なのはStS+φ’s正伝13話

「……やっぱ冷え立てが一番だ」

乾巧は自分の部屋で手打ちうどんをすすっていた、ずるずるずる・・・啜る音が部屋に響く。
一般的に言えば茹で立てが一番上手いのだろうが史上に残る猫舌である巧には未知の世界なのだ。
一口、また一口とすする度に笑顔になる巧。冷たい物を口にすると途端に上機嫌になる

「ん〜〜! 冷えたうどんもおいしーーい!」
「こらちょっとスバル! あんたちょっと食べ過ぎよ。」
「だっておいしいんだもん、ティアだってわたしがたくさん食べるの知ってるでしょ?」
「さっき食堂でご飯食べたばかりでしょうが」

一人旅が長かったため数多くのバイトをこなして来た巧なので出来ることは結構多い。
ちなみにある程度の料理ならできることは真理にも啓太郎にも伝えていない
理由は至極単純で……もしそのことを知らされたら頻繁に料理当番を任されると思ったのだ。
なんでわざわざ他人の分まで作らなきゃいけないんだ、めんどいんだよ。
第一自分は冷えているものしか食べられないため冷たい物以外を作るつもりは毛頭なかった。
もっともそれが「アイスピック事件」に発展するとは思っていなかったわけだが……

「だって・・・つゆもおいしいし、ティアだって食べるペース速いじゃない」
「まあそれは……たしかにそうかもしれないけど」
「あーもううるせえな! なんでお前らまで食ってるんだよ! え!?」

テーブルを囲むように座っている巧とスバルとティアナがそれぞれ笊に乗っているうどんを食している。
うどんを食べている時にスバルが匂いを嗅ぎ付けたと思ったら自分の部屋に上がりこんできて……
大量のうどんがあることを知ったことで友達まで誘ってきて食べているという。
満面の笑みを浮かべて食べているスバルと基本的には黙ってるが箸の進みがいつもより速いティアナ。
伊達に草加雅人に「おまえの料理は美味いから、すぐに飽きる」と口にしたわけではなかった。

「まぁまぁいいじゃん、それに助けてあげたんだから気にしない気にしない」
「……まったくスバルも物好きよね、こいつに何されたと思ってるのよ」
「だからそれは誤解だって、さっき説明したじゃん?」
「まぁあんたが言うならそうなんだろうけど……他の皆はそう思っていないみたいよ」

スバルが話を持ちかけた時はティアナはあっさりついてきたがそれは巧の本心を知るため。
ライトニングのキャロとエリオは確実に巧に対して怒りを募らせている。
あの後巧がなのは達に言い放った言葉を聞いた瞬間は血の気が引いた。
エリオとキャロはどういう事情があろうとまだ子供だ、親とも呼べる人間を大切にしている。
……その親の大切な友達を悪く言われたとあれば怒るのも当然だが
特にエリオのほうは並々ならない感情が沸き上がっている……憎しみとも呼べるような

これはなんか拙そうだと思ったティアナは理由を乾巧に問い質すべきだと思った。
こういうときはフォローしなければならない、スバルの時からもう身体に染み付いている。
自分は新人フォワードの中で一番年上だからなおさらだ。

「構わないぜ、俺は別にあいつらと仲良くなりたいわけじゃない」
「そうなの? ……あんたって本当にわかんないやつよね」
「でも悪い人じゃないことはわかるよ」
「まぁそれは……そうだけど」

初任務のレリック回収事件で彼の戦い方を見ていたら悪いとは一概に言えない。
危険すぎることを命を掛けてまでやり遂げようとしたその姿勢にだけは敬意を表している。
……他にやりようはなかったのかと聞きたかったがその時は時間もなかった。
改めて巧に聞いてみたが「考えられるような状況か」と言われては黙らざるを得なかった。

