TBSラジオ(AM954kHz)毎週土曜日22:00〜24:30放送「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」非公式ファンサイト

ハート・ロッカー(はーとろっかー)

概要

2010年3月20日放送ザ・シネマハスラー、サイの目映画。
イラクに駐留するアメリカン軍の中でも最大の危険の伴う爆発物処理班の兵士を描いた戦争アクション。命知らずの兵士と仲間たちとの確執と友情を軸に緊張感あふれる爆発物処理の現場をリアルに映し出す。監督のキャスリン・ビグローはジェームズ・キャメロンの元妻。

参考作品

  • 『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1989)
  -キャスリン・ビグロー監督のジャンル・ムービー作品として
  • 『ブルースチール』(1990)
  -キャスリン・ビグロー監督のジャンル・ムービー作品として
  • 『ハートブルー』(1991)
  -キャスリン・ビグロー監督のジャンル・ムービー作品として
  • 『恐怖の報酬』(1953)
  -爆発物を扱う怖さでサスペンスを引っぱる古典作品として
  • 『ジャッカルの日』(1973)
  -銃器の弾着調整シーンが魅力的な作品として
  • リダクテッド 真実の価値?』(2007)
  -アメリカ人が見たくないイラク戦争の現実を描いた作品として
  • 『英雄の条件』(2000)
  -戦場における兵士の疑心暗鬼を描いた作品として
  • 『フルメタル・ジャケット』(1987)
  -戦場において兵士が人間性を捨てることを肯定的に描いたとのではとサミュエル・フラーに評された作品として
  • 『最前線物語』(1980)
  -サミュエル・フラー監督の戦争映画作品として
  • 『ユナイテッド93』(2006)
  -撮影のバリー・アクロイドが関わった作品として。エンターテイメント作品に潜むドキュメンタリー的要素の危うさを感じる作品として
  • 『グリーン・ゾーン』(2010)
  -撮影のバリー・アクロイドが関わった作品として。イラク戦争を扱った作品として
  • 『28週後…』(2007)
  -ジェレミー・レナー出演作品として
-

町山智浩異論

2010年3月20日放送分の宇多丸の『ハート・ロッカー』評を聞いた映画評論家町山智浩が2010年03月22日に自身のTwitterアカウントから「宇多丸くんの『ハートロッカー』論は根本的に間違い。」で始まるつぶやきをポストし、宇多丸の『ハート・ロッカー』評に異論を投げかけた。タマフルへの出演も度々ある身近な存在で映画の専門家である町山智浩からの発言にTwitter上で大きな話題を呼び、フォロワーからの「ラジオで討論して下さい!」との呼びかけに町山智浩とタマフル番組プロデューサー橋本P双方がTwitterアカウントから応える発言で宇多丸町山智浩との『ハート・ロッカー』を巡る議論を交わす場が設けられることになった。町山智浩がアメリカ在住ということもあり2010年3月27日放送終了後に電話をつないで対論し、その模様を収めた1時間20分に渡るポッドキャストが即日配信された。

町山智浩のTwitter上での宇多丸の『ハート・ロッカー』評に対する発言*1
宇多丸くんの「ハートロッカー」論は根本的に間違い。主人公の仕事は戦闘ではなく、イラクの人たちを困らせている爆弾を命がけで解除する仕事だから。自衛隊の海難救助隊に「憲法9条違反だ」と文句をつけるようなものだ。 
(続き)「アメリカに帰った主人公が人殺しをしそうになるべきだ」って? 主人公の仕事は命がけで人を救うことなのにどうしてそうなるの?
イラクの混乱を引き起こしたのはブッシュだけど、今、イラクで爆弾テロをしてる連中は別に正義のレジスタンスじゃない。爆弾テロは米軍を狙ったものより、イラク人を無差別に狙ったものが圧倒的に多いのだ。それを処理してどこが悪い? アメリカがやるべき後始末をしてるだけだ。
また「ハート・ロッカーの主人公は戦場で精神がマヒしている」みたいなことを言ってるけど、まったく逆で、彼は異常なほど倫理的であろうと努力し続けている。少年との友情、爆弾をつけられたイラク人に対する真摯な態度を見よ
戦争とは爆弾を落とすものだ。アメリカは世界中に爆弾を落としまくった。ところが「ハートロッカー」のヒーローは爆弾を無力にする男だ。このアイロニーに気付かず、彼を人を殺す兵士として見るのはたいへんなミスだよ。
当初は爆弾だけに集中していますが次第にテロ犯への倫理的な怒りを抑えられなくなりテロ犯を追って闇夜に突入するという構成になっています。
脚本の構成を整理すると、主人公は爆弾処理が大好き→しかしイラクで自分の無力さに直面する→倫理的な限界まで追い詰められたところで解放されたように平和なアメリカに帰る→ところがそこには自分の居場所はなく生きる実感も持てない→戦場にしか自分の生はないと悟り、帰っていく。
通常の映画だとケンカばかりしていた男女が力を合わせて仕事を成し遂げた高揚感で抱き合ってセックスするシーンを男同士でやってる。で、指輪を見つけて「なんだ、奥さんいるの?」となる。
戦場に限らずホモソーシャルな場には女無しでも平気な充足感があって、それが男たちを家庭から遠ざける(残業や飲み)。主人公にとって戦場はあまりに満ち足りた場所なのだ。
主人公は次第に誰よりも深くそれを感じていくから狂ったように闇夜に敵を追い、命がけで爆弾を処理しようとするわけです。

関連語

リダクテッド 真実の価値?-シネマハスラー2008年サイの目映画

関連Podcast

ハート・ロッカー
ザ・シネマハスラー『ハートロッカー』の件で、町山智浩アメリカから緊急電話出演!
【Part 1】【Part 2】【Part 3】
キラ☆キラでの町山智浩『ハート・ロッカー』コラム

関連HP(外部リンク)

作品公式HP
上映館
レンタル
町山智浩Twitterアカウント

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このページへのコメント

戦争映画は、あまり好まないジャンルの映画でしたが、ハスリングきっかけで見に行けてよかったです!「映画館で見に行ってよかった」と思わせてくれる重さのある映画でした。

映画開始直後の爆弾処理から緊張の連続で、映画が終わる頃にはヘトヘトになりました。
印象的だったのは、戦場での緊張の連続から突然切り替わるジェームズ軍曹の
シリアルを選ぶシーン。へんな緊張感と「どっちを選んだって、ここじゃ一緒か、、、」
という気持ちになりました。彼の生きる場所はここにはないのかということが、
幸せな情景の中から感じられるのがとても不思議でした。
そして、ラストシーンのジェームズ軍曹の表情(生気みなぎる表情)は、
冒頭のメッセージが重く感じられるラストでした。

ジェームズ軍曹が自分の息子に「オレには大切なものがひとつしかないか」と
語っていましたが、このひとつは 家族ではなく、、、ということなんでしょうか?

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Posted by kurara_tatta 2010年05月16日(日) 17:38:27 返信

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