役立つデータから笑える雑記まで、喧嘩界のオマケ要素

「はっ…はっ…はっ…」
粉のような砂が舞う、肌色の地平の彼方。豆のように小さい人影が、こちらへ向けて一心不乱に走っている。
集落の入り口へとたどり着いた彼は、汗だくの体も気にせずに、怯えた顔で、クチをめいいっぱい開いて叫んだ。
「塾長が…。じゅ…塾長が帰ってくるぞおおお!!」
肌寒くなってきた、秋の出来事であった。


ここは、人諍。HKJと同期でありながら、すっかり寂れ、今では人も寄り付かない、弱小喧嘩師の集落となっていた。
そこに響いた一報は、人諍メンバー全員を恐怖に陥れた。
「な…なんで塾長が今更??」
「塾長は保健所に連れて行かれたはずじゃなかったのか??」
「わからん…わからんが、塾長が居たんだ!もう、こっちに来るぞ!!!」
「落ち着け!とりあえず、とりあえず幻夢を呼ぶんだ!!」


鋼のように硬い、銀色の体毛。ぶらりと下ろした腕は銀色の体毛に包まれ、手はもはや、手としての質感はなく、巨大な肌色の塊にしか見えない。三メートルはあろうかという巨体に、岩のように付いた筋肉。赤く光る目に、長い鼻の下。クチから飛び出る、ハンマーのように重々しい牙。
怪物―――。
これ以外に言い表しようのない怪物ゴリラが、ゆっくりと人諍へと歩みを進めていた。巨大な足を地面につける度に、地平が悲鳴をあげ、砂が逃げ出した。

人諍では全員が集落の入り口へと集まり、地平を見守った。彼方から、小さい影がダンダンと大きく成長し、巨大な怪物へと姿を変えてゆく姿を、ただ見つめる事しか出来なかった。
ついに人諍へたどり着いた怪物は、両手を大きく掲げ、雄たけびをあげた。
「グオオオオオオオオオ!!!!」
その一声で、一瞬にして人諍メンバー全員が目を怯ませる。
怪物は牙がむき出した歪んだクチを、さらに歪ませ笑った。

「今日から、ここが、平静喧嘩塾となる」

塾長が…帰ってきてしまった…。

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