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『休日デート1』/ラミリア


「さてさて高須君。今日君はどこに行きたいかな?」
午前10時に竜児の家の玄関先。
そう言って実乃梨は目の前で満面の笑みを浮かべた。


『休日デート』



「どこっていわれても・・・」
その笑顔に暫し見惚れたのを隠すように、竜児は多少大きな声を出した。
顔を逸らして。
「あれあれぇ?あんましお出かけしたくないのかな?」
「そ、そんなことねーけど・・・」
正直言えば正解だ。
内心で竜児は独り言ちた。
できるならこのまま家で二人きりで過ごしたい。
櫛枝の身体を抱き締めて、密接したまま離したくない。
傍に置いて、寄り添って、実乃梨の存在を全身で感じていたい。
そんな風に思って。
しかし当たり前だが、そんなことは言えるはずもなく、当たり障りない答えを返すしかない。
「えっと・・・櫛枝が行きたいトコならどこでも・・・」
「そんな風に自分が無いのはダメだよ?」
ピシャリと言われ黙り込む竜児。
しかし実際のことは言えないし・・・。
どうしたものかと考え込む竜児の前に、にゅう、と実乃梨が顔を覗き込ませた。
「おわ!?」
「・・・なにやらよからぬ事を考えてるねえ?」
「は!?そ、そんなことねーぞ!?」
「仕方ない。今日は私が決めてあげよう」
ズブッと核心を貫きながら、実乃梨がクスクス笑いつつ人差し指を立てた。
「・・・今日はこのまま自宅待機。高須隊員には特別任務を命ずる」
「と、特別任務?」
「そ」
ニッコリと微笑んだ実乃梨の顔。
その頬が微かに赤らんでるのを竜児は見逃さなかった。
「・・・今日一日、私を拘束。傍に居て・・・片時も離れない事を命じます」
「・・・え?」
「ずっと・・・抱き締めて離さないの。テレビ見るときも、料理の時も、食べてるときもずっと一緒・・・いい?」
「く・・・櫛枝・・・」
「・・・わーかったかな!高須君!?」
「は、はい!!」
思わず手拍子で返事して、その内容を理解して真っ赤になる。
「ややや、そ、それはその、つまり・・・?」
「んっふっふ〜・・・そ。後は高須くん次第、だよ?」
悪戯っぽく微笑んで、実乃梨は竜児の耳元へ小さく囁いた。
「・・・よろしくお願いします」
「!!」
こうして、或る日曜の朝は始まりを迎えたのだった。

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