近代科学の進歩から見られてきた主な種類の理論立てを考える前に、何世紀も分断していたのに理論がなぜ突然自然哲学に急に侵食することになったかを問うことは価値があることだ。本質的にはその答えは前章で議論した中世の女中の伝統のなかにある(the medieval handmaiden tradition)この伝統の普及によって『初期の近代自然科学者は、新しい科学者が(なじみの科学者もそうでない科学者も)神学に仕え続けたということに関心があった』ということが確かめられた。もちろんこれはキリスト教が支持を求めているという解釈のひとつであるという以上のことである。
異なる信仰や宗派の自然哲学者が、自分の自然哲学が他の哲学よりも、自分特有の宗教を支持すると主張し始めた。Patriziは自らの新プラトン構造哲学は教育現場でアリストテレス主義と置き換えられるべきだと主張した。(なぜならそれはカトリック教義と調和し、誤ったプロテスタン主義者を神聖な教会に連れ戻すことができるからである) パラケルスス医学理論はセクトラジアンに用いられ、宗教観を支えるために使われた。王家社会の働きは、最初の創設者によって、『はじめイギリス教会が発展させた真実を体制づけるための方法にもとづいている』と言われた。

 新しい自然哲学がどうやって信仰を支持するかを明示する緊急性も、『無神論が栄え始めさらに悪いことに多くの部外者にとって自然哲学・新しい哲学の階級は無神論を広める際の道具としてみなされた』という普及力のある認識から発生した。このとき無神論が実質的に普及したことは確認することができないが、否定できないことは宗教や社会に対する継続的な脅威であると広範囲にわたって認識されたということである。16世紀にそれがキリスト教圏に目に見える形で発生したことは無神論という言葉がそのときにつくられたという事実によって記録されている。無神論の歴史を調べようというどんな試みも無神論の責任も魔術の責任のように少しでも(教会と)異なる信条に寄与した人々に向けられる。しかし無神論に対する近代の初期の恐怖は否定できない。

 公認されたものに関して言えば(歴史的事実?)、新しい哲学が無神論の推進に寄与したという十分な理由がある。例えばDescartes,Gassendi,Thomas,Boyle他によって発展した新しい哲学の最も有力で重要な理論は本質的に原子論的であった。そしてそれはEpicurusやLucretiusのような新たに再発された古代無神論者に好まれた重要な理論であった。GassendiはEpicurusにかわって勤勉に贖罪的な努力をした。BoyleはDescartes,Gassendi、一般的な原子論者の代わりに努力した。しかしながら、他の人は『ライバルの自然哲学に固有の危険性を示し、そして新しい哲学はしっかりとした哲学(キリスト教哲学)を蝕む傾向があるという見方を広げることで(promote不明)』自らの哲学の宗教的な信頼性(信頼証明書)を示した。ケンブリッジ大学にデカルト主義を導入したMoreはそれをひどく有害な無心教と後にみなしたが、一方ニュートンにはデカルト哲学は『不信心の基盤となるため意図的に作られた』というふうに思えた。
 
 宗教の一般理論と科学の進歩: プロテスタントと科学

 宗教と科学業績のポジティブなかかわりが実際あったかもしれないという提案のうち最初のひとつはスミス自然主義者のCandolle(1806-93)の1873の観測から生まれた。その観測というのは全人口中でプロテスタントはカトリックに一般に数で劣るに関わらず、プロテスタントはヨーロッパの科学者界においてカトリックに著しく数で優っているというものである。Dorothy が、ピューリタン主義はヨーロッパを新しい哲学にとってこのましいものにするための重要な要素であった、と1935年に試験的に提唱したとき、彼女はどうしてそうであるかもしれないかに関しては何も分析しなかったが、17世紀の科学運動に寄与したものの大部分もまたピューリタン運動に帰属しているという主張に基づいていた。このときになって初めて、社会学者のMertonは『ピューリタニズムと科学理論』(1938)と呼ばれるようになったものを提案した。Mertonは『ピューリタニズムと科学につながりがあるはずだということを証拠立てて述べるために』大部分同じ種類の音頭とりを頼ったということを言っておかなければいけない。しかしこの種の証拠で問題なのは、それは限りなく討論を招きやすいということである。誰がピューリタンとみなされ、だれがそうでないかをどのようにして決めるかについてかつて結論が得られたことはない。
 しかしピューリタンはどうして特に科学革新に貢献したはずなのかに対して理論的な説明を与えることによってMertonは自分の主張を強めようとした。

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