472 今となってはもう遅い… 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:25:51 ID:wApI/DCX
473 今となってはもう遅い… 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:27:09 ID:wApI/DCX
474 今となってはもう遅い… 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:28:30 ID:wApI/DCX
475 今となってはもう遅い… 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:29:44 ID:wApI/DCX
476 今となってはもう遅い… 5 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:31:04 ID:wApI/DCX
477 今となってはもう遅い… 6 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:32:05 ID:wApI/DCX
478 今となってはもう遅い… 7 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:33:48 ID:wApI/DCX
479 今となってはもう遅い… 8 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:34:54 ID:wApI/DCX
480 今となってはもう遅い… 9 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/03/29(土) 23:35:59 ID:wApI/DCX

「く……不覚…………。」
レリック事件中の最中、高町なのはは戦闘中に古傷がかすかに痛み出した事が原因で一瞬隙が
出来、その隙を突かれジェイル=スカリエッティ一派によって捕獲されてしまった。
そしてレイジングハートは没収され、腕や足、首等にリング状の小型AMF発生器をはめられ、
魔力を封じられた状態でスカリエッティの前に差し出されるのであった………

「やあ、私がここの最高責任者のジェイル=スカリエッティだ。
君の噂は聞き及んでいるよ。時空管理局のエース・オブ・エース高町なのは君。」
「そんな事はどうだって良い。私を捕らえて何をしようと言うの? 改造や洗脳でもするの?」
例え捕まろうとも時空犯罪者には屈しない。そう強い意志を込めた目で
スカリエッティを睨み付けるなのはであったが、スカリエッティは動じる事は無い。
「改造に洗脳ねぇ…。それも悪くは無いが…今の私はそんな気分では無いのだよ。
君への処遇等詳しい話は追って伝えるとして…とりあえずは丁重に持て成そう。」
「え…。」
スカリエッティの言葉になのはは違う意味で呆然とするしか無かった。
人造生命の研究等、神をも恐れぬ命の弄びっぷりを見せて来たスカリエッティであるから、
彼に捕まってしまった以上、自分も改造されてしまうのだろうと覚悟していたからだ。
しかし、実際にその様な事をする様子は見られなかった。

そしてナンバーズからの監視を受けながらある部屋へと案内されるのだが、
その部屋もやはり手術室や改造室と言った物では無く、ベッドやTV等が置かれた
ごく普通の部屋。それには呆気に取られるばかりのなのはであったが、さらに…
「御用があれが何なりと申し付け下さい。可能な限り協力します。」
「え…。」
と、監視係のナンバーズにその様な事を言われる始末。しかもその日の夜には食事も出たし、
風呂に入る事さえ出来た。
「これは一体どう言う事?」
なのはは解せなかった。今のなのははスカリエッティ一派に捕まった捕虜のはずである。
であるにも関わらず牢獄にも入れず、かと言って管理局の情報を吐かせる為の取調べや
拷問さえ行わない。まるで客人でも持て成すようなこの扱いがなのはには理解出来なかった。
「けどまだ安心は出来ない。こうやって安心させておいて…って言う敵の罠なのかも…。」
それ故なのはは緊張を解く事はしなかった。しかし、そう考えても今のなのはは
レイジングハートが無い上に腕や足、首等にリング状の小型AMF発生器を付けられ、
思念通話さえも使えない。こうなってしまえば例え管理局のエース・オブ・エースと
言えどもタダのオンナ…どうする事も出来なかった。

