295 報われない恋 1 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:12:54 ID:iJJpTsHt
296 報われない恋 2 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:14:29 ID:iJJpTsHt
297 報われない恋 3 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:15:39 ID:iJJpTsHt
298 報われない恋 4 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:16:50 ID:iJJpTsHt
299 報われない恋 5 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:18:44 ID:iJJpTsHt
300 報われない恋 6 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:19:40 ID:iJJpTsHt
301 報われない恋 7 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:20:44 ID:iJJpTsHt
302 報われない恋 8 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:22:05 ID:iJJpTsHt
303 報われない恋 9 ◆6BmcNJgox2 sage 2008/04/07(月) 21:23:09 ID:iJJpTsHt

「う〜ん…中々上手くいかないな〜…。」
エリオ=モンディアルは一人唸っていた。管理局へ提出する報告書が上手く纏まらないのである。
提出の期日は今日までであるから、急いで出さなくてはならないのだが…それが纏まらなければ
どうにもならない。どうすれば良いかとほとほと困っていたのだが…。
「やあ、何か困っている様だけど…どうしたのかな?」
「え…。」
そこで一人の青年が優しく声を掛けてきた。金髪に緑色の目をし、初めて会う者なら
まるで美女と勘違いしてもおかしくない顔の青年。無限書庫司書長のユーノ=スクライア。
「確か…無限書庫の…ユーノ司書長…ですよね?」
話には聞いていたが直接会うのは初めてであるから、エリオも思わず緊張してしまう。
しかしユーノは優しい表情をエリオへ向けるのである。
「ここで会ったのも何かの縁だからね。困ってるなら僕が出来る範囲で手伝ってあげても良いよ。」
「あ…ありがとうございます…。」
そして、エリオはユーノから報告書を纏める歳のアドバイスを貰った。
無限書庫司書長は伊達では無いと言わんばかりにそれは的確な物であったし、
何より分かり易いのだ。あんなに苦戦していた報告書の作成もあっという間に出来てしまった。
「ユーノ先生…ありがとうございます。」
「いやいや、礼には及ばないよ。それじゃあまた…。」
頭を下げて礼を言うエリオに対しユーノは偉ぶるワケでも無く笑顔のままその場から立ち去り、
エリオは彼の姿が見えなくなるまでずっと見つめていた。
「ユーノ先生って…こんな良い人だったんだ…。」
今までエリオはユーノの事を無限書庫司書長と言う肩書きだけを見て、頭ガチガチの
冷たく固いインテリだと言う先入観を持っていた。しかし実際は違った。
ユーノがこんなにも温かく、優しい人だとはエリオにとって余りにも衝撃的だった。

その日をきっかけとして、エリオとユーノはちょくちょく出会う様になった。
最初はユーノがエリオの家庭教師代わりを買って出る程度の物だったのだが、
次第に他の様々な事もエリオに教える様になり、他にも時には一緒に食事をしたり、
外に出かけたりする様にもなった。結果…エリオの中で次第に新たな感情が芽生える事になるのだ。

それはエリオが局内の大浴場で一人入浴中だった時の事…
「やあ、エリオ君じゃないか。こんな所で会うなんて奇遇だね。」
「ユ…ユーノ先生!」
突然ユーノが大浴場に入って来たのである。そこでエリオの身体に異変が起こる。
「アッ!」
エリオは勃起していた。つい先程まで柔らかく垂れ下がっていたはずの
エリオのモノが、ユーノの裸体を見た瞬間に硬くなり、重力に逆らって勃ち上がっていたのだ。
「(え…そんな…どうして?)」
エリオは内心慌てた。確かにエリオは今までフェイトやキャロの裸を見て勃起した事はあった。
しかし二人は女性。今の様に男の裸を見て勃起した事等エリオには無かった。
「(け…けど…ユーノ先生の裸…綺麗…。)」
エリオにとってユーノの裸体は余りにも美しかった。美女と違わぬその顔と違い、身体を見れば
男だと分かるのだが、その身体も白くスマート。なのに股間のモノは相反するかの様に
大きく、しかもユーノ本人はそれを隠そうとせずに堂々と晒しているのである。
「エリオ君どうしたんだい? ちょっと元気が無いみたいだけど?」
「え! いえ! そんな事はありませんよ!」
ユーノは身体を洗いながらエリオにそう質問をし、エリオも戸惑いながら答えるしか無かったが
入浴している間…エリオはずっとユーノの裸に興奮したまま落ち着く事が出来なかった。
そしてついには…エリオはある行動に移ってしまうのだ。

