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『あなたの恋の応援団』/MWM


「さぁ今日も始まりました、『あなたの恋の応援団』。
今日もメインパーソナリティは僕、失恋大明神こと北村祐作がお送りします。」

間の抜けた軽快なミュージックをバックに、北村が手慣れた調子で司会進行をする。
その光景を隣から眺めて竜児は首を傾げる。
はて、なんで俺……いや、俺たちがここに?

「さて、今日はゲストを呼んでみました。
2−Cが誇るバカップル、高須竜児くんと櫛枝実乃梨さんです!」
「「なにぃーーー!?」」

二人は叫んだ。それはもう盛大に。

「ちょっと待て、北村!そんな話聞いてねぇぞ!?」
「ソーダよ、ソースだよ!いくらなんでもこりゃー無茶振りだしょ!!」

――かれこれ数分前。昼休みのチャイムが鳴るや否や、
『大事な用がある。二人とも俺についてきてくれ。』
そう言われてホイホイついて来た先が放送室で。
ワケも分からず二人して首を傾げてる内に、北村が前フリなしで放送をおっぱじめて……

そのまま今に至る。要するに、全く事情も聞かされぬままこの場に駆り出されたわけで。
そんな経緯もあって、マイク越しの全校生徒の存在なんかお構いなしで北村に抗議しているのだが、

「まぁまぁ。恥ずかしい気持ちは分かりますが、そう照れずに。
いつも通り話してくれればいいですから。」
「いや、そーゆー意味じゃなくて……!!」

そこまで言って思い出す。
北村祐作。鈍感で裸族で天然でズレてて、それでいて裸族で……そんなヤツだった。
実乃梨も似たようなことを思ったのか、二人してガクンと肩を落とす。
二人の様子を見て、マッドパーソナリティは司会侵攻を再開する。

「さて、それでは今日のお便りを……いやぁ、今日はたくさん届いてますねー。
これは時間内に収まりそうにないなぁ。はははー。」
「いや、はははーって、お前。どんだけ大量にお便り来てんだよ……!」

北村の前に置かれているドカンと置かれたダンボールからは手紙が溢れ出ている。
それも、一箱や二箱って話じゃない。もはや昼休みの放送ってレベルじゃねーぞ……!

「今日は大橋高校のみならず、各所からも質問を募集してるということで、非常にたくさんのお便りが舞い込んでます。もちろん放送中も受け付けてますので、ちょうど今、この瞬間。ブログでこれを読んでるあなたもドシドシ応募して下さい!」
「色々ツッコミたいことはあるが……ブログ?読んでる?一体なんのことだ?」
「これこれ高須くん、そこはスルーしないと……消されるぜ?」
「け、消される?いったい何のこ……」

「それでは、早速一通目。Supring rivarさんから高須くんへの質問。」
「春、川……?あぁ、春田か。お前スペル間違ってるからな。」

根本的に何か間違えている気もするが……まぁ春田だしな。
で、その春田が何の用だ。

「『高っちゃん、こんどの宿題。答え写させてくれよぉ〜〜。お願いだよ〜〜。』だ、そうです。」
「春田、お前は良いアホだった……って質問じゃねーし!おい北村!お前、お便りくらい事前にちゃんと選定しとけよ!」
「ははは……さ、気を取り直して二通目。ラジオネーム恋する虎ちゃんから櫛枝さんへ。」
「って完璧スルーかよ、おい!」
「まぁまぁ、高須くんや。ここは落ち着いて流れに身を任せようじゃないか。で?虎ちゃんはオイラに何の用かね?」
「質問:『みのりんは竜児のどこが好きなの?』」

「「ぶほぉ!!」」



『す、好きな所!?』

スピーカー越しにみのりんの慌てた声が聞こえてくる。
顔を真っ赤にして慌てふためくみのりんの顔が目に浮かぶことこの上なし……ふっふっふ。
北村くんと二人で仕組んだ作戦、その名も「イチャイチャ時間(タイム)大作戦」の船出はなかなか順調のようだ。

『好きな所、好きな所……うぉ、マジ困った。オラは一体どう答えりゃー良いんだ!?』
『ということは、櫛枝さんは高須くんの好きな所はないと?』

さすが北村くん。見事な返し。お主に全身から湧き出るGJ!を送ってやろう!

