[501]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:45:27 ID:S3+iQ18J
[502]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:46:47 ID:S3+iQ18J
[503]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:48:18 ID:S3+iQ18J
[504]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:49:55 ID:S3+iQ18J
[505]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:53:47 ID:S3+iQ18J
[506]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:54:56 ID:S3+iQ18J
[507]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:55:37 ID:S3+iQ18J
[508]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:56:19 ID:S3+iQ18J
[509]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:57:36 ID:S3+iQ18J
[510]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 16:58:32 ID:S3+iQ18J
[512]赤ちゃんヴィータの『ママ』と『パパ』<sage>2007/08/26(日) 17:00:03 ID:S3+iQ18J

「えっと、じゃあ紹介するね。特定災害対策救援部隊のマクラーレン三等陸佐。ヴィータ副隊長の代わりに
 今日からフォワードの訓練をみてくれることになりました。期間はヴィータ副隊長が『元に戻る』まで……です。
 マクラーレン三佐、一言お願いします。」
「はい。今日からヴィータ三等空尉が復帰するまで、フォワードの訓練指導が主な仕事となります。
自分は『固い・重い・遅い』タイプの前衛なので、ヴィータ三等空尉とは違った教え方になると思いますがよろしくお願いします。」
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
フェイトと自身によるエリックの自己紹介が終わり、フォワードも挨拶を済ませてアップに入る。
だが、エリックを含めたそこにいる皆が微妙な顔をしていた。
その原因はここにいない、エリックがここに呼ばれる原因となったスターズ副隊長・鉄槌の騎士ヴィータのトラブルだった。


話は数日前にさかのぼる。
いつものようにスターズ・ライトニングが早朝訓練に出てきたのだが、ヴィータだけが来なかった。
真面目で滅多なことでは仕事を休まず、何かあったときには必ず連絡を入れるヴィータにしては非常に珍しいことであった。
不安になってヴィータの部屋まで行ってみると、ヴィータは部屋のベッドの上で寝ていた。全裸で。
それは、まあいい。もしかしたら暑かったのかもしれないし、寝汗でベトベトになったのかもしれない。
問題はヴィータの大きさだった。普段でもキャロより小柄なヴィータであるが、今目の前にいるのはヴィヴィオよりも小さい。
「ぁ…ぅ?……ぇ……ぇ…」
そのサイズは少女や幼女というよりも
「ビェェェェエエエエエエエエエエエエンンン!!ままぁぁぁああああああああ!!」
赤ちゃんだった。

ところ変わって部隊長室。
部屋の中には部隊長である八神はやてとスターズ、ライトニングのメンバー、さらにシャマルとザフィーラがそろっていた。
ちなみにヴィータはシグナムが抱っこしている。
「と、とりあえず事情は……いや、さっぱりわからんけど。現状はわかった。で、なんでなのはちゃんとフェイトちゃんはそんなにふてくされてるんや?」
「それが……」
「いくらなんでも魔王はひどいよ……。」
「違うよ……わたしはレズでもないし、ロリコンでもないよ……。」
「……おk、把握した。」
隊長二人がつぶやく言葉ですべてが見えてしまった部隊長。子供というのは本当に残酷である。
その『子供』はというと、シグナムの腕の中で、そのふかふかオッパイに顔をうずめている。
「……やっぱり子供はオッパイ大好きやな。」
「ええ。しかし、このままでは仕事ができません。」
「ああ、それならわたしがヴィータを預かるわ。怪我人が来なければ割りと暇な仕事だし。」
「そうか?ならシャマル、頼む。」
そう言ってシャマルにヴィータを渡そうとする。
が!!
「ん〜、やぁ〜。」
シグナムの腕(正確には胸)の中から動こうとしない。
こんな状態なので引っぺがそうにも、できない。子供というのは本当に厄介である。


「ん〜、ヴィータ?シグナムこのままやったらお仕事できへんから、な?」
「ぅ〜?ぅ〜、ぁぅ〜、まま〜」
「……まま?」
その言葉にキョトンとなって硬直するはやて。その周りでは皆が苦笑を浮かべていた。
その後、シグナム→はやて→シャマルのリレーでヴィータは移動し、無事医務室までたどり着いた。
ちなみに部隊長室→医務室までに要した時間は90分。
そんないきなり波乱を予感させる出来事から今回の騒動は始まったのである。


