最終更新: td_minorin 2009年09月12日(土) 06:09:43履歴
『24話another・1』/ラミリア
アナザー24話。
大河を追いかけた後。保健室にて。
実乃梨「あたし・・・もう一つ見えてること、あるよ」
竜児「・・・」
実乃梨「高須君は大河が好き!」
竜児「・・・」
実乃梨「?高須君?」
竜児「・・・違う」
実乃梨「え?」
竜児「・・・あれからよく考えた。あの・・・修学旅行の事件から」
実乃梨「・・・」
竜児「それで気付いた。俺は、確かに大河を守りたい。あいつをあのまま一人にしたくない。でもそれは・・・家族としてだ」
実乃梨「・・・え?」
竜児「泰子に対する感情と一緒だ。傍にいて、世話を焼いて、それで困難からは守ってやりたい・・・父親みたいに」
実乃梨「高須君・・・」
竜児「前に川嶋に言われたことがある。『なんでパパ役なんてやってるの?』って。それはたぶん・・・俺が父親を知らないからなんだ」
実乃梨「・・・」
竜児「だから、俺が・・・俺にもし父親がいたらして欲しいこと、それを・・・大河にしてやってたんだ。あいつも・・・『父親』を知らないから」
実乃梨「・・・それは勘違いじゃ・・・」
竜児「ない。よくよく考えた上で出た結論だ」
実乃梨「!」
竜児「俺は大河の傍を離れない。でもそれは家族としてだ」
実乃梨「・・・高須君・・・」
竜児「それは俺の意思で、もしかしたら大河の思いとは違うかもしれない。でも俺は決めたんだ」
実乃梨「ちょ・・ちょっとま・・・」
竜児「俺が好きなのは、お前だ櫛枝」
実乃梨「っ!!」
竜児「俺が自分で、お前の言う通り俺が自分で決めた幸せが、これだ。俺の意思で、傍にいて欲しいと想ったのが・・・お前だ」
実乃梨「た、たかすくん・・・」
竜児「俺は・・・櫛枝実乃梨が好きだ。ずっとずっと好きだった」
乃梨「っ!(涙が流れ出す)」
竜児「お前の笑顔が好きだ。お前の前向きさが好きだ。ひた向きさも、変なトコも、大河をホントに大事にしているところも、全部ひっくるめて好きだ」
実乃梨「た・・かす・・・くん・・・」
竜児「・・・俺の傍らに、立ってくれないか?」
実乃梨「た、高須君!!」
胸に飛び込む実乃梨。それを抱きとめる竜児。
竜児「・・・一緒に居てくれるか?」
実乃梨「(泣きながら無言でコクコク)」
翌日。登校時。
実乃梨「・・・あ、お、おはよ」
竜児「・・・よ、よう」
ぎこちなく並んで歩き出す二人。
実乃梨「・・・」
竜児「・・・」
実乃梨「・・・き、昨日さ」
竜児「お、おう」
実乃梨「ば、バイト大丈夫だった?その・・・ぶっちゃけ大河」
竜児「・・・ああ。全部話した。最初は驚いてたけど、三人ずっと一緒だっていったら逆に喜んでた」
実乃梨「そ、そっか・・・よかった・・・」
竜児「ああ」
実乃梨「・・・」
竜児「・・・」
実乃梨「・・・」
竜児「あ、あのさ」
実乃梨「ひゃ、ひゃい!」
竜児「その、お、俺たち・・・つ、つきあってんのかな?」
実乃梨「!!わ・・・わわわかんない・・・」
竜児「な、なんか俺、つ、つきあってって・・・言ってない気が・・・」
実乃梨「い、一緒に居てくれるか?・・・とは、言われたような・・・」
竜児「そ、それは・・・ちがう、よな?」
実乃梨「・・・ちがうね」竜児「・・・」
実乃梨「・・・」
竜児「・・・あのさっ」
実乃梨「な、なに?」
竜児「い、今!今言っちゃっていいか!?」
実乃梨「今!?やややだめだめだめ!」
竜児「な、なんでだよ!?」
実乃梨「そそそんな、そんなやっつけ仕事みたいなのだめに決まってるじゃん!こ、告白なんだよ!?」
竜児「でも俺、もういっぱいいっぱいで昨日っからテンパり続けてんだよ!いい加減楽になりたいんだ!頼む!(合掌)」