「……少なくとも頭は悪いみたいね」
「あ、それは……そうだね」
「殴られたいのかおまえらは」
「それはそうとファイズ……乾巧、でいいんだっけ? ちょっと聞きたいんだけど」
「なんだよ」
「あんたなのはさんのこと嫌いでしょ」
「ああ、それがどうした?」

あっさりと口にする巧に答えを予感していながらも2人は唖然としていた。
普通嫌いかと尋ねられるとお茶を濁すような回答を出すのが普通ではないのか?
嫌いという気持ちがまるで当たり前であるかのような態度はいったい……

「どうして?」
「なんとなくな」
「見え透いた嘘つくと為にならないわよ」
「なんでそう思うんだ?」

無愛想のままに巧にティアナは溜め息をつきながらだがわずかだが胸を張って答える

「あたしは幻術使い、騙すのが仕事よ? 単純そうなあんたの嘘くらい見抜けなくてどうすんの」
「……で? 単純過ぎる俺の嘘がわかってそんなに嬉しいか?」
「そういう話をしてるんじゃないんだけどね」
「あ、あのティア? 巧君もちょっと落ちついて……」

挑発を交えた言葉には引っ掛からない……あの2人に比べたら遥かに冷静だと巧は感じる。
少し空気が険悪になったと感じたスバルは話題を変えようとしたが
そこに突然割り込んできた第三者の声がそれを許さない。

「それは私もちょっと聞きたかったんだよね」
「シャーリーさん……」
「申し訳ありません、盗み聞きをするつもりはなかったのですが」
「グリフィス準陸尉も、どうしてここへ?」
「マッハキャリバーの修理が終わったから探してたのよ、グリフィス君にも手伝って貰って」

いきなりの来客に姿勢を正して敬礼するスバルとティアナだが巧は食べるのをやめないどころか
あろうことから麺をすすり続けながら横目で少し見た程度ですぐに視線を麺に戻し

「なんだ、眼鏡1号と2号かよ。言っとくけどこれはやらねえからな」

まるで『用が済んだらさっさとどっかにいけ』と言いたげなぞんざいな対応と態度で追い返そうとした。
今は取り込み中なのだからその反応はある意味自然なのかもしれないが言い方がまずい。
ついいつものように対応してしまっただけなのだがそれがシャーリーの怒りを少し買ってしまった

「……ファイズ君? それが自分のデバイスを修理してくれた人に対して言うことなのかなぁ?」
「何言ってんだ、元々おまえが模擬戦をやれって言ったのがきっかけだろ? 責任ぐらい自分で取れよ」
「な……! 何なのその態度!? あなたね、そんな態度じゃ女の子にももてないわよ!?」
「ああ!? ちょっと待て、関係ねえだろそれは!」
「き、騎士ファイズ・・・シャーリー、もうそれくらいにしたほうが」

見るに見かねたグリフィスが止めに入ろうとしたが2人の毒舌合戦はもう止められない。
ストラーダに加えマッハキャリバーとファイズメモリーの修理で疲れていたシャーリーもだが
先程まで文字通り命がなくなる寸前の戦いをしていた巧のストレスも爆発寸前だった。

「関係あるわよ! 何なのあなた、なのはさん達へのあの態度は?」
「あんな人で無しにはあれぐらいの態度でいいんだよ!」
「人で無し…あなたね! なのはさんのこと何も知らないくせに!」
「ああ知らねえな! でもわかるんだよ、ああいうやつが腹の中で何考えてるかぐらいはな!」

口調が激しくなっていくにつれシャーリーの目も座っていき巧の眉間には遠くでもわかるほど皺が寄る。
売り言葉に買い言葉、その繰り返しで部屋の空気が張り詰めていくことに
耐えられなくなったスバルが強引に巧を引き剥がして言い争いを中断させる。

「巧君、ちょっと待って! シャーリーさんも落ちついてください!」
「あ……ごめんねスバル、私は」
「おい、俺は最初から落ち着いてるぞ」

巧の言葉に再び言い返そうとしたシャーリーだが今度はグリフィスに止められてしまった。
シャーリーが一先ず深呼吸して心を落ち着かせ、改めて巧に詰め寄った。
今度はなぜ詳しい事情を聞く必要があるのか一通り話してからで