夜も遅くなり、なのはもいい加減眠たくなって来た。しかし必死に眠気を払おうと首を左右に振る。
「ダメダメ! 寝た隙に私を改造しようなんて可能性だってあるじゃない!」
そう言い、なおも緊張を解くまいとしていたのだが、そこで突然ドアが開いた。
「こんばんわ…なのは君…。」
「スカリエッティ!」
ドアを開けて現れたのは誰でも無いスカリエッティその人。しかもナンバーズの護衛を付けずに
単身堂々となのはの前へ現れると言う大胆不敵さを見せ付けていた。
「護衛も無しにやって来るなんて余裕があるのね? ジェイル=スカリエッティ…。」
「余裕がある…か…。まあそう言う事にしておいてあげよう。」
表面的には平静を装いながら睨み付けるなのはだが、スカリエッティはやはり動じる事は無い。
そしてスカリエッティは言うのだ。
「私は今まで様々な人造生命研究を行って来た。そして私自身もまた人工的に作り出された生命体だ。」
「いきなり何を言うかと思えば…それがどうかしたと言うの?」
スカリエッティの意図の読めないなのはは、それでも表面的には平静を装うが…
「だからこそその反動が来たのだろうね? 最近私は生命の神秘に付いて興味を持つ様になったのだ。」
「生命の神秘?」
「そうだ。私は今まで様々な細胞同士の融合や、遺伝子操作と言った手法を使い
科学的に新たな生命を作り出して来た。しかし…それは生命本来の姿ではあるまい?
そうだ。人が科学を手に入れる以前から…いやこの世に生命が誕生した瞬間から
行われて来た当たり前の行為。つまり自然の摂理によって生命が誕生する様を
私は見てみたくなったのだよ。そしてタイミング良く君が私の前に現れてくれた。
私は科学者故…神の存在はあまり信じたくは無いのだが…今回は別だ。
これは神のお導きに違いない! 高町なのは君…一切の改造処置を行う事無く
自然のままにエース・オブ・エースと称される程の魔導師となり、かつそこまでの美しさを
併せ持った君は間違い無く大自然が生み出した生命の神秘だ! そして神は私に仰っているのだよ!
科学的手法を一切使う事無く、自然の摂理によって君に我が子を産ませて見せよと…。」 
「ええ!?」
不敵な笑みを浮かべ主張するスカリエッティに忽ちなのはは赤くなった。
しかし、その時には既に遅し。スカリエッティはなのはの目の前で白衣を脱ぎ捨て、
全裸になった状態で一気になのは目掛け飛びかかり、ベッドへ押し倒したのだ。
そして手慣れた手付きでなのはの着ていた服を脱ぎ剥がして裸にして行く…。
「嫌ぁ! やめて!」
「フフフ…私が調べた情報によると君は97管理外世界出身と言うでは無いか。
だからこそ、君の世界でルパンダイブと呼ばれる飛びかかり方をやって見せたが…どうかな?」
なのはは必死に抵抗したが…スカリエッティには意も成さずに押さえ込まれてしまった。
しかしそれはスカリエッティが強いのでは無い。小型AMFによって魔力を封じられた
なのはが弱くなっていたのである。そして、スカリエッティは有無を言わせずになのはの唇を奪った。
「んぶ!」
それがなのはの初めてのキスだった。確かに頬にキスをされる事は過去にもあった。
しかし…唇を奪われるのは…今日が初めて。それも時空犯罪者相手に……
「んんー! んんんんんー!!」
なのはの目に涙が浮かび、必死に離れようとするがスカリエッティは離さない。
それ所か逆に唇を強く密着させて来るし、挙句には舌同士を絡め合わせてくるのだ。
これもまたなのはにとって初めての経験だった。
「んあぁぁ…。」
十数秒して、やっとスカリエッティの唇が離れた時には、二人の舌の間を唾液の架け橋が
