最終更新: nano69_264 2009年04月19日(日) 12:37:00履歴
417 名前:usual day前編(1/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:53:47 ID:2TBbruCA
418 名前:usual day前編(2/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:54:49 ID:2TBbruCA
419 名前:usual day前編(3/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:55:35 ID:2TBbruCA
420 名前:usual day前編(4/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:56:14 ID:2TBbruCA
421 名前:usual day前編(5/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:57:20 ID:2TBbruCA
運び屋・・・それが俺だった。毎日違法なブツを運ぶ。
「ドーーーーン・・・」
「タンッ、ドーン、タパパパ・・・」
アパートの窓からまた魔法の爆発音が響いてくる。俺は眠たげに目をこすって、窓から外を見る。
1ブロック先のビルが吹っ飛び、夜明け前の空に赤黒い煙があがる。
そして間髪いれずに応戦する魔法型と実弾型デバイスの発射音。
今日もミッドチルダ廃棄都市区画の朝が始まる。
『ファンファンファン・・・』
そして青い回転灯を光らせ、けたましいサイレンを鳴らしながらストリートを駆け抜けていく陸士部隊のシボレー。
この街じゃ1秒に一度は殺しがあり、1日に30人は港湾地区、管理局防災課の本部があるスタテン・アイランドのゴミ処理場
でコンクリ詰めされてるらしい。
ラットゥン・アップル・・・魔法文明技術が絶頂を向かえた先進次元世界。外面は体裁よくピカピカ光ってやがるが
その実、ひと皮向けば、中は腐肉でドロドロ。
クラナガンをどう呼んだかわからないが、いいセンスしてるぜ。
この街最大の犯罪組織のボス、「キング・『マザーファキング』・レジー」、いやレジアス・ゲイズ防衛長官はCNNやミッド
チルダ・ポストといったホワイトカラー御用達のマスコミに対して
「犯罪率を更に30%減少させる!」とか「アインヘリヤルの建造を急ぐ!」なんてビック・マウスかましてるようだが・・・
この街は最初から腐ってるんだ。今更、そんな箱モノ作ってフレッシュにできるかよ。
この肥溜めの街をはいまわって、もう20年になる。
10年以上も前のある日、1ヶ月ぶりにオヤジが手負いのまま廃棄都市区画の家に帰ってきた。
そんなオヤジの後に続いて実弾型デバイスのモスバーグを持った男が乗り込んでくる。
男は聞きづらいオルセア訛りで「だましやがって!!」だの「俺の取り分!!」だの
狂ったように叫び、ショットガンが火を噴いた。
オヤジも実弾型デバイスを発砲して反撃する。それも一瞬の出来事だった。
オヤジの顔はポークチョップと化し、男も胸を真っ赤に染めてぶっ倒れた。
その日から俺は一人になった。
オヤジは年がら年中、マニラのニューイヤー花火のように気前良くドンパチやってる辺境世界からの「オルセア・トラフィック」
に1枚かんでたらしい。
事件を担当していた中年の陸士部隊の捜査官から、そう教えてもらった。
陸士のオヤジは俺をカタギにしようとしたが、所詮はモレーキー出身のガキ・・・先進次元世界のつまはじきモノが
まともに働けるはず場所は少ない。
世話をして施設に入れてくれた陸士のオヤジには悪いが、アルトセイム郊外の施設を抜け出し『クラナガン』に戻ってきた。
この街で盗み、強盗、殺し・・・色々やった。
中でも運び屋が一番向いていたが、少しばかしへまをしちまった。
車ごとバインドをかまされ、サリナスバレーの軌道拘置所で不味いブタのエサを2年食らった。
中じゃタバコとアブサンの臭いしかさせないミッドギャング達ともめて背中にナイフ傷をいくつか作ったりしたが、今日まで
何とか一人で生きてきた。
そんなくだらない昔の事をガラにもなく思い出した俺は、眠気覚ましにと口の開いた安物のウォッカをグラスに注ぎ、一気にあおった。
表ではまだ散発的に実弾型デバイスとストレージ・デバイスの発砲音が聞こえる。
さっさとこんな犯罪の見本市みたいな街から逃げる。一気に金を稼いでブルックリンのニンベン師から犯罪履歴を抹消したグリーン
