1-2:会議所紹介編

初公開:2014/03/24

【K.N.C 175年 会議中 会議所 議案チャットサロン】

「オレの名前はアイム、記憶喪失らしい。好きな食べ物はきのこ。この世で一番嫌いな食べ物はたけのこだ。所属はきのこ軍」
「ボクの名前はオニロ、同じく記憶喪失みたいです。たけのこ軍所属ですけど、きのこも好きです」

好対照な自己紹介を受けて、円卓テーブルに座る会議所兵士たちは互いに顔を見合わせた。

きのこ軍 集計班「と、いうわけで今日から会議所に新たな仲間が加わりました。二人の身辺や記憶喪失の原因や対応等については引き続き調査していきますが、まあこの機会に兵士を増や…ごほん」
きのこ軍 集計班「この機会に少しでも会議所のことを知ってもらうために、二人にはしばらく会議所内で生活してもらいたいと思います」

アイム「生活ってこの建物の中でか?」

社長「うーん。アカイイトはやっぱり いいぞ。」

たけのこ軍 抹茶「大戦運営会議所は、この本部棟を含めた数十もの建物で構成される、いわば一つの街のようなものです。生活する上では困りませんよ」

二人の前にお茶を置く給仕係。制服で判断するかぎり、たけのこ軍兵士のようだ。
全員分のお茶を運ぶ使命に駆られているが、果たして会議中に全員へお茶が行き届くのかは不明である。

きのこ軍 黒砂糖「もっとも、通常の両軍兵士は会議所外の集落等で生活をしていることが多いがな」
たけのこ軍 加古川「まあそれらの住居を片っ端から漁っても、二人の名前は出てこなかったわけだがなあ」
たけのこ軍 社長「ぼくはうんてん 」

そう言って茶をすする加古川。アイムからしたら、今いる会議所メンバーの中では比較的顔なじみの方だ。加古川には恩義を感じている。
だが、アイムはどうしてもたけのこ軍兵士に慣れることができない。彼らが着ているカーキ色のパリっとした軍服、彼等の一挙一動、
そのいずれか一部分でも癇に障るのだ。極めつけは、隣に座るオニロである。
性格は正反対。のんびりしていて、どこか抜けている。

−オニロがどう思っているかは知らないが、こいつとは一生相容れない−

アイムの決めつけは極端だった。

集計班「まあ会議所にいる中で記憶を取り戻す可能性もあるかもしれません。ただ、これまでに記憶を失った兵士を見たことがないので、
確証を持っては言えませんが…」

会議は、入り口向かって中央に座る集計班というきのこ軍兵士が主導で進めているようだった。
会議にはきのこ軍、たけのこ軍問わず様々な兵士が参加して、意見を出し合っている。
とはいっても、会議とは名ばかりで内容はさして雑談の域を出ないもののように、アイムには感じられた。