実乃梨「あ、あたしだってテンパってるけど、そ、そこはちゃんとして欲しい・・・だ、だって初めてだし・・・」
竜児「く、櫛枝・・・」
そんで真っ赤になる二人。
登校時。教室。
竜児、机に突っ伏している。
大河「おはよー竜児・・・って、なにあんた朝から死んでるわけ?」
竜児「・・・心臓が痛え・・・」
大河「やだ、ホントに死ぬの?死体見たくないから、どっか消えてから死んでよね。猫みたいに」
竜児「お前な・・・」
大河「冗談よ。で?一体なにがあったわけ?」
竜児、一瞬口籠もる。
竜児「・・・(ゴニョゴニョ)」
大河「ハァ?ぜんっぜん聞こえないわよ?」
竜児「だから・・・だが・・・よ」
大河「聞こえないっつってんでしょ、グズ犬!男だったらもっとハキハキ喋れ!」
竜児「(ガバッ!)だから、櫛枝が可愛すぎたんだよ!朝会ったとき、いつもの元気一杯の態度と違って、なんつーんだ?可憐?可憐っていうのか!?いや別にぃ
つもの態度も120%可愛いわけだが、とにかく!顔をほんのーり赤くしたりして!しかも『初めてだから・・・』なんて目ウルウルさ
せてみつめられてみろ!俺の心臓、鼓動限界突破スレスレまで跳ね上がったんだぞ!?殺す気か!?」
ゼイゼイと息を切らす竜児。その目の前で大河が、呆れたような半眼でみつめる。
大河「あー・・・まあどうでもいいけど・・・」
竜児「どうでもよくねぇ!俺にしたら死活問題だ!!」
大河「・・・みのりん全部聞いてるよ?」
竜児「へ?」
指差された己の背後。
振り返った先に、
実乃梨「・・・はう・・・はう・・・はう・・・」
火でも噴いたかのように、真っ赤になった実乃梨。
今にも泣きそうにプルプルと震えて。
竜児「あ、く、櫛枝・・・い、今のは、別に違うんだ。いや違わないけど・・・」
実乃梨「た・・・高須君の・・・」
竜児「ま、まて。は、話を・・・」
実乃梨「馬鹿あぁぁぁぁぁっ!!」
どごーん!
思い切り竜児にグーパンを食らわして走り去る実乃梨。
残されたのは床に転がった一つの屍。
大河「あーあ、泣かせちゃった。ま、そりゃあんだけ恥ずかしいこと公衆の前で言われたら、そりゃ泣くわよね」
竜児「お前・・・知ってたら教えろよ・・・」
大河「仕方ないじゃん。こっちの方が面白そうだったんだから」
竜児「悪魔か・・・」
「で?みのりん行っちゃったけど、このまま放置すんの?」
誰のせいだ?と突っ込みたい気持ちをギリで押さえて竜児が立ち上がる。
「なわけねーよ・・・」
パンパンと制服に付いた埃を払って、前を見据えた。
「はからずも・・・お前のおかげで言えたんだからな。このまま突っ走る!」
勢い込んだ声。
今まさに、自らの枷を外した。
己が心の為に動くと
「わーカッコいいー。骨はあたしが拾ってあげるわー」
「・・・お前の棒読み、スッゲー萎えるな・・・。でもま、応援ありがとな、大河!」
大河の言い様に苦笑を浮かべる。
「じゃあ、行ってくる!」
竜児はそう言い残すと、一目散に駆け出した。
実乃梨の後を追って。
「・・・」
「・・・いいのか、逢坂?」
そっと大河の背後に近づいていた北村が、心配そうに声をかける。
振り返らないままに、大河は静かに目を伏せた。
「・・・いいのよ。これで・・・いいんだわ」
振り向いた大河の目に浮かぶ涙。
「・・・竜児とみのりんはお似合いだもん・・・相思相愛なんだから・・・」
切なげに笑うその小さな体を、北村が静かに抱き締めた。
「・・・え?き、きたむらくん・・・?」
「・・・格好つけすぎだ、お前。俺より余程カッコいい」
「・・・えへへ。今なら北村君・・・ちゃんと応えてくれるかな・・・?」
「・・・釣りあわな過ぎて、今すぐ武者修業の旅に出たいくらいだ」
そう言って笑いあう二人。
かつて好きだった人と、かつて好きだった人。
二人は今重なって、お互いを育む。