カードとパスポートを買う。
行き先は・・・ミッドチルダ以外ならどこでもいい。
そんな夢見たいなことを考えていると携帯端末がなる。
『よう、アフマド』
仲介人のアレクセイから連絡が入る。運びの依頼だ。緊急にそれもミッドチルダの廃棄都市区画の地理に一番詳しい運び屋を探している
のだという。報酬は100万。破格の値段だ。
俺は快諾して端末を切った。
実弾型デバイスのベレッタとUZIをベルトにつっこむ。
そしてパイナップルとスモークがジャンパーのポケットに入っているのを確認してアパートを出た。
質量兵器は禁止のご時勢だが、こんなオモチャみたいな実弾型デバイスは、クラナガンじゃホット・ドッグやチョゴ・ホットと
同じ感覚でサード・アヴェニューの露天街を中心にからタダ同然で手に入る。
表に出ると、俺の車に2人の男女が張り付いて何かをしていた。男の方は10歳くらいのガキで安物の杖を持ってあたりを警戒し
女の方は9歳くらいで車に向けて工具をガチャガチャ動かしてる。
ガキがデバイス持って射撃魔法ぶっ放したり、朝飯前に人殺しする光景なんてミッドじゃ見慣れたもんだ。
2人は俺の車を盗もうと頑張ってた。大方、親から強盗に使う車を盗んでこいとでもいわれているんだろう。
別に大した価値もないローライダーだし、この車自身もミッドチルダへ出稼ぎに来たチカーノのアホ共から1週間前に盗んだものだ。
しかし、どうにも腹が立つ。誰だってそういうもんだろ。
俺は向かいの通りをゆっくり歩いて2人に気づかれないよう近づきながら、実弾型デバイスをベルトから抜き、まずは杖を持った方に
向けて引き金を引いた。
『パンパンッ』
プロテクションを詠唱できないまま、男は頭を吹っ飛ばされて崩れ落ちる。
「ヤるならまず魔導師から」非魔導師の犯罪者には常識だ。
もう一人がビビッて腰を抜かす。そんなガキの頭に俺は実弾型デバイスの銃口をあてる。
「・・・」
『パンッ!』
朝焼けのきれいな空、そして街中にたちこめるミッド特有の、死体腐臭と火薬のこげた臭い、魔力光の残滓。
デバイス音が無い分、今日は珍しく平和だ。
4日前にこの通りで起きたミッドチルダ・クリップスとクラナガン・ブラッズの抗争でできた死体が何体か通りに放置されたままだ。
ひとつは射撃魔法をもろにくらってミンチになってる。
もうそろそろ管理局のやつらが来てもいい頃だろう。
高い税金払ってる分、俺がヤったガキ2人も清掃局の燃えるゴミとなってるだろう。
ホームレスのばあさんがその様子を見ていたが、どっかのB級ホラーよろしく、悲鳴をあげて逃げ去ったり通信端末で近くの陸士部隊へ
通報しようともしない。
ボロボロのショッピングカートを止めると、俺がさっきヤったガキの死体からストレージ・デバイスのカードを抜き取って、反対方向
へ歩いていった。売れば1食分くらいの足しになる。
数ブロック離れた3on3・コートでム所時代に知り合ったヤツら2人、リカルドとキムを誘ってとあるブツと客を臨海空港跡地、
火災で破棄された廃倉庫まで運んだ。
リカルドもキムも、他の次元世界からの移民だ。
手っ取り早く『ミッドチルダ・ドリーム』を実現しようとしたリカルドはヤクの売買でパクられるまでに、ヤード(陸士訓練校)
に入学したてのガキが初めてもらう給料と同じくらいの額を稼ぎ出した。
魔導師でも、銀行員でも時空管理局のお役人でもない、ミッドチルダの一般住民にしてはかなり稼いだほうだ。
そしてキムの前歴はコロンビア・ストリートにある黒社会カジノのディーラー。ミッドの住民の中じゃかなりまっとうな職について
いたがケチなオーナーが地元の陸士部隊の仕官へのショバ代を滞らせていたんだろう。
とたんに報告を受けた地上本部のG・Iジョーたちが摘発が入り、辺境次元世界の灼熱の砂漠のど真ん中でバインドを足にかまされ
道路工事を生業とする囚人作業員に転職を余儀なくされた。
客と郊外で落ち合い、ブツの入っている小さなアタッシュケース・・・
余計な詮索はしない主義だが中は紛争ダイヤの石ころとかだろう。
それを運んでいる最中、客はガジェットとかいうものの襲撃を警戒し、封印魔法を十分にかけて安全だといっていた。
俺は興味が無かった。そもそも『安全』という場所から4000マイル(古代ベルカに使用質量ミサイルの射程)は離れているこの街で
何を言っているのか・・・まあ俺はベンジャミン・フランクリンさえもらえればそれでいい。
そうして俺は車を走らせた。
次へ
著者:44-256
