359 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:48:04 ID:eUZNbPXf
360 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:49:48 ID:eUZNbPXf
361 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:51:28 ID:eUZNbPXf
362 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:53:50 ID:eUZNbPXf
363 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:55:53 ID:eUZNbPXf
364 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22:57:35 ID:eUZNbPXf
365 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 23:00:05 ID:eUZNbPXf
366 名前:紡ぐ時[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 23:02:08 ID:eUZNbPXf

 ぴちゃぴちゃという水音が、荒い息遣いと共に聞えていた。
 何かを耐えるような、男のくぐもった声が聞えていた。
 口の周りを汚している女の、淫靡な息遣いが聞えていた。

「ドクター、いかがでしょうか?」

 女は微笑し、男へ愛情の込められた言葉を紡ぐ。それに応える男の声は平坦な、だがそれでいて普段よりも
些か上気した声。

「あぁ、いいよウーノ。さぁ、このまま続けておくれ」
「はい、ドクター」

 肩程まで伸びた紫の頭髪が、揺れる。男の蛇のような金の瞳が見つめるその視線。それに、愛情が込められて
いるのは嘘じゃないと女が同色の瞳で見つめ返す。
 それは男が自ら作り上げた作品に対する感情なのかもしれない。でも、女にとってはそれで十分すぎたのだ。
 自分は道具。彼が誇る、彼の為に生まれた道具。自分は彼がいなければ生きている意味なんて無く、彼がいな
ければ自分は生きていないも同じ。
 それは、何よりもこの女にとって幸せな事だった。

「ん、んん……」

 生まれたままの姿の男の股に顔を埋め、女は頬をへこませて男の肉の槍をくわえ込む。喉の奥、限界以上まで
飲み込んだ熱い男の肉棒に歓喜し更に深くと。
 やや息苦しさを感じながらも、じわりと口の中いっぱいに広がる男の味を音を立てて喉を鳴らす。舌で鈴口を
刺激し、瞬間跳ねた肉棒に女が金の瞳で男を見上げ様子を伺った。
 じっと女を見つめていた男が、女に見上げられた事で僅かに笑う。そのまま男の頭髪よりもやや色素の薄い
女の髪を梳き、頭を撫で、口の端から零れた唾液を指で拭って。
 その間も女の奉仕は止まらない。額にじっとりと浮いた汗をそのままに、硬い大樹に舌を這わせ如く先走る汁
を嚥下する。
 浮いた血管を這うような舌使いに、僅かに男のくぐもった声が聞えた気がした。
 そのまま、もっと。
 カリ首に尖らせた舌先を一周させた。先程以上に跳ね上がる肉棒が、無言でそこがいいのだと女に指し示して
いる。
 故に、もっと。
 肉棒を掴む手を上下させ、逆の手を男の睾丸に触れさせやわやわと揉んでいく。肉棒が、更に激しくビクつい
た。
 どうやら男も限界が近いらしい。そう言葉無く感じ取った女は、男に教え込まれた舌使いを披露した。カリ首
を執拗に舐めていた舌先を鈴口に伸ばし、震わせる。
 瞬間、男の鋭い吐息が女の髪を揺らした。

「んぐっ……!」

 それに合わせるように、女が喉奥まで男のものを飲み込んだ。叩きつけられるような射精の感触。暴れる肉棒
を口腔で締め付け、一滴も零す事が無いようにと男の精液を飲み込み続ける。
 だがあっさりと女の許容量を上回った精液が、女が咳き込むと同時に吐き出された。
 男の射精はまだ止まらない。
 そのまま、髪から顔、胸にかけてを男の白い粘液で汚された女は、だがそれすらも愛しむかのように笑みを零
す。
 顔にへばりついた白濁とした粘液をそのままに、豊満な乳房に付着した精液を指で掬い舐めとって。ややあっ
てから顔全体に纏わりつく精液を全て胃の中に収め、後は残り。
 男の肉棒を再度咥え込んだ女は、尿道に残った全てをも飲み込み恍惚とした表情で男を見上げた。

