極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

711 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/07/06(日) 22:35:30.71 ID:0VhXVyw6
ネタ元 >>704-710あたり


ハルヒ? 全然書いてない
お題? 書きたい様に書くしか出来ん


リョナ小説ライター


 ささやかな副業、と思って始めたことだった。
昼は事務職として平凡な日々を送っていた私が、絶対に表には出せない性癖―――被虐嗜好―――を
思うが侭に吐き出せるネットの掲示板に小さくUPされていた募集広告。

『猟奇的なSSを書いてください 謝礼はお支払い致します』

ライター稼業に憧れてタウン誌の編集に(バイトだったが)携わった私にとって趣味と実益を兼ねた絶好の募集。
昼間の私が見れば、あまりの怪しさに笑って読み流すそのテキストに、深夜の私はすんなりと手を挙げていた。

前世紀末から幾度もの議論を経て、今やネットは、ほぼ完全な実名性が確保されているとされていた。
『ほぼ』というところが曲者で、詳細な説明は省くが一般の利用者同士にとっては逆に匿名性が強まる結果になっていた。
平たく言えば、ネットの見知らぬ他人同士でも何ら危険は無いと、理解されていたしその通りだった。
そのハズだった。

 簡単な自己紹介の後に、私は自分の趣味を最大限に盛り込んだストーリーを書き、依頼者に送った。
事務のOL、それも大人しい部類に分類される昼の私は社内の様々な噂話の聞き役として重宝がられていたから、
そこで聞いた噂(真っ当な恋愛から不倫、経理や様々な不正など)と同僚をネタにしたテキストは
どうやら依頼者の目に適ったらしかった。

次第に過激さを増した私のストーリーの最初の犠牲者は、同期の事務だった。


  「でね、彼ったら奥さんに『今日も接待なんだ』って嘘ついてウチで終電までヤリ放題してくれてさぁ」
  定時後の更衣室で彼女のノロケが始まる。
  出来婚したばかりの営業の若手君が欲求不満なのを見抜いた彼女に甘える体で、若手君は彼女を性欲の捌け口にすることに
  成功したというだけの話を、同期の彼女から聞かされる。

  「いっそ奥さん、赤ちゃんと死んでくれないかなw 私が彼と結婚したかったわぁ」
  適当な相槌を打つ私に彼女の妄想が続く。
  「バラしちゃおっかな。 奥さんショックでイっちゃったりしてくれないかな」
  若手君の結婚式の写真を思い返す。
  少し目立ち始めたお腹でドレスに包まれた、かわいらしい奥さんが夫の不貞に絶望する姿は中々のものだが
  私は表情には出さずに相槌を打ち続ける。
  「……って、冗談だからね! いっくらアタシでもそんな鬼畜なこと、ね」
  そういう彼女の目が笑っていないことぐらい、私にも分かった。


週末の夜、虚実織り交ぜながらテキストを打ち込んで、私は一旦手を止める。
もうお腹が大きく張った奥さんが夫の不貞を知らされて、幸せを打ち砕かれて、絶望して。
その姿を想像する私の身体の深いところが疼くのを感じながら私はキーボードに指を這わせ……ふと別の思いが過ぎった。

夫の不貞を知らされた奥さんは絶望するだけなのだろうか、目の前の不倫相手への怒りはどう発露するだろうか、と。


  目の前に夫の不倫相手が横たわっていた。
  夫の出張中に訪れた年上の女性に、会社の名を出され、大事な用件だからと部屋に上げた。
  その女性から、嘲るように聞かされた夫の不貞と、夫の嘘と、女性との関係の数々。
  突きつけられた情報端末から夫と女性の肉体関係の映像が延々と、言葉を失った妻に突き刺さる。

  無意識のうちに伸ばした手が包丁を手にしていた。
  妊娠してお腹の子の分も増えた体重が掛かった切っ先はすんなりと女性の胸に吸い込まれ、そのまま女性は床に横たわった。
  胸に突き立った包丁の柄が彼女の痙攣に合わせて揺れて、その揺れが止まってやっと妻は自分のしたことを理解した。

  そっと女性の首に触れてみても、まだ温かい首筋から脈は感じられなかった。

  夫の通信端末に不倫相手から電話が掛かってきたのはその直後だった。
  「………ごめんね」
  沈黙の後に聞き取れた妻の言葉が誰に向けられたものだったのかは分からなかった。
  夫への謝罪なのか、手にかけた女性へか、または産んであげられなかったお腹の子へか。

  帰宅した夫が目にしたのは胸に包丁を突き立てられて事切れている不倫相手と、
  寝室のドアノブで首を吊って冷たくなっていた妻の姿だった。


絶望の中で、お腹の子に謝りながら命を絶つ奥さんを想像しながら私はひとしきり自慰に耽り、ファイルを送付した。

 週末は恥ずかしながら自慰に耽ってしまった。
私は妊娠どころか結婚すら経験していないが、それなりに恋愛経験はあるし処女でもない。
そんな私の想像の中で、妊娠中の妻が夫に裏切られた絶望と、お腹の赤ちゃんへ申し訳なく思う気持ちのなかで
命を絶つ姿は私自身の嗜虐性を十二分に満たしてくれた。
生理前の、張った乳房を『赤ちゃんの為に張った乳房』のつもりで揉みしだきながら、
次第に苦しくなっていく意識の中で赤ちゃんにごめんなさいと繰り返して死んでいく姿を想像した時は
下着を替えなければならないほど達してしまった。