アナザー24話。
大河を追いかけた後。保健室にて。
実乃梨「あたし・・・もう一つ見えてること、あるよ」
竜児「・・・」
実乃梨「高須君は大河が好き!」
竜児「・・・」
実乃梨「?高須君?」
竜児「・・・違う」
実乃梨「え?」
竜児「・・・あれからよく考えた。あの・・・修学旅行の事件から」
実乃梨「・・・」
竜児「それで気付いた。俺は、確かに大河を守りたい。あいつをあのまま一人にしたくない。でもそれは・・・家族としてだ」
実乃梨「・・・え?」
竜児「泰子に対する感情と一緒だ。傍にいて、世話を焼いて、それで困難からは守ってやりたい・・・父親みたいに」
実乃梨「高須君・・・」
竜児「前に川嶋に言われたことがある。『なんでパパ役なんてやってるの?』って。それはたぶん・・・俺が父親を知らないからなんだ」
実乃梨「・・・」
竜児「だから、俺が・・・俺にもし父親がいたらして欲しいこと、それを・・・大河にしてやってたんだ。あいつも・・・『父親』を知らないから」
実乃梨「・・・それは勘違いじゃ・・・」
竜児「ない。よくよく考えた上で出た結論だ」
実乃梨「!」
竜児「俺は大河の傍を離れない。でもそれは家族としてだ」
実乃梨「・・・高須君・・・」
竜児「それは俺の意思で、もしかしたら大河の思いとは違うかもしれない。でも俺は決めたんだ」
実乃梨「ちょ・・ちょっとま・・・」
竜児「俺が好きなのは、お前だ櫛枝」
実乃梨「っ!!」
竜児「俺が自分で、お前の言う通り俺が自分で決めた幸せが、これだ。俺の意思で、傍にいて欲しいと想ったのが・・・お前だ」
実乃梨「た、たかすくん・・・」
竜児「俺は・・・櫛枝実乃梨が好きだ。ずっとずっと好きだった」
乃梨「っ!(涙が流れ出す)」
竜児「お前の笑顔が好きだ。お前の前向きさが好きだ。ひた向きさも、変なトコも、大河をホントに大事にしているところも、全部ひっくるめて好きだ」
実乃梨「た・・かす・・・くん・・・」
竜児「・・・俺の傍らに、立ってくれないか?」
実乃梨「た、高須君!!」
胸に飛び込む実乃梨。それを抱きとめる竜児。
竜児「・・・一緒に居てくれるか?」
実乃梨「(泣きながら無言でコクコク)」
翌日。登校時。
実乃梨「・・・あ、お、おはよ」
竜児「・・・よ、よう」
ぎこちなく並んで歩き出す二人。
実乃梨「・・・」
竜児「・・・」
実乃梨「・・・き、昨日さ」
竜児「お、おう」
実乃梨「ば、バイト大丈夫だった?その・・・ぶっちゃけ大河」
竜児「・・・ああ。全部話した。最初は驚いてたけど、三人ずっと一緒だっていったら逆に喜んでた」
実乃梨「そ、そっか・・・よかった・・・」
竜児「ああ」
実乃梨「・・・」
竜児「・・・」
実乃梨「・・・」
竜児「あ、あのさ」
実乃梨「ひゃ、ひゃい!」
竜児「その、お、俺たち・・・つ、つきあってんのかな?」
実乃梨「!!わ・・・わわわかんない・・・」
竜児「な、なんか俺、つ、つきあってって・・・言ってない気が・・・」
実乃梨「い、一緒に居てくれるか?・・・とは、言われたような・・・」
竜児「そ、それは・・・ちがう、よな?」
実乃梨「・・・ちがうね」竜児「・・・」
実乃梨「・・・」
竜児「・・・あのさっ」
実乃梨「な、なに?」
竜児「い、今!今言っちゃっていいか!?」
実乃梨「今!?やややだめだめだめ!」
竜児「な、なんでだよ!?」
実乃梨「そそそんな、そんなやっつけ仕事みたいなのだめに決まってるじゃん!こ、告白なんだよ!?」
竜児「でも俺、もういっぱいいっぱいで昨日っからテンパり続けてんだよ!いい加減楽になりたいんだ!頼む!(合掌)」
実乃梨「あ、あたしだってテンパってるけど、そ、そこはちゃんとして欲しい・・・だ、だって初めてだし・・・」
竜児「く、櫛枝・・・」
