- 田主丸町
田主丸やその近郊では、オヤニラミ(ヨツメ)という魚を“みづくり清兵衛”と呼んでいますが、
それにはこんな話が伝えられています。
昔、片ノ瀬に箕(み、竹、藤、植物のつるで編んだ農具)を作っている清兵衛が住んでいました。
ある日のこと、作った箕を売りに、塩足という所を通りかかった時のことです。
どこからか現れた天狗が「お前の持っている物はなんだ」と尋ねました。
とんち者の清兵衛は「これは千目(せんめ)と言って、千里の先まで見える宝物です。
あなたのかくれ蓑と交換しましょう」と答え、まんまとかくれ蓑を手に入れてしまいました。
それからというもの、清兵衛は、かくれ蓑を着ると見えなくなるのをいいことに、他人の家に入り込んでは酒を飲んだり、
いたずらしたり。あまりのことに、女房がこっそり蓑を燃やしてしまうと、今度はその灰を身体に塗って、
隣村の結婚式にもぐりこみます。
しかし、悪いことは長続きしないもので、酒を飲んでいるうちに、酒がこぼれて足にかかり、
そこだけが見えてしまいました。
さあ、大変。「足のおばけだ」と式場は大騒ぎ。村人に追いつめられ、清兵衛はついに川に飛びこみました。
村人が川をのぞきこむと今まで見たことのない小さな魚が泳いでいるばかり……。
以来、その魚のことを“みづくり清兵衛”と呼ぶようになったということです。
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