リリカルなのはGE0話

ここ、とある世界のイタリアと言う国・・・

僕、クロノ・ハラオウンはこの地に立っていた、勿論、旅行やバカンス・・・と言う意味合いもあるが仕事も兼ねてだ。
まあ、少々長めの休暇なので、じっくり腰をすえて仕事もしろという裏の意味はちょっと気が重い。

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「艦長、お呼びですか」
アースラの艦橋に呼ばれた僕に

「クロノ、手短に言うわ、仕事を含めてバカンスに行く気は無いかしら?」

母さ・・・リンディ提督は有無を言わさず予定を告げた。
「・・・自分にも執務官の業務があるのですが・・・」
「それを含めて、よ、取りあえずこれを見て、エイミィお願い」
「はいはい・・・これ・・・だっけか?」
コンソール上に複数の風景や街並み、文化レベルや政治形態のデータがまとめて表示される。以前見たなのはの世界と似たような世界であったが・・・犯罪計数や治安を含めて、多少粗野な印象を受けた。
「これは?」
「管理外世界、その中でもかなり奇妙・・・というか文化レベルのおかげで介入が非常に難しい世界よ」
「汚職政治がまかり通ってる所為で管理局も全然手をつけられないし、魔法なんかぶっ放せばさらに大騒ぎ・・・それをネタにゆすり、たかり、etcetc・・・」
エイミィがやれやれと言った感じで首を竦める、確かに好き好んで臭いものに手をつけるのは酔狂か物好き位だろうか。
「この世界は放置しても構わない・・・と思っていたんだけど・・・これね・・・」
画面上に一組の弓と矢が表示される。かなり特異な形状でただの狩猟道具では無い様だ・・・加えて我々が目をつける物体と言えば・・・
「ロストロギア・・・ですか・・・」
「ええ、詳しい効果や能力は不明だけど・・・これに関わった人間が奇妙な行動を取ったり、謎の死を遂げたりしているわ・・・その中でもこの例・・・」
画面に奇天烈な髪形をした学生制服の男と、スーツを着た男が向き合っている。写真は少々画質が荒いがかなり緊迫した状況なのが見て取れる。
「エイミィ、これに魔力スキャンをかけてくれる?」
「了解、ペコポコペンと・・・」
「・・・これは!?」
魔力スキャンをかけると、男達の魔力反応・・・に加えてその身体の傍にもう一つ人型の強力な魔力反応が見えた。
「これは魔法をこの世界の体系で使用した例のようね、関係者は『スタンド』と呼んでいるわ・・・動画を」
魔力スキャンのまま男達が動く、いくつかの動画が撮影されていた様で、スーツの男はいくつかの魔力弾を飛ばし、学生服の男は仲間の傷を治している・・・更にはもう一人の男はいきなり信じられない速度にまで加速したり、移動したりしている。
「馬鹿な・・・魔力操作、治癒魔法・・・?に・・・転移、じゃない、時間操作!?」
「そう、こんな高レベルの様々な魔法が何の法整備も無く使用されている・・・これはかなり危険だわ」
「原因は・・・ロストロギアですか」
「全部ではないわ、でも何らかの組織が意図的に魔術士を量産した、と言うのが私達の推測」
成程、と言う事はある程度そのロストロギアは管理、運用されていると言う事になる、しかしそこが良心のある組織と・・・
「そしてこの影響が顕著なのがこの世界のマフィア、ギャングの溢れる地域、イタリアと呼ばれているわ」
      • 良心とは程遠い単語がいくつか飛び出した・・・少々落胆しつつ話を続ける。
「ロストロギアなら多少文化レベルの低さに目を瞑っても介入する必要がある・・・ですか」
「かしらね・・・それともう一つ、ここ最近起こっている魔術士襲撃事件・・・あちこちの世界に被害が散らばっていて加害者の居場所すら発見できなかったんだけど・・・」
「この世界に介入した魔術士数名と魔力を持つ一般人が被害を受けてさ、その事件発生までの速度から犯人はこの世界に潜伏していると断定されたよ」
ここらへんで話が読めた・・・つまりは・・・だ。
「僕にこの世界への潜入捜査をしろと・・・内容はロストロギアの監視、連続魔術士襲撃事件の解明及び逮捕・・・そんな所ですね?」

