極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

―――夕刻

 仕事帰りの父の車に乗って、少し歳の離れた姉妹が和やかに学校からの帰路につく。

数年前では考えられなかった光景だ。
冷戦期、東西陣営の代理戦争が終わるとともに部族間紛争や、政府軍とゲリラの戦闘が絶え間なく続いた小国。
男は成長すれば一族の担い手として、また一人の兵士として尊重される一方で、
女は男の欲のはけ口として、子を産む為の道具として、単なる労働力として、蔑視され続けてきた。
周辺国を含めても圧倒的多数派である土着の宗教もまた、女性蔑視を激化させる原因であった。
そのような環境下で女性が学校に通うなどということは夢物語でしかない。
だが、数年前、テロ組織の掃討作戦という名目で西側の諸国家が大規模な軍事作戦を行い、
それに伴って民衆への意識改革を半ば強引に行った結果、わずかながら女性がその本来の権利を取り戻す切っ掛けとなった。

姉は十代後半、嫁入りし子を産んでいてもおかしくない年齢だったが、
学業に専念したいと結婚話を先送りし、両親もそれを快く受け入れてくれていた。

妹は十代に達したかどうかという幼さだったが、姉を見習って がっこう で学ぶ喜びを噛み締めていた。

 父と姉妹、3人の乗った車がいつもの峠を越えようとした瞬間。
車の前後に一目でそれと分かる車両が道を塞ぐように現れた。
海外の自動車メーカーのロゴが書かれた四輪駆動車、車体後部の荷台には重機関銃が据付られた車両―――ゲリラだ。
車のドアが荒々しく開けられて、声を挙げる間も無く3人は引きずり出され押し倒される。
慣れた手つきで男たちが3人に猿轡を嵌めて―――。



―――数時間後

 意識を取り戻した姉が最初に目にしたものは、自分を無遠慮に見つめる粗野な男たちの視線。
次に目にしたものは、女性が家族以外の者に肌を見せぬ為に纏うブルカを脱がされた自分の身体。
上半身は白いシャツとその下にブラジャー、下半身にショーツを穿いただけの姿で横たわった自分を取り巻く男たち。
きつい猿轡で声を挙げることの出来ない姉のシャツが捲りあげられ年頃の女性らしく張りのある乳房を包む、
白いブラジャーが露になると男たちは口々に淫乱だの卑猥だのと罵りナイフでブラを切り裂いてまでして脱がす。
―――汚された
恐怖よりも絶望が勝っていた。
自分にはもう女としての価値がないのだ。
学業に専念したいという思いは本心だったが、それとは別に女性として、結婚して子を産んで母となる幸せを
得たいという夢が絶たれた事実を噛み締めて姉はただ涙を流すことしか出来なかった。

だが、男たちにとって淫乱で卑猥な下着の排除は余興に過ぎない。
一人の男がぐったりとした姉のショーツを引き摺り下ろし別の男たちが股を開かせて押さえつけた。
男の力で開かされた股を閉じることなど叶わない。
露にされた、男を知らぬその局部、膣に直径5cmほどの円筒状の物体が情け容赦なく突き入れられた。
突然の激痛に身を捩ると露にされた乳房が揺れ、それを見た男たちが下卑た笑いを浮かべながら両肩を押さえつける。

”作業”が終わった。
姉の股間からはごく小さな電子基板が顔を覗かせているだけとなっていた。
円筒状の物体はもう膣の中に完全に埋まっている。
姉の意識の奥底で、人体に関する知識が頭をもたげる。
自分が感じている違和感は膣に何かが挿入されているからだ、
その奥底に感じるのはきっと挿入された物体が子宮を圧迫していることによるものだ、と。
自分の学んだ知識がこんな形で活かされることに失望して姉は意識を失った。


―――翌日、昼  市街中心部

 姉は覚束ない足取りで市街の病院に向かって歩いていた。
女としての尊厳を踏み躙られ、絶望した姉に対して父と妹の解放を条件として提示されたそれは自爆テロの要員だった。
分かっていたことだった、自分の体内に挿入されたアレは爆薬と簡易な起爆装置で拒否することは許されなくて、
きっと父も妹も既に殺されていて………でも、もしかしたら本当に解放してもらえるのかもしれなくて。
女として一切の価値を失った自分でも、せめて父と妹の為に死ねるなら、その為に命を捧げられるなら。
そこまで考えて、姉は考えることを止めた。

 指示された病院は最近建てられたばかりの大規模なものだった。
国連機関を示すUNの文字が大きく示された、初めて見る自動ドアを通り抜け、ごった返す人の隙間を抜けようとした瞬間。
大きなお腹を優しく撫でる女性の姿が目に飛び込んできた。
今、自分の体内で爆弾が起爆されればあの幸せそうな女性も、お腹の子も、死ぬ。
もう何も考えたくなかったのに、考えるのを止めたはずだったのに、考えてはいけなかったのに。
行きかう人の只中で、涙が頬を伝って。


―――同日、同時刻  市郊外 市場

 銃を持った男の人が言ったのだ。
市場の中心にある時計塔、その下で待つ男の人に荷物を届けなさい、と。
ちゃんとお使いが出来たら大好きな父と姉を返してあげよう、家にも帰してあげようと。
だから、小さな身体には不釣合いな大きな荷物を背負って車から降り、一目散に市場へと走っていった。
 長らく政府軍として治安維持に当たってきた兵士にとって、市場に近づく少女の姿は奇異なものだった。
先進国であれば少女が買い物に訪れたとしても何ら違和感はなかっただろう。
しかし、治安維持に携わる者としては頭が痛いが、この近辺は決して治安が安定しているとは言い難い。
怖がらせてはいけない、と心で呟きつつ精一杯の笑顔を浮かべ、それでも銃の安全装置は外しつつ少女に声を掛けつつ近づく。
 久しぶりに見た笑顔に、心が和んだ。
市場に向かう足取りを緩め、声を掛けてきた笑顔の男の人の方を向いて、そちらに歩き掛けて。


―――同日 夕刻 国営放送

「本日昼、2件の爆弾テロが発生しました。 1件目は市中心部の病院で発生し………」


―――前日 深夜

 質の悪い麻薬を多量に投与されて、男の意識は混濁していた。
その方が都合がいいのだ、恐怖のあまり暴れられては手元が狂う。
グリーンバックと呼ばれる緑一色の背景が設えられた撮影スタジオ、煌々と光る照明、西側のブランド物のカメラ。
その前に引き摺りだされた男が首を掻き切られながら最期に思い浮かべたのは仲の良い姉妹と妻の笑顔。

女子を学校に通わせた男の末路として動画サイトに処刑映像がアップロードされたのはそれから数時間後のことだった。


 夫と娘を奪われた母親が、祖母らと徒党を組んで
           ゲリラを襲撃・制圧するのはまた別のお話。

                                       おわり


770 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2015/08/19(水) 01:50:43.09 ID:0V/4VMIT
派手に他スレに誤爆しつつ投下完了
直接的なエロもグロも無いけど想像力で楽しんでね!的な感じで一つ

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