9 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:42:23 ID:s9cTceOI
10 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:43:11 ID:s9cTceOI
11 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 3 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:44:04 ID:s9cTceOI
12 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 4 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:45:08 ID:s9cTceOI
13 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 5 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:47:09 ID:s9cTceOI
14 名前:娘の旦那はイタチの化物!? 6 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2008/06/20(金) 16:48:10 ID:s9cTceOI

海鳴の高町家は久々に賑やかな空気に包まれていた。何故ならば中学卒業と共に
外国の方に移り住んだ末娘が数年振りに帰って来たからであった。
しかも何時の間にか結婚していたらしく、その旦那も紹介がてらに連れて来ていたのである。

「ハッハッハッ! そうかそうか! 君は学者をしているのか!」
「ハイ。かいつまんで言うとその通りですよ。」
高町家の大黒柱・高町士郎はほろ酔い気分で笑いながら末娘の旦那・ユーノ=スクライアの
持っていたグラスへ酒を注いでいた。

「お父さんとユーノ君もうあんなに仲良くお酒飲んだりして…少し安心しちゃった。」
「どうして? 何か心配してた事でもあったの?」
士郎とユーノからやや離れた場所に士郎の妻・高町桃子と高町家長女・高町美由希、
そして末娘・なのはの三人が座ってのだが、士郎とユーノが仲良く酒を飲みながら話をしている
光景に何処か安堵しているなのはに対し桃子と美由希は首を傾げていた。

「実はね、ユーノ君の事…お父さんがOKしてくれるか心配だったの…。ほら、ドラマとかで
たまにある『お前なんかにウチの娘は渡さーん!』って言いそうな気がしてたから…。」
なのはが少し心配しながらそう言うと、突然美由希が笑い出した。
「アッハッハッハッハッハッハッ!! 無い無い! それは無いよ!! この21世紀のご時世に
そんな昭和の時代みたいな展開は無いから!!」
「大丈夫よなのは。だって貴女が選んだ人だもの。」
桃子もまた優しくそうなのはへ語り掛ける。

と、この通り…末娘の久々の帰省に高町家は賑やかながらも平和であったが……………

もう日付の変わった深夜。僅かな灯りの下、士郎は廊下を歩いていた。
「TOTOTOトイレっと〜♪」
寝る前に用を足そうと鼻歌交じりでトイレへ向かっていた士郎はふとなのはとユーノのいる部屋の
直ぐ隣を通りかかるのだが、その部屋の戸が半開きになっていた事に気付いた。

「お〜いなのは〜。戸が少し開いてるぞ〜。」
やや眠そうな目でそう語りかけながら戸を閉めようとした士郎だが…彼は見た。

「ユーノ君! んぁ! ユーノ君! ユーノ君!」
「キュッ! キュー! キュー!」
部屋の中で四つん這いになったなのはの背後から、大人のライオン程の大きさはあるかと思われる
薄黄土色で頭の上に二本のアホ毛の生えた巨大なフェレットが覆い被さって激しく突き上げていたのである。
「んぁ! ユーノ君もっと激しく! ユーノ君もっと激しくぅぅ!」
「キュッ! キュー! キュー!」

「な…なんだこれは…。」
士郎は愕然とせざるを得なかった。これが普通に人間同士のSEXならば…
新婚だから仕方が無いとむしろ微笑ましい気分になるが…今士郎の目の前では
愛する末娘がバックから巨大フェレットに覆い被されて突かれると言う獣姦をやらかしているのである。
しかもその上…

「ユーノ君! ユーノ君! ユーノ君良いよぉぉぉ!」
「キュー! キュー! キュー!」

「え…ユーノ?」
巨大フェレットに突かれ、頬を赤くしながら喘ぐなのはの口から出たユーノと言う言葉。
明らかに今なのはを突いている巨大フェレットに対して言ったとしか思えない。

「ま…まさか…これは…。」
士郎は嫌な予感を感じた。

それから…夜が明けた。

「みんなおはよう。」
「お…おはよう…。」
何事も無かったかの様に連れ添って居間へ現れていたなのはとユーノに士郎は
やや青い顔で挨拶していた。先日、なのはが巨大フェレットと獣姦していた光景が
未だ頭から離れなかったからである。