「良かったよウーノ。では、今度は私の番かな?」
「はい、ドクターのお好きなように」

 男に足を広げ、女は指先で自身の陰唇を割り開く。瞬間溢れた愛液に火照った吐息を漏らし、羞恥とそれ以外
で濡れた瞳を愛しい男に注ぎ待つ。
 そして男と女の交じらいを見つめるように、目覚めを待つ十一体の妹達が培養槽の中で眠っていた。



魔法少女リリカルなのはStrikerS
―紡ぐ時―


「おや、どうしたんだいウーノ?」
「……何でもありません」

 気持ち頬を膨らませたつもりで、ウーノがスカリエッティから顔を背ける。珍しい彼女の態度に苦笑するよう
にくく、と声を漏らしたスカリエッティに飛ぶのはウーノの静かな、だが怒りをふんだんに含んだ声だ。

「さて、ウーノは一体どうしたというのだろう。ドゥーエは分かるかい?」
「さぁ……わたくしには分かりかねます。ドクターこそ、お分かりになるのではないですか?」

 どうだろうね。呟きながらスカリエッティがドゥーエの霞んだ金髪に指を通す。その感触に目を細めたドゥー
エが、ウーノの目の前で強請るようにスカリエッティの唇を指でなぞった。
 ドゥーエの乳房が、スカリエッティの胸板に押しつぶされ、歪む。露になっている形の良いドゥーエの尻の
感触を楽しみつつ、スカリエッティがドゥーエの唇を塞ぎ、舌を入れた。

「ふぁ……ドク、ター……」

 ドゥーエが舌を絡め、スカリエッティの唾液に喉を鳴らす。お返しに極上の美酒を舌に乗せて献上すれば、
それをスカリエッティが音を鳴らして胃に収めた。
 淫らな息遣いと、ドゥーエの嬌声。それにじっと黙り込むウーノが見るは、ドゥーエを抱きしめたまま見上げ
る彼の金色だ。
 その瞳に、ウーノの表情を楽しむかのような喜悦が含まれている。
 ウーノがぐっと握り締めた拳の力を解放し、二人に気付かれぬよう息を吐けばそれを目ざとく耳にしたドゥー
エの呼び声。

「ウーノ姉さまも、ご一緒されてはいかがでしょうか? ね、ドクター?」
「ウーノが頷けばそれもいいが、だがドゥーエ。ウーノはどうやら機嫌が良くないようだ」
「あら、それは残念ですね。せっかく姉妹水入らずで楽しもうかと思ったのですが」

 スカリエッティとドゥーエは仲が良い。この、最近生まれたばかりの妹はその多くをスカリエッティから受け
継いでいる。それに、無性に腹が立って仕方がなかった。
 勿論これは二人がからかっているだけに過ぎないのだが、今日は些かやりすぎたよう。
 俯いているウーノは、無表情ながらもどこか泣いているように見えた。
 仕方ないとドゥーエを開放し、ウーノの手を強引に引き寄せてスカリエッティがウーノの頬に手を添える。

「私の傑作にそんな顔をされては困るというものだよ。泣くのはやめておくれ」
「泣いてなんかいません。お疲れなら早々に寝たほうがよろしいかと」
「ふむ……ウーノはこう言っているがドゥーエはどう思うかね?」


 スカリエッティとウーノが肩を揺らし、笑いあう。その仕草すらそっくりな事に、ウーノが視線を逸らし無意
識に奥歯を噛み締める。
 二人の目が、ウーノをじっと見つめていた。何もかも見透かすようなその輝きは、実際彼女の気持ちを知り尽
くしている輝きだ。
 その視線から逃れる事など出来る筈もなく、ウーノ自身彼に作り出された瞬間からそうである事を望んだのだ。

