな部分から露出する素肌が、輝く星のようにクロノの視線を釘付けにしていた。
下着の上に白いブラウスを纏っただけのアインスの姿は、14歳のクロノにとってはあまりにも煽情的に過ぎた。
もともと開けてあった胸元からのぞく谷間もさることながら、ブラウスの裾に半分ほど隠された尻は、股下の部分が見え隠れし、クロノはアインスの後姿を見つめている自分を危うく見失いそうになった。
視姦、である。ただ見て興奮するだけではない、そこに自分の性器を突っ込む事を想像している。
タイトスカートの拘束を逃れたアインスの尻は、まさしくはちきれそうなほどの肉の弾力を惜しげもなく見せ付けていた。
ヒップサイズは間違いなく100センチ以上あるだろう。少なくとも、リンディより大きい。
一児の母であるリンディよりも、大きな腰。骨盤内部に収められている子宮の容積は想像を絶する。そこから伸びる両脚も、ファッションモデル並みの高い身長を持つアインスの体格にぴったりと調和した、しなやかなものだ。
街を歩くそこらの娘のように、無理なダイエットをして鳥がらのように細くなっていたりはしない。鍛えぬかれた筋肉が土台にあるであろう、引き締まった太もも、ふくらはぎ。肌の張りが、均整の取れたボディのシルエットを生み出している。
片足ずつを上げてハイソックスを脱ぐアインスの姿に、クロノはさらに、立ち尽くしたまま硬直した。自分の股間が激しく勃起しつつある事をもはや忘れるほど、アインスの後姿に見入ってしまっていた。
上体をかがめ、つま先からソックスを引っ張る態勢になると、アインスの穿いている下着があらわになる。その肉感的なボディからは一見あっさりとしすぎているほどにも思える、柄も飾りも無い純白のパンティ。かすかに、レースの縁取りがあるのが見えた。
それでもこのアインスの腰と尻を包み込むのは容易ではなく、布地はぴんと張り、股間の肉がその形をくっきりと浮かび上がらせていた。
アインスはクロノに背を向けているので、かがんだ状態で股間がクロノの目の前に見せ付けられる格好になる。
女性の陰部は、前のほうから順に尿道口、膣口、肛門と3つの穴が並んでいる。このうち尿道口と膣口は、ひだのような形をした陰唇に包まれ、外からは肉の割れ目のように見える。ここまでは、クロノも学校の保健体育の授業で習ったので知っていた。
ただし、実物をしっかりと見た事は無かった。幼い頃、リンディと一緒に入浴していたが、その頃のクロノにはそんな知識も意識もなかった。
魔法学院初等部の頃、ほんの数回、リンディと一緒に風呂に入ったとき、彼女が浴槽から上がるところでなんとか股間を見上げようとしたがついにかなわかなった。
クロノの目の前、わずか1メートル半かそこらのところに、アインスの股の間が、薄手のパンツに覆われただけの無防備な状態で見せ付けられている。
ぱんぱんに張ったパンツの布が、むしろこのほうがより淫猥だと思えるほどに、アインスの女性器の形状を浮かび上がらせている。
内股まで余すところなくついたなめらかなもも肉に挟まれるようにして、二つのすじ状の盛り上がりがある。クロノの目が疲れていたせいではないだろう、二つの盛り上がりの間が、わずかに湿っている。
すじ状の盛り上がりは身体の前側、つまり太ももに隠れる下側に向かうにつれて太くなだらかになり、パンツの布地もそれにつれて引っ張られ、ついに割れ目に食い込んでいる。
そこから先は陰になって見えないが、それでも、普通に正面から向かい合ったままでは見えない、女性の股間の様子を、クロノはあまさず観察する事が出来た。
わざと見せたのだろうか。アインスは、クロノに対してきっちり真後ろを見せた。横を向いたりすれば、脚に隠れて股間は見えないだろう。
アインスは、見せたかったのだ。クロノに、見て欲しい。これからやることをしっかりと心に意識して欲しい。
そう思っていた。
「クロノ、ハンガーはこれを使え」
時間にしてほんの10秒にも満たない間だったが、アインスの声にクロノはあわてて我に返った。
スーツの上着をハンガーに掛けた後、スカートのホックをはずしてからソックスを両足とも脱ぐまで。ほんのわずかな時間だったが、クロノの意識はその間完全に奪われていた。
もはや言い訳は出来ない、とクロノは思った。
管理局執務官として、またただでさえ14歳という若年での勤務で、なにかと自分に厳しくなりがちだった。浮ついたことなどあってはいけない、たとえどんな場所、場面であっても、厳格に、真摯にあらなければならない。
