344 名前:birdcage [sage] 投稿日:2010/03/25(木) 01:22:09 ID:vL47xwoc
345 名前:birdcage(2) [sage] 投稿日:2010/03/25(木) 01:22:57 ID:vL47xwoc
346 名前:birdcage(3) [sage] 投稿日:2010/03/25(木) 01:23:39 ID:vL47xwoc
347 名前:birdcage(4) [sage] 投稿日:2010/03/25(木) 01:24:26 ID:vL47xwoc
348 名前:birdcage(5) [sage] 投稿日:2010/03/25(木) 01:25:19 ID:vL47xwoc

  出会ったのは、些細でも何でもない事件の最中。
 黒い髪に、青い瞳。細い身体を包む黒いバリアジャケットと、武骨なストレージデバイス。
 今思えば、あのまっすぐな瞳に射抜かれたのかもしれない―――もう、逃れられない。



―――birdcage――


 クロノ・ハラオウン。
時空管理局本局次元航行部隊所属の、艦船持ちの提督である。
執務官資格も持ち、母は総務統括官のリンディ・ハラオウン、父は今は亡きクライド・ハラオウン。
義理の妹に、同じく次元航行部隊所属の執務官。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを持つ。
 八神はやてが立ち上げた機動六課の後見人であり、同じく後見人である聖王教会教会騎士カリム・グラシア、その義弟であるヴェロッサ・アコース査察官の友人関係にある。
 クロノという仰々しい名前ではあるが、彼女はれっきとした女性であった。
次元の海を守る提督でありながら、一人の妻であり、母なのだ。
 つい数ヶ月前、彼女はただ一人の夫の子どもを出産した。
何と男女の双子で、クロノの子どもたちは彼女と同じ瞳の色と、どことなく彼女の夫の面影を残してた。
 いつもは母親譲りの美しく、父親譲りの凛々しい顔をブスッと無愛想に変えていたクロノであったが、二人の子供を抱いている姿は、ただの優しい母親であった。
その表情は柔らかく、可愛らしいもので、この胸はちくりと痛んだ。
 見舞いに行った時、感動の涙を流すフェイトの横で、ひどく冷めた心持でクロノの子どもたちを見つめた。
フェイトとは違った意味で、泣きたい。
 そうやって、無限書庫司書長ユーノ・スクライアははじめて自分の気持ちを自覚した。
ずっとからかわれ続けてきたが、心のどこかでは性別・年齢を越えた友人だと思っていた。
クロノと夫の結婚を祝う気持ちにウソはなかった。
彼女の性格を表すような質素な結婚式であったが、二人の結婚式にだって参加した。
白いベールをかぶり、白いウェディングドレスを身に纏ってほほ笑む姿だって見た。
祝福だってした。
 それでも、自覚してしまった気持ちも嘘ではなかった。
どうしても手が届かない場所にまで行ってはじめて、気付いてしまったのだ。







「やあ、司書長殿…ご足労いただいて、悪かったね」
 言葉の丁寧さに反し、その声音はふてぶてしかった。
「クロノ……君も、相変わらずだね」
 いつもと変わらない男勝りな口調にユーノはほっとする。
 彼女が出産したのはほんの数カ月前のはずだったが、もうすでに艦長として復帰していた。
艦長でありながら、毎日のように次元世界と第97管理外世界を行き来して、仕事と母を両立していた。
クロノの母であり、アースラの艦長であったリンディでさえ、こんなアクティブに仕事をしていなかっただろう。
 海鳴市に残した子どもたちの世話はフェイトの使い魔であるアルフと、内勤であるため概ね毎日帰宅できる母と夫に任せている。
しかし、彼女はそれだけで済まさなかった。
少々の時間ができれば、ほんのわずかな時間でさえも子どもたちのために費やした。
忙しいだろうに、睡眠時間を削ってでも子どものそばにいるのだ。
 あまりの大変そうな様子に、少しは休んだらどうだと訪ねたことがあったが、ただ優しく笑うだけだった。
 その姿は、あまりにも遠くユーノの心を乱してばかりだったが、今目の前にいるクロノは以前と変わらない様子だった。
ユーノは機動六課で必要とされている資料の調査依頼、そして六課に関する相談で、こちらも忙しい中呼び出された。
 こちらの気持ちも知らないで勝手な話だ。