「本当にどうもありがとうございました。それではまた。」
そういってはやては通信窓を閉じた。
先ほどまで話していたのはエリックの所属する特定災害対策救援部隊、通称トクサイのトップだった。
気前のいい、おおらかな人で、エリックがフェイトの婚約者ということもあって、エリックの6課への貸出は容易だった。
しかしエリックはトクサイの主力メンバーである。貸出くれたことは本当に幸運だった。
「事が落ち着いたらなにか大きなお礼をせんとな〜。これを機会にトクサイとなんかパイプつくれんやろか?」
そういうことを考えていると扉のからチャイムが聞こえてきた。
「誰や〜?」
「はやてちゃん、わたし〜。シャマルですよ〜。」
「おお〜、入って〜。」
そういって扉が開いてシャマルが入って……こなかった。
入ってきたのは、ヴィータ(赤ちゃん)を抱えた『長い髪にわっかをつけた、耳とシッポが生えた誰か』であった。
「………………だれや!?」
「だからシャマルですよ〜。」
たしかに見慣れた服にクラールヴィントを付けている。しかしこれをシャマルだといわれて納得しろという方がムリである。
『これならクラールヴィントは指輪よりもフォークの形にしたほうがええな。やっぱり服も局員制服と白衣やのうて、民族衣装っぽいのに変更するべきやろか?』
現実逃避にそんなことを考えてみたものの、目の前の人物から感じ取れる魔力は間違いなくシャマルのものだし、自分との魔力配給も確かにつながっている。
「……ほんとにシャマルなんやな。」
「困ったわね〜。ヴィータに引き続いてわたしまでこうなっちゃうなんて。」
「ぁぅ〜。まま〜。」
二人が顔を見合わせて困っていてたらヴィータが小さな手をはやてに伸ばしてきた。
それを見て二人は苦笑いを浮かべて、はやてはシャマルの腕からヴィータを抱っこしなおした。
「ごめんな、ヴィータ。すぐに元に戻したるからな〜。」
「ぅ〜?」
「はやてママがヴィータちゃんにために頑張ってくれるのよ〜。」
「ぁぅ〜?」
わかっていないように指をくわえてはやてとシャマルを見上げるヴィータ。それを見て二人は微笑んだ。
そうしていると、ふたたび扉からチャイムが聞こえてきた。
「失礼します。主。ザフィーラです。」
「お?ちょうどいいとこに。とにかく入り〜。シャマルとヴィータもおるから。」
「はい、失礼します。」
そういって入ってきた犬はどうみてザフィーラではなかった。
「「………………誰?」」
「…………ザフィーラです。」
「もふもふ〜。」
大きさ自体は変わらないが、毛の量が異常に多い。ヴィータが言ったように、体中毛でもふもふに覆われて、目が見えないくらいもふもふになっている。


