悪魔砲少女対生機融合猫6話

『さぁ仕切り直しだ! 第四ラウンド行って見ようかぁ!?』
デビルアースラから再び冷静さを取り戻したデビルの声が響き渡るが、
次の瞬間デビルアースラにピンク色の魔砲が着弾し、大きく揺らいでいた。
『うおわぁ!?』
「今まで良くも私の身体を好き勝手弄ってくれたね!? 許さないから!!」
それはなのはの魔砲だった。しかしそれだけに終わらず、合体クロミーの重火砲が続く。
「オラオラ!! デビルの相手はオイラ達だって言ってるだろうが!!」
「と言うかあの戦艦に乗り移った状態の方が弱く無いか!?
それとも何か!? あの戦艦は一人の女の子の力にも劣るのか!?」
デビルなのはの強さと比較した際のデビルアースラの弱さのギャップに
合体クロミー内のミーくんも呆れていたが、デビルアースラにはまだ手があった。
『ならば見せてやる!! デビルアルカンシェルを!! 良くて北海道が吹っ飛ぶぞ!!』
「な!! ここでアルカンシェルを使うつもりか!?」
「おい! そのあるかん…? って何だよ!!」
「アースラに搭載されたアースラ最強の武器だよ!! あれはハッタリじゃない!
発動地点を中心に百数キロメートル範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる魔導砲…。
アルカンシェルにはそれだけの事が出来る威力があるんだ!!」
「おお! 何か良くわからんがとにかく凄いって事は分かった!」
「とにかく核とかメガトンミサイルとかより凄い兵器なんだね!?」
かつて起こった闇の書事件にて闇の書の防御プログラムを完全に葬ったのもアルカンシェルだった。
その時は宇宙空間で使用されたから良い物の…、それが地表に向けて放たれたら
どうなるか分かった物では無い。ましてや今のアースラはデビルの力によって
異形の物へと変貌しているのだ。当然デビルアルカンシェルにも恐ろしい力があると見て間違い無い。
そしてデビルアースラはデビルアルカンシェルのチャージを行いながら上昇した。
着弾時の爆発に巻き込まれるのを防ぐ為に宇宙空間から発射しようと言うのであろう。
『グギャギャギャギャ!! これで終わりだなぁ!!』
「こ…この状態…どうすれば…。」
「せっかくなのはを取り戻す事が出来たと言うのに…。」
なのはとユーノは絶望して跪いた。流石にアルカンシェルが相手ではどうにもならない。
が…合体クロミーは違った。
「まだ方法はあるぜ?」
「え?」
「簡単な事じゃねぇか。もっとすげぇ大砲ぶっ放して奴の攻撃ごと吹き飛ばしちまえば良いんだ。」
「あのね〜猫さん…。そういう事簡単に言うけどね〜…。」
なのはとユーノは呆れた。余りにも短絡的過ぎる思考だと。
しかし、合体クロミーは構わずになのはからレイジングハートを取り上げていた。
「あ! 何をするの!?」
「ちょっと借りるぜ!」
今度は合体クロミーの内、胴体部にあたるミーくんの頭部からアームが伸びて
周囲に転がる粗大ゴミを集めて行く。そして悪魔のチップの機械融合能力によって
レイジングハートを中心にした巨大なマシンを作り上げて行き、
なんとまぁ超巨大なレイジングハートが出来上がってしまった。そして
その巨大レイジングハートの上にクロとミーくんの頭部がちょこんと乗っている。
「わぁ! とんでもない物が出来ちゃったの!」
「言うなればジャイアントレイジングハートって所かな?」
「どうだ!? コイツをぶっ放せばあのデビル戦艦の艦砲だってどうにかなるだろ!?」
「でもこんな大きな物持てないよ〜!」
ジャイアントレイジングハートの大きさは既に数十メートル単位の代物になっている。
確かにこれだけ大きければ破壊力はあるだろうが…いくらなんでもなのはにこれを
持つ力などあるわけが無い。
「その辺もっと良く考えてよ猫さん!」
「所詮猫知恵か…。」
「おいこらそこのイタチ野郎! 今さり気なく酷い事言いやがったな!?」
「だってそんな持てない物を作ったって意味が無いじゃないか!」
「二人とも喧嘩はやめてよぉ! それどころじゃ無いでしょ!? でも…この状況一体どうすれば…。」
なのはも呆然と空を見上げる事しか出来なかったが…その時だった。
「それならワシに任せろ。」
「え?」
突如として皆の前に巨大な影が現れた。緑色で一つ目の変な巨大ロボット。
これこそ剛が作った巨大ロボット「オーサム」。そして頭部の操縦席には剛の姿があった。
「剛くん無事だったんだね!?」
「オーサムを引っ張り出してくるのに時間がかかったわい。」
そしてオーサムはジャイアントレイジングハートを楽々持ち上げたのである。
「この大きなレイジングハートはそこのロボットが持つとして…私は何をすれば良いのかな?」
「何言ってるんだ! お前にはこの大砲の生きた動力源と言う重要な役割があるじゃないか!」
「えええええええええええ!?」
「これは酷い爆弾発言だよ!」
「でも事実だろ? これにはエネルギー増幅装置が別に付いてるけど、まずそのエネルギーの元に
なる物が無いと意味が無いからね。さぁ早く乗り込んで!」
すると、ジャイアントレイジングハートの方にもコックピットの様な物が現れ、
しぶしぶなのはは乗り込まされた。おまけにユーノの分もあったりする。
「う…う…私をただの動力源扱いにするなんて…酷いよ…。まるであれじゃない…
随分前にいたじゃない…あの…女性は子供を産む機械とか言った政治家…
あれみたいなもんだよ!! うう〜…。」
「おいおい悲しんでる場合じゃないだろ! 北海道の存亡がかかってるんだぞ!」
とにかく今は悲しんでいる時では無い。ちょっとプライドが傷付こうとも
北海道の存亡には代えられない。だからこそなのははスターライトブレイカー発射準備に入る。
アルカンシェルに対抗出来るのは周囲から魔力を集めて放つ集束魔砲スターライトブレイカーしか無い。
そして周囲に存在する魔力がジャイアントレイジングハートに集められ、エネルギーがチャージされて行く。
「おお! 物凄いエネルギーだ!」
しかもこのエネルギーをジャイアントレイジングハート内の増幅装置がさらに増幅させて行くのである。
「よし! それじゃあ照準を付けるぞ!」
「おお! 正確に頼むぞ剛!」
剛の操縦するオーサムがゆっくりジャイアントレイジングハートを持ち上げ、
既に北海道上空の宇宙空間にまで昇っていたデビルアースラに対し狙いを絞る。

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2007年08月01日(水) 09:23:51 Modified by beast0916




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