渡されており、なのははまるで力を吸い取られたかの様にグッタリと倒れ込んでいた。
「おっと…まだ寝るのは早いよなのは君。」
「あ…や…。」
スカリエッティは間髪入れる事無くなのはの両脚の太股を掴んだ。そしてグイッと
前へ押し出しながら左右へ広げ、いわゆるM字開脚の体勢にされたのだ。
「フフフ…中々美しいでは無いか。そう考える私もやはりヒトだと言う事か…。」
「い…いや…そんな…。」
なのはの頬は忽ち真っ赤になった。無理も無い。自分の下を男にまじまじと
見られてしまったのだ。それも時空犯罪者相手に。これもやはり初めての経験。
「自然の摂理では、こうやって子供を作るのだろう?」
「え? 嫌!」
スカリエッティはM字開脚されたなのはの股間へと己のモノを押し付け…………
「痛ぁ!!」
なのはは涙を派手に飛び散らせながら一瞬硬直した。スカリエッティのモノが
なのはの膣内へ沈み込み、未だ一切の男を寄せ付け無かった処女膜さえも完全に貫いていたのだ。
そうなれば忽ち接合部から真っ赤な処女血が溢れ出し、ベッドのシーツを真っ赤に染める。
「うお…これは中々キツイな…私の息子が潰れてしまいそうだ。」
「嫌ぁぁぁぁぁ!! 痛い! 痛い! 痛いよぉぉぉぉ!!」
なのははまるで子供の様に泣き叫んだ。確かに彼女は管理局で様々な戦いを経験し、
戦いの痛みにも慣れていたはずなのだが…破瓜の痛みはそれさえ無意味な程の激痛だった。
その上、憎き時空犯罪者ジェイル=スカリエッティに処女を奪われると言う現実が
なのはの精神にこの上ない程の苦痛を与えていた。
「まあ最初は痛いと言うな。だが…直ぐに気持ち良くなるとも言うぞ。」
泣き叫ぶなのはさえ意にする事無く、スカリエッティはなのはを抱いた。
そしてその顔をなのはの豊満な乳房の谷間へと深々と埋めるのである。
「フフフ…これが自然のままの女性のカラダか…悪くは無い物だな。」
「く…………! やめろ………んあ!」
なのははなおも残る破瓜の痛みに耐えながらスカリエッティを睨み付けるが、
直後に乳首に吸い付かれ思わず身体が震えてしまった。そしてスカリエッティは
一度顔をなのはの乳房から離すと共に腰を振り、突き始めたのだ。
「ん! や! んああ!」
「これが俗にセックスとか交尾と言われている行為か。これも悪くは無いな。」
実はスカリエッティはこう見えて童貞だった。確かに知識の上では性的な行為の
事は頭にはあったが、彼は科学者。人工的に生命を操作する研究に没頭していた為に、
直接女性を抱いた事等一度も無かった。そう、なのはがスカリエッティに処女を
奪われた様に、スカリエッティもまたなのはへ童貞を捨てる結果となっていたのである。
「ハァ! ハァ! ハァ! ハァ! 交尾は…中々…疲れる物だな!」
「嫌ぁぁ! んあああ! はぁぁぁ!!」
なのはの膣へ沈み込んだモノを通して突き続ける中で、次第に二人とも汗だくになっていた。
そして…スカリエッティは今まで感じた事の無い感情を感じていた。
「ハッハッハッ! 気持ち良いぞなのは君! 疲れるが…凄く気持ち良いぞ!」
それは『快感』と言う感情。それは研究を成功させた時の喜びや、時空犯罪を成功させた時の
歓喜とは違う。純粋に一人の雄としての喜び。雄として雌を抱いた時に感じる喜びだった。
その後もスカリエッティは一心不乱になのはを突き続けた挙句、ついには射精意を感じるに至る。
「よし。そろそろ出すぞ。しっかり受け止めたまえ。」
「え!? 嫌! やめて! 中だけはやめて! やめてぇぇぇぇ!!」
なのはの必死の哀願も空しく……………