それはそれで立派な心がけではあるが、今のアインスが求めているのは違う。
闇の書の犠牲となったクライドの一人息子である。クライドの血を引くただ一人の人間である。クライドの命がこの世から喪われ、しかし残った、ただ一人の人間。ただ一人の男。
かけがえの無い人間である。世界中で、クロノしかいない。
アインスにとっては、他の男がどれだけいても意味が無い。クロノでなければ意味が無い。
クロノを、絶対に失いたくない。
その思いを、クロノに伝えたい。
クロノの上着を脱がせるため、襟に手を掛ける。アインスの手のひらがのど元に触れ、クロノはかすかに身震いした。
やわらかく、しかし力強い手のひら。デスクワークしかやっていないというわけではないだろう、戦闘魔導師であるクロノには、アインスにも同じように、強力な魔法を使いこないして戦うことが出来る、特有の強靭な皮膚ができあがっていることが感じ取れた。
手を見れば、熟達者なら相手が優れた魔導師かどうかがわかる。
エース級魔導師。それほどの力を持つ人間であっても、人間である以上、単純な魔力量だけでは戦えない。
心が強くなければ戦えない。どんなに歴戦の魔導師であっても、いつか、杖を置き、一線を退くときが来る。
「……どうした?」
宙を見るような目でハンガーを受け取り、何度か袖口を通しそこねながら上着を掛ける。
上をワイシャツだけ、下はズボンのまま、クロノはアインスを見上げた。
「アインスさん……」
見上げ、見下ろす。自然、上目遣いになるクロノ。普段は強がっているのだろう、少年の、純な瞳。管理局員になっていなければ、今頃は一般学校の中等部3年生、最後の学園生活を送る年齢だ。
まもなく大人になろうとしている少年。普段は重厚なデザインのバリアジャケットで鎧っている、年齢相応の少年の心。
きっと彼は、まだ女を知らない。グレアム提督が、自身の使い魔二人を師匠につけて修行させていたと聞くが、もちろん彼女らとてきちんと線引きはしていただろう。
その一線を、初めて踏み越えるのが自分なのだ。アインスと、クロノ。互いに初めてで、そして、互いに因縁を持つ。
「──クロノ。──私に、見せてくれ──私も、お前を見たい」
「はい──きれいです、アインスさんの──ぜんぶ」
互いに。
最初にアインスが一歩を踏み出して上体を近づけ、それに応じるようにクロノがアインスの胸に身を投げる。
抱きしめあい、そして顔を向け合い、キス。精一杯背伸びしてクロノはアインスに唇を届かせる。アインスはクロノを抱き上げ、背をかがめる。
アインスの力強い腕を背中に感じ、クロノは大きな人間に抱かれる心地よさを味わった。
アインスはクロノを抱きかかえてベッドに座り、クロノが足を浮かせなくて済むようにする。初々しい、クロノの唇。まだ男臭くなっていない、ピュアな少年の唇だ。
舌を入れることにも慣れ、クロノは自分からアインスに求めてくる。
やや上体を後ろにもたれ、クロノを胸の上に載せるようにする。自然、クロノはアインスの胸にしがみつく格好になる。アインスの、抱えきれないくらいの豊かなバストに、埋もれるようにしてクロノはアインスに抱きつく。
「アインスさん」
「お前の好きなようにしていい、何も遠慮することも、恥ずかしがることも無いぞ」
「はい、──アインスさんの胸、とっても──大きくて、すごい」
「ふふ……好きなんだな、胸が……クロノ、先にシャワーを済ませよう──お前が脱がせてくれ」
顔を起こし、クロノはアインスのこんもりと盛り上がった二つの柔丘ごしに彼女の表情を見た。
深い慈しみとかすかな憂いを含んだ微笑み。青い少年を優しく見守る、大人の女の表情。隠し切れない、雌の獣の貌。あらゆる余裕をもってクロノを見下ろしているアインスの表情が、堪らなくクロノの感情をくすぐる。
ベッドに身体を寝かせても、アインスの乳房は全く重力に負けることなく、きれいな釣鐘型の形を保ち、雄大な山のようにそびえている。
ブラウスのボタンをひとつずつ外していき、ゆっくりと左右に引っ張ってどける。
淡い水色のブラジャーに覆われた乳房があらわになる。アインスはクロノの手を取り、背中側へ伸ばさせる。手探りで、左右のカップを腋側からつないでいる紐を軽く引いてフックを外す。
拘束を解かれた二つの乳房が、はずむようにクロノの目の前で踊り、頬を撫でていく。