「元気そうで何より」
「君からそんな殊勝な言葉が出るとは思わなかったよ」
「失敬な。これでも、本気さ」
「冗談」
「本気だというのに…」
 軽いやりとり。いつものことだった。
クスクス笑うクロノと、ブスッとした顔のユーノ。二人の友人であれば、良く見慣れた光景である。
攻守が逆転することもあるが、一見殺伐としたやり取りのようでただの友人同士のコミュニケーション。少々、腹が立つこともあるが、ほどほどに楽しい時間でもある。
 クロノはユーノに本気だと伝わっていると、何となく察しているのか、コーヒーを少し口にする。
いつも通りのブラックコーヒー。
「君も少しは身体のことを気をつけたらどう? 少しはミルクとか入れた方が、身体には良いんじゃない?」
「そう言われても、嗜好は変わらないよ」
「だったら、眠気覚ましにコーヒーを飲む……なんてことにならないような生活を送れば?」
「それこそ、無理な相談だよ。はやてやなのはが無茶をするから……」
 特にはやて。時々、なのは。
「フェイトは?」
「まあ、あの二人よりは……」
 あくまでも多少大人しくしている程度。機動六課の訓練場に、フェイトの雷が開けた穴より、なのはとなのはの教え子たちが開けた穴が少し多い程度の差だ。
 あの三人が部隊長と隊長になっても、やんちゃをしていると、ユーノの耳にも入ってきている―――というか、なのはの他愛のないメールにそう書かれていた。
「本当は君に、結界でも張りに行ってもらおうかと思うくらいだ」
「そんなことで呼ばれたら、いくら僕でもなのはを叱るよ」
 勢い余って、訓練場の外にエリオが突っ込んでいってしまいました。
そんな事態になる前に、結界の一つや二つ張りに行って、なのはを叱った方が世のため人のためな気がするが、有能で有名な無限書庫司書長は暇じゃない。
 こうして、クラウディアにやってきたのも、本来なら仕事であって、クロノと雑談するためではない。
「あの高町なのは一等空尉を叱ろうとするなんて、司書長殿もなかなか手厳しい」
「なのはがエースだろうと何だろうと関係ないよ、大事な幼馴染が馬鹿なことをしていたら、そりゃ怒るさ」
「ほう、幼馴染?」
「怒るよ?」
「おお、怖い」
 仕事中だというのに、延々と雑談を続けてしまうのは良くないと思っている。
それでも、続けてしまうこの場の心地よさに、ユーノは嬉しさと寂しさを感じてしまう。
 こういう時のクロノは何も変わらない。変わらないからこそ、残酷だと思うことがある。
彼女の中で、自分はなのはのことが好きで、なのはも無自覚であるがユーノに恋をしているというのが、クロノの解釈である。とんでもない事実誤認だが、彼女はずっとそう信じている。
 今更訂正したところで、どうにもならないとわかっている。わかっているが、どうしても辛くて自然と表情は暗くなっていく。
「どうした?」
「クロノがくだらないことを言うからだよ」
「それは、失敬」
 そう言って、再びコーヒーに口をつけた。ちらりと見える赤い舌。
女性的な唇と、白いコーヒーカップの差異にドキリと心臓が跳ねる。
 このままではいけないと、ユーノは視線をそらそうとしたが、視界の端に苦しそうに胸を抑えるクロノの姿が映った。
「クロノ!?」
 ユーノは咄嗟にクロノのもとへ駆け寄る。
小さく身体をうずめて俯くクロノの背をそっとさする。
「大丈夫?」
 眉を寄せて、辛そうにするクロノの顔を覗き込む。
仕事と家庭の間で、体調を崩したのではないのかと心配するユーノの手を、クロノはそっとほどいた。
「だ、大丈夫だ……」
「大丈夫じゃないだろう? そんなに苦しそうにして!」
 思わず声を荒げてしまう。そんな辛そうな表情で、何が大丈夫だというのだろう。
心配をして表情まで険しくなるユーノの顔を見て、クロノはバツが悪そうに視線を逸らす。
ほんの数秒、口を閉ざし、苦しみの理由を口にした。
「本当に大丈夫なんだ……曲がりなりにも男である君の前でこんなことを言うのはどうかと思うんだが、ただ、胸が張ってしまって苦しいだけなんだ……」
「あ……」
 頬を赤く染めるクロノよりも、ユーノの頬がカッと赤く染まる。
 授乳期の働く母親特有の症状だ。
何一つ変わらないという様子であったが、身体は全くと言っていいほど変わってしまっていた。
 そんなこと、知っていたではないかとユーノは自嘲する。