「ハァ…ハァ…ユーノ先生…ユーノ先生…ユーノ先生…アッ!」
入浴後、エリオは自室で一人モノを握り締めると共に扱き…自慰に耽っていた。
確かにフェイトやキャロの裸体を想像して自慰をする事は過去にもあった。
しかし今は違う。同じ男である…ユーノを想って自慰をしていた。
何故…何故こうなってしまうのかはエリオには分からなかった。
だがユーノを想えば想う程、身体は熱くなり…モノを扱かずには入られない。
そしてついに…

                 ど び ゅ っ !

エリオは射精した。だが、これだけに終わらなかった。

エリオがベッドで眠りに付いた後…夢を見た。
夢の中のエリオは何故か全裸で、同じく全裸のユーノと共に一面に広がる花畑の中にいた。
「それじゃあ…今日は男同士の愛情について教えてあげよう。」
「それはどう言う事なんですか? ユーノ先生…。」
「まず四つん這いになってから僕に君のお尻を向けてごらん?」
ユーノに言われるままエリオは四つん這いになり、ユーノへ尻を向ける。
するとどうだろう。突然ユーノはエリオの左右の尻肉をがっしりと掴み、開いたのだ。
「アッ! 何をするんですか!?」
「良いから良いから…。僕を信じてよエリオ君。とても気持ちが良くなるからね。」
頬を赤くして戸惑うエリオに構わず、ユーノは笑顔でエリオの開かれた尻肉の奥に
存在する真っ赤な菊へと自分のモノをピタリと綺麗に押し付け………貫いた!
「んぁ!」
ユーノの女性的な顔からは想像も出来ない大きなモノによって尻を掘られた瞬間、
エリオの顔は真っ赤になり、プルルッと震えながら喘いだ。
「ユーノ先生! 何をするんですかぁ!?」
生まれて初めて尻を貫かれた感触にどう対応して良いか分からないエリオは
涙目でユーノの方を見つめるが、やはりユーノの表情は優しい。
「何って、僕のチンポをエリオ君のお尻の中に押し込んだんだよ。」
「そんな…汚いですよ!」
エリオの目から零れ落ちた涙が頬を伝って地面へ落ちる。エリオはユーノに汚い部分を触れて
欲しくなかった。しかし、ユーノはなおも構わず優しい表情。
「汚くないよ。エリオ君の中に汚い所なんて何処にも無いよ。それに…大丈夫。直ぐに気持ち良くなるから。」
「んあぁ!」
そう言ってユーノはエリオの尻へと掘り込まれた自分のモノを一気に奥まで押し込み、またもエリオは喘いだ。
だがそれだけに終わらず、今度は抜けてしまうギリギリの所まで一気に引き抜き、その後でさらに押し込み、
再び引き抜く。それを繰り返し出したのだ。そうなればエリオも喘がずにはいられない。
「んあ! んあ! んあぁぁぁぁ!!」
「フフフ…良いね。良い鳴き声だよエリオ君。」
気付いた時にはエリオはユーノに対して尻を振るオス犬になっていた。しかし決して悪い気はしない。
エリオはユーノと一緒にいる事が出来るだけでも…嬉しかった。そして………

              び ゅ び ゅ び ゅ び ゅ っ 

ユーノがエリオの腸内へ射精すると同時にエリオもまた射精していた。

夢から覚めた時、エリオは股間に冷たさを感じた。良く見ると自分の穿いていたパンツが
大量の精液でビッショリと濡れてしまっている。つまり、ユーノに尻を掘られる夢で夢精していたのだ。
その瞬間からエリオは完全に自覚する。
「僕は…ユーノ先生が…好きだ。」
エリオはユーノを愛する様になった。自身のユーノへの恋心を悟ったのだ。