「泣いてはいません。ただ、ドゥーエには少々お仕置きが必要かと」

 とりあえず、諸悪の根源であるドゥーエを押し倒し強引に唇を塞いだ。ドゥーエがウーノの下で暴れるが、戦
闘機人としての力を発揮していない彼女は非力な女性そのもの。ウーノの力でも、体重を使えば容易に押さえつ
けられることが出来た。
 ドゥーエの口腔を舌で弄り、自分の物を奪い返す。舌で押し返そうとする彼女の舌を絡めとり、彼女がスカリ
エッティにした様に、自分の唾液を送り込んだ。

「んんっ、は、はぁっ、ど、ドクター! た、助けて――ひぅん!」
「黙りなさい」

 ドゥーエの乳房を荒々しく掴みその先端、先ほどからスカリエッティにこすり付けていたドゥーエの乳首に爪
を立てた。軽く捻ってみれば、ドゥーエが泣くかのように喘ぎ、必死にスカリエッティに助けを求めている。
 どうやらまだ分かっていないらしい。罰としてドゥーエの足に身体を入れ、膝で白濁と共に濡れそぼる彼女の
秘所を刺激した。
 その間、ウーノは自身の服のボタンを一つずつ外していく。一番を上を外し、二つ目を外し、三つ目、ドゥー
エが引きちぎったボタンが二人を観察していたスカリエッティの方へ飛ぶ。
 せっかくウーノに与えた服をこれ以上駄目にされては堪らないとスカリエッティが立ち上がる。ドゥーエを押
し倒しているウーノの顎を持ち上げ、唇を押し付け彼女の嫉妬を解消してやった。
 満足したかのように頬を染めるウーノだが、まだだ。とにかくドゥーエをどうにかしないと気がすまなかった。
 ドゥーエの乱れる呼吸と等しく上下する腹を経て、ウーノの指がドゥーエの頭髪と同色の陰毛を掻き分け秘所
へ向かう。
 溢れた愛液を指に絡ませ、ドゥーエの膣奥深くまで容赦なく指を突き入れ、笑みを浮かべた。

「ふあぁっ……!? ウーノ姉さまっ、んくっ、や、やめてくだ、さい……くぅぅ……!」

 ドゥーエの体が爪先まで硬直し、ややあってから脱力する。そのまま意識を失ったドゥーエを開放し、ウーノ
がドゥーエの愛液で濡れた指を拭う。大分、イライラが治まった気がした。

「お待たせしましたドクター。始めましょうか」
「もう終わりでいいのかい? まだ些か言葉に棘があるようだが」
「構いません。ですがあの子は少しばかり悪ふざけがすぎるようですね」
「勘弁してあげて欲しいものだな。ドゥーエの悪癖は私譲りだ。恐らく直しようが無い」

 だからこそ、こちらとしては堪ったものじゃない。
 無言でドゥーエを蹴り飛ばし、ウーノがスカリエッティを押し倒す。そのまま彼の唇を塞ぎ、首筋から体全体
へ口付けの雨を降らしていく。
 普段の包み込むような優しさの無い荒々しい愛撫だ。
 たまには悪くないとスカリエッティが更にウーノに身を委ねれば更に激しく。彼の胸に這わせていた舌はさら
に舌へと向かい、その下腹部。そそり立った肉棒を力一杯に掴み、有無を言わせず擦り上げた。


「くっ、もう少し……優しくして欲しいのだが」

 逃げるように跳ねた肉棒に、逃がさないと歯を立てた。そのまま恐らくドゥーエの身体を存分に味わったので
あろう、肉棒を咥え込みドゥーエの残滓を舐め取った。
 自分の唾液だらけとなったスカリエッティの肉棒に満足し、ウーノがスカリエッティに跨る。タイトスカート
を脱ぎストッキングを破り、下着を見ればだらしなく自身から溢れた愛液が滴っていた。
 普段なら羞恥に顔を染めるところだが今は丁度良い。そのまま下着を脱いで陰唇を割り、スカリエッティの肉棒
に指を沿え、自身へ導く。

