304 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:22:01 ID:3SThkOPA
305 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:22:49 ID:3SThkOPA
306 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:23:22 ID:3SThkOPA
307 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:23:54 ID:3SThkOPA
308 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:24:35 ID:3SThkOPA
309 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:25:12 ID:3SThkOPA
310 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:26:01 ID:3SThkOPA
311 名前:野狗 ◆NOC.S1z/i2[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 21:26:40 ID:3SThkOPA

 ユーノが妙なロストロギアを発見したという報告を受け、はやてはフェイトとなのはを六課の隊長室に呼んでいた。
 揃ってユーノに会うのはJS事件解決以来のことで、三人はお茶などを準備していた。そしてその周りをふよふよと飛んでいるのはリイン。

「危険なものやないって言うてたから、直接ここに持ってきてもらうんよ。私は次の予定が入っているから、あんまりゆっくりはしてられへんけど」
「どんなロストロギアなの?」
「それはリインも知らないのです。はやてちゃんは知ってるですか?」
「それは見てのお楽しみやて」
「ふーん」

 なのはが頷いたところで隊長室のドアが開く。
 振り向いたなのは、そこに喜色満面のユーノを発見し、笑顔で手を振った。

「ユーノ君」

 ユーノはロストロギアらしきものを手に持って笑っている。

「凄いよ、このロストロギアは。なんと、処女判定機なんだ!」
「ディバインバスター!」

 叫びながらオフィスに走り込んできたユーノを、つい撃退してしまうなのは。

「ぐはっあああああ。な、何するんだよ、なのは!」
「そんな変態台詞叫びながら入ってきたら普通そうなるんだよ、ユーノ君」
「ああ、そうか。久しぶりに皆に会うのに、デリカシーが無さ過ぎたね。ごめんよ」
「気をつけなきゃ、ユーノ君」

 ユーノはごめんごめんと言いながらそそくさと上着を身につけてネクタイを締める。

「では、改めて……。おほん。凄いよ、このロストロギアは。なんと、処女はん……」
「プラズマスマッシャー!」
「のぉおおおおおおおおおっ!!!! ひ、ひどいよ、フェイト……」
「……ユーノは自業自得だと思うよ」
「なんで……あ、ああ、そうか。僕が悪かった。きちんとしなきゃね。申し訳ない」
「うん。わかってくれるならいいよ」

 ユーノは息を大きく吸い、呼吸を整える。

「では、改めて……。ごほん。凄いよ、このロストロギアは。なんと、処女だけでなく童貞まで……」
「そういう意味とちゃうわっ! いてまえ、リイン!」
「はいですっ! お別れです、ユーノさん! フリジットダガー!」
「うひゃぁああああああっ!!!!!」

 遺跡発掘終了直後、それもロストロギアクラスの物を発掘した時は妙なハイテンションになってしまうのが自分の悪い癖だ。とユーノは常々言っていた。
 だからといって、さすがに三連続の攻撃魔法はひどいのではないか。

「ユーノ君が悪いよ」
「なのはの言うとおりだね」
「ユーノ君、さすがにこれは弁護できへんよ」
「最低なのです。こんな人がリインの生みの親の一人だと思うと、恥ずかしくてリインハウスに籠もりたくなるです。スクライアの面汚しです。
無限書庫の汚物です。次の遺跡発掘の時には皆で結託して、事故に見せかけて埋めてしまうべきと思うです。遺跡が汚染されてしまいます。
それからそんなロストロギアを残した文明もかなり最低です。滅んでしかるべきです。滅んでなかったらリインが滅ぼすです」
「ひどいなみんな。まるで僕が悪いみたいじゃないか。あとリイン、言い過ぎだろ」

 心外だな、と胸を張るユーノ。

「第一、このロストロギアは元々処女判定機じゃないんだよ。最初は、犯罪捜査に使われていたんだよ」
「へえ、犯罪捜査に」

 食いつくはやて。

「元は、殺人事件の被害者の遺体を調べて、加害者を特定するのに使われていたんだ。それが、時が経つに連れてプログラムが改変されて、
処女判定機になってしまったんだ。だから、処女を奪った相手も特定できる」
「改変というより、すっかり別モンやな」
「ふーん。『夜天の書』みたいなものなんだね」
「そ、そんなのと一緒にしないでくださいです! ひどいです!」