しかし、エリオは自分の気持ちを素直にユーノへ伝える事は出来なかった。
「これって…冷静に考えるとホモだよね。僕がホモなんて…ユーノ先生には嫌われるかもしれない。」
そこがエリオにとって怖かった。やはり同性愛者に対する世間の目は厳しい。
ユーノは決して同性愛者では無い。今の状態でエリオが自分の気持ちをユーノへ
伝えれば、ユーノはエリオを気味悪がるかもしれない。しかし、自分の気持ちを胸の中で
抑えれば抑える程ユーノを愛する気持ちは強くなっていく。かつてはあんなに恋しかった
フェイトやキャロさえどうでも良くなる程にまで。そしてそれから数日後…
エリオの気持ちを爆発させるきっかけとなるある事件が起こるのである。
それはエリオが自分の気持ちを抑えながらもユーノと話をしながら食事をしていた時の事。
「パパー! ユーノパパー!」
と、突然何処からともなくヴィヴィオが現れた。
「やあヴィヴィオじゃないか。」
「ユーノパパー! お仕事頑張ってね〜。」
「え…パパって…。」
ユーノの事をパパと呼ぶヴィヴィオの態度に信じられないといった顔をするエリオ。
「こ…これは一体どう言う事ですか?」
これには思わずユーノへ問いかけずにはいられなくなるのだが、ユーノはヴィヴィオの頭を
撫でながら優しい表情で答えるのである。
「いやね、なのはがこの子を養子にしたって言うんで、僕にも紹介した事が始まりなんだけど、
その日以来ヴィヴィオは僕にも懐くようになって、この通りパパとさえ呼ぶようになったんだ。」
「え…。」
ユーノにとって何気無い言葉だが、エリオには衝撃的な言葉。
しかしユーノはエリオの気持ちに気付く事無くこう続けるのだ。
「だからさ…もうこうなってるならなのはと結婚しようかなって事になってね。」
「そしたら本当にユーノパパがヴィヴィオのパパになるんでしょ〜?」
「……………………。」
エリオはショックで声も出なかった。ユーノがなのはと知り合いと言うだけで無く
結婚を決める所まで進む間柄だったとは…………………

食事を終え、ユーノと別れた後もエリオはただただ黙り込んだままだった。
そしてエリオの目から一筋の涙が零れ落ち、胸の内に閉じ込めていたユーノを愛する気持ちが燃え上がる。
「ユーノ先生…そんな…ユーノ先生。」
もうこれ以上自分の気持ちを抑える事はエリオには出来なかった。ユーノがなのはと結婚してしまう…。
そのエリオにとって危機とも言える状況の前には…抑える事自体がナンセンスだったのだ。
ユーノ先生を取られたくは無い。ユーノ先生は僕の物…。その様な感情がエリオの中で燃え上がり……
「僕は…殺す…なのはさんを……いや…高町なのはを…殺す…。そして…ユーノ先生は…僕の…。」
そう決意し…ストラーダを握り締めた。
エリオはなのはを殺す決意を固めた。しかし…それは口で言う程簡単な事では無い。
仮に殺す事が出来たとしても、エリオが犯人であると悟られずに殺さねばならない。
犯人がエリオだとバレてしまえば、エリオが逮捕されてしまうのは必至であるし、
ユーノもエリオを憎む事になるだろう。それは本末転倒だ。
だからこそ彼は必死に考えた。なのはを殺害しつつ、自分が犯人だとバレ無い完全犯罪の方法を…。
「あ! そうだ! フェイトさん! フェイトさんならきっと何とかしてくれる!」
フェイトはレズ達疑惑をかけられてしまう程なのはの事が大好きだ。彼女なら態々
なのはを殺害する事無く二人の結婚を妨害出来るに違いないと考えたエリオは急いで
フェイトの所へ向かった。