「くっ、んん……!」

 そのままスカリエッティの上に腰を下ろした瞬間、全身を駆け抜ける雷撃に煮た衝撃にウーノが目をきつく瞑り、
スカリエッティの上で吐息を漏らす。

「う、動きます」

 だがそれも一瞬。スカリエッティの胸に手をついたウーノが、ゆっくりと腰を降り始めた。
 スカリエッティの肉棒が膣から抜ける直前まで腰を持ち上げ、下ろす。じゅぶ、という水音が報せるはウーノ
の体が更に愛液を溢れさせその肉棒の硬さに悦んでいるという事実。
 ゆっくりした腰の動きが、徐々に加速し始めた。

「はぁっ、はぁっ、ん、んんっ……どう、ですか……?」

 ウーノの腰の動きに合わせて上下に揺れる乳房の先端が、触れられてもいないのに硬く勃起していた。耐え切
れずウーノが乳房を片手で揉みしだき、先ほどのドゥーエにしたように乳首に爪を立てる。
 視界を真っ白にして身を仰け反らせたウーノが、だが腰の動きだけは止める事は無い。スカリエッティの胸板
へ上半身を倒し、腰だけを激しく動かして。涎と涙と汗を撒き散らして、ただ求めた。

「ドクター……んぐっ、あっ、はぁっ、ドクター……!」

 キスをせがみ、激しく舌を絡めあう。その涎の混ぜあう水音と、自身の秘所から溢れた愛液のかき混ぜられる
音に何も考えられなくなる。
 二人が身を預けるベッドが、音を立てて軋んでいた。スカリエッティは動かず、乱れるウーノを金色の双眸で
眺めるだけ。
 だからこれは、自分一人で出している音なのだろうと納得して、ウーノが唇を噛み締めた。
 問答無用で聞える水音が、脳を焼く。全然止まる気配の無い自分の嬌声と、激しくなる一方の腰の動きに、ス
カリエッティの肉棒を咥え込んで満足し始めた体が、羞恥で更に赤みを帯び始めていた。
 普段の透き通る白さではない、桃色の肌に大粒の汗が伝う。開きっぱなしの口から突き出した舌が震え、つつ、
と唾液を垂らし眼下のスカリエッティの頬を汚す。
 吐き出されたスカリエッティの精液が、ウーノの激しい腰使いで白く泡立つ。ウーノの溢れさせた愛液が混ざ
り合いぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てそれと一緒に、互いの唾液を混ぜあい舌を絡める。
 まるで彼と一つになったような、そんな錯覚。そんな、幸福がそこにあった。

「――ウーノ姉さま、先ほどはありがとうございました」
「……えっ!? ひあぁっん……!」

 そしてそれをぶち壊すような背中越しのドゥーエの笑みに、ほんの僅かにウーノの体が硬直した。



「さぁ、どうぞ存分にお楽しみください。わたくしなんていないと思ってよろしいのですよ?」

 耳元で囁くドゥーエが、ウーノ自身が掴んでいた乳房を鷲づかみにし、爪を立てた。瞬間悶えるウーノをその
ままに、首筋を舐め上げ真っ赤に染まっているウーノの耳を甘噛みする。
 ウーノも抵抗するもののそこに今までの強さはなく、彼女の腰は未だスカリエッティと一つとなったまま、節
操なく上下に振られ続けていた。

「ドゥーエ、あまりウーノを苛めないでやってほしい」

 まるでドゥーエを護るかのようなスカリエッティの発言にドゥーエが目を丸くしながらも、ややあってから頷
き、ウーノの背中に自身の乳房を押し付け擦る。
 凝り固まった先端からじんわりと来る快楽に、ウーノの首筋に熱い吐息を浴びせドゥーエは姉の痴態を観察し
ながら、少しずつ舌を背骨に這うように下ろしていった。