 フェイトの一言に悲鳴をあげたリインは、泣きながらリインハウスに籠もってしまった。
 しかしそれを無視して話を続けるユーノ。 

「これを使えば、皆、心ない噂から逃れられるんじゃないかと思って駆けつけたんだよ」
「心ない噂?」
「ああ」

 リインハウスから顔をぴょこんと出すリイン。

「枕営業とかです?」
「オッケーわかった。リイン、君が言うな」

 再び引きこもるリイン。
 そして眉をひそめるなのはと、少し考えて頷くフェイトとはやて。

「あるね、そういうの」
「あったな、そういえば」

 裏取引というやつだ。
 教導官、執務官という、個人の能力を重視かつ、その能力の有無が一目瞭然な職に就いているなのはとフェイトはほとんど被害を被っていないのだが、
一つの組織を率いる立場のはやてについては色々と影での噂が絶えないのだ。
 ちなみに、被害を被っていないと言うだけで、フェイトとなのはについても噂が皆無というわけではない。

「まあ、ああいうのは気にしてると際限がないけどな。言いたいやつには言わせておいたらええんよ。実際に嘘なんやし、そんなん本気にするような人とは、
一緒に仕事なんてできへんしな」 
「はやての言うとおりだよ。噂なんて、所詮噂に過ぎないんだから。多少不快な思いをすることがあっても、それだけのことなんだし」
「だけど、ユーノ君。それで噂から逃れるって事は、判定結果を公表するって言うことだよね? それはどうかと思うけど」

 え? とフェイトとはやてがなのはを見る。
 二人の反応に、ん? と首を傾げるなのは。

「どうしたの? 二人とも。私、何か変なこと言った?」
「……いや、その………判定結果を公表って?」
「え?」

 なのははさらに首を傾げる。

「もしかして、私何か勘違いしてる?」

 なのははゆっくりと言葉を選びながら、二人の表情を窺っていた。

「つまり、変な噂って言うのは……その……女の武器を使って、はやてちゃんやフェイトちゃん、それに私が階級をゲットしたっていう噂だよね?」
「まあ、簡単に言うとそういうことやけど……」
「だけど、なのは。ユーノの持ってきたロストロギアは処女判定機でしょう? 普段誰と関係を持っているかまでがわかるわけじゃ……」

 フェイトはそこで言葉を止め、はやてと顔を見合わせる。
 呆れ半分の表情で首を振ったはやてが、ユーノとなのはを珍しい物でも見るような目で眺める。

「まさかと思うけど、二人……まだなん?」

 うなずくなのは。

「な、なんで? 二人、好きあってるんやろ? 結婚とはいわへんけれど、なんで、まだなん?」
「なんでって言われても……」

 なのはとユーノは互いの顔を見合わせて苦笑する。

「僕となのははそういうのじゃないし」
「うん。ユーノ君は恋人っていうより兄弟みたいな感じだしね。フェイトちゃんだって、クロノ君相手にそういう気持ちはないでしょう?」
「……あ、う、うん、もちろん」

 何故かフェイトは言を濁す。
 はやての瞳が光った。

「ユーノ君! そのロストロギアをフェイトちゃんに向かって発動や!」
「わかったよ」

 ユーノの手中の機械が輝いた。そして、判定機から聞こえてくる機械的音声。

“フェイト・テスタロッサ・ハラオウン、非処女。相手、クロノ・ハラオウン”

「結果が出たよ。つまりフェイトの処女はクロノによって……って、えええええええっ!!!!」
「凄いね、そのロストロギア」

 ぼそっと呟くフェイトに、はやてとなのはが詰め寄った。

「いや、フェイトちゃん、何涼しい顔してるの。これってどういうこと?」
「フェイトちゃん、いつの間にクロノ君と……あ、でもクロノ君はエイミィさんと……」
「ユーノ、凄いね、そのロストロギア」