―――義理の妹に劣る姉。
 クロノがそう囁かれていたことは知っていた。
 クロノにも因縁のある闇の書事件が終わった春、フェイトはリンディの養子になると告げた。
もともと、クロノはフェイトがリンディの養子になることを歓迎していた。
性格も割と似ていて、実の姉妹のようだと、冗談でもユーノを捕食しようとしてたリーゼロッテもいうほどに、血は繋がらなくとも姉妹らしい姉妹になると、本人も周囲の人間も思っていた。
実際、リンディの娘になったフェイトとクロノは仲睦まじかった。
 けれど、同性であるが故に、悪意の的にもなりやすかった。
 クロノがユーノたちと出会ったころには、彼女は十四歳、第二次性徴を迎えていてもおかしくはない年齢であった。
だが、実際には第二次性徴を迎えておらず、年の割には小柄で、胸も薄かった。
その後、めでたく第二次性徴を迎え、数年後フェイトも同様に第二次性徴を迎えた。
 ただそれだけのことであったが、周りの悪意はそうではなかった。
 仕事としての実力ならともかく、よりにもよって彼女たちの身体的特徴を比べては、悪意ある言葉を吐いたのだ。
 クロノは成長しても割と小柄な身長で、フェイトは実母に似た長身であった。
十四歳のころには薄かった胸も、母リンディに似て立派なものへと変わっていったが、フェイトはそれ以上に立派な体型になっていった。
それに加え、バリアジャケットが重厚であるクロノとは違い、フェイトはスピード重視であるが故に軽装で、肌を露出する。
 美人姉妹で通っていたが、黒髪のクロノに比べて、金髪のフェイトはよく目立っていた。


 魔導師ランクだけではなく、女としても妹に劣っている。


 そう、悪意ある言葉を何度耳にしただろう。
それは、女性ながらにエリートで、功績をあげ、正義感と熱意を持って仕事をこなす彼女への妬みであったが、クロノの心を傷つけた。
 魔導師ランクだけでは強さは測れない。
それはシグナムやヴィータたちが証明している。ユーノだって、総合Aランクと、ランク的には空戦S+ランクであるなのはに劣っているが、彼が生みだす結界は彼女が相当力を使わなければ破れないほどの実力を持つ。
ランクだけで語ろうなんて、意味のない話であるし、状況に寄るがクロノがフェイトに勝利することだって可能だ。
 だが、身体的なものはそうはいかない。
いくら男勝りの口調で話し、真面目で朴念仁といわれるほどのクロノであっても、やはり女性なのだ。
頭でわかっていても、心はどうしたって傷ついてしまう。
気にしていないという仮面をかぶり、クロノは立ちあがっていた。
 それを包みこみ、愛し、女性としての自信を取り戻させたのは、彼女の夫だった。
 ユーノには何もできなかった。何もしなかったというのが、正しい。
そのころには、この気持ちを自覚していなかった。自覚していたら、どうにかなったかといえば、それも違うだろう。
 ユーノとクロノが出会う前からずっとそばにいた彼女の夫。
無愛想なクロノが一人の女性として可愛らしく笑うのも、幸せそうにするのも、全部彼のためである。
 今、こうして苦しそうに呻くのも、彼を愛し、彼に愛された証だ。
それが憎くてたまらない。