『犬嫌いのロングの赤髪でグラマーな女の子を追っかけるやろか?加えて魚肉ソーセージが好きそうな気がするで。』
ふたたびくだらないことを考えてはみるものの、シャマルと同じ理由で目の前の犬がザフィーラだということはすぐわかった。
「……なんや?ヴォルケンズか夜天の書かわたしに問題があるんか?」
「ああ、そうそう。そのことでわたしはここにきたのよ。」
耳とシッポが生えて、髪も伸びて輪っか髪飾りのついたシャマルゥ……いや、シャマルがそう切り出した。
ヴィータはゲンジィーラ……いや、もふもふのザフィーラが気に入ったのか、背中に乗ってもふもふしている。
部屋の奥のデスクから、中央のテーブルに移動してシャマルは話を始めた。
「さっきはやてちゃんが言った3つのことだけど、そのうちの2つが影響してるわ。具体的に言うと夜天の書と守護騎士システムね。
主な理由としては、夜天の書が最後の主を選んだことと、私たちの『人間化』だと思うわ。」
「でも、わたしからみんなへの魔力配給がうまく行ってないのも事実やで?」
「それもはやてちゃんの問題じゃなくてわたしたちの問題かな。『はやてちゃんに迷惑かけないように。システムとしてじゃなくて
人間として、仲間としてみんなと1度きりの人生を歩みたい』っていう、守護騎士らしからぬわがままが原因だと思う。」
魔力の回復が遅い。体へのダメージの治りが遅い。ほかにも様々。
最初自分たちがいることによってはやてにかかる負担を少しでも減らしたい。
その一心だった。そのことが実際の起こったのだからうれしかった。
しかしそこに自分たちのわがままが入ってきたのいつごろからだろう?
だがそれでもそれでいいと、ヴォルケンズは考えた。
最後の夜天の主と共に、守護騎士としてよりも『仲間』としてその生涯を過ごす。
いままで当たり前だったことがそうでなくなったショックよりも、
そのたった1つの事がかなえられるほうがずっとうれしいことだから。
そんなことをその場にいる皆(ヴィータ除く)が考えていると、微笑みながらはやてが切り出した。
「まあ、生まれ変わるみたいなモンやしな。赤ちゃんになったり、体がなんか変になったりしても
 おかしゅうないわな。んで、どれくらいで元に戻るんや?」
「さぁ?」
そこまでに少しシリアスでいい感じの雰囲気が見事に消され、はやてはもちろんガクっとソファの上でこけた。
「だってしかたないじゃない〜。ヴィータちゃんもわたしも朝起きたらこうなってたんだもの。ザフィーラもそうでしょ?」
「うむ。」
そういって顔を見合わせため息をつく3人。
「ぅ〜?」
「……時間が解決してくれるのを待つしかないんか〜。」
不思議そうな顔でこっちを見上げてきたヴィータの頭を、苦笑いを浮かべながらなでながらはやてはそうつぶやいた。


そのころのフォワード陣。
いつもと違う1対1方式で模擬戦が行われていた。
今回の模擬戦のテーマは『硬すぎる相手への対抗策』である。
フォワード陣の相手はエリックが勤めている。
が、さすがに本気のフルプレートモードでは訓練にすらならないので、すこし防御力をおとしたロングコートモードのBJを身にまとっている。
そんなわけで現在はエリオがその訓練を受けている。
エリオのようなスピードで相手を霍乱しながら一撃必殺の攻撃を叩き込むタイプの騎士にとって、この訓練は苦手なうちのひとつだった。
「スピードを落とすな!!攻撃の瞬間以外に無駄な魔力をデバイスに入れるな!!その魔力はすべて機動、もしくは防御に回せ!!」
「はい!!」
魔力弾がくる中、エリオは訓練を受けていた。
ちなみに撃っているのはなのはで、例によって『あたったら最初からやり直し』ルールである。
その弾幕の隙間を付いてエリオがエリックに一撃を叩き込む。が
「アウト。機動と防御に力を割きすぎて攻撃力が不足したな。次がラストチャンスだ!レディ!」
「はい!いきます!!」
掛け声と同時にエリオがビルの上まで駆け上がる。そしてエリックへの直線上まで体を持っていき、カートリッジをフルロードする。
それと同時にエリックに向かってストラーダの推進力を限界まで高め、正面にできる限りの防御魔法を展開する。
「貫け!!ボクのサンラ……ストラーダ!!!」
ちょっぴり違う名前を叫びそうになりながらエリオはなのはの魔力弾を防ぎきりエリックまでたどり着き、チャージアタックを実行できた。
「……ブラボーだ!戦士……ごほん、エリオ。とりあえずBJを切り裂いて中の体に一撃食らわせれたな。」
「は、はい!ありがとございました!!」
たいしたダメージを受けてないようだがとりあえず模擬戦はクリアしたらしい。
その後、次のスバルに行く前に隊長陣が少しエリオの採点をして、エリオはそれをきいている。
「ねえ、ティア。」
「なに?スバル?」
「やっぱ私もこの流れに乗って、なんか叫ぶべきかな?」
「う〜ん。キャロも『見せてあげます!!わたしのかm……じゃなかった、竜を!!』とかいっちゃうくらいだからね。
 いいとは思うけど……なんて叫ぶの?」
「う〜ん、やっぱ無難にブ○ウ○ン○グ○ム?。」
「……とりあえず普通にやったら?」
「だね〜。そいえば、ティア使えるのないね〜。」
「言わないでよ……。」
なんかいつもより少し楽しそうなフォワード陣だった。