 表情を変えないまま言い放つフェイト。

「あの……フェイト……ちゃん?」
「フェイトちゃん?」
「凄いね、そのロストロギア」

 これ以上触れてはいけない。と二人は思いました。
 はやてがなのはに目配せして話題を打ち切ろうとした瞬間、フェイトがぼそりと、

「ユーノ。次ははやての番だよ」
「え゛!?」
「わかった」
「あかん、あかんよ、ユーノ君。それはちょっとシャレに……!!!」

 再び輝くロストロギア。

“八神はやて、非処女。相手、ゲン…”

 突如、ユーノの手から奪われる判定機。
 今や判定機を持っているのは、何もない空中から現れた手てある。そして、ここにいる全員がその現象に見覚えがあった。
 そう。これは紛れもないシャマルのレアスキル、旅の鏡である。

「シャマル先生!?」
「グッドタイミングや! シャマル!」
「な、なんで?」
「ふふふ。ユーノ君がそのロストロギアの性能を教えてくれた時から、こんな事もあろうかとヴォルケンリッターに呼び出しをかけて待機させとったんや」」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 空間からロストロギアを取り出すシャマル。
 横にはシグナムとヴィータ、ザフィーラも待機している。

「うまくいったのか、シャマル」
「ええ。はやてちゃんの指示通り、完璧よ」

 シャマルは判定機を掲げて色々な方向から眺めている。さらには押してみたり擦ってみたり。

「それにしても、面白い機能ね、これ。どうやって使うのかしら?」
「あんまりいじくり回すなよ」
「大丈夫よ、ヴィータちゃんは心配しなくても」

 そのとき、判定機が怪しく輝いた。

「何した、シャマル!」
「え? 何も、何もしてないわよ!」

 シャマルの叫びに合わせたように、さらなる輝きを放つ判定機。

“ヴィータ、処女”
「勝手に判定し始めたぞ、そいつ。暴走してないか?」

“ザフィーラ、ど…”「ておあーておあーておあーておあー!!!!!!」

“シグナム、非処女。相手、ヴァイス・グランセニック”
“シャマル、非処女。相手、ヴァイス・グランセニック”

「なんだとっ?」
「なんですって?」

 二人の目が合う。

「あの男……」
「ヴァイス君ったら……」
「これは……」
「……どうやら、二股をみたいね」
「……ふ、ふふふふふふ」
「……うふふふふふふふ」

 二つの怪しい笑いに震えるヴィータとザフィーラ。

「ふ、二人とも大丈夫なのか?」
「……ヴィータ。こうなってしまっては我々にできるのは、ヴァイスの冥福を祈ることだけだ」
「え、死ぬのか!?」

 そこへやってくるはやて。

「なにやってんの? 二人とも」

 簡単に状況を話すザフィーラ。

「うわ。ヴァイス君、やるなぁ」
「感心している場合ではないと思いますが」

 その隙にふよふよと飛んでいく判定機。

「げっ。アレはまずい。撃墜して、ザフィーラ」
「承知! ておあー!」

 鋼の軛をかいくぐって飛んでいく判定機。
 さすがは腐ってもストロギアである。そのうえ、飛行速度が上がって行くではないか。
 さらに、その向かう先はこの時間帯には皆が揃っているであろう食堂である。

「あ、あかん! 本気でまずい!」
「追うぞ、シグナム、シャマル、ヴィータ!」

 しかし、判定機は早かった。

“スバル・ナカジマ、処女”
「え、なにこれ?」

“キャロ・ル・ルシエ、処女”
「なんなんですか、これ」

“フリードリッヒ、非処女 相手、ヴォルテール”
「え? なにそれ。フリード、どういう事、ねえ、フリードったら!」

“ティアナ・ランスター、非処女、相手、ヴァィス・グランセニック”
「ええ、ティアとヴァイスさんって!?」
「ち、違うわよ、馬鹿スバル誤解しない!」

 判定機を追うシグナムとシャマルがほとんど同時に叫んだ。

「ティアナまで奴の毒牙に!?」
「ふっふっふふふふ……本当にやるわね、ヴァイス君」
「え? シグナム副隊長にシャマル先生まで!? そ、そんな……」

 がくんと膝を折り、しかしその直後に涙目でクロスミラージュを構えるティアナ。

「……………ヴァイス・グランセニック、許すまじ……」

“高町なのは、処女”
“ユーノ・スクライア、童貞”
「ねえ、ユーノ君、みんながどうして私たちのことを気の毒そうに見ているのかな」
「気のせいだと思うよ。そんなことより早くあれを捕まえよう」