二人は軽く微笑
「かなり危険な任務となるわ、場合によってはアースラも外部待機として同世界に乗員が支部を構える用意も出来てる・・・それと現地のとある組織と交換条件でね・・・これを」
一枚の写真、それには黒髪の少年が写っている。
「汐華初流乃、その人物の皮膚、血液なんでもいいから体組織を持ってきて欲しいそうよ・・・その代わり、現地の拠点を用意してくれるらしいわ」
「体組織・・・?何者なんですか?この少年は・・・」
「『それを調べている・・・危険な人物ではない、だがなるべく接触を避けて欲しい』・・・だそうよ・・・」
「先ほど話した・・・『財団』・・・と言う組織の人員ですか?」
「うん、通話だけのやり取りだったんだけどね、ついでにグレアム提督が上層部に掛け合ってくれて、この件に関わる人員にはあらゆる権限を約束する・・・つまり、有事の際には本気モードでいいって事だよ、クロノ執務官?」
「茶化さないでくれ・・・捜査は単独でしょうか?」
「人員補充は随時可能、条件は『君の信頼できる人材』だそうよ?」
信頼できる・・・僕は武装局員や一般局員を信頼していない訳ではない・・・が、戦力的な信頼と言う点で自分と同等もしくは自分以上の戦力なら、数は非常に限られる。
それに、個人的な付き合いは自慢じゃないがあまり無い。やはり、思い浮かぶのは彼女・・・それと周りの人間・・・今は義理の妹。
「ロストロギアの捜査はともかく、襲撃事件の犯人と交戦の可能性を考えると・・・戦力は高い方がいい、協力者を呼んでいただけますか?」
「妹さんと、彼女だね?」
僕は無言で頷いた。

「高町なのはと使い魔・・・じゃなかったユーノ・スクライアに交信を頼む」

場所は変わって
クロノの向かう筈の世界のとあるマンション、障害者が多く住むイタリアではまだ珍しいバリアフリーのマンションの一室

「到着〜八神特急終点です〜」
「ちょっと遅延やったけどな、ありがとシャマル」
「お帰りなさいませ主、帰りが遅いので心配いたしました」
「お帰りはやて!」
車椅子に乗った少女にそれを押す女性、駆け寄ってくる赤髪の少女と大型の喋る犬
八神はやてとその家族は財政支援を受けつつ慎ましく暮らしていた。
「シグナムは・・・今日は遅いんか?」
その場に居ないもう一人の家族を案ずるはやて。
「ん〜、なんか散歩、周囲の警戒も兼ねてるんだって」
「あまり此処は治安が良いとは言えませんからね・・・マンションは個別に鍵掛けてるから大丈夫ですけど」
「そか・・・でも気つけてほしいな・・・心配や」
「だいじょーぶだよ、シグナム怒るとおっかねぇしさ」
「うん・・・ん?・・・あ、留守電か?」
メッセージが三件入っている、一つ目は通院している医師の物で、既に聞いたものだったが・・・
『あ・・・その、ドッピオです・・・昼頃その・・・あ、いや、ちょうど留守の時みたいだったんで・・・夜頃お伺いしても、良いでしょうか?・・・お電話待ってます』
「ドッピオさんですね、まめに気遣ってくれてありがたいです」
「そやな〜おっちょこちょいだけどいい人や」
「あ・・・やべ」
「どしたん?ヴィータ」
二件目のメッセージ

『えと、あ・・・ドッピオです・・・ヴィータちゃんに聞いたら六時頃みんな帰ってくるのでその時に・・・と言うので・・・ちょっと遅いですが、七時ごろお伺いにさせてもらいます・・・』

現在時刻、六時四十五分

「あかんー!ザフィーラ、ヴィータ部屋片付けてー!シャマルは料理手伝ってぇな!!」
「ヴィータちゃん!どうして勝手に呼んじゃうのー!」
「だってさー!遅れるなんて思わなかったから」
一瞬にして騒然となる八神家にシグナムが帰ってきた。


「主、遅れて申し訳ありません・・・外でドッピオ殿が時間を潰していた様なので家に来ていただきましたが・・・」


全員が凍りついた。

海鳴市、高町家なのは自室にて

「と言う事だけど・・・どうする?」
フェレット姿から、人間の姿に一時的に戻り、ユーノ・スクライアが携帯からの魔道文書に目を通しつつ、なのはに聞く。
「危険なんだよね・・・時間がかかるかもしれないなら、学校もお休みだし・・・お父さんやお母さんにも心配かけちゃう・・・」
「フェイトは嘱託魔導師試験をクリアしたらしいから・・・もしかしたら会えるかも」
「そうだね・・・会いたい・・・」
胸元のデバイスを握りこみ、腰掛けていたベッドから立ち上がる。

「うん!行くよ!レイジングハートも・・・頼りにすると思うけど・・・」

『No problem』

「わかった、後日リンディさんが理由付けにこっちに来るって・・・しばらくの滞在だからそれなりの理由が必要だしね」



決定の是非は問わなかった、が、ユーノ・スクライアにはなのはが何かに引かれているようだと言う事をなんとなく感じていた。




そう、スタンド使い(魔法少女)はッ!魔法少女(スタンド使い)に惹かれ合う!!




魔法少女リリカルなのはGE(黄金体験!) 始まります

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2007年07月08日(日) 11:42:23 Modified by beast0916




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