「ファイズ君? よく聞いて、あなたは今非常にまずい状況にいるのよ」

そして巧は正直あまり聞きたくもない他人の自慢話としか聞こえない話を聞かされることとなった。
管理局の戦技教導官にして『不屈のエース・オブ・エース』とも呼ばれる
若手トップエリート魔導師の一人である高町なのは一等空尉。
今はリミッターを付けてるとはいえ空戦S+ランクを誇る実力。
機動六課の戦技教官でありスバル・ナカジマの憧れの人で命の恩人、
優しくて面倒見がよくて上司からは信頼され後輩や同僚からは慕われている・・・

「一応聞いておくけどそれ冗談なのか? 胡散臭過ぎて笑え……がっ!?」

思わず率直な感想を漏らしていた巧の背中をティアナが見様見真似のシューティングアーツで殴った。
巧が思わず罵声を浴びせようとしたがその前に念話での忠告で止められる。

〔スバルに殴られないだけマシと思いなさい、なのはさんはあの子の憧れなんだからね?〕
〔……ああ、知ってるよ。けどそれにしたってありえねえだろそんな話〕
〔有り得ない? 何がよ?〕
〔綺麗事ばっかり並べ立ててるが、そんな人間がいると本気で思ってんのか〕
〔少なくともこの機動六課にいる人達はそう信じてるわよ〕
〔…………〕

背中の変わりに頭が痛くなってきた、あの後結局逃げてなかったスバルに叩き起こされ
前に比べればたいしたことない傷を負いながら連れられて帰ってきた時に
どうも周囲からの視線がさらにきつくなっていると思ったがそういうことか。
……それほどまでに高町なのはの影響力は強いことがわかる、なぜだ? ただの戦技教官なのに。

「高町なのは戦技教官、フェイト・T・ハラオウン執務官、そして八神はやて部隊長……」

どうやらその理由はこの機動六課隊長陣の関係に直結していると巧はシャーリーからの説明で理解した。
要約すると10年前に高町とフェイトがある事件で知り合ってその後友達となり
また別の事件で八神はやてと知り合い3人はそれ以来ずっと一緒にいた所謂幼なじみだというもの。
その後は3人揃って管理局に入り皆一線で活躍してきたそうで……

10年来の親友が今ここで再び揃って夢を叶えようとしている、確かにいい話といえばいい話だ。
しかし・・・逆に考えればこの組織はその3人の思うがままということになるかもしれない。
高町なのはとフェイトに逆らったらそれは八神部隊長とやらにすぐ届いて……
上に立つものが公私混同するとは思いたくはないがその相手が
相手が10年来の仲良し幼なじみともなると善悪の判断が冷静にできるかどうか怪しい。

現に園田真理はあの草加雅人を拒むことができなかったのだから。

(なんだよ、たったの19歳で部隊のトップって……いったいどんな反則技使いやがったんだ?)

有り得ないことだらけの世界に飛ばされたことを巧は思わず笑いたくなるほどに後悔した。
それ以前にまず年端もいかない子供を平然と働かせる管理局の常識から疑ってしまう。
どちらかといえばオルフェノクが平然と暮らしてる世界のほうがマシだとさえ感じる。
しかも不思議なことにその認識が間違っているとはどうしても思えない。

「ねえファイズ君、あなたいったい何が気に入らないの?」
「……気に入るわけないだろ、あんなことしやがって」
「あんなこと・・・?」
「………」

怒りを隠さない巧の表情に驚いたのはシャーリーだけではなく、スバルとティアナも唖然としていた。
特にスバルは先程巧の優しい表情を見ていただけにその表情に恐怖を感じる
しかし巧の目からは憎しみは感じられない……ただ純粋に怒っていただけだと思う。
怖いけど……しかしその反面で彼の感情に人間っぽさを感じられて嬉しく思うのはいけないことだろうか?