418 名前:usual day前編(2/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:54:49 ID:2TBbruCA
419 名前:usual day前編(3/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:55:35 ID:2TBbruCA
420 名前:usual day前編(4/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:56:14 ID:2TBbruCA
421 名前:usual day前編(5/5)[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:57:20 ID:2TBbruCA
運び屋・・・それが俺だった。毎日違法なブツを運ぶ。
「ドーーーーン・・・」
「タンッ、ドーン、タパパパ・・・」
アパートの窓からまた魔法の爆発音が響いてくる。俺は眠たげに目をこすって、窓から外を見る。
1ブロック先のビルが吹っ飛び、夜明け前の空に赤黒い煙があがる。
そして間髪いれずに応戦する魔法型と実弾型デバイスの発射音。
今日もミッドチルダ廃棄都市区画の朝が始まる。
『ファンファンファン・・・』
そして青い回転灯を光らせ、けたましいサイレンを鳴らしながらストリートを駆け抜けていく陸士部隊のシボレー。
この街じゃ1秒に一度は殺しがあり、1日に30人は港湾地区、管理局防災課の本部があるスタテン・アイランドのゴミ処理場
でコンクリ詰めされてるらしい。
ラットゥン・アップル・・・魔法文明技術が絶頂を向かえた先進次元世界。外面は体裁よくピカピカ光ってやがるが
その実、ひと皮向けば、中は腐肉でドロドロ。
クラナガンをどう呼んだかわからないが、いいセンスしてるぜ。
この街最大の犯罪組織のボス、「キング・『マザーファキング』・レジー」、いやレジアス・ゲイズ防衛長官はCNNやミッド
チルダ・ポストといったホワイトカラー御用達のマスコミに対して
「犯罪率を更に30%減少させる!」とか「アインヘリヤルの建造を急ぐ!」なんてビック・マウスかましてるようだが・・・
この街は最初から腐ってるんだ。今更、そんな箱モノ作ってフレッシュにできるかよ。
この肥溜めの街をはいまわって、もう20年になる。
10年以上も前のある日、1ヶ月ぶりにオヤジが手負いのまま廃棄都市区画の家に帰ってきた。
そんなオヤジの後に続いて実弾型デバイスのモスバーグを持った男が乗り込んでくる。
男は聞きづらいオルセア訛りで「だましやがって!!」だの「俺の取り分!!」だの
狂ったように叫び、ショットガンが火を噴いた。
オヤジも実弾型デバイスを発砲して反撃する。それも一瞬の出来事だった。
オヤジの顔はポークチョップと化し、男も胸を真っ赤に染めてぶっ倒れた。
その日から俺は一人になった。
オヤジは年がら年中、マニラのニューイヤー花火のように気前良くドンパチやってる辺境世界からの「オルセア・トラフィック」
に1枚かんでたらしい。
事件を担当していた中年の陸士部隊の捜査官から、そう教えてもらった。
陸士のオヤジは俺をカタギにしようとしたが、所詮はモレーキー出身のガキ・・・先進次元世界のつまはじきモノが
まともに働けるはず場所は少ない。
世話をして施設に入れてくれた陸士のオヤジには悪いが、アルトセイム郊外の施設を抜け出し『クラナガン』に戻ってきた。
この街で盗み、強盗、殺し・・・色々やった。
中でも運び屋が一番向いていたが、少しばかしへまをしちまった。
車ごとバインドをかまされ、サリナスバレーの軌道拘置所で不味いブタのエサを2年食らった。
中じゃタバコとアブサンの臭いしかさせないミッドギャング達ともめて背中にナイフ傷をいくつか作ったりしたが、今日まで
何とか一人で生きてきた。
そんなくだらない昔の事をガラにもなく思い出した俺は、眠気覚ましにと口の開いた安物のウォッカをグラスに注ぎ、一気にあおった。
表ではまだ散発的に実弾型デバイスとストレージ・デバイスの発砲音が聞こえる。
さっさとこんな犯罪の見本市みたいな街から逃げる。一気に金を稼いでブルックリンのニンベン師から犯罪履歴を抹消したグリーン
カードとパスポートを買う。
行き先は・・・ミッドチルダ以外ならどこでもいい。
そんな夢見たいなことを考えていると携帯端末がなる。
『よう、アフマド』
仲介人のアレクセイから連絡が入る。運びの依頼だ。緊急にそれもミッドチルダの廃棄都市区画の地理に一番詳しい運び屋を探している
のだという。報酬は100万。破格の値段だ。