「フェイトさん良いんですか? なのはさんが結婚してしまうんですよ?」
エリオはフェイトに期待をかけて訴えた。しかしフェイトは笑顔でこう答えるのだ。
「大丈夫。確かになのははユーノと結婚するけど…それはあくまでも『形』だけの事。
なのはが本当の本当に愛しているのはユーノじゃなく…わ・た・し!」
「………………………。」
エリオはフェイトに失望した。フェイトならば何とかしてくれると期待が大きかっただけに
彼女の反応はエリオを絶望させ、彼に対するフェイトの評価を大暴落させるに十分な程だった。

「くそ…あの女…あんなに危機管理能力が無いなんて思わなかった…。やはり他人は信じられない。
僕の手で…何とかして高町なのはを殺さねば…ユーノ先生は…僕の物にするんだ!」
改めてエリオはなのはを殺しつつ、犯人が自分だとバレ無い完全犯罪作戦を考えたが…
「やっぱりいくら考えてもダメだ! こうなったら最後の手段………。」
いくら頭を捻っても完全犯罪の方法が思い付か無かったエリオは最後の手段へ移した。

エリオが向かった先はなのはが一人自主トレーニングに励んでいた局内訓練場。
「なのはさんお久し振りです。」
「あ、エリオじゃない。会うのは機動6課解散以来だね。どうしたのかな?」
エリオの姿を見るなり自主トレを中断してエリオの方へ寄るなのはだが、
エリオはストラーダを構えて言うのである。
「実は…少し手合わせ願いませんか? 今の自分がどれだけ実力を付けたか見てみたいのです。」
「うん。私は別に構わないよ。」
なのはは快く引き受け、エリオはかすかに笑みを浮かばせた。
これがエリオの狙いだった。なのはとの実戦形式の訓練中に乗じてなのはを殺害する。
こうすればあくまでも訓練中の事故と見なされ、エリオは罪を問われる事は無い。
何よりも、今のなのははJS事件のブラスターモードの後遺症で魔力が落ちている。
それに対しエリオは機動6課解散後も訓練を続け、以前より格段に実力を付けたと断言出来る程の
自信がある。今の自分ならばなのはにも勝てる。エリオはそう信じていたのだ。
しかし…

「行きますよ! なのはさん!」
エリオはストラーダを構え、なのはへ真正面から突撃をかけた。
今の自分の実力ならばなのはのシールドをも真正面から打ち抜ける。そう考えていたのだが…
「え!?」
ストラーダの先端がなのはのシールドへ触れた瞬間、まるで当たった手ごたえさえ
感じさせない程にまで緩やかにいなされていた。
「何!?」
慌てて反転し、再び突撃を仕掛けるエリオ。だがなのははそれに逆らうのでは無く、シールドを展開した
片手を軽く左右へ動かすと言った簡単な動作だけでそのパワー全開の突撃を流して行くのである。
「そんな…僕のパワー全開の突撃を……まるで柳に風…凄い疲労感だけが残る…。」
今のなのははエリオの知る彼女とは全く違っていた。
確かに以前からなのはは技術的にも優れた魔導師であったが、あくまでも
『技術も兼ね備えたパワー型』魔導師だった。しかし今は違う。これは完全な
『テクニック型』魔導師の動きだった。パワー全開の突撃に逆らうのでは無く
流れに乗った防ぎ方をされた時点でそれはエリオにも気付いていた。
「(そんな……まさか………。)」
自身の疲労も相まってエリオは戦意と自信を喪失しかけていた。するとどうだろう。
なのはは何時の間にかにエリオの背後に回り込んでいたのである。
「確かに前より強くなったよエリオ…。でもごめんね。そう簡単に負けるなんて
教導官の立場が無いもんね…。」
「え…………………………。」
次の瞬間、なのはの発した桃色の魔法光がエリオの身体を飲み込んでいた。
疲労に加え、攻撃が通じなかった事による自信を喪失したエリオにそれを回避する事は出来なかった。