「やめっ、ドゥーエやめなさい! は、あぁっ……ん、ドク、ターもっ……もっとドゥーエに言ってあげて、く
ださい……んくっ……!」

 スカリエッティがドゥーエを見上げ苦笑する。ドゥーエも同じだ。あろうことかこの姉は、先ほどのスカリ
エッティの言葉など足りないと言っている。
 ドゥーエの視線が、先ほどからスカリエッティの肉棒を咥え込んでいるウーノの秘所に固体される。だらしな
く涎を垂らし続けるそこは、もっととせがむように肉棒を締め付け、迸る熱い欲望を子宮へ収めよう艶かしくう
ごめいている。
 貪欲な貪欲な、それでいて我慢する事をしない姉。

「ウーノ姉さま……もっと気持ちよくしてさしあげますよ」

 神というものが存在して、お仕置きを下すならきっと自分ではなくこの姉のほうだろう。

「ひっ、うああぁっ……!」

 ウーノの体が痙攣する。全身に走った悪寒と共に振り向けば、こちらを見上げていて舌を出しているドゥーエ
と目が合った。

「どうぞわたくしの事はお気になさらずに。ドクターとそのままお楽しみください、ウーノ姉さま?」

 ウーノが腰の動きを再開させる。いや、強引に再開させられる。にやついたドゥーエの笑みから逃げるように
スカリエッティに助けを求めれば、返ってきたのは同じような嗜虐の瞳。
 スカリエッティの腰が僅かに上に動かされる。同時、ウーノが背を仰け反らせて嬌声を上げるがそんなもの、
彼にとってはどうでも良い事だった。
 スカリエッティがウーノの後頭部に手を沿え、強引に自分の方へ引き寄せた。腰をはしたなく上下させながら
涙を流していたウーノの目尻を拭い、耳に唇を添えた。

「ドゥーエのせっかくのはからいだ。楽しまなくては、損と言う物だよ?」

 ウーノの体が激しく上下される。自分の意思で。閉じようとした口は閉じず、断続的な息と喘ぎ声を吐き出し
続ける。腰の動きと等しく上下に揺れる乳房が、スカリエッティに掴まれ、動きを止めた。
 その後ろ、ドゥーエは姉の乱れっぷりに失笑しながらもスカリエッティ同様姉を愛撫する。
 肉棒が出入りする結合部を舐め、スカリエッティと姉の混ざり合った味に舌鼓を打った。その少し上、切なげ
に涎を垂らしているそこは、今回一度も触れられていない不浄の孔。

「んんっ、ドゥーエッ……や、やめっ……はっ、あ、んっ……くぅぅ……!」


 肉棒の出入りする音を間近で聞きながら、ドゥーエが姉のひくつく肛門を観察した。いやいやと頭を振るウー
ノの事を無視し、その肛門の周りを舌でなぞっていく。
 ドゥーエを拒むように収縮した肛門に指を捻りこませ、折り曲げた。心地よい強さの締め付けにドゥーエが
ウーノの腸壁を抉るかのように、爪を引っ掛ける。

「くぅぅぅ――っ!!?」

 突然の痛みに目を見開き、ウーノが咄嗟にスカリエッティの頭を抱く。痛みと、それ以上の快感から逃れるよ
うに唇を噛み、息を吐き出しながら縋るように。
 柔らかい乳房の感触を顔面で感じながら、スカリエッティが汗の浮いたウーノの桃色の肌に舌を這わせれば、
再びのウーノの叫び。

「はぁ、はぁ、お、おやめください……も、う……」

 普段の落ち着きなど無い、狼狽しきった声だった。涙声の、聞いたなら誰もが手を差し伸べてしまいそうな程
の弱弱しい声。

「ドゥーエ、ウーノはどうやらもう限界のようだ」

 スカリエッティが、ウーノの谷間から顔を上げドゥーエを見る。ウーノの不安を込めた息遣いを顔に受けなが
ら。

「そうですか……どうしましょうか、ドクター」

 ドゥーエがウーノの肛門から顔を離し、スカリエッティを見上げる。無論、スカリエッティと同様ウーノの
様子など全く気にしていない様子で。

「おねがい、します……ウーノはもう、限界です……はっ、ぅ……」
「――よし。ドゥーエ、もっと激しくしてあげなさい」
「かしこまりました。さぁウーノ姉さま、続きですよ?」

