なのはA's×ギアス9話

――その日の夜、僕は真実を知る為に家から少し離れた公園にシグナムさん達を呼び出していた、
だけど・・・
シグナム「朱雀様、これは一体どういう事なのか御説明頂きたいのですが」
――逆にシグナムさん達の質問攻めに遭ってしまい、仕方なく僕は今日起こった出来事の全てを
打ち明けた・・・

シグナム「それで、その得体の知れぬ男にデバイスを貰い、我等の許にはせ参じて戦闘を行った・・・
そういう事、で、いいのですね・・・?」
朱雀「えっ、ええ・・・」

――シグナムさんの表情が険しくなった・・・
そして僕の目の前に近づくや否やいきなり僕の頬に平手を食らわした・・・

シグナム「あなたは・・・貴方は自分が一体何をしたのか本当にお分かりになっているのですか!?」
――僕は、何も言えなかった・・・
シグナム「シャマル、お前もお前だ!!何故朱雀様を止めなかった!?」
シャマル「そっ、それは・・・」
朱雀「・・・僕がシャマルさんを説得したんです、シャマルさんは悪くありません・・・」
シャマル「・・・朱雀さん・・・」
シグナム「朱雀様は黙っていてください!!これは我々の問題です!!」
朱雀「・・・我々の問題ですって・・・?僕やはやてに黙ってこんな事をしているのが・・・?」
シグナム「・・・朱雀様?」
朱雀「はやての命を助ける為に人を殺す・・・?はやてさえ助かれば他の人はどうなってもいい・・・?」
――僕は、さっきのお返しと言わんばかりにシグナムさんに平手を食らわした
シグナム「・・・すっ、朱雀様・・・」
朱雀「誰がそんな事を頼んだ!?誰が人殺しをしろと命じた!?」
シグナム「・・・」
朱雀「皆は僕とはやてに約束したじゃないか!!纂集は行わないと、僕やはやてと一緒に穏やかに暮らすと・・・!
それなのに・・・!いくらはやてを助けるためだからって人の命を奪うなんて・・・!」
ヴィータ「・・・殺しちゃいねー・・・」
朱雀「えっ・・・?」
ヴィータ「人殺しはしてねー!!ぜってーしてねー!!朱雀やはやてとの約束だから・・・、信じてくれ・・・!」
朱雀「えっ?でっ、でも・・・」
シャマル「本当なんです!!確かに私達は闇の書の纂集を行っていますが、命までは奪っていません・・・!!
御願いです、信じてください・・・!」
朱雀「・・・詳しく、話してもらえますか?闇の書の事と、はやての身に起こっている事の全てを・・・」

――僕はシャマルさんに全てを聞き出した、闇の書が妹の魔力を吸い尽くしている事、闇の書の纂集を行う事で妹の負担を
減らしている事、妹が闇の書の主になって”エリクシル”という秘術を使えば妹の障害が治る事、そして・・・

朱雀「・・・じゃあ、高い魔力を持っている者ならある程度抜かれても平気だと・・・?」
シャマル「・・・はい、それに私達が現在纂集を行っている相手は獰猛な魔物のみです・・・決して人間を相手に纂集は
行っていません・・・」
朱雀「本当ですか・・・?」
シャマル「えっ?えっ、ええ・・・」
ヴィータ(ホントは管理局の奴一人やっちまってるけどな・・・)
シグナム「・・・朱雀様、そのデバイスを私に渡してください」
朱雀「えっ?」
シグナム「・・・あなたには、そんなものは必要有りません・・・、元々は我々が始めた戦い、今回の事はどうかお忘れに
なって今まで通り普通の生活に・・・」
朱雀「・・・嫌だ・・・」
シグナム「朱雀様っ!」
朱雀「・・・そうやってまた皆は勝手に話を進めて僕達にその結果を押し付けるのか・・・!僕の気持ちなど考えもせずに・・・!
それに、もう嫌なんだ、何も知らない、何も出来ない、と言い訳して妹は皆を見殺しにするのは・・・!」
ザフィーラ「朱雀様・・・いや、しかし・・・」
朱雀「決めたんだ・・・僕も戦うって・・・妹を助ける為に僕に出来る事をするって・・・!」
ヴィータ「なんでだよ・・・!なんでそーなんだよ、朱雀!」
朱雀「見たいんだ、そして知りたいんだ、自分の目と耳と足で、現実と、真実を・・・
皆が本当に人殺しをしていないのか、妹が本当に助かる道があるのか、時空管理局の人達や”彼”が何を考えているのか・・・
頼む、皆、僕にも手伝わせてくれ・・・」