澄んだ肌。甘いフェロモンのような、薄めの皮脂の匂い。思わずむしゃぶりつきたくなるほどの、女体の甘い香り。
最後に肩紐をどかし、腕を抜くと、とうとうブラジャーはアインスの身体から完全に離れた。上半身が、裸になった。
女の下着を見慣れていないクロノには、ブラジャーだけでも相当の重厚感がある。大きな乳房を支えるには大きなカップのブラジャーが必要だ。カップの裏側には、厚めのクッション層があり重さを支えられるようになっている。
普通の女性が着けるものでは、これは服の下に隠れるので見かけのバストサイズを稼ぐために使われたりもするが、アインスが着けているものはそれがなく、乳房を支える機能のみを持ち純粋に巨大なバストを見せ付けている。
促されるまま、ベッドの上に脱がせたブラジャーを放り置き、今度は腰に手を伸ばす。
間近にいると、視界に入りきらないほどの大きな腰幅だ。まず左足側をずり下げていき、クロノの手に合わせてアインスはももを上げる。
肉付きのよい太ももがクロノのすぐそばで艶かしく動く。向こう脛から踝、足の指までのなめらかなラインは芸術的にすら感じられる。
引っ張る力加減に気を配りながら、アインスが脚を引き抜くのをそっと待つ。パンツを脱がせながら足を上げたので、クロノの目の前には今度こそアインスの秘肉の花弁があらわになった。
ベッドに腰掛けたアインスの前にひざまずくような形で、クロノは床に膝をついた体勢になっている。
パンツを脱がせるために両手を使っているので手は出せない。目の前で、自分の掴んでいるパンツからアインスの脚が引き抜かれ、彼女が全裸になる様子を間近で見つめている。
「初めてか?」
アインスの問いかけに、クロノはすぐに声を出せなかった。
のどがひくつき、唇が震える。飛びかかりたい衝動と、腰が抜けてくずおれそうになる不安定さがせめぎあう。
「お前のも見たいな……」
アインスは裸になった。今度は、クロノが脱ぐ番だ。
無意識にズボンに手をかけようとして、股間が思い切り盛り上がっていることに気づく。思わず見下ろして、ズボンの前がテントを張っていることに目を見開き、再び顔を上げると、アインスが微笑みながらクロノの股間を見下ろしていた。
だめだ、とクロノは思った。もう完全にやられた、と。
最初から無茶なことだったのかもしれないが、自分とアインスと、どちらが手練かといえばアインスに決まっている。童貞の自分が、年上の女とのセックスで主導権を握ろうなど土台無理な話だ。
今は仕方が無い。アインスに導いてもらって、とにかく経験するしかない──
そう思いながら、おずおずとクロノはズボンとパンツを順番に下ろしていく。身体をかがめ、膝下までおろしてから脚を抜く。
ここから身体を起こせば、むっくりと大きくなった自分のものが、アインスの目の前に晒される。誰にも──リンディは幼い頃の育児で見ているだろうが──見せたことの無い、自分のペニスを、初めて女性に見せる。
「恥ずかしがるな。堂々としろ」
「は、はい」
アインスに手を引かれ、クロノはシャワールームへ歩く。
ただ歩くだけの動作でも、アインスのふくらはぎや太もも、尻の筋肉が連携して動く様子が、たまらなく興奮を誘う。くっきりとくびれのラインが入った尻たぶが、腰の大きさを強調する。
散らかり気味の仮眠室の床を歩くには、時には物をよけて足を大きく上げる。そのたびに、内股を走る筋肉に力が入って浮かび上がり、股間への視線を導く。
早く見たい。アインスの股間を見たい。クロノの心臓の鼓動はどんどん速まっていく。
自分も、ペニスをかっちりと勃起させたまま裸で部屋の中を歩くという、ある意味異様な行動をしている。もうこの状況を、こういうものなんだと受け入れるしかない。
カップルなら、彼氏と彼女なら、こういうことに気兼ねをする必要が無い。そういうものなんだ、と。
「洗ってやろうか?」
「あ、だ、大丈夫ですよ」
シャワーのノズルを持ってクロノの股間に手を伸ばそうとするアインスを、クロノはあわてて両手で股間を覆って制する。
ふっと鼻を鳴らして微笑み、アインスはクロノと正面から抱き合う格好になった。
湯の栓を開き、手で温度を確かめてからノズルをフックにかけ、そのままでシャワーを浴びられるようにする。
今更のように、クロノはアインスの胸から目をそらしてボディソープの容器に手を伸ばした。
といっても、ボディソープを手にとってしまうと、やはり正面に向き直って、そうすれば目の前にはアインスの裸身がある。