 再び、スカリエッティが腰を大きく突き上げた。唇を噛み、耐えるウーノの口を割るのは、先ほどまで彼女の
肛門に触れていたドゥーエの白く、長い指。
 まるで自分の肛門を舐めているような嫌悪感に身震いし、だが抵抗できない彼女はそのまま。スカリエッティ
にあわせる様に自身を揺すり、ドゥーエに開けられた口端から垂れる涎が涙に混ざり、顎を伝う。

「んくっ、はっ、あっ! ど、ドクタぁ……はっ……ふあぁぁぁっ――!!」

 壊れてしまう。そんな気がして、ウーノが叫んだ。
 前と後ろ、両方を弄繰り回され、今は何も出来ず喘ぐだけ。
 痛いくらいに激しく突き上げるスカリエッティと、腸壁に爪を立てて嗜虐に瞳を濡らしているドゥーエの板ば
さみ。
 ――もう、本当に気持ちよすぎて限界だった。



* * *


「――ウーノ、起きているかい? ウーノ――」

 何故か遠くから聞える彼の呼声に目を開ければ、最初に感じたのは彼のぬくもりではなく、冷たく固いコンク
リートの感触だった。
 見渡せばやはり自身と繋がっている筈の機械郡は無く、そもそもここはスカリエッティのラボですらない。
 思い出し、そうだったと彼女が短く息を吐く。滲む視界と共に身体に纏わりつくのは、重い結界の力。そして、
牢獄という名の敗北だ。

「ドクター、申し訳ありませんでした」

 自然と言葉が漏れていた。スカリエッティは何も言わない。それが不安で、彼女が立ち上がる。向かったのは
隣にあるであろう彼の牢と繋がっている壁だ。少しでも近くに。そう思った。
 ややあってからウーノが紡ぐは再びの謝罪。自分のふがいなさに対しての、長女としての責任の、彼の期待を
踏みにじった事に対する謝罪だった。

「謝る事は無いさ。確かに私達は敗れた。管理局の……起動六課の戦力が私の作り上げた作品よりも大きかった
ためだろう」

 先ほどよりも近くからの声。スカリエッテが自分と同じ様に壁に背中を預けていると知ったのはその後すぐ。
 普段に無い落ち着いて平坦な声が紡がれていく。だが淀みの見当たらない口調は、冷静に自分達が敗北した原
因を連ねていた。ウーノは何も言えず俯いたまま、動かない。
 スカリエッティが語る言葉は全てが嘘偽りのない事実。全ての敗北要素が、自分達が原因で敗れたのだと肯定
している。

「……もうしわけ、ありません……」

 三度の言葉。今度は謝罪の意ではなく、彼の冷たい言葉を遮る為の、今彼女が出来る精一杯の抵抗の言葉。

「だから謝る必要は無いと言っているだろう?」

 呆れたような、ウーノの反応を楽しんでいるかのようなそんな声だった。そしてそれ以上何も言えなくなって
しまったのであろうウーノに満足したように彼が笑う。

「ウーノ、私が言えることではないが余りヒトの夢を勝手に終わらせるような言動は慎んだほうがいい。君が謝
るのは、君のした事が原因で私の夢が費えたときだけだ。無論それはありえない事だがね」
「……はい、承知いたしました」
「ではウーノ、答えておくれ。私の夢は終わったのかな?」
「いいえ。終わってなどおりません。私が終わらせません」
「よろしい。なに、少しの休憩だと思えばいい」

 そのまま二人は黙り込む。その場を動かないのは、背中の壁の冷たさに相手の存在を感じているから。
 スカリエッティが何を考えているのかは分からない。だが、大体ここを抜け出す作戦か、それ以外のどうでも
いい事を考えているのだろうと納得し、目を瞑る。
 そしてそれを見透かしたようなタイミングで、スカリエッティが言った。