週明け、気だるい身体を引き摺るように出社するとすぐに噂好きの同僚に捕まった。

「聞いた? 彼女、不倫バレして殺されたって」


事実は小説よりも―――とはいうが、まさにそんな気分だった。
私が幾度も自慰で達していたあの夜、同僚は若手君の自宅を訪れたらしい。
『らしい』というのも、同僚も若手君の奥さんも発見時は死亡しており何があったのか正確なことは分からなかったそうだ。
ただ、室内に争った形跡と、同僚の通信端末の通話履歴とその内容、同僚の死因が奥さんによるものであったことと、
奥さんが自殺していたことなどなど……。
まるで私が書いたストーリーをそのままなぞったかのような、凄惨な現場を見た若手君が不倫の事実を喋ったことなどから
社内ではそう噂されていた。

偶然にしては出来すぎていると思うより、その時の私は同僚と奥さんが実際に亡くなったことに密やかに興奮していた。

 程なく、私は新たなストーリーに着手していた。


  「もう、止めませんか! こんなこと、私、続けられません」
  サーバ群を冷却するためのファンの低音の中では若い女性の声が響く。
  「誰も来ないとはいえ、もう少し声を抑えないか?」
  答えるのは年配の、落ち着いた男性の声。

  「もう耐えられないんです……こんな……」
  女性の声のトーンが落ちたのを従順さの表れとみたか、男性の声に余裕が増す。
  「君は優秀なシステム管理者だ、私の不正を見抜けたのは、君だけ、だからな」
  「私の引き抜きの際には君を連れて行く、それで納得したのは君だ。 そうだな」
  「今更、止めますというわけにはいかないのは、君もよくわかっている、な」

  男性の畳み掛ける言葉に女性は力なく頷いて返すだけだった。


事務仕事で度々顔を合わせるシステム部門の若手さん、彼女が新たな犠牲者だった。
若いながら優秀で、なおかつ美人さんで事務方の好感度も高い彼女が
社内の不正処理に気付き………というストーリーだ。

 少々展開に悩んでいた頃、私は生理中だった。
同僚や奥さんの死を自慰に使った罰が当たったわけでもあるまいが、普段より鈍痛が強く出血量も多くて
生理で下着を汚してしまったが、それがストーリーを進めるヒントになった。


  もう耐えられなかった。
  上司や同僚や友人たちに蔑まれようと、全てを洗いざらい話して楽になりたかった。
  優秀だと持て囃されて甘言に乗ってしまった自分を過去に戻って押し留めたくて、
  でもそんなことが出来なかった彼女は深夜、サーバ室に一人、居る。
  自分だけが気付き、密かに記録し続けた不正処理のログを全て手元の情報端末にコピーする。
  これを持って翌朝、上司に全てを話すつもりだった。

  「さむ………」
  ジリジリと進むコピーの進捗を見つめながら、機械にとって適温の、人にとっては寒い室温に肩をすぼめる。
  小さく息をついて、天井を見上げた彼女の細い首に背後から唐突にネクタイが巻きつけられた。

  「クッ………ハッ………」
  彼女より頭2つは背が高い、件の不正に関わった男性が力任せに彼女の首を締め上げていた。
  爪先が床に付くか付かないかというところで吊られた彼女が細い指を首に這わせても
  ギッチリと締め付けられて何も出来ずに苦痛が増していく。

  「ッ…………ッ…………」
  しなやかな指先が震えながら、控えめな胸をブラウスの上から掻き毟る。
  キーボードを叩く為に短く揃えられた爪がブラウスのボタンに引っ掛かり、苦痛のあまりボタンが弾けるまで
  胸を掻き毟って、その腕が唐突に力なく垂れた。

  「ったく、ヒヤヒヤさせやがって。 大人しくしてりゃもう少し生きてられただろうになぁ」
  男性が彼女の首を絞める手を緩めないままボヤく。

  「優秀すぎるシステム部員が不正処理に手を染めた挙句の自殺って、よくある話よ」
  始めから彼女に生きる道は無かったのだ。
  「まったく、もう少し遅かったら手間だったんだぜ」
  既に事切れた彼女に囁くように男性が続ける。
  彼女に罪を擦り付けるための工作は全て終わっていた。

  「一回くらい抱きたかったんだがなぁ………って、結構ガキっぽいな」
  彼女を抱きしめてその胸や腰を撫で回し、ボタンの弾け飛んだブラウスの隙間からブラを覗き見て下卑た感想が出る。

  男性よりも高さのあるサーバラックに、彼女のロッカーから拝借したスカーフを裂いて即席の絞首台として彼女を吊るす。
  涙で頬を濡らし、突き出した舌から涎を垂らし、ブラをチラ見せして吊るされた美人さんの彼女の死に様は
  それでもちょっときれいに感じられた。