それから一時してなのはとユーノは互いに連れ添って出かけて行ったが、その後で
士郎は美由希と桃子を集合させていた。

「どうしたのお父さん?」
「じ…実は…大切な話があるんだ…。」
深刻な顔をする士郎に対し首を傾げる美由希と桃子だったが…士郎はやはり深刻な顔なまま言った。
「ユーノな…アイツ…人間じゃない。」
「またまたご冗談を…。」
「いきなり何を言ってるの? 貴方…。」
これに対し美由希は思わず吹きそうになっていたし、桃子もむしろ士郎の頭を
心配する様な顔をしていたが四郎は真面目だった。
「冗談じゃない! 俺は至って真面目だ! 奴は…ユーノは人間じゃない!
奴はイタチだ! 人間に化けたイタチの化物なんだ!」

士郎は話した。先日の真夜中に自分が見た事実の全てを…。しかし…

「アッハハハハハハハッ! お父さんそれ絶対夢だよ!」
「なのはがそんなお化けを夫に選ぶはず無いじゃない。」
美由希も桃子も笑ってそう答えるのみであり、信じては貰えなかった。
それが士郎には悔しい。

「ようしならば奴の正体がイタチの化物だと証明してやる!」
そう言って士郎は何処からか懐中電灯を取り出していた。
「その懐中電灯でどうするの?」
美由希が何気無く訪ねると、士郎は懐中電灯のスイッチを入れ、灯りを美由希へ当てた。
そして壁へ浮かび上がった美由希の影を指差す。
「見ろ。普通の人間ならこの通り、人の形をした影が出来るが…奴が本当にイタチの化物ならば
例え人間に化けていても光を当てればイタチの形をした影が出来るはずだ。」
「そんなに上手く行くかな?」
「上手く行く! 怪談話なら良くある話だからな!」
「だから信用出来ないんだけど…。」
やはり美由希も桃子も士郎の話をまともに信用する気さえ無かった。

「ただいま〜。」
夕方頃になのはとユーノが帰って来た。それと共に物凄い勢いで士郎が玄関まで駆け寄り…
「それぇぇぇ!!」
士郎はユーノへ懐中電灯の光を当てた。これでイタチの影が浮かび上がり、ユーノの
正体がイタチの化物だと露見される…と考えていたのだが…浮かび上がったのは普通の影。
「お父さん一体何をしてるの?」
「え…あ……。」

結局士郎は赤っ恥をかいてしまう結果となった。しかし…

その日の晩、風呂が沸いたのでなのはとユーノは一緒に入浴していた。
まあ新婚だから仕方が無いね。と微笑ましい気分になる光景であったが、
そこで何気無く桃子が近くを通りかかった時に風呂場の戸が開いていた事に気付いた。

「ちょっとここ開きっぱなしになってるわよ。」
桃子が笑顔で風呂場に顔を出し、それから戸を閉めようとしていたのだが…

「キュ〜。」
「ユーノ君気持ち良い?」
そこには浴槽に寝転んだ大人のライオン程はあろうかと思われる薄黄土色で頭の上に
二本のアホ毛の生えた巨大なフェレットの背中をなのは優しく石鹸の付いたスポンジで
流していると言った光景が見られた。

「え…………。」
桃子は唖然としながら戸を閉じるしか無かった。そして無言のまま部屋から離れると共に
物凄い勢いで駆け出したのである。

「あなたぁぁぁ!! イタチ! イタチ! イタチのお化けがぁぁぁぁぁ!!」
桃子はもう完全に目に涙を浮かばせた状態で士郎に泣き付いていた。
「ほら言っただろうが! アイツの正体はイタチの化物だったんだよ!」
士郎はやや怒りながらも桃子を優しく抱いていたが…美由希はまだ信じられなかった。

「ユーノがイタチのお化けなんて…お母さんも何か幻を見たんじゃないの?」
「いいや! アレは絶対イタチのお化けよ! なのははイタチのお化けに騙されてるのよ!」
「え〜?」
桃子は目から涙を飛び散らせながら自身の正しさを主張するが、美由希はまだ信じられない。

「お風呂上がったよ〜。」
そこで入浴を終えてパジャマに着替えたなのはとユーノが現れた。
勿論ユーノは本来の人間の姿である。それに対して美由希はユーノを指差しながら
士郎と桃子へ語りかける。
「ほら〜! 見ての通り至って普通じゃない! お父さんもお母さんも何かを見間違えたんだよ!」
そう言い切り、次に入浴するべく風呂場へ向かった美由希であったが…

美由希は入浴を終え、パジャマ姿で廊下を歩いていた。すると、なのはが庭に座って
夜空を眺めているのが見えた。
「なのは何してるの?」
「ちょっと星を眺めてたの…。」
優しい表情でそう答えるなのはであったが…そこで美由希は見た。