                    ど び ゅ っ

「んあ………………。」
スカリエッティの精液が勢い良くなのはの膣内へぶちまけられた。
しかも先の一射目で全てを出すに至らず、びゅっ…びゅっ…と二射、三射と
生暖かい液体が小刻みになのはの膣内へ注ぎ込まれていた。
「ふぅ……中々良かったな。自然の摂理と言う物も悪くは無いと実感出来た。」
「……………………………。」
スカリエッティはなのはの膣内へ深々と突き刺さっていたモノをゆっくりと引き抜くが、
そうされてもな粘り気のある精液がモノの先端となのはの膣穴の間に架け橋のごとく繋がっていた。
「それでは私は一度帰らせてもらう。おやすみなさい…。」
「…………………。」
スカリエッティは服を着ながらそう言って、部屋から去って行くのみだったが
なのはは暫し脚をM字に開いたまま、膣穴から愛液と処女血と精液の混じった様な
液体を垂れ流しながら呆然としていた。
「ごめんなさい……ユーノ君…ごめんなさい………。」

だがそれで終わりでは無かった。次の日にも深夜の寝る前にスカリエッティが
なのはの部屋を訪れ、抱いて行ったのだ。勿論最後は中出し。
それが毎日毎日続いた。決して拷問や乱暴な取調べは行われなかったが、
代わりにスカリエッティ自らに抱かれる。かと言って不必要な性的陵辱が行われるワケでも無く、
ただただ…子供を作ると言う目的の為の最低限のセックスをさせられていたのだ。

しかし慣れとは恐ろしい物。そうして毎日毎日スカリエッティに抱かれて行く中で
なのはもまた…………
「く…悔しい……悔しい…よぉ……こんな時空犯罪者なんかに…時空犯罪者なんかに……
でも………何で…何で気持ち良いの!? 何で気持ち良いのぉぉぉぉぉ!?」
何時しかスカリエッティに抱かれる事が日常と化し、慣れてしまう事も無理な話では無かった。

そうしている間に何時の間にか数ヶ月の時が流れていた。
なのはがスカリエッティの研究所で燻っている間にもレリック事件は進展しており、
ついにフェイトがスカリエッティの研究所に押し入り、一度はピンチに陥るものの
エリオとキャロの励ましに勇気付けられた後で新・ソニックフォームを披露して
ナンバーズを撃破し、スカリエッティを取り押さえようとしていたのだが……………
そこで突然フェイト目掛け桃色の魔法光が放たれていたのだ。
「何!?」
ほぼ奇襲に近いそれにフェイトも思わず後方へ回避せざるを得ないが、
魔法光が来た方向を見た時、フェイトは愕然とした。
「なのは!!」
そこにいたのはバリアジャケットに身を包み、レイジングハートを構えたなのはの姿だった。
「なのは…生きていたの!?」
なのはが無事だった事にフェイトは喜ぼうとしたが………
「今の内に逃げてジェイル!」
「なのは君無理はいけない! 君のお腹には!」
「え…。」
スカリエッティを庇おうとしていたなのはの行動にフェイトは愕然とするのである。
「なのは一体どう言う事!? どうしてスカリエッティを庇うの!? それにジェイルって…。」
フェイトは焦りながら問い掛けるが、なのはは冷ややかな目で言うのだ。
「フェイトちゃんが悪いんだよ。どうしてもっと早く助けに来てくれなかったの?
もっともっと…早くフェイトちゃんが私を助けに来てくれれば…私はこんな事にはならなかったんだよ。」
そしてなのはは右手で優しく自分の下腹を摩る。何とその下腹はプックリと膨らんでいるでは無いか。
「私は悪くない! 悪いのはフェイトちゃん! フェイトちゃんがもっと早く助けに来て
くれさえしてくれれば私はジェイルの子供を妊娠する事なんて無かった!!」
「ええええええ!?」
フェイトは愕然とした。なのはの壮絶な告白。なのははスカリエッティの子を身篭っていたのだ。
確かになのはは毎日スカリエッティに抱かれ、膣出しされていたのだから子供が
出来ない方がむしろ不自然なのだが、どっちにしてもフェイトにとって衝撃が走るのは仕方が無い。
そしてなのははスカリエッティを庇うかのように、前に立ち…言う。
「ジェイルはナンバーズのお腹の中にはクローンを仕込んでいたけど、私は違う。
私のお腹の中にいるのは、紛れも無く私とジェイルの子供。私の卵子と、ジェイルの精子の
融合体が子宮の中で私から栄養を取りながらここまで育って…だからもう今となってはもう遅いの…。
私とジェイルの子供はもう直ぐ生まれちゃうから…。私はもうフェイトちゃん達みんなの
所には帰れない。どうせ管理局の事だから…ジェイルの子と言う理由だけでこの子を殺すかもね。
そんなの私は嫌…。だから………。」
なのははフェイトへレイジングハートを向けるが、それを背後から心配そうな目で
スカリエッティが引っ張る。
「だから無理をしてはいけないなのは君! 今戦えばお腹の子供がどうなるか分からない!」
しかしそんなスカリエッティの顔を、なのははやはり冷ややかな目で見つめるのだ。
「今まで私を散々抱いて…犯しておきながら…貴方らしからぬ優しい言葉だねジェイル…。
でも良いよ。もう貴方との子はここまで育ったんだから…ここで無駄にするワケには行かない。
だからフェイトちゃん……さようなら…。私はこれからジェイルと共に生きていくから。
もう二度と会う事は無いと思うけど……………ユーノ君にごめんって言っておいて…。」
「なのは! うっ!」
なのはが目に涙を浮かばせながらフェイトを見つめた直後、レイジングハートから
強烈な光が発せられ、フェイトが思わず目を背けていた間になのはとスカリエッティの
姿はその場から忽然と消えていた。

