- 福智町方城地方
昔の人は、良く食べて良く働くことを誇りにしたものです。方城町にも、大食自慢の伴六さんという人がいました。
ある日、これもまた大食自慢の人が、伴六さんに挑戦してきました。
「まさか、一ぺんにモチ五升(九リットル)は食べきれんじゃろ」
負けず嫌いの伴六さんは、早速、モチをついて食べくらべをすることにしました。
すると、伴六さんの食べること食べること、すっかり五升のモチを平らげてしまったのです。そのとき、挑戦者の
姿はどこにもみあたらなかったとか……。
またある日、豆ヘソ(大豆と砂糖で作ったまんじゅう)を千個も平らげて、すっかり村人を驚かしたこともありました。
いつも伴六さんの大食ぶりに驚かされたり負かされていた村人は、何とか伴六さんの鼻をあかそうと、
一計をめぐらしました。
「いくら大食といっても、ムシロを三枚も食べきらんじゃろ、食べきったら何でも言うことをきく」と、
もちかけたのです。村人は伴六さんの困った顔を期待して集まりました。伴六さんはニッコリ笑うと、ムシロに火をつけて
焼き灰にして、とうとう食べてしまいました。
伴六さんは、単に大食いというだけでなく、とんちの才能もあったのです。
伴六さんは、方城町の“英雄”と言ってもいいほど、いろいろな民話が語り継がれていますが、ここに紹介したものが、
最も良く知られているということです。
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