最終更新: rika_furude 2010年07月03日(土) 23:10:56履歴
『長い 長い1週間だった』
『叔父に連れ去られた沙都子を助けるために』
『私たちは結束し 戦い…』
『袋小路の世界だと思っていた運命を 昨日 ついに打ち破ったのだ!』
『沙都子…』
『…赤阪…』
「…赤阪は肝心な時にいなくて使えないのです (プイ)」
「つーん」
『――赤阪が来た時』
『私は運命を破るのは英雄的な個人の力によるものだと信じてた』
『でも本当はそうじゃなかった』
『奇跡は一人で起こすものじゃなく 全員で起こすものだから』
「冗談なのですよ (にぱー)」
「起こってなんかいないのです」
『だから赤阪一人いてくれれば運命を打ち破れるというのは 私の誤解だったんだ』
『羽入…』
「そうね」
「みんなで結束したから 今日という日が訪れたのよ」
『そう 誰か一人でも諦めていたら 起こせなかった奇跡』
「羽入」
「やっと…運命との戦い方がわかったわ」
「私の死の運命に抗うために」
「まずあの二人がいつも綿流しの晩に殺される絶対運命を変えてみせるわ!」
『私は二度と運命に屈しない』
『もう二度と……!』
「それはわかりません」
「でも 富竹は喉を掻き毟って 鷹野はどこか遠くの山奥で焼かれて死にますです」
「…ボクはオヤシロさまの巫女だからわかりますのです」
「今夜二人の時に襲われるはず…」
「だから今夜は二人っきりになってはダメなのですよ!!」
『…ダメだ』
『この二人にこれ以上言っても信じてもらえない』
『なら他の人にも警告しよう』
『少しでも運命を狂わすんだ!』
『だけど誰に?入江?』
『いや彼はただの研究者だ 富竹と鷹野の死を防ぐことなど出来ない』
『じゃあ誰に』
『誰に伝えれば祟りを止められる?』
「――あ」
「人ごみで偶然耳にしただけなのでわからないのです」
「大石 襲うなら雛見沢と興宮の間の道だと言ってたと思いますです」
「昨日沙都子の家に警察を待機させてたのと同じこと出来ませんですか?」
『…大石…』
「ありがとうなのです 誰も信じてくれなくて困っていたのです」
『あとは…誰に相談出来るだろう?』
『そうだ』
『仲間にも話してみよう』
「ごめんなさいなのです」
『どうせダメだと思わないで相談しよう!』
「みんな…」
「……」
「わからない」
「けど ダメだったとしても山狗の警備もあるし」
「二人が殺されても私は無防備でないはず」
「それに…」
「今回は最後の最後まあで諦めないと決めたもの」
「出来うる限り足掻くわ」
「ねぇ どうして期待しないの?」
「沙都子を救い運命は変えられるって証明されたのに…どうして!?」
「あんた今回もダメだって言ってるの!?」
「もういいわ」
『私は運命が打ち破れると思っている』
『絶対に出口があるのだと』
『でも実は…』
『羽入は知っているんじゃないだろうか』
『私たちが金魚で』
『この運命はそもそも出口のない金魚鉢だということを』
『だから羽入は期待をしないのだろう』
『でも たとえ出口がなくても』
『私は自分の考えを貫く』
『信じる強さが運命打ち破る槍となるのだから』
『――そして 私たちは祭りが終わるまで鷹野と富竹の側にいた』
『それが綿流しの夜に出来た私の努力だった』