エース・オブ・エースが広域時空犯罪者の子を身篭った。
この事実は管理局中を震撼させたが、なのはとスカリエッティの消息は不明であり、
管理局も手を尽くして探したが、その行方は分からなかった。

一方なのはとスカリエッティの二人は、いざと言う時の脱出用に用意されていた
時空航行船の中にいた。
「なのは君…本当に良かったのかい? 私と一緒に来ても…。これからは君も
お尋ね者になってしまうのだよ?」
「あら…私に無理矢理子供を作らせておいて…貴方らしからぬ優しい言葉をかけてくれるのね。
けど…あの時も言ったけど…今となってはもう遅いよ。」
そして、時空航行船の操縦席に付いて操縦するスカリエッティの隣の席に
座っていたなのはは自分の大きく膨らんだ下腹を優しく摩る。
「ここまで私とジェイルの子供が育ってるんだから…今更戻った所で私は
裏切り者の烙印を押されるだけ。それにこの子もジェイルの子供と言うだけの理由で
何をされるか分かった物では無いし………私はそんなの嫌だよ………。」
その時のなのはは、一見強がって見せてはいても…目はかすかに涙で潤んでいた。
本当はなのはも皆の所に帰りたいのだろう。しかし、今となってはもう遅い。
「す…済まない…なのは君にこんな事をしてしまって……。私は最低の人間だ…。」
ジェイル=スカリエッティは生まれて初めて人に謝った。
今まで様々な悪行に手を染めて来た彼だが、それに罪悪感を抱いた事は無かった。
しかし今は違う。この手でなのはを抱き、子供を妊娠させてしまった挙句に
それがなのはと仲間達を引き離す事になってしまった事にこの上無い程の
罪悪感を抱いてしまっていたのだ。そして頭を下げていたのだが、
それに対しなのはは鋭い目でスカリエッティを睨み付けながら怒鳴りだしたでは無いか。
「ああそうだよ! ジェイル貴方は最低の人間だよ! 私を無理矢理抱いて…
赤ちゃんまで妊娠させて………。そうで無ければ私は皆の所に帰れたのに………。」
なのはの目からは涙がボロボロと流れ落ち、ますますスカリエッティは罪悪感に苛まれる。
「けど…今となってはもう遅いから…ここまで育ってるんじゃ…私は産むしか無いから…
ジェイルの子供産むしか無いから! だからこれからはジェイルと一緒に生きて行くしか無いじゃない!」
「なのは君…。」
スカリエッティもまた目から涙を浮かばせながらなのはを見つめるが、
直後になのはから平手打ちを貰ってしまった。
「でも勘違いしないでね! 私はジェイルを愛するつもりなんて無いから!
ただ一緒に暮らすってだけだからね!」
「わ…分かったよ……本当にごめん…なのは君…。」
やはり目から涙を流しながらも必死に強がるなのはにスカリエッティも
半ば恐れを抱きながらも呆れ、再び正面を向いて時空航行船の操縦に専念した。