「は〜…。」
数時間後、体中の彼方此方にバンソーコーをしたエリオがテーブルに寄りかかって溜息を付いてた。
「なのはと実戦形式の訓練をして…コテンパンにやられたんだって?」
「ユーノ先生!」
突然現れたユーノの優しい微笑みにエリオも思わず暗かった顔が明るくなる。
そしてユーノはテーブルを挟んで向かい側に座る。
「なのはは強かったのかい?」
「ハイ…でもあのなのはさんは僕が知ってるなのはさんとはまた違う動きでした。
以前より遥かに強くなってます…。何故なのでしょう…。確かJS事件で無理した後遺症で
魔力が落ちているはずですし…僕だって機動6課が解散になった後も独自に
訓練を続けて実力を付けて来たつもりなのに……………。」
先の実戦形式の訓練で痛い目に遭わされた事を思い出して再び暗くなるエリオ。
しかし、ユーノはなおも優しい表情で言うのだ。
「そっか……なら僕が協力した甲斐があったって事だね。」
「え!? それは一体どう言う事ですか!?」
ユーノの一言にエリオは慌てて問い掛ける。そしてユーノは表情を変える事無くこう答えたのだ。
「実はね、ああ見えてなのはも魔力が落ちた事をかなり気にしててね、パワーが落ちた分を
テクニックで補おうと考えるようになったんだ。柔よく剛を制すって奴だね。
でもその場合、基本的な部分から鍛えなおす必要があって……その新しい
訓練メニューを立てるのになのはも苦労して…なのはにとっての魔法の原点……
つまり僕の所に泣き付いて来たんだよ。」
「え!? ユーノ先生がなのはさんの魔法の原点…? どう言う事ですか?」
エリオは思わずユーノの話の途中でそう問い掛ける。するとユーノは少しも
嫌な表情を見せる事無く優しく答えた。
「どう言う事って…なのはが魔法と出会うきっかけを作ったのも、魔法の基本を教えたのも
僕だからね。こうして見ると結構長い付き合いだね僕もなのはも…。」
「え…。」
そしてユーノはエリオへ語った。ジュエルシード事件で自分となのはが出会い、それ以来
二人で様々な経験をして来た事を。
「(じゃああの時の映像で子供の頃のなのはさんが抱えていたフェレットは…ユーノ先生だったんだ…。)」
エリオは内心そう考えていたのだが…ユーノはなおも続けた。
「だから、僕が再びなのはの魔法の先生に戻ってテクニック面を磨く訓練メニューを
考えたもんさ。こう言う事をするのは十年ぶりだけど…結構楽しかったよ。
それにエリオ君…君との実戦形式訓練の結果を見ると…なのはの技術面は上手く磨かれている
みたいだし…僕の教え方も間違っては無かったって事だね。」
「そう…ですか…。」
嬉しそうな顔をしているユーノにエリオも少し残念そうな顔になる。
「じゃあユーノ先生は…なのはさんの事…好きですか?」
内心失意に沈んでいる事を悟られない様にそう質問するエリオだが、ユーノはやはり表情を変えない。
「まあね。さっきも言ったけど付き合い長いしね。流石に結婚まで考える様になったのは
ヴィヴィオが僕のパパと呼んだりするようになったのがきっかけだけどね。」
「そう…ですか…。」
それはやはりエリオにとって少し残念な結果だったが続けてエリオはユーノが
自分をどう考えているのか…問い掛けてみる事にした。
「じゃあ…僕…僕の事はどうお考えですか? ユーノ先生…。」
「勿論君も好きだよ。」
優しい表情で即答するユーノにエリオは一瞬ほっとするが……
「だって友達じゃないか。」
「え………………………。」
エリオは絶句するしか無かった。エリオはこんなにもユーノを愛していると言うのに…
ユーノにとってエリオはただの『トモダチ』でしか無いのかと………

