なのはA's×ギアス2話

「はい・・・照明のコードがショートしてしまって・・・いえ・・・それは・・・
ちょっとホラー映画を観てて・・・ええ、そうです・・・」
自分でも苦しいと思う言い訳を連発してどうにか警察の人を納得させる事が出来た
「次からは気を付けて下さいよ!!」
そう言い残して警察官は僕の家を後にした
「はぁ〜〜〜っ、!?じゃなかった!はやては!?」
安堵する間もなく僕は再び2階へと駆け上がった
部屋に戻ってみると、妹は彼女達の言葉を熱心に聞き入っていた
「あっ、おかえりー、警察の人は?」
「・・・今帰ったよ、それよりもここでは何だからとりあえず居間の方へ・・・」
僕は彼女達を居間に案内した、そこで彼女達は自分達がどういう存在かを詳細に話してくれた
彼女達は”闇の書”という家に昔からあった1冊の書物によって造られた魔導生命体で
僕達がその所有者として選ばれた事、彼女達はその所有者達を護り助ける使命を持っていること
また”闇の書”が本来の力を取り戻す為に、リンカーコアと呼ばれる
生命体なら誰もが持っている魔力素(魂みたいな物)を多数必要だという事を・・・
「あの、人がそのリンカーコアっていう物を抜かれたら一体どうなるんですか?」
僕はあまり聞きたくない質問を投げかけた
「普通の人間ならば、死にます」
シグナムという桃色の髪をした女性はあっさりと即答した
「しっ、死ぬって・・・」
「いえ・・・生まれつき強い魔力を持った者なら1度リンカーコアを抜かれても
いずれは再生して死ぬことはありませんよ・・・例えば、巨大な魔物とか、朱雀様とか・・・」
シャマルというブロンドの髪をした女性はおどおどした口調でそう言った
だけどモンスターと自分を一緒くたにされて僕は背筋が凍る思いだった
「ダメ!!そんなんダメやん!!人の命奪うなんてお天道様が許さへんで!!」
妹は怒りだして彼女達を怒鳴った、僕も腕を組んで頷いた
「ですがそれでは我等の使命は・・・!」
ザフィーラという銀色の髪をした獣人(?)はそうはやてに反論した
「ダメったらダメ!!ウチがその”主”なんやろ!!言う事聞きや!!」
僕と彼女達は妹の気迫あふれる言葉に気圧されていた・・・
「朱雀兄ぃ!!」
「はっ、はい!!」
「今日からこの人達はウチで面倒みる!!ええやろ!?」
僕はその言葉を聞いた途端気を失いそうになったが、それをなんとか堪えて反論した
「お前・・・!自分が何を言っているのか解っているのか!?」
「だってこの人達放って置くと危なっかしいやん!!ちゃんと教育せな!!
それに行くトコだってなさそうやし!!」
「だからって・・・!それじゃ逆に俺達の命の方が危ないじゃないか!!」
「んなことすっかよ!!主殺してどーすんだよ!!」
ヴィータという赤い色の髪をした少女は僕を怒鳴りつけた
「ヴィータは黙っとき!!ウチがそんなことは絶対させへん!!えーやろ!?」
妹はそう言って僕とヴィータを睨みつけた
妹は1度決めた事に対しては絶対に退かないからなぁ・・・
「だけどお前、お金とか住民票とかはどうするんだ?戸籍なんか持っている訳無いんだし・・・」
「うっ、う〜〜〜ん、そっ、そや!グレイおじさんに相談してみたら?」
「おじさんにねぇ・・・」

アルバート・グレイ
父の古い友人で英国の名の有る高官らしい
父が生前英国に単身赴任をしていた時に知り合い、すっかり意気投合して
僕の家に度々来る程の大親友になっていたらしい
僕の家に不幸があるたびに真っ先に駆けつけてくれていろいろ相談に乗ってくれたり
お金を援助してくれたりしていた
妹が障害を負った時に家を介護用にリフォームするときの費用を負担してくれたり
父が死んだ時には自ら進んで後見人にもなってくれたり、資産管理や援助もしてくれている
いわば僕達からすれば大恩人な訳なのだが・・・
「こんな非常識な事、信じてくれる訳無いだろ・・・」
気が重かったが、僕はダメ元で彼に電話をしてみることにした
だけど彼の返答は僕の予想を大きく裏切るものだった

「・・・それは恐らく”使い魔”だろうな、とんだ災難だったねぇ」
「えっ!?ご存知なのですか!?」
「いや、私も実物を見たことを有るわけでは無いのだがね、だが話を聞く限りではそうとしか・・・」
「実は妹が彼女達を引き取りたいと言っているのですが、法律とか、身分証明とかが問題でして・・・
このままじゃ迂闊に外にも出せません、その辺りを何とかする方法をご存知無いでしょうか・・・」
「うーむ、いや、一応手が無い訳では無いんだが・・・分かった、何とかしてみよう
そうだな・・・来月位に1度君の家に行くよ、その時までには書類上の手続きは終えられるだろう」
「えっ!?本当ですか!?有難うございます!!」
「ただし、なんだが・・・私が来る迄に彼女達にトラブルを一切起こさせないで欲しいのだ
”使い魔”という存在については国際法の面でかなり大きな問題を抱えていてね・・・
トラブルを起こされたら私もかばい立てが出来んのだよ・・・
いいかい、トラブルだけは絶対に起こさないでくれ、約束できるかい?」
「はっ、はい・・・わかりました・・・」
自分の眼前に暗雲が広がっていく気がしてきた・・・
「はぁ〜、これは大変な事になりそうだな〜」

妹は早速彼女達の身の回りの物を揃え始めた、衣服、食料、小物、食器、一般常識の書かれた書籍、等々
僕や彼女達も買物に駆り出され、妹の指示への対応に追われた
彼女達もこの世界の常識に、戸惑いながらも少しずつではあるが順応していった
彼女達は妹の指示に誠意をもって応じ、また妹もそんな彼女達を観て優しく微笑んだ
家族がいる、という感覚を久しぶりに思い出させられる気分だった
彼女達は妹の言いつけを守り、他者へのトラブルを極力持ち込まない様務めてくれた
実際近所の人達や妹の掛かりつけの先生にも、最初は驚かれたが、良い人達だと
かなり良い評判を得ている様だった
僕は安堵していた、これなら大丈夫だ、
この人達ならちゃんとうまくやってくれると、そう確信していた・・・

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2007年06月15日(金) 16:25:52 Modified by beast0916




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