576 名前:Triangular parade[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 00:53:28 ID:y+MeSVMJ
578 名前:Triangular parade[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 00:57:51 ID:y+MeSVMJ
579 名前:Triangular parade[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 01:01:27 ID:y+MeSVMJ

珍しくエリオが一人で遊びに来た。
突然の来訪に驚きはしたけど、他愛のない話をしながら、一緒に夕食を作り、
3人で食事をした。
無人世界を探索したいとエリオが言うから、湖まで案内した。

月明かりがきらきら湖に反射して、とても綺麗で、私のお気に入りの場所。

そんな時だった。
1つ年上のエリオ・モンディアルに「好きだ」と言われたのは。
 


正直に言えば、エリオが何を言っているのかさっぱり判らなかった。

なに?
友人として?
・・・この雰囲気で?
それは本当に「好き」だという感情?エリオが判らない。

君が好きなんだ、とあっけなく伝えられた言葉は一言だった。
エリオの感情が判らない。告げた後も、いつものように笑っているだけで、
赤面症で無いせいで顔色一つ変える事も出来ず、いや、どういう顔をしたらいいのか良く判らない。
エリオは何も言わない。私も言わない。
どうしたらいいんだろう?
・・・・そもそも、「好き」に対する答えを望まれているのか?それすら分からない。

この場所には2人しか居なくて、つまり誰のフォローは入らない。
いつもならキャロやヴィヴィオが居て、行き詰った会話には
なんらかのアクションを起こしてまとめてくれるけど、
あいにくと今は2人しかいないし、この現状を生み出したのはエリオ。

つまり何も起こらない。困った。これは本当にどうしたらいいんだろう。
何かを言えば、この現状は打開できるかも。


なにを伝えらればいいか。
考える。頭の中で羅列した。


何を言ってるの
気の迷い?
疲れているの?
キャロはどうするの?
冗談は程々にして
キャロと何かあった?
本気?
嬉しい
私も
本当はエリオなんか大嫌い!

・・・どれを言えばいいのだろう。
考えて、どれも自分の感情に当てはまっていると気付く。
そうなのだ、エリオ・モンディアル。この人は嫌いじゃない。
時折嫌いになる事もあるし、だけどありがたいと思う事も、好きだなと思う時もある。
こんなぐちゃぐちゃの気持ち、なんて言ったらいいのかわからない。

時間は刻々と過ぎてゆく。
デジタル式の腕時計がコチコチと音を立てているような気がした。
時間。・・・・そうだ、時間。エリオがこの世界に居る事が出来るのは、
あともう少しだけ。
こんな事に、時間を消費していていいのか?良い訳がない。
じゃあ、この時間は無駄なんだろうか?

目の前にエリオが居て、よくも穴が開くほどと思える程に、こちらを見ている。

・・・・その瞳は何が言いたいのか。判らない。
何を考えているのかなんて判らない。

こぶしに、じっとりと嫌な汗が伝った。

何故たった一言にこんなに考えこまなければいけないの。
この場から立ち去ればいい。何も言わずに立ち去れば無かった事にしたらいい。

エリオが好きだといってきた、それは夢として考えておけばいい。
あれはまぼろし、冗談だったと。
振り返ってそろそろ帰ろう、そう言えばいい。そうしたらうやむやですむ。

・・・でも、そういった場合、好きだと言ったエリオはどう思うのだろう。

「好き」という気持ちは本当なのか。嘘なのか。冗談なのかもしれない。
だって、エリオにはキャロが居る。






・・・もうなんでもいい。とりあえず、この現状をなんとかしたい。
何でここにヴィヴィオはいないの。キャロでもフリードでもいい。
ガリューでもいいから何かを言ってくれたら時間は動くのに。

・・・汗が背中にまで伝ってきて気持ち悪い。
でも、その汗の滴り方が、人の指先の動きに似ていて、びくりと身体が動いた。

「好き」というのは、私を『オンナ』として見ているから好きだというのだろうか。

・・・・もしかしたら、セックスの相手を望んでいるだけなのかも?
今までの経験を思い返す。

・・・・・・大人の相手をするよりはずっとずっと、エリオの方がマシなはずだ。

この気持ち悪いほどの静寂の中で、黙りこくったまま時間を浪費するよりも、
『ケガサレルオジョウサマ』になってしまった方がよっぽど楽のような気がしてきた。
相手はエリオ。


ここには2人しかいない。1人で来たということは、そういうことなんだろう。

エリオの目はまっすぐで、逸らされず、どうしたらいいのか判らないが、
だんだん慣れてきたのも事実。

色んなことをエリオとしてみたい。

ふと、そう思った。

めぐりめぐった頭の中で答えが導き出されたとき、驚く程からだから力が抜けた。

エリオの目を見据えて、手を伸ばして顔に触れる。
エリオがびくりとしたのが指先に伝わったが、かまわず触れた。
そうだ。答えはこれ以外に見つからない

「ル・・ルー・・・」
「わかった、セックスしよう」
「・・・ええええええええええええええええええええ??!!!」

ルーテシアの可憐なくちびるから放たれた爆弾発言は、
思春期真っ只中の少年の心に強く深く苦しく悲しく突き刺さった。


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著者:63スレ390

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