「そういえば、先程は随分ぐっすりと眠っていたようだが、夢でも見ていたのかな?」
「――っ!?」

 瞬間。ウーノの頬が朱に染まった。夢の内容を見られたわけではないのに全てを見透かすような彼の言動は、
彼女の廃熱機関を無視して高温を生成する。首筋に汗を滲ませ、耳までもを赤く染めたウーノがそれを隠すよう
に体を丸めて。
 聞えるのは張り裂けそうな心臓の音と、スカリエッティのいつもの笑い声。

「どうしたんだいウーノ? ここは少しばかり退屈だ。他に楽しみも無い。聞かせて欲しい」
「そ、それはっ――」


 これはまずい。まずすぎた。寝言でも言ってしまったのか。それとも、自分が知りもしないような力でこの
結界の中で夢を見る能力でも行使したのか。どちらにせよ、非常にまずい。
 こちらの神経を逆なでするようなスカリエッティの笑い声は、きっと何かを知っている。現実にしている時な
らともかく、こんな状況で寂しくてなど言える訳も無い。しかもそれがまともな夢で無いのだからなおさらだ。
 ウーノが慌てる。視線は忙しなく動き、必死に彼から逃げる道を探している。だが無駄だ。ここは牢獄。そん
な素敵なものがあるわけ無い。
 悩みに悩んだ末、ウーノが言ったのはスカリエッティの笑い声が大きくなったとほぼ同時。

「あ、当ててみてください! もし当たっていたら一から十まで丁寧にお教えいたしますっ……!」

 どうやら作戦は成功のようである。スカリエッティが黙り込み、考え込む気配がした。これは彼から学んだ事
の一つだ。好奇心旺盛な子供の興味を逸らすには、それ以上に魅力的で興味をそそりそうな玩具を差し出してや
ればいい。アンリミテッドデザイアの秘書として些かも恥じる隙が無い、完璧な作戦だったとウーノが誇る。
 だがどうやら、この無限の欲望は彼女の予想以上にどこまでも探求に貪欲なようだった。

「――では、ヒントを頂こうかな」
「……へ? ひ、ヒントですか?」
「その通りだ。間違ってはいけない。問いかけとは他者を黙らせる為のものではなく、答えを紡ぐ為にあるのだ
よ」

 無論、惑わす為の意味もあるのだが。言葉にはせず噛み殺した笑いに乗せ、スカリエッティがウーノの言葉を
待つ。
 スカリエッティには見えないが、秒刻みで上昇する熱に耐えかね、ウーノが顔を覆っていた。恐らく効果は皆
無だろう。
 壁越しにも分かるウーノの慌てふためく表情。それを見てみたいがこの状態では叶わない。仕方なくウーノが
持ちかけた余興に思考を切り替えつつ、ふと思い当たったように彼が尋ねた。

「その夢は、君にとって幸福なものだったかい?」
「はい、とっても」

 考えるまでもなく、それは即答できる答えだった。いなくなった妹に会えた。彼がいた。それが悪夢である筈
が無い。
 だがスカリエッティは完全に黙り込む。ウーノが眠ったのと同時、苦笑を張り付かせた表情で顎に指をかけ、
ウーノの言葉の真意を探る。

「これは困った。予想以上に難問のようだ」

 しばらく考えてみたが、やはり答えは浮かばない。再度ウーノに助言を頼もうと思ったが、彼自身が首を振って
取り下げる。

「まぁいいさ。丁度いい暇つぶしだ」

 鉄格子のはめられた窓の向こうでは、目を細めてしまうような満月が彼を見つめている。淡い光りを放つ金色
の月。考え事をしながら眺めるには十分すぎるほどに美しい。
 彼もまた同色の瞳で月を見つめ、笑みを浮かべる。どこか、遠い昔を思い出しているような表情だった。

「さて、どこからがいいかな」

 呟き、一人頷いた。
 順番に思い出していけば良い。
 まずは、君と初めて出会ったあの日から探しに行こう――。


著者:246

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