アインスもボディソープを手にとるために身体をかがめると、体勢にしたがって下を向く乳房が、シルエットで思い切りその形と大きさを強調する。
一般的な成人女性の体格からしてもアインスはかなり大きい。胴が太いので、そのぶんバストとのバランスがよく見える。
両肩、両脇、そして胸から腹、そして股間へ、白いパールカラーのボディソープを塗りつけていく。
ぎこちない手つきのクロノを見下ろしながら、アインスもゆっくりと自分の身体に白い液真珠を纏わせていく。手指で撫でるにつれて泡だっていき、アインスの珠のような肌に濡れ泡が絡みついていく。
濡れて、シャワールームの温白色の照明で、盛り上がった乳輪がきらめく。
「こすりあわせるんだ」
一歩前に踏み出し、アインスはクロノの胸板に自分の胸を合わせる。身長差で、ちょうどクロノの両肩に乳房を乗せる形になり、クロノの頬は両側からアインスの乳房に挟まれる。
石鹸の泡で、濡れた肌が滑り、ぬめる。滑り落ちないように、アインスは両手で乳房を寄せて支え、クロノの顔を挟む。
「あ、アインスさんっ、そ、その、胸が」
「見せたいんだよ……恥ずかしがるなと言っただろう、お前も遠慮することは無いんだ、私を触ってくれ」
「っ、ふぁっ」
乳首が、首筋を撫でる。勃起したペニスが、アインスの太ももに触れる。このまま腰を前に出せば、アインスの股間に触れてしまいそうだ。
「じれったいな、この、手のかかる軟弱モノめ」
「す、すみません……」
「お前も男なら、しっかりしろと……言っているだろう」
執務官の仕事をしているときは気を張っているが、こと男女の間柄となるとクロノはまるで初心になってしまう。
アインスも本気でクロノを怒っているわけではないので、声に笑みを含ませながらクロノの身体を抱き寄せる。ぴったりと引っ付いて、クロノの股間の肉棒が、勃起の圧力でアインスの内股をいっきになで上げる。
その先に、アインスの陰唇がある。
立ったままでは、クロノの身長ではアインスまで届かない。シャワーの湯のしずくを浴びながら、クロノをシャワールームの床に座らせ、アインスがクロノの腰の上に跨る。
流れ落ちた石鹸でぬめるペニスが、同じように滑りのよくなったアインスの肌の上を走り、腹肉を叩く。
なかなか、秘所に侵入させてはくれない。焦らされ、クロノは息が上がり、じわじわと興奮が高められていく。シャワーの水滴にはじかれ、屹立したクロノのペニスは、尿道口が震えるようにカウパー液を搾り出していた。
「くっ、あ、アインスさん、僕は」
背中を壁にもたれ、苦しい体勢で、クロノは身体を寝かせ、ペニスをアインスの尻の真下へ持っていく。
アインスがそのまま腰を落とせば、ちょうどクロノのペニスをつかまえられるように。
「可愛いよ、その健気さ──たまらない、お前の姿が──」
湯で濡れただけでなく、アインスもまた、性的興奮の高まりによって淫肉を充血させ、膣口を膨らませていた。恥丘の頂上部のみほのかに萌える銀色の陰毛は、細く柔らかいまっすぐな毛で、一般的なミッドチルダ人と比べてもはるかに薄い。
肉感に満ちた女性器を、隠さず見せ付ける。光の影になり、股間の肉の形が輪郭を浮かび上がらせる。平らな股間のラインに、緊縮と弛緩を繰り返す海棲貝類のような陰唇がぱっくりと口を開け、ペニスに喰らいつく瞬間を今か今かと待っている。
「お前は私のものだ──っ!」
クロノの目の前にアインスの巨乳が迫り、視界が完全にふさがれる。アインスの股間を見られなくなったが、代わりに、敏感になりきっていたペニスに、今まで触れたことの無い異様な接触の感覚が走る。
反り返りが自分の腹に触れるほどにまで高く勃起していたクロノのペニスの、裏筋を縦に咥えるようにアインスの陰唇が密着した。
触れ合った圧力で、粘液が噴き出す音が響く。既にアインスも、我慢に我慢を重ねて濡れきっていた。膣内に満ちていた愛液が、クロノのペニスに股間を押し付けた圧力で、音を立てて搾り出されるように噴出する。
二人のそれぞれの性器は、あっという間に淫らな粘つく分泌液で覆い尽くされた。
「ああっ、あ、あ、アインスさん、アインスさんっ僕っ、な、だ、だめですっこんないきなりっ」
「くぅ、う、すまないクロノ、だめだ私ももう限界だ、もう我慢できない、クロノ──ッッ!!」
巨大な重量を持つアインスの腰が、クロノの小さな身体を嬲り喰らうように前後に振られる。