二人が辿り着いた先は管理局の目の届かない管理外世界。科学も魔法も大して発展してはいない
辺境の小さな田舎世界だが…平和な世界でもあった。
「私は色んな世界を見て来たつもりだが…まさかこの様な世界が存在したとは…
やはり世界は広いと言う事か……………。」
いずれにせよ、ここまで来れば管理局も追って来る事はあるまい。
現地の人も割りと穏やかと言うか…大らかな性格をしているのか、あっさりと
二人を受け入れてくれた為、二人はその世界で腰をすえる事にした。
そして小さな教会でひっそりと結婚式を挙げた。

間も無くしてなのはは産気付き、スカリエッティの子供を出産した。
「オギャー! オギャー! オギャー!」
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…。」
生まれたばかりの新たな命が激しく産声を上げ、なのはも苦しそうではあるが
やっと誕生した命にどこか喜びの表情を浮かべていた。
「これが自然の摂理によって誕生した新たな命か…クローンなどとは
全然違うのだな。不思議な物だ。」
タオルに包まれた赤ん坊を優しく抱きながらスカリエッティはそう呟くが…
「しかし……君が産んだ子供にしては……君に似てないな…。」
彼の言った通り、生まれた子供はなのはに似ていなかった。むしろ金色の鋭めな瞳と
紫色の髪等…父親であるスカリエッティに似た男の子だったのである。
「フフ…その子はジェイル…私じゃなくて…貴方に似たんだよ。二人の子供だからって
必ずしも両方の特性を併せ持って生まれて来るワケじゃない。だからどちらか一方に
似た子供が生まれてくる物なんだよ。それが子供ってものなの…。」
「そ…そう言う物なのか…。」
やはりお産の疲労で疲れてはいるが、優しい笑みを浮かべながら言うなのはに
スカリエッティは不思議そうに自分の子を見つめるしか無かったが、
その後でなのははゆっくりとその子を抱き、母乳を飲ませた。
「まあどっちにしても…親として責任を持ってこの子を育てねばならないな。」
「おや、またジェイルらしからぬ事を言うのね。」
やはり慣れとは恐ろしい物。なのはは知らず知らずの間に…スカリエッティと
すっかり打ち解けてしまっていた。

それから体力がある程度回復した後で、なのはは喫茶店を開く事にした。
「喫茶店か…。」
「何処の世界でもやっぱり働かないと生きていけないしね。
それにナージェの為の生活費だって必要だし…。」
なのはが見つめる先には『ナージェ』と命名された二人の子供が
スカリエッティお手製の妙にハイテク機能付きの揺り篭の上でスヤスヤと眠りに付いている。
「大丈夫なのかい?」
「大丈夫! だって私の実家が喫茶店だったからね! ある程度のノウハウは
頭に入れてるつもりだよ!」
「何と…君は喫茶店出身だったとは…。」
普通の人にとっては別に何と言う事は無い事かもしれない。しかし、人工的に
科学者になるべくして作られた人工生命であるスカリエッティにとって、
管理局のエース・オブ・エースがまさか喫茶店の娘であった事は…余りにも衝撃だった。
「そうか…それもまた自然の摂理によって誕生した子供と言う事か…。勉強になったよ。」
「そうそう。机の上でやる事だけが勉強じゃない。生きる事そのものが勉強なんだよ。」
そうして、元管理局のエース・オブ・エースと広域時空犯罪科学者と言う
不思議な組み合わせのカップルはこの平和な管理外世界でのんびりと
喫茶店を経営しながら子を産み育て…そして死んでいく事になるのかもしれ無い。

後に高度な科学力と魔法力の両方を兼ね備えた若者が時空管理局に反旗を翻したり
翻さなかったりする事となるが…それはまた別のお話である。

                  おしまい



著者:◆6BmcNJgox2

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