俺は快諾して端末を切った。
実弾型デバイスのベレッタとUZIをベルトにつっこむ。
そしてパイナップルとスモークがジャンパーのポケットに入っているのを確認してアパートを出た。
質量兵器は禁止のご時勢だが、こんなオモチャみたいな実弾型デバイスは、クラナガンじゃホット・ドッグやチョゴ・ホットと
同じ感覚でサード・アヴェニューの露天街を中心にからタダ同然で手に入る。
表に出ると、俺の車に2人の男女が張り付いて何かをしていた。男の方は10歳くらいのガキで安物の杖を持ってあたりを警戒し
女の方は9歳くらいで車に向けて工具をガチャガチャ動かしてる。
ガキがデバイス持って射撃魔法ぶっ放したり、朝飯前に人殺しする光景なんてミッドじゃ見慣れたもんだ。
2人は俺の車を盗もうと頑張ってた。大方、親から強盗に使う車を盗んでこいとでもいわれているんだろう。
別に大した価値もないローライダーだし、この車自身もミッドチルダへ出稼ぎに来たチカーノのアホ共から1週間前に盗んだものだ。
しかし、どうにも腹が立つ。誰だってそういうもんだろ。
俺は向かいの通りをゆっくり歩いて2人に気づかれないよう近づきながら、実弾型デバイスをベルトから抜き、まずは杖を持った方に
向けて引き金を引いた。
『パンパンッ』
プロテクションを詠唱できないまま、男は頭を吹っ飛ばされて崩れ落ちる。
「ヤるならまず魔導師から」非魔導師の犯罪者には常識だ。
もう一人がビビッて腰を抜かす。そんなガキの頭に俺は実弾型デバイスの銃口をあてる。
「・・・」
『パンッ!』
朝焼けのきれいな空、そして街中にたちこめるミッド特有の、死体腐臭と火薬のこげた臭い、魔力光の残滓。
デバイス音が無い分、今日は珍しく平和だ。
4日前にこの通りで起きたミッドチルダ・クリップスとクラナガン・ブラッズの抗争でできた死体が何体か通りに放置されたままだ。
ひとつは射撃魔法をもろにくらってミンチになってる。
もうそろそろ管理局のやつらが来てもいい頃だろう。
高い税金払ってる分、俺がヤったガキ2人も清掃局の燃えるゴミとなってるだろう。
ホームレスのばあさんがその様子を見ていたが、どっかのB級ホラーよろしく、悲鳴をあげて逃げ去ったり通信端末で近くの陸士部隊へ
通報しようともしない。
ボロボロのショッピングカートを止めると、俺がさっきヤったガキの死体からストレージ・デバイスのカードを抜き取って、反対方向
へ歩いていった。売れば1食分くらいの足しになる。
数ブロック離れた3on3・コートでム所時代に知り合ったヤツら2人、リカルドとキムを誘ってとあるブツと客を臨海空港跡地、
火災で破棄された廃倉庫まで運んだ。
リカルドもキムも、他の次元世界からの移民だ。
手っ取り早く『ミッドチルダ・ドリーム』を実現しようとしたリカルドはヤクの売買でパクられるまでに、ヤード(陸士訓練校)
に入学したてのガキが初めてもらう給料と同じくらいの額を稼ぎ出した。
魔導師でも、銀行員でも時空管理局のお役人でもない、ミッドチルダの一般住民にしてはかなり稼いだほうだ。
そしてキムの前歴はコロンビア・ストリートにある黒社会カジノのディーラー。ミッドの住民の中じゃかなりまっとうな職について
いたがケチなオーナーが地元の陸士部隊の仕官へのショバ代を滞らせていたんだろう。
とたんに報告を受けた地上本部のG・Iジョーたちが摘発が入り、辺境次元世界の灼熱の砂漠のど真ん中でバインドを足にかまされ
道路工事を生業とする囚人作業員に転職を余儀なくされた。
客と郊外で落ち合い、ブツの入っている小さなアタッシュケース・・・
余計な詮索はしない主義だが中は紛争ダイヤの石ころとかだろう。
それを運んでいる最中、客はガジェットとかいうものの襲撃を警戒し、封印魔法を十分にかけて安全だといっていた。
俺は興味が無かった。そもそも『安全』という場所から4000マイル(古代ベルカに使用質量ミサイルの射程)は離れているこの街で
何を言っているのか・・・まあ俺はベンジャミン・フランクリンさえもらえればそれでいい。
そうして俺は車を走らせた。
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著者:44-256
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- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
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