“エリオ・モンディアル、非童貞”

 キャロとフェイトの悲鳴があがった。

“相手、ルーテシア・アルピーノ”
「竜騎召喚!!!」
「はやて、マーダーライセンス頂戴ッ!!」
「そんなもん出せるかぁー!! ていうかフェイトちゃん、食う気やったんかぁ!!! キャロもヴォルテールしまい!! 」

“さらに後ろも非処女”
「ちょっと待て、今何言うたーーーーー!!!」
「あああああああああ!!!!!」
「フェイトちゃん、キャロ、落ち着いて! あ、吐血した」

“相手、ヴァイス・グランセニック”
「何やっとんやぁ、あの男はぁああ!! 守備範囲広すぎや!!」
「キャロ行くよ! 処刑だよ、私刑だよ!」
「はい、フェイトさん! 死あるのみです! DEADorDEADです!」

“グリフィス・ロウラン、童貞”
「うぁあああああっ」
「いや、そんなショック受けんでも、何というか、うん、予想通りやし」

 グリフィスを慰めるはやては、ふと食堂の端を見て驚く。

「なんで、カリムとシャッハがおるの!?」
「あら、はやて。ごきげんよう。近くまで寄ったので、来てみたのだけど、何か立て込んでいるみたいね」
「あかん、逃げたほうが……」

“カリム・グラシア、処女”
「なんですか、これは」
“シャッハ・ヌエラ、非処女。相手、ヴェロ…”
「なんですって!!!」
「ああああああ、烈風一迅!」

 皆まで言わせず、判定機を殴り飛ばすシャッハ。

「説明してもらえます? シャッハ」
「いや、あの、騎士カリム、あのような機械の言うことを真に受けるのはいささか早計かと……」

 判定機の蹂躙は続く。

“アルト・クラエッタ………”
“ルキノ・リリエ………”
「やめてぇええええっ!!!」
「らめぇええええええ!!!」

“シャリオ・フィニーノ、非処女。相手、デバイス”
「あ、ばれちゃった」
「って、何やってんだ、あんたは!」

“ヴィヴィオ・高町、処女”
「あ、なのはママとお揃いだよ、嬉しいな」
「……なんかおかしくね?」


 騒ぎの中、はやてとヴォルケンリッターは、ようやく判定機を食堂の片隅に追いつめた。

「ここで終わらすで、シグナム」
「承知。即座に決着をつけて、痴れ者のヘリパイを成敗します」
「うん、それは好きにしたらええよ」

 じわりじわりと追いつめる一同。判定機は、まるで逃げ道を探すかのように不安定に揺れている。

「何の騒ぎだ、こりゃ」

 そこへ、今日はやての元を訪れる予定だった客が姿を見せる。
 彼の名は、ゲンヤ・ナカジマ。

「おいおい、八神、何やって……」

 判定機が光る。
 
“ゲンヤ・ナカジマ、非童貞。相手、八神はやて”

 静まりかえる食堂内、シグナムが判定機を叩き落とす音だけが高らかに響き渡る。

「………ゲンヤさん、もしかして、あれが初めてやったん?」
「……あいつ、結婚直後から忙しくなってなぁ……ようやく暇ができるかと思ったら、ギンガとスバル見つけてきてなぁ…………」

 ゲンヤは、ひどく遠い目をした。



 ちなみにその後、ヴァイスの姿を見た者はいない


著者:野狗 ◆NOC.S1z/i2

このページへのコメント

笑いがこみ上げてきまするなw こんなドタバタコメディのリリなのもイイネ

0
Posted by クローバー 2010年09月09日(木) 13:45:24 返信

なにこの目からあふれ出す熱い雫……ッ!

0
Posted by 名も無き冒険者 2010年06月22日(火) 15:40:23 返信

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