[382]歴史が動く前…編 1 ◆6BmcNJgox2 <sage>2007/08/07(火) 23:02:13 ID:oMnWciov
[384]歴史が動く前…編 完 ◆6BmcNJgox2 <sage>2007/08/07(火) 23:06:24 ID:oMnWciov

これはなのはがまだ9歳で…かつ魔法と出会う以前のお話。

「子供を狙った誘拐には気をつけましょう。」
学校の先生にその様な事を言われたその日の放課後、下校中のなのはは背後から怪しい気配を感じていた。
「あ…後から誰かが付いて来てるの…。」
恐る恐る後を見ると、そこには確かになのはの後を追っている何者かの姿があった。
頭には帽子、目はサングラス、口はマスクで覆った明らかに怪しい大人の人。
それがコソコソと電柱だったり壁だったりと彼方此方に隠れながらなのはの後を追っていたのである。
「どうしよう…誘拐犯かも…。」
なのはは怖くなり走った。とにかく家まで走る。家になら家族もいるし安全だ。
なのははそう考えていた…が…。
「キャア!!」
突然なのはは何者かに襲われてしまった。しかし、それは背後からなのはを
追跡していた怪しい人物では無い、逆に正面からなのはに飛び掛った別の大人であり、
瞬時にクロロホルムを嗅がせられてなのはは眠らされてしまった。

「う…ここは…。」
なのはが目を覚ますと、薄暗い部屋の中にいた。
さらに手と足に手錠やロープとは違う見た事の無い物がはめられており、身動きが取れない。
そしてもがくなのはの目の前になのはをさらったと思しき二人の男の姿があった。
「お目覚めかい? 高町なのはちゃん?」
「おじさん達どうして私の名前を!?」
「フッフッフッフッ…今から10年後…なのはちゃんは知らない人はいない位の有名人になるんだよ。」
「え!? それってどういう…。」
男の発した言葉の意味が分からなかった。しかし男はさらに続ける。
「実はね、おじさん達は今から10年後のなのはちゃんに酷い目にあわされてしまってね、
それで時空を超えてこの時代のまだ強くないなのはちゃんを狙って歴史を変えようって事になったのさ。」
「管理局の白い悪魔もこの時代ではただの運動オンチな女の子だもんな〜。楽なもんだよ。」
「え!? 何を言ってるの!? おじさん達おかしいよ! 何漫画みたいな事言ってるの!?」
なのはは怖かった。勿論自分を誘拐した二人が怖いのは当然だが、それ以上に
二人の放つ意味の分からない言葉がますます得たいが知れず、怖かった。
「さて、管理局の連中が嗅ぎ付けない内に息の根を止めておこうか?」
「いやいや、時空奴隷商人に奴隷として売ってしまう手もあるぞ。
これなら俺達も儲かるし、10年後の奴も歴史から消滅すると言う一石二鳥だ。」
「おお〜! それ良いんじゃね?」
「何…何…? え…一体どういう事なの…?」
男達はなのはの目の前でその様な会話を交わし、なのはは言葉の意味は分からなかったが、
意味が分からないからこそ逆に二人が怖く、ビクビク震えていた。


「誰か…助けて…。」
なのはの目から涙が流れ、その一粒が床に落ちた。と、その時だった。
突然薄暗い部屋のドアが開き、何者かが現れたのである。
「おっとそこまでだよ!」
「え…。」
それは最初、なのはの後を背後から付けていた為に誘拐犯では? と思われた
謎の帽子+サングラス+マスクの人だった。そしてその帽子サングラスマスクの人は
手に持つ部分がピンク色で、先端が金色、そして金色の部分の中心に赤い宝石が
はめ込まれた杖の様な物を持っていた。
「二人とも、歴史改変未遂の罪で逮捕します!」
「ゲゲッ! もう見付かった!」
「え? 一体何がどうしたの?」
なのはは意味が分からないままだったが、謎の帽子サングラスマスクの人はなのはを誘拐した
二人の男を忽ちの内に叩き伏せ、そして手錠やロープとも違う不思議な何かで
二人の男の手足の自由を奪っていた。
「二人とも連行させて頂きます。」
「畜生! 畜生!」
「後少しだったのに!」
自由を奪われた二人はその辺にのた打ち回るばかりだったが、
今度はなのはの方に帽子サングラスマスクの人が近付き、杖を振るうと共に
なのはの手足を束縛していた物が消滅し、なのはは自由の身になった。
「君…大丈夫?」
「あ…ありがとうございます…。」
そして帽子サングラスマスクの人はなのはの頭を軽く撫でるのだが、なのはは
まるでその人が他人の様な気がしなかった。
「悪いけど…ここまでの記憶は消去させてもらうよ。じゃないと歴史が変わって大変だから…。」
「え…それってどういう…。」
なのはがそう質問しようとした瞬間、なのはの意識はそこで途切れた。

気が付くと、なのはは下校中の道の真ん中に立っており、何事も無かったかの様に家に帰って行く。
帽子サングラスマスクの人に追われていた事も二人の誘拐犯に誘拐された事もなのはの記憶の中から
完全に消滅し、その間の時間に関してもリセットされ、ごくごく普通の時間として流れていく。
つまり、この事は最初から無かった事となったのである。

そして…なのはがユーノと出会う事になるのはそれから間も無くの事だった。

「おかえりなのは!」
「ただいまフェイトちゃん…。それにしても…今回の仕事は肝が冷えちゃったよ。
まさか10年前の私を狙った時空犯罪者が出るなんて…。一歩間違えれば
私自身が消滅する事になるんだし…。」」
「とにかく、これからもこういうのには気を付けないとね。」

なのはを救った謎の帽子サングラスマスクの人の正体が、10年後の未来から来た自分自身である事を
なのはは知らない…

                      おわり

著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

まさか、9歳の頃のなのはを救ったのは、19歳の頃のなのはだったとは、実に面白い展開ですね。

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Posted by 卓也 2012年08月30日(木) 23:30:35 返信

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