「と、言うわけらしいんや。」
時間と場所は変わって昼時の食堂。
はやてがスターズとライニングにわかったことを説明した。フォワード陣は聞きながら、
相変わらず特盛のパスタやらサラダを食いまくっている。
「ほんまに今回は各所にご迷惑かけまくりやで〜。とりあえず、今わかったことはそんだけかな。
今日当たりにロッサが見に来るらしいから、テキトーに捏造して本局の方に報告してもらって丸め込んでもらうわ〜。」
苦笑いを浮かべながらはやては腕に抱いたヴィータをなでた。
「ぅ〜、ま〜ま。」
「あ……」
その腕の中のヴィータは今にも泣き出しそうにはやてを見上げていた。
その様子にいち早く気づいたはやては……
「シャマル!!」
「はい!」
「ヴィータの!ミルクを!!」
「いいですとも!!」
そうするとすぐにシャマルは哺乳瓶に入ったミルク(温度人肌)をはやてに渡した。
「ほら〜、遅なってごめんな〜。ごはんやで〜。」
「ぁぅ、ぁぅ……んく……んく……」
はやては哺乳瓶を受け取るとすぐにヴィータの近くまで持っていった。
するとあとはヴィータが自分で手繰り寄せて口に含むので、はやては哺乳瓶を持ちながらヴィータを抱いているだけでいい。
赤ちゃんになってもはやて思いのいい子のヴィータであった。
「それにしても……すっかり『ママ』だね〜、はやてちゃん。」
「そうだね。まあ、はやての場合、すでに『矢神家の大黒柱』ではあったけど。」
はやてとヴィータの姿をほほえましく見ながら二人のママ‘sがそういった。
「いや〜、わたしは二人と違うてシングルマザーやからな〜。ふたりと違うて大変や〜。」
「「えへ〜www」」
からかいのつもりで言っても、今のこの二人には通用しない。
なぜなら二人とも左手の薬指に輝くリングを装備しているからである。
「……なんかシャクやな。」
「まったくです。まあ、訓練中はちゃんとしてくれているから良いのですが。」
「おー、シグナムも来たん……か……?」
声がすると同時にトレイを持ったシグナム?がやってきた。
「「「「…………シグナム?」」」」
「え?ええ……なにかおかしいですか?」
そういってシグナムは首をかしげる。
別にシグナムはシャマルやザフィーラと違って見た目に大きな変化があるわけではない。
ただ一点。
その『全なのはキャラ中最大サイズのバスト』が真っ平らになっていること以外は。
「……おお!何か普段よりも楽だと思ったらこんなことに。」
「って、それだけか!?」
あまりにも反応の薄いシグナムにすかさずはやてが突っ込みを入れる。が
「いえ、別になくて困るものでもありませんし……仕事のことだけ考えるなら無いほうがいいです。」
と、オッパイ星人(はやて含む)が滝涙を流しそうな台詞を吐いただけであった。
が!!


「ぁ〜ぅ〜……?しぐ〜……?」
「ああ、ヴィータ。大丈夫か?」
哺乳瓶を両手で抱えて見上げるヴィータにシグナムは視線を合わせて問いかけた。
が!!
「ふぇ……ぇ……ぅ……ぁ……」
「ど、どうしたんだ!?」
突然ぐずりだしたヴィータにシグナムはただひたすらあたふたした。
はやてが必死にあやしても一向に改善の余地は見られない。
そして
「ぇぇぇえええええんんんんん!!!!!!!!!!!しぐじゃないぃぃいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」
「な!?」
どうやら今のヴィータにとって『シグナム=おっきいオッパイ』であったようで、それがなくなったので人見知り?を起こしたらしい。
それを見たその場にいた全員が笑いを堪えるのに必死だった。
ちなみに、シグナムがヴィータ抱っこしてあやしているうちにシグナム(ナイチチ)をシグナムと認識しこの場は収まった。