「そうですか…ただのトモダチ…なんですね…ユーノ先生にとって…僕はただの…
トモダチ………なんですね……………。」
エリオの中で何かが切れた。両目からは生気が失われ、ゆらりと立ち上がると共に
ストラーダをユーノへ向ける。
「ちょっとエリオ君…突然何の冗談なんだい?」
若干戸惑いつつも優しい笑みを向けるユーノだが…それが逆に今のエリオには腹立たしい事だった。
「僕は…ユーノ先生の事が…好きです…大好きです…愛してます…心の底から愛してます…
なのにユーノ先生は僕の事をただのトモダチとしか考えていないなんて……酷いです……。」
「え? ちょっと……エリオ君……?」
エリオの態度の変化にユーノも慌てるが、やはりその表情は優しいまま。
「そうやって僕の事をあざ笑って来たんですね? その優しい表情の裏で…
僕をほくそ笑んでいたんですね…僕を弄んだんですね……酷いです…ユーノ先生……。」
「え? エリオ君…ええ?」
エリオはストラーダを構えてユーノへ歩み寄る。それにはユーノも身の危険を感じて
席から離れようとするが……直後にはエリオのストラーダがユーノの胸へ突き立てられていた……
「うあああああああああ!!」
「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
エリオの咆哮とユーノの断末魔の絶叫が部屋中に響き渡る。

「(出来る物ならこう言う事もやって見たいのに…。)」
と、エリオは内心悔しがった。先のエリオがユーノを刺す一連の描写はあくまでもエリオが
自分の頭の中でユーノを愛する余りヤンデレになった自分がユーノを刺していたら? と言う
展開をシミュレートして見た結果だった。もっとも、実際にその様な行動を起こせる程の
度胸はエリオには無かったのだが。

その後もエリオはユーノに自分の気持ちを伝える事が出来ず…またなのはを殺害する事も
出来ないまま時が流れ、ついにユーノはなのはと結婚した。
「う……ユーノ先生…綺麗です…綺麗過ぎです…………。」
皆と共に式に出席したエリオは、純白の結婚式衣装に身を包んだユーノの姿に
見惚れ…勃起していた。今のエリオにはまたも新たな感情が芽生える。
出来る物ならば今直ぐにでもこの手で結婚式をぶち壊してやりたかった。
なのはに代わって自分がユーノと結婚してやりたかった。しかしもう遅いし、
時間があったとしてもそれは不可能な事だった。何よりも…どんなにエリオが
ユーノを愛そうとも、ユーノはエリオの事をただの友達としか考えていない。
今こうしてなのはと結ばれようとしている。もしもそれを邪魔するような事をすれば
ユーノはエリオを憎むだろう。それこそ本末転倒。故に出来なかった。
エリオがユーノを愛するからこそ…ユーノの幸せを邪魔する事は出来なかったのである。

何事も無くユーノとなのはは結ばれ、式も終了となった。
そしてエリオはキャロと共に帰路に付いていたのだが、その目には涙が浮かんでいた。
「あれ? エリオ君どうしたの? どうして泣いてるの?」
「な…泣いてなんか…無いよ…。」
「泣いてるよ。だってそんなに目が涙で潤んで…。」
エリオは必死に自身の涙を否定するが、目に涙が浮かんでいるのはキャロの目にも明らか。
「ねぇ…どうしたの? お腹痛いの?」
「大丈夫! 大丈夫だってば!」
エリオはなおも否定する。しかし否定すれば否定する程…ユーノの事を思い出してしまう。
ユーノをあんなにも愛した事。ユーノとの出会い。ユーノを想って自慰した事。
ユーノに尻を掘られる夢を見た事。なのはに取られた悔しさ。その全てを思い出し
エリオの目からさらなる涙が溢れてくるのだ。エリオは必死にそれを堪えようとするが…
涙は構わずどんどんと溢れてくるのだ。
「大丈夫だよ! 泣いてなんか無い! 泣いてなんかないよぉぉぉ!!」
エリオがそう叫んだ直後、キャロが突然エリオを優しく抱きしめた。
「泣いていても…良いよ。一体何があったのかは分からないけど…泣いても良い。」
「………………………。」
キャロに抱かれ、エリオは思わず暫し沈黙した。そして涙がキャロの服に滲んだと思うと…
「う……うああああああああああん!!」
エリオは大声で泣いた。キャロの胸の中で…………

人は挫折を経験して…大人への階段を登る。

                     おしまい

著者:◆6BmcNJgox2

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