(もしかしたら、巧君もいろいろ悩みながら生きてるのかもしれないな……)
「あのねファイズ君、そんな言葉で納得・・・」
「する必要ねえだろ。もういいから帰れ」
「シャーリー、ちょっと待ってくれ」

スバルがそんなことを考えてる間にもシャーリーがしつこく聞き出そうとしていたが
突然に前に出てきたグリフィスの取った行動に動揺を隠せない巧。
巧だけでなくスバルやティアナは勿論、幼なじみのシャーリーですら驚いていた。

「グリフィス君……!?」
「騎士ファイズ、本当のことを教えてください。お願いします」
「・・・よせ、なんでそこまでする必要があるんだよ」
「あなたを憎みたくないからです」

騒動の原因となっている人間に向かって頭を下げている。その光景に面食らってた巧は
かろうじて言葉を出すことしかできずにいた、いつもの言動はそこにはない。
ただ驚いている。誰かに頭を下げられた記憶がない巧にとっては異様だったのだ。

いつまで経っても頭を上げようとしないグリフィスに巧は観念するべきかどうか迷った。
向こうが諦めるまで粘ると言う手もあるがこういう実直なやつほど頑固な人間が大半である。
どうすればいいのかしばらく考えたが……やがて観念したのか巧が溜め息をつく。

「あーもうわかった、わかったから頭上げろ。頼むから上げてくれ、シャーリーが睨んでるんだよ」
「え? シャーリー?」
「違うって! 私は別にファイズ君を睨んでなんかいないって」
「冗談だよ……ったく、こうでもしねえと頭上げないだろうがロウランの奴は」

巧の言葉に釣られて頭を上げてしまうグリフィスを見てまた溜め息をつくが別に怒ってはいない
……むしろ悔しいと思う、熱い茶碗蒸しを食べたことでで口の熱さと共に罵詈雑言を吐き出しつづけ
真理の怒りを買いすべての料理を凍った状態で出されても謝らずにアイスピックで砕いて食べ続けた日々を。
あの気持ち悪い食感と戦い続け我慢したというのに我慢比べで負けてしまったことが悔しい。

しかし言い出してしまったことは仕方がない、とにかくグリフィスとシャーリーをベッドに座らせた。

「……で、俺は何を話せばいいんだよ」
「とにかく洗いざらい白状したら? 全部吐いちゃえばスッキリするかもよ」
「ちょっとティアそんな言い方……」
「それもそうだな、じゃあ何がいいんだ」
「やっぱりあなたがなのはさんを嫌ってる理由から」

またもや溜め息を付きながら『やっぱりおまえもそれか』といった感じの態度を見せる巧だが
どうやら本当に観念しているらしく実にあっさりと話し始めた。
実際はもう隠すのもだんだん面倒くさくなっていたというのもあるだろうが。

しかし口を開いた巧の最初の言葉は、意外にもスバルとティアナへの質問だった。

「スバルに……ランスターだっけか? おまえらはこの前レリック回収任務の時あのヘリの中にいたんだろ」
「へ? うん、もちろん。それが初出撃で……先になのはさんが出撃して制空権を確保」
「実際はフェイト執務官やあんたが大半を倒しちゃってたみたいだけどね」

スバルとティアナも答えを返すのを見て肯く巧、グリフィスとシャーリーもそれは認めている。
しかし初遭遇の時はロングアーチ全員が何が起こっているのか理解していなかった。
現場にたまたま居合せた魔導師がガジェットと戦っているものだと考えたが
通信がまるで繋がらない事にようやく事の異常を知ったのだから。
まあそれは到着したライトニング1ごとフェイトと聖王教会からの連絡で味方だとわかったのだが。