「ふぅ〜。午後の仕事もひと段落ついたな〜。」
「八神部隊長!ヴァイス・グランセニック陸曹です!」
「お〜、入ってええで〜。」
はやてが答えると、失礼しますという言葉ともにぎりぎり顔が見えるくらいまで荷物を持ったヴァイスがが入ってきた。
「……なんやそれ?」
「紙おむつとか、粉ミルクとか色々ですよ。」
そういうとヴァイスは隊長机の横にその荷物を置いた。
「買ってきたんか?そりゃあ、あるとうれしいけど、わざわざヴァイスが買ってこんでも……。」
申し訳なさそうな顔をするはやてにヴァイスは手を振りながら答えた。
「いや、さっきパチンコ行ったら大勝しちゃったんで。そういうので勝った金を手元に残しておくのは主義じゃないんで。
 どうせだから買ってきたんですよ。一応シャマルさんに銘柄とかの確認は取ってあるんで大丈夫だと思いますよ。」
「そかー、わざわざ悪いな〜。……んで?なにを打ってどれだけ勝ったんや?」
軽く感謝の言葉を言うと、はやてはなんというか『オヤジ顔』になってヴァイスに質問をした。
「今日は『無印〜StS』ですね。いや〜、バインドSLBから確変入って、
 暴走(ブラスター)モードから、トリプルブレイカーに行ったときは鳥肌が立ちましたよ。」
「おお!!熱すぎやん!!ええな〜。わたしもそこまで出してみたいもんやわ〜。」
なんていうか、いろんな意味でとことん年齢不相応なはやてだった


そのころのフォワード陣
「お願い!!1回だけ!!1回だけでいいから!!」
なぜか、なのはがフェイトに両手をあわせて頼み込んでいる。
フェイトは困った顔をしながらOKするのも渋り続けている。
ちなみになのはの『お願い』とは
『久々に耐えられそうなすばらしい人に出会えたので、全力全快で撃ってみたい。』
と、いうことだった。
そりゃあ、フェイトも渋るに決まっている。(過去のトラウマ的な意味で。)
「まあ、私は1回くらいならかまいませんよ?」
「ほんと!?」「エリック!?」
エリックのその一言に瞳を輝かせるなのはと、非常に不安な顔を浮かべるフェイト。
「でも、1回だけですよ?いくらなんでも2回は持ちませんから。」
「はい!わかりました!!ほんとにありがとうございます!!」
非常にうれしそうにBJを纏うなのは。
その隣で非常に不安そうな顔を浮かべつつ、BJを纏うフェイト。
ちなみに訓練を終えてバテバテだったハズのフォワード陣はすごい勢いで遠くに行っている。どういうわけか、皆エリックに向かって
『無茶しやがって……。』
的な空気を漂わせている。
そうこうしているうちに、エリックもフルプレートモードBJと大盾モードデバイスに切り替え準備が整った。
「準備OKです。」
「1回だけだよ!?1回だけだからね!?なのは!!」
「わかってるよ〜、フェイトちゃん。そんじゃ〜、いくよ!レイジングハート!!」
『All right!!』
その瞬間、なのはの服がいつものミニスカではなく、ロングスカートの、やたらと肩の角ばった服に変わった。