「キュッ!」
「え……………。」
美由希は愕然とした。何故ならば…なのはの隣に大人のライオン程の大きさはあろうかと思われる
薄黄土色で頭の上に二本のアホ毛の生えた巨大なフェレットが座っていたのだから…。
しかもその巨体に反比例して丸々とした翠色のつぶらな瞳が何ともし難いシュールさを醸し出している。
「あ…そ…その……私…先に寝るから…お…お休みなさい!」
美由希は身体をガクガクと振るわせながらその場から走り去るしか無かった。

「うああああああ!! お父さん! お母さん! イタチが! イタチのお化けがぁぁぁぁ!!」
「ほら言っただろう!? お父さんとお母さんの言った通りだと!」
泣きながら士郎と桃子に泣き付いていた美由希に対し、二人は軽く叱り付けていた。

それから一時して…士郎・桃子・美由希の三人による緊急家族会議が行われた。
無論議題は『末娘の旦那はイタチのお化けだった問題』に関してである。

「一番の問題はなのは自身があのイタチの化物に対し何の疑問にも思ってない事だ。」
「きっとなのははあのイタチのお化けの妖術か何かで操られてるんだよ。
だから本人には例えイタチのお化けでも普通の人間に見えてしまうんだと思う。」
「相手がイタチのお化けなら有り得ない話じゃないわね…。このままじゃなのは…
あのイタチのお化けに呪い殺されちゃうかも…。」
三人はそれぞれに意見を交わしていたが、なのはを心配する気持ちは変わらなかった。

それからアレコレ意見を交し合った結果、とりあえず様々な魔除け道具を集める事によって
イタチのお化けの妖術を消そうと言う結論に至り、早速今手に入るレベルで
考え得る限りの魔除け道具を探し始めた。

翌日、なのはとユーノは何時もの様に早起きして朝食を取るべく居間へ降りて来ていたが…
そこで十字架やら御守りやらニンニクやら数珠やら、その他神社とかで売ってそうな
お札等、魔除けになりそうな物で完全武装した士郎達三人が物凄い剣幕で現れたのだ。

「イタチの妖怪め! 正体を現せ!」
「悪霊退散! 妖怪退散!」
「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…。」
三人は手に持っていた十字架等を振りかざし、美由希に至ってはお経を唱え始める始末。
それに対してなのはは……

「三人とも…朝っぱらから何してるの?」
「…。」
と、明らかに頭が可笑しい人を見下す様な目で三人を睨み付け、三人も気まずくなった。

「なのは騙されるな! ソイツは人間じゃない!」
「そうだよ! ユーノはイタチのお化けなんだよ!」
「イタチのお化けが人間に化けてるのよ!」
士郎達三人はユーノを指差しながらそう必死に訴えかけていたが
やはりなのはは三人を睨み付ける事をやめなかった。

「あのね〜お父さん…お母さん…お姉ちゃん…。ユーノ君はイタチのお化けなんかじゃないよ。
可愛い可愛いフェレットさんなんだよ。」
「どっちもイタチじゃないか!!」
「イタチと結婚するなんて何考えてるの!?」
もはや士郎達は泣きそうになっていたが、なのはは呆れるばかり。

「あ〜も〜分かったよ。正直に話すよ。そもそもユーノ君は人間に変身出来る不思議なフェレットさんで…。」
「違うよ逆だよ! ただ変身魔法でフェレットに変身出来るだけで僕は人間だよ!」
と真顔で嘘を付くなのはに、珍しくユーノが突っ込みを入れていた。
それに対しなのはは笑顔でユーノの方を見つめる。
「良いじゃない。この際人間に変身出来るフェレットって事にしても。
その方が面白いじゃない。お父さん達のリアクションが。」
「僕は面白く無いよ。」
笑いながらさらっと酷い事を言うなのはにユーノも涙せざるを得なかった。

何時までもふざけるのも何だからと、結局なのはとユーノは士郎達に真実を話した。
士郎達が見たイタチの化物と言うのは、ただユーノが変身魔法でフェレットに変身しただけと言う事。
大人のライオン程の大きさだったと言う明らかにフェレットを逸脱した大きさだった件も
ただ単純になのはの要望だった事。そして何より変身魔法は、二人の住んでいる国では
そう珍しい技では無いと言う事等々…士郎達が納得出来るまでなのはとユーノは何度も説明した。

「と…とりあえず…お前がフェレットに変身する技を持ってる事は分かった。」
「良かった…理解してくれたんですね?」
士郎の言葉にユーノも安心していたが…
「と言う事で…今度は義父さんの目の前でフェレットに変身して見せてくれんか?」
「え…。」

それから…まるで子供の様に巨大なフェレットと戯れる中年男性と言うシュールな光景が
目撃されたと言うが…真相は不明である。

                   おしまい


著者:◆6BmcNJgox2

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