そんで真っ赤になる二人。
登校時。教室。
竜児、机に突っ伏している。
大河「おはよー竜児・・・って、なにあんた朝から死んでるわけ?」
竜児「・・・心臓が痛え・・・」
大河「やだ、ホントに死ぬの?死体見たくないから、どっか消えてから死んでよね。猫みたいに」
竜児「お前な・・・」
大河「冗談よ。で?一体なにがあったわけ?」
竜児、一瞬口籠もる。
竜児「・・・(ゴニョゴニョ)」
大河「ハァ?ぜんっぜん聞こえないわよ?」
竜児「だから・・・だが・・・よ」
大河「聞こえないっつってんでしょ、グズ犬!男だったらもっとハキハキ喋れ!」
竜児「(ガバッ!)だから、櫛枝が可愛すぎたんだよ!朝会ったとき、いつもの元気一杯の態度と違って、なんつーんだ?可憐?可憐っていうのか!?いや別にぃ
つもの態度も120%可愛いわけだが、とにかく!顔をほんのーり赤くしたりして!しかも『初めてだから・・・』なんて目ウルウルさ
せてみつめられてみろ!俺の心臓、鼓動限界突破スレスレまで跳ね上がったんだぞ!?殺す気か!?」
ゼイゼイと息を切らす竜児。その目の前で大河が、呆れたような半眼でみつめる。
大河「あー・・・まあどうでもいいけど・・・」
竜児「どうでもよくねぇ!俺にしたら死活問題だ!!」
大河「・・・みのりん全部聞いてるよ?」
竜児「へ?」
指差された己の背後。
振り返った先に、
実乃梨「・・・はう・・・はう・・・はう・・・」
火でも噴いたかのように、真っ赤になった実乃梨。
今にも泣きそうにプルプルと震えて。
竜児「あ、く、櫛枝・・・い、今のは、別に違うんだ。いや違わないけど・・・」
実乃梨「た・・・高須君の・・・」
竜児「ま、まて。は、話を・・・」
実乃梨「馬鹿あぁぁぁぁぁっ!!」
どごーん!
思い切り竜児にグーパンを食らわして走り去る実乃梨。
残されたのは床に転がった一つの屍。
大河「あーあ、泣かせちゃった。ま、そりゃあんだけ恥ずかしいこと公衆の前で言われたら、そりゃ泣くわよね」
竜児「お前・・・知ってたら教えろよ・・・」
大河「仕方ないじゃん。こっちの方が面白そうだったんだから」
竜児「悪魔か・・・」
「で?みのりん行っちゃったけど、このまま放置すんの?」
誰のせいだ?と突っ込みたい気持ちをギリで押さえて竜児が立ち上がる。
「なわけねーよ・・・」
パンパンと制服に付いた埃を払って、前を見据えた。
「はからずも・・・お前のおかげで言えたんだからな。このまま突っ走る!」
勢い込んだ声。
今まさに、自らの枷を外した。
己が心の為に動くと
「わーカッコいいー。骨はあたしが拾ってあげるわー」
「・・・お前の棒読み、スッゲー萎えるな・・・。でもま、応援ありがとな、大河!」
大河の言い様に苦笑を浮かべる。
「じゃあ、行ってくる!」
竜児はそう言い残すと、一目散に駆け出した。
実乃梨の後を追って。
「・・・」
「・・・いいのか、逢坂?」
そっと大河の背後に近づいていた北村が、心配そうに声をかける。
振り返らないままに、大河は静かに目を伏せた。
「・・・いいのよ。これで・・・いいんだわ」
振り向いた大河の目に浮かぶ涙。
「・・・竜児とみのりんはお似合いだもん・・・相思相愛なんだから・・・」
切なげに笑うその小さな体を、北村が静かに抱き締めた。
「・・・え?き、きたむらくん・・・?」
「・・・格好つけすぎだ、お前。俺より余程カッコいい」
「・・・えへへ。今なら北村君・・・ちゃんと応えてくれるかな・・・?」
「・・・釣りあわな過ぎて、今すぐ武者修業の旅に出たいくらいだ」
そう言って笑いあう二人。
かつて好きだった人と、かつて好きだった人。
二人は今重なって、お互いを育む。
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