『はやて部隊長。アコース査察官がお見えです。』
「お?入ってもらって、わたしの部屋まで来てくれるよう言ってくれるか?」
『了解しました。』
インフォーメーションからの通信にそう伝え、しばらく待っていると部隊長室にロッサがやってきた。
「や、はやて。大変なことになってるみたいだね。」
「やほ、ロッサ。ほんまに勘弁してほしいわ〜。ああ、んで『コレ』がいまのヴィータの現状。」
「ぅ〜。」
席を立り、ヴィータを抱きかかえて中央のテーブルに向かう。
ロッサをソファに座るそう促し、その隣にはやてが座る。
「ホントに赤ちゃんだね……。」
「やろ?この数日間でなのはちゃんとフェイトちゃんの気持ちがようわかったで。」
苦笑いを浮かべながら話すはやて。
それからカリムたちへ報告する用の『真相』を話し、本局に報告する用の『偽装』の書類を作成して今日のはやてとロッサの仕事はおわった。
「お疲れ様、はやて。」
「ロッサもお疲れ様。つっても、わたしはこれからヴィータにミルクあげたり、お風呂入れたり、寝かしつけたりで大変何やけどな〜。」
そういいながら笑うはやてにロッサもつられて笑った。
「ぁぅ〜。」
「ん?ヴィータ、どしたん?」
「僕がいるから緊張してるのかな?まあ、そろそろお暇しようか。」
「せやな、あんまり引き止めておくの悪いしな。それじゃ、また。ほら、ヴィータ、ロッサにバイバイは?」
「ぅ〜。ぱぱ〜。」
そう言ってヴィータはロッサのスーツの裾をつかんだ。
「「パパ?」」
「ぁぅ〜。」
あっけに取られる二人だったが、寂しそうな目で見上げてくるヴィータをみて思わず笑ってしまった。
「どうしよ?ヴィータは『パパ』に帰ってほしゅうないんやて。」
「しかたないね。どうせ報告は明日にならないとできないし。なによりこのまま帰ったら『ママ』が大変そうだ。今日はここに泊まるよ。」
「了解や〜。それじゃとりあえず食堂に行こか。みんなも訓練終わってるやろうし。」
「だね。」
そう言って3人は食堂に向かった。


ちょっと前のフォワード陣
「うぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!震えるぞハート!!!!!燃え尽きるほどヒィィイイイイイイトォオ!!!!!!!」
ガシャコン!ガシャコン!
「もうやめて、なのは!!もうエリックの魔力はゼロ寸前よ!!」
「HA☆NA☆SEなの!!相手がまだ耐えてる以上ここで砲撃をやめるわけにはいかないの!!
 意地があるの!!女の子にはああああああああああ!!!!!!!!」
ガシャコン!ガシャコン!ガシャコン!!
「くそ!!カートリッジも尽きたか……だがまだあきらめん!!俺は最初から最後までクライマックスだぜえええええ!!!
 踏ん張れバルバトスゥゥウウウウウウ!!!!!」
『Buluuuuaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!』
「エリック!!あなたも引いてよ!!わたしいきなり未亡人になっちゃうじゃない!!」
「カートリッジ、ラストリロード!!レイジングハート!!フルロード!!」
『All right, master!!』
めったに見れない死闘が演じられていた。

そんなこともあり、今日の食堂は死体寸前が3体ほどいたが、やっぱりご飯のときはみんな元気いっぱいに食べていた。
食堂ではヴィータが『まま』『ぱぱ』と連呼するのではやてとロッサはからかわれ続けたが、終始二人とも楽しそうだった。
ヴィータもなのはとフェイトに、頭をなでられるくらいは許してくれたようで二人はほっとしていた。