――僕は懇願した、だが・・・シグナムさんは突然僕の目の前にレヴァンティンを突きつけた
シグナム「・・・貴方が思っている程現実は甘く無い、今回はたまたま上手くいったが、これからも時空管理局の者達に
追われ続ける事になるだろう・・・、その時にもし貴方が捕まったらはやて様の素性も明かされ、捕らえられる事になる・・・
貴方自身の行動が結果的に逆にはやて様の御身を危険に晒す事になるのです・・・
それに、もしも闇の書の纂集をやり遂げたとしても、貴方の望む”結末”は得られないかもしれない、貴方が望んでいない
結末に行き着くかも知れない・・・それでも貴方は戦いを望む、と言うのですか・・・?」

朱雀「・・・はい、例えこれが”誰か”に踊らされた道であったとしても、僕は後悔しません、自分の運命は、自分で
決めたいんです」

――僕は物怖じせずにシグナムさんを真っ直ぐに見詰めた、そんな僕に遂に観念したのかシグナムさんは剣を降ろし・・・

シグナム「・・・解りました・・・」
ヴィータ「おい、シグナム!!」
シグナム「・・・いいのだ、ヴィータ、朱雀様の言う事はもっともだ・・・私に止める権利は無い・・・
ただし朱雀様、二つだけ約束して下さい・・・」
朱雀「約束?」
シグナム「はい、一つは朱雀様がご自身の今の生活を第一に考えて行動すること、そしてもう一つは戦いの際には常に私と共に
行動することです、誓えますか・・・?」
朱雀「・・・わかりました・・・」

――それぞれがそれぞれの状況と覚悟を再認識し、僕らは家に戻った、そして廊下でシグナムさんと二人きりになった時・・・
朱雀「シグナムさん、僕からも、一つだけ約束して欲しい事があるんですけど、いいですか・・・?」
シグナム「何でしょうか?」
朱雀「僕と妹、どちらかを守らなければならないとするなら、妹の方を最優先にしてもらえますか?」
シグナム「・・・例の男の件もあります、はやて様には常に二人以上の護衛を付けるつもり・・・!?」
――僕はシグナムさんの両肩をギュッっと掴んで怒鳴りつけた
朱雀「”もしも”の時の事を言ってるんです!!妹には力が無いっ!だから・・・!」
はやて「朱雀兄ぃ、何でシグナムの事起こってるん・・・?」
――僕の怒鳴り声で妹が心配して尋ねてきた
朱雀「いや、ごめん・・・何でもないんだ・・・」
シグナム「はやて様がご心配なさる程の事ではありません、ご安心を」
はやて「そっか、ならええんや、ウチはもう寝るから、みんな、おやすみな」
朱雀「あっ、うん、おやすみ・・・」
シグナム「お休みなさいませ・・・」
――妹が去っていくのを見届けた後、僕はシグナムさんに先ほどの言葉をもう一度言った
朱雀「シグナムさん、さっきの言葉、何があっても絶対に忘れないで下さい、いいですね?」
シグナム「・・・」
――僕は焦っていた・・・
確証がなかったからシグナムさんたちには言っていなかったけど、もしあの時出逢った少女が僕のよく知る人物だったら・・・
そして以前グレイおじさんの言っていた事が事実なら・・・近い将来に”彼ら”が僕や妹を捕まえに来る・・・
そう考えていた・・・だが・・・

なのは「えっ?地球人じゃない・・・?」
――同時刻、なのはちゃん達は先程の戦闘の状況整理をしていた、その時の事・・・
エイミィ「ええ、ジャミングが掛かっていた所為で詳細なデータは取れなかったんだけど、カレンさんがその人と接触した時に
感知した固有魔力波形パターンが少なくとも地球人、そしてミッドチルダ人の誰にも該当していないの」
なのは「えっ?そうなんですか・・・?」
カレン「一応うちのデータベースにも検証してみたんだけど、該当データはなかったわ」
なのは(じゃあ、あの人は、朱雀さんじゃ・・・無い・・・?)
リンディ「どうしたの?なのはさん・・・」
なのは「いえ・・・、何でも、無いです・・・」
リンディ「・・・そう・・・」
クロノ「別の世界からやって来た人物か、それとも現在の闇の書の主が作りだした新たな守護騎士か・・・?
いずれにしても情報が少なすぎますね・・・」
なのは(そうだよね・・・朱雀さんがあんな所にいる筈・・・無いもんね・・・)

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2007年06月15日(金) 16:29:46 Modified by beast0916




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