 そう気付いてしまった。


「ユーノ?」
 急に黙り込んでしまったユーノの様子を、クロノは伺う。
恥ずかしいことを言ってしまったという自覚があるのか、恐る恐るユーノに視線を合わせた。
 次の瞬間、クロノの視界が陰に埋まる。
 ユーノの顔がクロノの顔へ近付き、不意をついて唇を奪う。
一瞬、何をされたのかわからないといった表情を見せたが、すぐに険しい顔へと変わっていく。
その間はほんの二秒くらい。
クロノの手は、ユーノを突き離し、咄嗟に待機状態にあるデュランダルに手をかける。
 けれど、それもむなしく、クロノがデュランダルを起動させる前に、ユーノが発動したバインドが彼女の腕を拘束した。
デュランダルはカード状態のまま、クロノの手から落ち、彼女は悔しげにユーノを見つめた。
拘束魔法が得意である彼女だからこそ、余計悔しいのだろう。
あいにく、ユーノは補助タイプで、デバイスを必要としない魔導師であった。
デバイスを起動することから始めなければいけないクロノよりは、ほんの一瞬だが発動が早い。
「何を……?」
「するかって? こうされても、わからない?」
 重ねるように拘束された彼女の腕を上へ持ち上げ、服越しに張りつめたクロノの胸を鷲塚む。
 痛みを訴えるほど母乳が溜まった胸は固く、握ろうとすれば、クロノの表情が苦痛だけに染まった。
「いたっ……」
「痛いよね? なら、出せば良いんじゃないかな?」
「……何を、するつもり…?」
 怯える表情を見せるクロノの服の合わせを、ユーノは容赦なく引きちぎった。
はじけ飛ぶボタンが彼の頬を傷つけるが、そんなことは瑣末なことだった。
 ユーノはすでに濡れている乳房を包む下着に目を奪われた。
先ほど、握った際にこぼれ出たようだ。
「へえ、すごいや……本当に、こんなになるもんなんだね」
 子どものように、あどけた表情でユーノはそう口にする。
親はなく、子どもが生まれたばかりの母親なんてスクライアの身内にそういなかったため、素直な感想が口に出た。
 次に、動いたのは口ではなく、手であった。
クロノの下着を引きずり降ろし、張りつめた乳房をあらわにする。
「なっ……」
 ただ驚くばかりのクロノをよそに、ユーノはそれにやわやわと触れる。
少しずつ揉みしだいていく、また一筋母乳が彼女の乳房を伝う。
「どんな味なのか、旦那さんは知っているのかな?」
 クロノの頬が更に赤く染まった。それは肯定なのか、否定なのか、そんなことはどうでも良かった。
ユーノは伝う母乳をゆっくりと舌で舐めとった。
「…っ、やめ……て……っ」
 普段の凛とした提督としての表情とも、慈愛に満ちた母親としての表情とも違う、まるで生娘のような、恐怖に歪んだ表情だった。
その表情に、何かが満たされていく―――ユーノはそう感じた。
 次々にこぼれていく母乳を、下から上へと舐めとり、しまいには乳首から直接吸い上げていく。
ちゅうちゅうと、わざと音を立て、喉へと流し込んでいく。
もう片方の乳房はだらしなく、母乳が流れ、まるで精液のようだった。
「嫌だ……ユーノ…!」
 嫌だと言われても、止めるつもりはない。
カタカタと震える彼女の下半身へと手を伸ばし、白いスラックスへと侵入を果たす。
怯える彼女を楽しむように、それを少しずつ降ろし、下着を露出させる。
 豹変する友人への恐怖に、クロノは身を竦ませて動けない。
それにつけこんで、ユーノはぐっと先へと進んだ。
 泣いて懇願するクロノを押し倒し、下着をも奪い、足を開かせた。
震える足を掴み、その間へといきり立った自身を無理やりねじ込んだ。
ろくに濡れてもいないそこは固く閉じられていた。
出産の際に入口を切られ、縫われたそこは、とうの昔に純潔をなくしたはずなのに、まるで処女のようだった。
痛い。
ただ痛い。
快楽なんて伴わない。
それでも、まるで彼女の『初めての相手』は自分であると、錯覚するには十分だった。
 夫の子のために流れる母乳を舐めとり、そんなことを考える頭は矛盾に満ちていた。
 何故自分ではいけなかったのか、何故こんなにも変わってしまったのか。
そう、彼女にとって理不尽な八つ当たりを胸に抱いたまま、クロノを捕らえ、何時間にも渡り、犯し続けた。



―――囚われたのは、犯されているクロノか、それともユーノか。


 閉ざされたこの部屋で、気付く者など誰もいない。



END


著者:ふぁす

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