  「さて、と、長居は不要ってな」
  彼女の情報端末を回収し、男性が早々とサーバ室を後にしたのは彼女にとって幸せなことだったかもしれない。
  最期の抵抗だったのか、生理現象だったのか、どちらにしても男性に見られることは辛い事象が彼女に起こった。

  彼女のショーツの股布が、ストッキングに包まれた太腿が、膝裏が、ふくらはぎが、じっとりと濡れ始めた。
  失禁。
  絶命した彼女の膀胱に溜まっていた小水、室内の低音もあって少なくない量のそれが彼女の両足を伝い床に流れ、
  そのままサーバラックに吸い込まれていった。

  彼女が失禁し、しばらくして、サーバ室から機器の動作音が消えた。

 太腿を伝う経血の感触を思い出しながら、美人な彼女の失禁を書くのは甘美な体験だった。
機械に囲まれた室内で、冷たくなっていく彼女から熱を持った液体が溢れていく姿を誰にも見られないのは
彼女にとってどれほど幸せなことか……などと考えていたら深夜になっていたが、私はファイルを送付してベッドに潜り込んだ。

 ベッドに潜ってから、自慰に耽ってしまった私はほとんど睡眠を取れぬまま出社した私だったが、
すぐにその眠気が吹き飛ぶことになった。

社内のシステムに障害が発生したとかなんとかで、事務方は眠いなどとは言ってはいられない状況だったからだ。
そして、残業を終えた深夜、断片的な噂を聞きつけた私はもう一度驚くことになった。

―――システム部―――美人さん―――不正―――殺人―――

偶然、とは思えなかった。
帰宅して、昨夜書き上げたファイルを開き、聞いた噂との合致に私はもう、それは偶然とは思えなかった。
私が書いたストーリーをなぞったように、同僚や、奥さんや、彼女は命を―――。

 週末の夜、依頼者からは好評と報酬が届いているのを確認しつつ私は新たなストーリーを進めていた。
いつもより気持ちが昂ぶって、シャワーを浴びたあと、長いこと着けていなかった純白の下着を着けてみたりしながら
深夜だというのにまるで恋人に会うかのように清楚なブラウスとスカートまで出してきてテキストを打ち込む。


自分の、キーを打つ音だけが響く室内の静けさを心地よく感じながら、ワイングラスに手を伸ばして一口。
縁に口紅が残るのをちょっと気にしつつ、上を向いて椅子の背もたれに身体を預け背筋を伸ばす。

すぅっと空気が動いた気がした瞬間、机上のディスプレイが真っ赤に染まった。
同時に寒気を感じて私は自分を身体をかき抱こうとして


  女の背後に忍び寄った何者かが、女の首を切り裂いたのだということに、女自身が気付くことは出来なかった。
  わずか数秒で体内の血液の大部分を失った女は椅子の上で、だらしなく膝を広げ身体をガクガクと震わせながら
  やがて動かなくなった。

  背後から男性の大きな手が、血に染まったブラウス越しに女の胸に触れた。
  血濡れたボタンをひとつひとつ丁寧に外し、露にされたブラも鮮血に染められて無惨なことになっていた。
  背に回った手がブラのホックを外すと血を吸ったブラが重みで腹の方へと落ち、奇跡的に血を浴びなかった乳房が顔を見せた。

  細身の身体にしては大きく形の良い白い膨らみ。
  女の乳房の先端、乳頭は命を終えてもまだ固さを残していた。

  ―――まるで死の瞬間に絶頂に達したかのような

  男の荒々しい手指に嬲られた、血の気を失った白い乳房が男の手に付いた鮮血で彩られた様は芸術的ですらあった。

  男は椅子を回して女を正面に向けると腋に手を差し入れてその身体を抱き上げた。
  まるで恋人にするように女はベッドに横たえられ、血をたっぷり吸って重くなったスカートをたくし上げられた。
  スカートが血を吸ったから、女の両足は素肌の美しさをそのまま残していた。
  恋人に捧げるかのような純白のショーツに包まれた局部も、命を失ってだらしなく開いてしまった膝も、愛おしかった。
  そっとショーツ越しにキスすると、血の匂いの中に女の匂いが、味が感じ取れた。
  ショーツを脱がして直接舌を這わせると、より濃厚な女自身の味が広がった。

  安らかな女の死顔、キスをして舌を絡ませれば
  女の唾液とワインの入り混じった芳醇な味が広がるのを感じながら男は、女を、抱いた。

  事切れていた女は、当然ながら、抵抗することも無く、声を挙げることも無く、男を受け入れ愛され、
  その胎内に幾度と無く男を浴びて愛されて、愛されて、愛されつくして。


  カーテンの隙間から漏れる朝日に照らされたベッドの上。
  深みを増した紅色で彩られた女の顔は安らかだった。





『猟奇的なSSを書いてください 謝礼はお支払い致します』

                                   リョナ小説ライター   おわり

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