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『休日デート2』/ラミリア


「お・・・お邪魔しまーす」
「お、おう・・・」
午前10:15。誰も居ない室内において、俺高須竜児は最大限のヤバスを受け入れていた。

『休日デート2』



「・・・高須君」
「お、おう?」
「・・・もっと密着」
「う・・お、おお・・・」なんだこの状況?
テレビもつけず、なにをするでもなくただくっついて座っている・・・傍から見たら、異常だろこれ。
ちょこんと居間に座りながら、ちらりと自らの右手を肩に掛けた傍らの少女をみつめた。
真っ直ぐ正面を向いて、固まっている櫛枝を。
なぜにこんな事に?
いくら問い掛けても、こんな状況では、思考はまとまらない。
無常に霧散していくそれに、思わず溜め息が出る。
俺は何か間違ったのか?
冷静になってみよう。
確かに今朝、どこにも行きたくないと思った。
櫛枝と二人、どこにもいかず、じっと家で過ごしたいと思った。それは認める。
しかしそれはこうじゃない。
なんと言うか、誰にも邪魔されず、櫛枝の話を聞いたり聞いてもらったり、俺お手製の蜂蜜キンカンを飲んでもらったり、あまつさえ、手料理なぞを食ってもらえたらと思ったまでだ。
しかしそれが・・・
『なんでこんなにも辛いことになっているんだ・・・?』
思考の片隅で、間近にいる櫛枝の香りを認識する自分がいる。
甘くて、蠱惑的で、理性を圧する。
ともすれば、飛びそうになる理性とのせめぎ合いで、すでに身体と心は疲労困憊だった。
こんなことなら出かけていれば・・・。
「高須君」
「あ・・・ななに?なんだ?」
一瞬トリップしていた脳が現実に戻される。
見ると櫛枝が上目遣いに見上げていた。
「・・・えと・・・」
逡巡する櫛枝に、なぜかドキリとする。
よく見ると、頬も心持ち赤くなってる気がする・・・。
「ど、どうした?」
とにかく、平静を装って問い掛けてみた。
その甲斐あってか、櫛枝がおずおずと口を開いてくれた。よし。ナイス俺。
そして口にされた、櫛枝の言葉。
「お・・・おトイレ、行きたい・・・な」

ああ、トイレか。
確かに排泄行為は恥ずかしいからな。躊躇うのも分かるな。特に女子には・・・って、おいっ!?
「・・・は?」
今なんつった・・・?
「だ、だから・・・おトイレに、いきたいの・・・」
おトイレ!?く、櫛枝の口からOTOILE!?
し、しかも俺、に2回もいわせた!?
「あ、ああ。ならそこでて左に・・・」
出来るだけ平静を装う。
もしここで、興奮してるなんて知られたら、俺は悶死してしまうだろう。間違いなく。
しかし聞こえてきたのは、予想のはるか彼方の成層圏。
「・・・連れてって」
「は?・・・はあ!?」
なに言った?今なに言った?
俺の無言の問いかけに答える代わりに櫛枝は、小さな子がするように、抱っこと言外に伏せて両腕を広げた。
「い、いやさすがにそれは・・・」
しかし櫛枝は、躊躇する俺を見上げつつ、
「・・・命令・・・」
「・・・うい」
その言葉に俺は覚悟を決めた。
立ち上がると、櫛枝のお尻と膝裏に手を入れて抱き上げた。
意外に軽い身体に驚くが、それも、この密着した姿勢にあっさりかき消されてゆく。
「く・・・苦しくないか?」
「ん・・・平気・・・」
首に腕を回し、ぎゅっと頭を抱えるように抱きつく櫛枝。
答えた声が、吐息となって耳朶をくすぐり、思わずブルリと身体が奮えた。
そして、顔に当たる・・・隣の虎とは決定的に違う、双丘のボリューム・・・。
「高須・・・君?」
「な、なんでもない!なんでも!」
ダメだダメだダメだ!
これ以上何も考えるな!
そうだ無心だ!
自らを空気になれと念じつつ、櫛枝を抱き上げたまま、トイレに向かう。
その間揺れる胸が顔を容赦なく擦り・・・ダメだ考えるな!!
「じゃ、じゃあここだから・・・」
なんとか櫛枝をトイレの前におろし、ホッと一息つく。
さすがに刺激が強すぎた。
とりあえずこの上った血を鎮めに・・・。
「じゃ、じゃあ俺戻るから」
『・・・ぎゅ』
「え?」
踵を返したときに、右手に感じた感触。
おそるおそる向けた視線の先、
「・・・行っちゃやだよ高須君」
しっかりと握られていた俺の右手。勿論櫛枝の手によって。
「ここで・・・待ってて?」
帰りも抱っこしてもらうんだから。
小さくポツリと呟いて、櫛枝はトイレの中に消えていった。
そして俺は、
「・・・・・・・・・・・・」
口からエクトプラズムを出しながら、放心状態軽い犯罪。

休日デートはまだ始まったばかりw

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