- 豊前市
豊前市街から求菩堤山(くぼてさん)へ向かう途中、左手にこんもりとした鎮守の森があります。
ここの日吉神社(ひえじんじゃ)には、神さまのお使いをする猿が住んでいるといいます。
昔むかしのこと、一人の猟師が日吉神社のそばを通りかかりました。ふと見ると、一匹の猿が境内の日だまりで
日なたぼっこをしています。“しめたっ!!”とばかりに猟師はかついでいた鉄砲を構えました。すると猿は、
逃げようともせずに、じっと悲しい目で猟師を見つめるのです。
何かいいたそうに自分の腹を指さし、なでるばかりです。猟師は猿の様子が変だなとは思いましたが、つい、
引き金を引いてしまいました。あとでわかったのですが、その猿のお腹には子猿が宿っていました。
やがて、猟師の家には次つぎと不可解なことがおこりました。子供が生まれましたがすぐに死んだり、仕事をしても
うまくいきません。ついに猟師は気が狂ったようになり、酒やけんかで身を持ちくずしてしまったということです。
その後、村人たちは決して猿をいじめようとはしなくなりました。寒い冬の日、日吉の猿がエサを求めて
ふもとの人家近くまでやってくると、そっとエサを置いてやるようになりました。そして子供たちにも
「猿は神さまのお使いをしているんだから、決していたずらしたりしてはいけないよ」と言い伝えてきました。
日吉神社は日本各地にありますが、その総社(滋賀県)が“ひえ神社”と呼ぶところから、“ひえ”を正式名とする
神社が多いようです。
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