「……それでだ、なんつったっけな? あの桃髪の子供と俺を怒鳴ってた素早しっこいガキ。」
「それっとエリオとキャロのこと?」
「俺がお前らと一緒にあのでかいのを倒す前に、そいつらが落ちていった時のことだよ」
「え? ……それが、あんたがなのはさんを嫌う理由?」

その言葉に頷く巧。ライトニング3と4、エリオとキャロのことがなのはを嫌う理由に繋がっている?
ティアナの質問には答えず巧はさらにスバルに向かって詳しい事を聞き出していた。
隊舎に帰る途中に散々聞かされた高町なのはのことをもう一度だけ確認。

「おいスバル、あの高町がヘリの中でチビ2人になんて言ってたのかもう一度教えてくれ」
「え? あ、うん……わたしが覚えてる限りじゃたしか……」

『離れてても通信で繋がってる、一人じゃないからピンチの時は助け合えるし
 キャロの魔法は皆を護ってあげられる優しくて強い力なんだから』

「あー合ってる合ってる、確かにキャロに向かってそんなこと言ってたわね」
「けどそれがどうしてなのはさんを嫌う理由に……」
「あのチビ2人と竜が落ちていった時、あいつは言ったんだよ」
『発生源から離れればAMFは弱くなる、使えるよ……フルパフォーマンスの魔法が!』

スバルを逃がし大型ガジェットとの戦いで苦しめられていた時に見た光景が目に焼き付いている
放り投げられた男の子を追って飛び降りていった女の子を見た時は心が冷えた
あそこで竜が巨大化して二人を乗せて飛んでたからいいようなものを……

「何が助け合えるだよ、ふざけやがって……もし飛べなかったらどうする気だったんだあいつは」
「でもキャロがフリードの本当の姿を引き出すのをわかってたなら……?」
「先のことなんてわかるわけねえだろ!!」
「っ!?」
「しかもあいつ……あの2人が落ちていった時、笑ってやがった。嬉しそうにな!」
「巧君…」
「あの女は助けにもいかないで、敵がいなくなった空でただ笑ってやがった」

最後に「許せるかよ、これが……!」とだけ口にしてそれから後は押し黙ってしまった。
これらが『高町なのはを嫌う理由のすべて』だが巧の気持ちは伝わったのかどうかはわからない。
なのはの考えを巧が知ることのないように、きっと巧の気持ちを六課の人間が知ることはないだろう。
まったくの他人の言葉よりも『誰もが認める無敵のエース』が取った行動を信じるはずだ。

“死ぬ”ということが実際どういうことなのか、たぶんこの世界の魔導師たちにはわからない。
非殺傷設定などという馬鹿らしいものがあることから多少は理解していた。
災害で死ぬのならともかく誰かを殺そうとしたり殺されそうになるなんてことはきっと想像したこともない。

すべての希望を奪われて、闇の中で死んでいった……自分が殺した木場勇治。
そのギターの才能を妬まれ、他の学生たちから腕を切り裂かれた海堂直也。
そして巧も実際人としての生があんなことで終わってしまうなんて想像もしていなかった。

「……どうだ、これで満足か? 全部話したからもういいだろ」

この気持ちを誰かに理解されようなんて思っていない。中途半端に理解されるよりかは誤解されたほうがいい。
これでまた周りの人間は巧から離れ続けるだろう、それも構わない、もう慣れた。
最初から最後までずっと一人……それは今まで他人を避けてきたころと変わらない。
だから敵を倒してさっさとここから離れて元の世界に帰ること、それだけを優先させる。

呆気に取られた表情を見せるグリフィスと冷やかな目で見つめるだけのシャーリー
何かを深く考え込んでいるかのように視線を落とすティアナそして悲しそうな目で見つめるスバル。
そのすべての視線が突き刺さっても、今の巧には痛くも痒くもない。

かつて勇治が迷い込んだ光の見えない闇の中でも、巧は戦うことを止めるつもりはなかった。

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2007年08月06日(月) 14:30:03 Modified by beast0916




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