『おま、北村!何でお前はそーゆー極端な解釈を……!!』

竜児が抵抗しているようだけど、ムダムダムダ。もうこっちのもんなのだから。
みのりんの性格柄、きっと……

『い、いやぁ…なんつーか、ねぇ?わ、わたしゃー、高須くんのどこが好きとかってよくわかんないけどよ?けど、高須くんと一緒にいると楽しいってゆーか安心できるってゆーか……もちろん、ドキドキもするんだけど。でも、なんてゆーか、それがまた心地よいっちゅーか、…』
『く、櫛枝?……え、あ、おぅ。』

ほら、やっぱり。竜児もキョドっちゃってまぁ。
そうなんだ。二人にはとことんラブラブになってもらわなきゃ困るのだ。
じゃなきゃ――

「……何ニヤニヤしてんの。キモイよ、あんた。てゆーか何このバカップル。見てらんね。」

隣で何かがきゃんきゃん騒いでるけど、そんなの無視無視。
返事の代わりにお弁当のたくあんを投げつけてやる。

「――っにすんだよ、このバカ虎!」
「こら、静かにしな、バカちー。……ぷっ。たくあん、ぴったり張り付いてやんの。」

慌ててデコからたくあんを取ってから。ふん、と取り繕う。

「でっもさぁ。質問がベタだと思わないっかなぁ?ほ〜んっとベタベタ。」
「な、なんですって……!」
「まぁまぁ。ベタ虎は黙ってもっとステキな質問が出てくるまで待ってると良いよぉ?」



『続いて3通目のお便りです。』
『まだ続くのかよ……誰かがネタ切れって悲鳴をあげてるぞ。マジで。』
『まぁそう言わずに。爛々あみーゴさんから高須くんへの質問。』
『俺かよ。……というか、何かすっげー嫌な予感しかしないんだが。名前的に。』
『質問:実乃梨ちゃんの好きな体の部分をオ・シ・エ・テ。(「笑顔」なんてほざいたらぶっ殺す。)』

『――ぐはぁ!?』

「ばば、ば、ばかちー!?あんたどこまで淫乱なのよ!?この変態、ド変態!」
「うわ、消しカス投げてくんな!弁当に入るっつの!つか、別に普通の質問じゃん。逢坂さんは一体何を妄想しちゃってんのかなぁ?」
「ぐっ、そ、それは……」
「それにぃ。べっつに私じゃないしぃ。そんなん爛々あみーゴに言えっゆうかぁ?」
「しっ。亜美ちゃん。高須くんが答えるっぽいよ。」

『……手、だな。』
『ほう、その心は?』
『櫛枝がソフトを本当に頑張ってるのがよく分かる。その小さな手で本当によく頑張ってるんだなって。それで、その……』
『あはは。高須くん、そんなとこ見てたんかい。いやぁ、ちょろんと小っ恥ずかしいですなぁ。』

「……ちっ。ヘタレが。」
「わはは。ばかちーのアホ知恵じゃあこの辺が限界だろうよ。」
「うっせ。てゆぅかぁ、何か亜美ちゃん退屈しちゃったぁ。誰か音量下げてくれなぁい?」
「まぁまぁ、亜美ちゃん。そう言わずに。」
「奈々子ちゃん。」
「要は逃げようのない直球の質問を投げればいいのよ。ふふふ……」



『さぁどんどん行きましょう。4通目、腹黒様より二人に質問。』
『腹黒様?誰だ、一体?』
『そりゃあ某掲示板で大人気なあの人じゃないんですかねぇ、高須くんよ。』
『質問:てゆーか、ぶっちゃけ二人はどこまでシてるの?』
『『事前に検閲かけとけよ!!!』』

「こるぁ、エロボクローーーっ!!」
「どうしたの、タイガー?この質問、私じゃないよ?でもちょっと興味あるわね。ちょっとだけ。ふふふ……」

『ど、どこまで、たってなぁ?』
『そ、そーだよ。まだ高校生なんだし。健全なお付き合いをしています、としか。』
『ふむ、ならば高須。お前はもう櫛枝の周期は把握してるのか?』
『周期…?って!北村、てめぇ!お昼の時間になんて話を!』



『…おっと、もう放送終了の時間のようです。』
『やっとか……ところで、他のお便りはどうすんだよ?』
『あぁ。残りは高須くんの押入れからお借りしてきたポエム集です。』
『なぬーーーっ!?』
『っと、意外にまだ尺が残ってるようなので、この中から一つ読んでみましょう。
タイトル:俺とお前でレインボー』
『うわーっ、やめろ!って、櫛枝!離せ、離せって!!』
『ごめんよアミーゴ。いやぁ?あまりにワクテカなもんで、ついね。』

『さて、心を込めて読みます。『込めんな!つか読むn、うぐっ!く、櫛枝!?』俺とお前でレインボー。』

『俺とお前でレインボー きっと見れるさレインボー
お前のサンシャイン 俺のアイライン 二人で生み出すスペクトル
二人のプリズム混じらせて 新たに生み出せスペクタクル

OhOh お前を抱きたい 今すぐ抱きたい
OhOh 100%抱きたいぜ
AhAh 俺がお前で お前が俺で
AhAh そして生まれるアルカンシェル

大気の法則乱してさ 一緒に行こうぜ 七色の未来へ……』



何だか色んな気に当てられた生徒一同は、げんなりなアフタヌーンを過ごしたとか。


おわれ

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