参謀「聞くところによると、二人は“大戦”すら知らんのやろ?まず、戦い方や大戦の仕組みの“いろは”を 教えたほうがええんちゃう?」

社長「記憶故障の原因はトイレじゃないの」

集計班「なるほど。このままだと、二人は第175次大戦で戦うことになりますからね。それまでに記憶が戻らないとなると困りますね」

社長「大戦でBASらせればいいんじゃないの」

参謀「やったら、教官の山本さんを呼んだほうがええな。二人を鍛えてもらおう」

社長「お二人さん辛いときはきれぼしjapan入場シーンを思い浮かべて!」

¢「その前に、戦士の適性検査受けさせたほうがいいんじゃね?」

社長「マリオヤレヨ」

アイム「…なあ」

何事もなく進んでいる会議を見て、さすがに耐え切れなくなったのかアイムが遮る。

アイム「さっきから横で意味不明なことを言っているこいつは…なんだ?」

容姿がバグっているたけのこ軍兵士を指す。

集計班「ああ。紹介が遅れました。彼はたけのこ軍兵士 社長。見ての通りです」

社長「やっほ^^」

オニロ「変わったしゃべり方をされるんですね」

社長「受け入れられないと知りつつもしゃべる わし三闘神・・・」

オニロ「??」

参謀「あー。社長とマトモに会話をしようと思わんほうがええよ。それが普通や」

集計班「彼は“きれぼし語”という言語で我々に話しているのです。
時々、意味不明な言葉があってもそれは異文化の違い、とやらなのでしょう」

アイムはなおも胡散臭そうな視線を社長に送っている。

アイム「こいつ普通の言葉はしゃべれねえのかよ?」

社長「それは一理ありますね。」

参謀「さあ、どうやろうな。昔は確か…」

集計班「…さて。そんなことよりも、話を戻しましょう」


【K.N.C 175年 会議所 絵チャットサロン】

埼玉「ここが絵チャットサロンになってるたま!」

先の会議で『とりあえず会議所を見学させて何か思い出させる』案が可決された後、
二人はたけのこ軍埼玉兵士と抹茶兵士の引率の下、無駄に広々とした会議所内を案内させられていた。

オニロ「はー。なんかすごい数のキャンバスが置かれていますね」

抹茶「ここは主にキャンバスに絵を描きあって、同じサロン内の人たちと意思疎通を合わせるんだよ」

埼玉は目の前のキャンバスをコンコンと叩く。

埼玉「たとえば、なんでもいい。ここに絵を描いてみるたま」

オニロとアイムに筆を渡す埼玉。目を輝かせながらキャンバスに向かうオニロと、
いぶかしげに手元の筆を眺めながら渋々といった感じでキャンバスに向かうアイム。二人の態度は両極端だった。

オニロ「すごい!キャンバスの絵が動き出した!」

デフォルメもされていない、オニロ作のたけのこる先生がキャンバスからぬっと姿を出して、動き始めた。
頭でっかちな先生は、身体を左右に揺らしながらのっそりと辺りを歩いている。