腫れ上がるほどに興奮し膨れていたアインスの秘花が、腹に押し付けられたクロノの棒を裏側から挟み、扱き上げる。
さらにアインスは下腹部に手を差し込み、クロノのペニスに手を添えて自身のヴァギナに押し付ける。クロノの亀頭にアインスのクリトリスが当たる形になり、さらに硬い疣状の肉果実に擦られるという未知の感触を味わったクロノはさらに高まっていく。
もはやクロノはなすすべなく、アインスにしがみつくのも忘れ、シャワールームの床に押し倒され、アインスに蹂躙されていた。
かろうじて両手を広げて床につき身体を支えているが、それで精一杯になり、下半身の暴走をコントロールできない。アインスの手にペニスをつかまれ、こすられ、あっという間に限界がやってくる。
「アインスさん、あっ、で、出ます!出ます!でそうですっアインスさんっ!」
うっすらと開けた目で、激しく振り乱されるアインスの乳房が見えた。
暴力的なまでの肉感を持つ巨乳。
自分の上に載っている腰の重量だけで小さな子供ほどの質量がありそうだ。太ももだけでも、少女のウエストほどもありそうな太さ。それでいて贅肉ではない、引き締まった筋肉。
あらゆる肉体のプロポーションが渾然一体となり、この規格外な女体を見せ付けている。
腹に、胸まで飛んできた。
自分の肌に自分の精液が降りかかる感触。
アインスの手のひらからもあふれ出す、白濁の奔流。
ゆっくりとペースを落としながらアインスは腰の動きを落ち着けていき、クロノを解放した。
惚けているクロノの股間に、シャワーを当てて粘液を洗い流していく。
「凄いな……溜まっていたのか?これほどの量はさすがだ」
クロノは返事を返せる気力もない。それでも、亀頭は赤々と張りあがり、勃起は少しも収まっていない。
シャワールームの床に、腰を抜かして倒れこんでいるクロノ。目の前にアインスがしゃがんで、自分をシャワーで洗ってくれている。
太ももからヒップラインへのつながりがまっすぐなめらかで美しい。ヴァギナはすでに割れ目をぱっくりと開き、いつでも受け入れる用意ができている。
しゃがんだ体勢で、無駄な肉がついていないアインスの腹筋が浮かび上がっている。そこから、ぎゅっと絞られたウエストラインの上に、これ以上ないと思えるほどの張りと弾力を持つ巨大な乳房。
肌には少しの曇りもなく澄み、整った凛々しい顔立ちは、紅潮が肌の白さゆえに際立っている。
シャワーを浴び終え、バスタオルで身体を拭き、足元がおぼつかないままベッドまで運ばれたクロノは、アインスが体勢を変えて仰向けになって自分を迎えようとするのを半ば放心状態で見ていた。
ベッドの上に膝をつき、ペニスを丸出しにした状態だ。
目の前の乳房から、股間へ視線を下ろすと、そこはすでに、再び萌出した愛液で潤みきっており、みずみずしい花の蜜のように、聖なる泉のように水面をきらめかせている。
「アインスさん……僕は……」
「大丈夫だ、私にすべて任せろ……そのまま、ゆっくりこっちに来い」
仰向けになるので、アインスは長い銀髪を背中に引っかからないよう、左右に流している。
銀箔を織り込まれたシルクの絨毯の上にいるかのようだ。銀色と、乳白のような肌色の淡いコントラスト。ベッドは厚さのある敷き布団と枕で、よく沈み込み、身体を包むようになる。
ぴったり真上を向いて張ったアインスの乳房と乳首が、淫靡に揺れる。
「そうだ、ペニスの向きを合わせろ……カリ首の周りも、裏側もよく塗りつけて濡らすんだ。よし、それでいい……そのまま、まっすぐだ……」
軽く上体を起こし、自分の股間を見下ろせる体勢で、アインスはクロノに指示する。
言われるままに、自分のモノをつまみ、カウパー液と愛液を亀頭に塗りつけ、挿入の抵抗にならないようにする。
そしてとうとう、クロノは前へ進んだ。
まだ誰にも許したことのない、無垢ゆえに獰猛な少年のペニス。
クロノの初々しいペニスが、広大な桃源郷のように陰唇の中に愛液をたっぷりと湛えたアインスの膣口に、ゆっくりと沈み込んでいく。
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目次:闇と時と本の旅人
著者:SandyBridge ◆UKXyqFnokA
- カテゴリ:
- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
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