◆第4話 「幸運な世界」

『昭和58年6月に私は必ず殺される――』
『その運命は変えることが出来ないと思っていたのに』
『昨日圭一が運命を打ち破る勇気を教えてくれた』
『そして 圭一は魅音に人形を渡し 起きるはずだった惨劇を防いだ』
『それは この世界で起きた初めての奇跡』
『やっぱり 今回の世界は何かが違う――…』
「叩き売りオークションの司会 圭一が一番適任だと思いますです(にぱっ)」
『綿流しはもうすぐ行われる雛見沢の村祭り』
『どうやら昨日の部活での圭一の盛り上がりっぷりに目をつけた』
『綿流し実行委員の魅音が 圭一をオークションの司会に推薦したのだ』
『同じく実行委員の知恵も同意』
『さらに 校長と部活メンバーのみんなで圭一に頼み込んでいるところなのだ』
「みー!」
『それにしても叩き売りオークションだなんて』
『今までの世界でやったことあったのかしら?』
『昨日 この世界はいつもと違うと思った』
『でも 今日学校に来て更に違うと思えたことがある』
『それは――』
「(…詩音……!)」
『彼女の様子がいつもと全く違うのだ』
『興宮の学校に通っているはずの詩音が 雛見沢によく通ってきてて』
『しかも沙都子の世話を焼いているなんて……』
『沙都子の兄 悟史を愛した詩音は 疑心暗鬼にかられた時』
『沙都子を殺してしまう程嫌っていたというのに』
『…そうだ』
『もし何かのきっかけでまた誰かが疑心暗鬼に囚われて凶行に走ってしまったら』
『この微笑ましい光景もすべてが台無しになる』
『もう そんな世界にはさせない』
『でも そのために私はどう行動したらいいのだろうか?』
『? 圭一の様子がおかしい…?』
「圭一 どうしたのですか?」
『!!』
『以前の世界で圭一は』
『魅音とレナにもらったおはぎから 疑心暗鬼をエスカレートさせてしまった』
『圭一はその記憶をうっすらと思い出している…?』
「圭一 二人におはぎをもらったのはどこで どうやってなのですか?」
『やはり圭一は覚えている…!』
『…そうね』
『あの時の記憶があるのなら』
『漫画のトラウマのせいだとわかっていても おはぎを食べれないのは仕方ないか…』
「(…えっ!?)」
「(ど…どうして!?)」
「…圭一!」
「怖く…怖くないのですか?」
「もしも本当に おはぎから裁縫針が出てきたら…!!」
「みぃ!?」
『あ…』
「あ ありがとうなのです」
『それはずっと前の世界で圭一が言えなかった言葉』
『この世界の圭一は もう決して疑心暗記で凶行に走ることはないわね』
『そして放課後』
『私たちはオークション用に寄付された品物を見に 古手神社の集会場へ行った』
『レナの両親は母親の浮気で離婚し 1年前レナは父と共に茨城から雛見沢帰ってきた』
『だが 離婚のショックでレナの父は立ち直れず 働くことさえ出来なかった』
『さらに 父のお金目当てに二人のヤクザが近づいてきた』
『そんな不幸に見舞われた彼女は…』
『他の世界でヤクザを殺すという凶行に及んだのだが――』
「(え――?)」
『…レナ…』
『詩音?』
『もしかして詩音も 別の世界で起こした凶行を …夢で見た?』
『…きっとそうだろう…』
『だからこの世界では 沙都子の世話を焼く』
『悟史に沙都子を託されたことを思い出したから』
「――圭一は富竹を知っていますのですか?」
「…羽入見てたの?」
「……」
「…そうね」
『誰もが仲間を疑わず 凶行に走っていないなんて』
「あ」
「待って下さいなのですっ」
『きっと大丈夫』
『もう みんなが惨劇に誘われることはないわ……!』
「いいじゃないの 子供じゃないんだから」
「百年も生きてるのよ?」
「…ねぇ 羽入」
「まるで天の神様が祝福してくれているみたいじゃない」
『圭一だけじゃなくレナも そして詩音も』
『夢として別の世界で起こした過ちや凶行を覚えていた』
「笑っちゃうわよね(クスクス)」
「いつも沙都子をいじめたり放置していた詩音が 今では将来の姉気取りなのよ?」
「……」
『この世界は仲間たちがすべての悩みと問題に打ち克った理想の世界だ』
『それはまるで 振ったサイコロの数だけ すべて6だったような幸運』
『だからこそ羽入が不安を感じるのがわかる』
『…つまり』
『この幸運な世界でもダメなら もう二度と運命に打ち克てないということ――』
『でも 絶対に負けるわけにはいかない!』
「――羽入 悪いんだけどまた…つきあって欲しいの」
「うん」
『運命は強い意志によって作られる』
『強い意志があるということは おそらく犯人には明確な動機があるということ』
「…少なくとも ここに住む村人に殺害動機があるとは思えない」
『私は古手家頭首でオヤシロさまの生まれ変わり』
『好意を抱かない人間はいないはずだ』
「…長い間 園崎の仕業だと思ってきたけど これも違った」
『相談…か』
「…羽入」
「入江たちに相談してみましょう」
「…入江だけじゃない 鷹野にも そして富竹にも」
『私を殺す犯人が誰であろうと 彼らなら私を守り抜く力がある』
『彼らにはとても強大な後ろ盾があるのだから』
『確かに以前の世界で彼らに保護を求めたが 無駄だった』
『何度言っても信じてもらえず 結局鷹野も富竹も綿流しの晩に死に』
『最後に私が殺された』
『だから二人は死ぬのが運命だと諦めて 彼らに頼るのをやめてしまったのだ』
『だけど――』
「今度こそ信じさせてみせる」
「出来うる限りの努力をして戦うわ」
「二人の運命を変えられるのは私だけだもの……!!」
「信じてくれたら彼らも私を守ろうとするはずよ」
「だって 私の死は…」
「雛見沢の滅亡につながるのだから」

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