オニロ「アイムの絵は汚いなあ」

アイム「…お前に言われたくねえよ」

アイム作のきのこる先生もちょうどキャンバスから動き始めたところだった。
足と胴体のバランスが悪く、一歩歩くごとに転げそうになっている。

アイム「…それで、絵が動くのはいいがこんなんでどうやって意思疎通を図るってんだ」

自分の描いた不格好な作品を見ながら、目線も合さず、ぶっきらぼうにアイムは先輩兵士に問いを投げかけた。

埼玉「た、例えば『抹茶はクソ野郎』ていう内容を相手に伝えたい場合は、下品な抹茶の絵を描いて具現化させれば相手に伝えることができるたま!」

抹茶「うん、埼玉さん。その例えはどうなのかな…」

アイム「…ハッ。めんどくせえやり取りだな」

抹茶埼玉「…」

抹茶「ねえ、どうしてアイム君はさっきからあんなに機嫌が悪いのかな(ヒソヒソ)」

埼玉「おそらく案内役のぼくたちがどちらもたけのこ軍兵士だからたま(ヒソヒソ)」

抹茶「なるほど!自己紹介の時にたけのこ嫌いて言ってたもんね。
いやあ、久々にそういう兵士に会ったなあ(ヒソヒソ)」


オニロ「アイムはたけのこ軍のことが嫌いなの?」

アイム「ああそうだ。強いて言えば、お前のことも嫌いだ」

歯に衣着せぬ物言いに、思わずオニロは苦笑する。

オニロ「でもうらやましいな。たけのこ軍を嫌っているってことは、
アイムは“自分がきのこ軍である”ということを本能的に思い出している、てことだよね?」

ゆったりとした動作で取っ組み合いをしているきのこる先生とたけのこる先生を、オニロは寂しげに見つめる。

オニロ「それはすごく羨ましいことだと思うんだ。ボクにとってはさ」

アイム「…」

気まずい空気が二人に流れていたちょうどその時、アイムとオニロの間を一羽の鳥が横切った。
否、鳥ではない。パステル調で描かれた、羽が生えた抹茶だった。

埼玉「あれは…『羽抹茶』たま!」

抹茶「え、なにそれ。そんなに有名なの」

黒砂糖「羽抹茶は平和をもたらす平和の象徴と言われている鳥さ。まあお二人さん、仲良くやりなさいな」

そう言って、絵チャットサロン管理人の黒砂糖は部屋の奥にあるキャンパスからひょっこりと顔を覗かせた。

羽抹茶「マチャー」

黒砂糖「どうだい。個人的に羽のシワの部分がよく描けていると思うんだがね」

羽抹茶「マチャー」

アイム「…」

オニロ「気に入られているようだね、アイム」

羽抹茶はしきりにアイムの頭上を飛び回っている。

アイム「…踏み潰してもいいか?」

抹茶「駄目だよ!?」

黒砂糖「絵は一定時間経てば消えるが、この部屋に張ってる魔法陣をちょちょいと制御すれば…」

パチン、と黒砂糖が指を鳴らした瞬間、具現化されていた全ての絵が消えてしまった。

オニロ「あっ。絵が…」

黒砂糖「ここはあくまで俺の道楽、遊び場さ。いつか来る機会があれば、その時は喜んで歓迎するよ」

アイム「…その時は、喜んで羽抹茶を踏みつぶそう」

抹茶「!?」

【K.N.C 175年 会議所 大廊下】
埼玉「…というわけで、会議所にはいろいろな建物があるんだたま!」

アイム「…いらねえ建物ばっかりじゃねえか?なんだ、あの『部室棟』てのは。中では、あの狂ったたけのこ野郎が一人でぶつぶつ呟いしているしよ」

抹茶「社長の思考には誰もついていけないからね、しょうがないね…」

埼玉「会議所の本部棟の紹介はこのくらいだけど、どうだい?何か思い出したかい?」

二人は首を横にふる。

埼玉「うーん。思ったよりも、難しいたま」

抹茶「まあまあ。『wiki図書館』に連れて行けばなにか思い出すかもしれないし」

オニロ「図書館?あの書物がたくさん置いてある建物のことですか?」

抹茶「そうだよ。オニロ君は、本が好きなの?」

オニロ「そうだと思います。楽しみです!」

アイム「…なあ?ちょっといいか」

Wiki図書館へ足を運ぶ道中、何かに気がついたのかアイムは足を止める。

埼玉「どうしたたま?」

アイム「この本部棟には、地下施設はあるのか?」

抹茶「地下?うーん、聞いたことないけど」

埼玉「そういえば集計さんが『地下は貯蔵庫ぐらいしかないので、見学で回る必要はありませんよ』って
言っていたたま」

抹茶「そういえば、そうだったね」

二人の説明を聞いても、なお腑に落ちない表情でアイムは柱の一点を見つめている。

オニロ「どうしたのアイム?」

アイムの様子を不思議に思ったのか、オニロはアイムが見つめている視線を辿る。

オニロ「あれは…階段?」

抹茶「え?…本当だ。階段だ。それも階下へ続く階段みたいだね」

埼玉「あんなところにあったとは知らなかったたま」

地下へと続く階段は、規則正しく並ぶ太い柱の影に隠れるような場所に位置していた。
中庭からの陽射しを浴びる大廊下で、階下へ続く闇はとりわけ深く、不気味に映った。

オニロ「どうかした?」

埼玉「気になるたま?行ってみるかい?」

アイム「…いや、いい。さっさと、そのwiki図書館とやらに連れてってくれ」

しばし逡巡した後、頭を振ってアイムは歩き出した。

人生には、幾つか分岐点ともいえる出来事がある。
アイムにとっては、正に今の出来事がその分岐点だった。

彼の選んだ選択肢は決してワーストではないが、ベターでもない。
普通の兵士ならば気づくことのできない地下階段をなぜ見つけられたのか、理由はちゃんとある。
あるいは、アイム自身がその理由を突き詰めて考えていけば、ベターな選択をすることができたのかもしれない。
だが、どちらにせよベストではない。それはアイム自身に因るものではない。
会議所を巻き込む一連の事件は、既にアイムが会議所に訪れる前にベストではなくなっていたからだ。
4人の足音が大廊下に反響する。あたかも、これから起こる“戦争”の開始を知らせる時計のように、規則正しいリズムで、反響音は次第に小さくなっていった。

1-3.訓練編へ。
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