「ふ〜、ようやく寝てくれた〜。」
「おつかれさま。」
寝室から部屋にもどってくるとロッサがソファに座ってウィスキーを飲んでいた。
「あー、もう。あんまり飲んだらアカンよ?」
「これ1杯だけだよ。それにしても、いつもに増して充実してるね。」
「まあな〜。子育ても結構たのしいって事がわかったからな〜。」
はやては冷蔵庫からオレンジジュースを出してロッサの横に座った。
「それじゃ、はやて。今日1日お疲れ様。」
「ロッサもお疲れ様。報告のこと無理いってごめんな。」
お疲れ様を言うと同時にグラスを合わせる。衝撃で中に入れた氷がクルリを回った。
「別にいいよ。こういうのも僕の仕事だしね。……そういえばさ。」
「ん?」
先ほどまでと違う感じになってロッサが切り出した。
注意しなければ気づかないくらいの変化だったかもしれないが、はやてにはすぐ分かった。
「実はね、今日ヴィータに『パパ』って言われたの、すごくうれしかったんだよ。それをはやてが否定しなかったこともね。」
「あ……。」
それははやても思っていたこと。
「それで、これ。渡しておこうかと思ってね。」
「え……?」
そう言ってロッサが取り出したのは小さな箱。それは見た目でもう何が入っているかすぐ分かるものだった。
「正直、受け取ってもらえるとほぼ確信して渡すんだけど……受け取ってもらえるかな?」
「っ!!」
ロッサは言いながらゆっくりと蓋を開けてはやての前に差し出した。
中に入っていたのは予想通り、指輪だった。はやての誕生石であるムーンストーンが乗った。
「……ありがとう。うれしい。けど……。」
「うん?」
はやては泣くのを堪えながら必死に言葉をつないだ。感謝の言葉。自分の素直な気持ち。でも、謝らなくてはいけないこと。
「わたし、まだ6課でやらんとダメなこと、いっぱいある。だから……結婚はできても、子供作ったり、
 ちゃんと『夫婦』とか『家族』してあげられるのは……大分、後になる。」
「知ってるよ。」
「ロッサが……子供好きなことも知ってるし、『家族』にあこがれてることも知ってる……けど……。」
「全部わかってるよ。はやてが考えてることもね。」
「でも……」
「はあ……仕方ないな、はやては。」
そう言ってからロッサははやてを抱きしめた。
「あ……。」
「はやてが納得するまで、全部してからでいい。『そういうこと』は、それから考えてくれればいい。ただ……
 これから僕もはやても忙しくなりそうだからね。時間のある今のうちに、ちゃんとした形で言っておきたかったんだよ。」
「……あり……がとう……。……ロッサ。」
「ん?」
「当分先になるやろうけど……幸せに……してくれる?」
「……もちろん。」
そう言って二人は唇を重ね、ソファに倒れこんだ。


2週間後
「えーっと。ご迷惑をおかけしました。なんか今日起きたら突然『元に元に戻っていた』ので……
 検査とかがあるから今日からいきなりは無理だけど、数日中には仕事に戻ります。」
元に戻ったヴィータが6課メンバーの前で挨拶をしていた。
「それじゃあ、報告終わり!ヴィータ。検査は昼過ぎてからやるから、
 フォワード陣の訓練『見てるだけ』なら行ってええで?」
「あいよ〜。……あのさ、はやて。」
モジモジして顔を赤らめながらヴィータがはやてに言った。
「ん?どしたんや?」
「いや、その〜……まあ、分からなくもないんだけど『子供』がすぐ隣の部屋にいるのに
 ……そういうことするのは……カンベンしほしい。」
「なっ!?」
「あー、勘違いすんなよ?ぼんやり覚えてるだけだかr」
「「ふぅん?」」
ヴィータが言いかけるとその両肩に白と黒のBJに包まれた二人の手が添えられた。
「じゃあ、わたしに向かって『魔王』って泣き叫んだのも……」
「わたしに『レズ』だの『ロリコン』だの言ったもの……」
「「覚えてるんだね?」」
「え?いや……その……!!」
背後にいる魔王と鬼神恐ろしくてとても振り向けない。
だが、振り向かないほうがよっぽど怖い気もするが、やっぱり怖すぎて振り向けない。
「悪い子は……」
「お仕置きが必要だよね?」
「……ま、まま……たすけt……ひっ!!」
助けを求めてはやてに手を伸ばすヴィータだったが、なぜかそのはやてもBJに着替えている。
しかも色が微妙に違うところを見るとリィンをユニゾンまでしているようだ。
「あれやな、親としてちゃんと教育をしとかんとアカンよな?」
「あう……あう……あう……!!」
ヴィータはもうすでに涙目でがくがく震えている。
ちなみにほかのヴォルケンズ&フォワード陣は
『巻き込まれたくねーよ』
とばかりにものすごい勢いでバックステップで距離をとっている。
「「「少し……頭冷やそうか?」」」
「ぁぅ……その……ぇ……ぇと……ごめんなさぁぁぁあああいいい!!!!!!!!」
その日、エリックvsなのはで出来たクレータよりも大きなクレータが6課の敷地内にひとつ増えたことをここに記しておく。

著者:わさび

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