500 名前:グリザイアの果実[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:16:32.46 ID:uTjOKr6t0 [2/15]
あらすじ:
風見雄二は秘密機関CIRSに所属する工作員である。
「普通の学生生活がしたい」という彼の願いに応えた橘千鶴を頼り、素性を隠して美浜学園に転入してきた。
だが、その学園は特殊な事情を持つ生徒が集められた学園であり、生徒は雄二を含めてもたったの6人。
雄二は学生生活を送りながら彼女たちと親交を深め、それぞれの抱える心の傷と向き合っていく。


主要人物紹介:

風見雄二(かざみ・ゆうじ)
主人公。2年生。秘密機関CIRSに属する工作員・I-9029。CIRSのエースナンバー9029を持つ凄腕のスナイパー。
『殺害行為に強い嫌悪感を感じる』という自身の特性のため、現在は予備役待遇で時折呼び出されて活動している。
趣味は読書で、博識かつ身体能力抜群でなおかつ昔から女性にモテる美形という超人めいたハイスペック持ち。
少々口が悪いものの冷静で責任感が強く義理堅い生真面目な性格の持ち主なのだが、彼の常識そのものが
特殊な世界の常識であるため一般の尺度で見ると日常的に奇行を繰り返している強烈な天然ボケに見えてしまう。

榊由美子(さかき・ゆみこ)
2年生。お嬢様風半ひきこもり。いちおうメインヒロイン(?)。
干渉を嫌い近づきがたい雰囲気をまとっているが根はとても情が深いクーデレ&ツンデレ。
美浜学園の経営母体である東浜電鉄グループ取締役の一人娘で、美浜最初の生徒。
自分の世界に新たに入ってきた異物である雄二にカッターを振り回すなど過激に反応するも、次第にデレていく。

周防天音(すおう・あまね)
唯一の3年生。長身巨乳Mビッチ。ちょっとエッチな明るいお姉さんキャラで通っているが、
一方で年長者らしくしっかり者で面倒見がよく、特に蒔菜は彼女によく懐いており彼女の部屋でほぼ同居して生活しているほど。
実家は料亭で料理を始めとした家事が得意で、加えてバイクと自動車の免許を持ちドラテクも確かだが乗り心地は良くない。
雄二に対して事あるごとに胸を押しつけるなどの過剰なスキンシップを図ったり何かと世話を焼こうとする。

501 名前:グリザイアの果実[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:22:58.56 ID:uTjOKr6t0 [3/15]
松嶋みちる(まつしま・みちる)
2年生。バカ。やたら派手な色に染めた金髪ツインテールと強気な口調がトレードマーク。
何故かツンデレキャラを意図的に作っている嘘ツンデレで、金髪ツインテールや口調はその一環。
成績優秀者の多い美浜においてぶっちぎりで頭が悪く赤点の常習犯。よく騙されいじられる愛すべきバカ。
一匹の黒猫になつかれており、部屋に連れ込んだり頭の上に乗せたり「猫ニャー」と呼んだりしているが飼っているとは認めない。

入巣蒔菜(いりす・まきな)
1年生。フリーダムロリ。一言で説明すれば『変な子』だが、本当に頭が悪いわけではなく学習能力は高い。
映像記憶能力を持っているものの、記憶したものを引き出すのが苦手なため思い出せない場合も多く完璧とは言い難い。
極度の人見知りであるが、心を許せる相手には打って変わってハイテンションで天真爛漫な性格で割と遠慮がない。
当初は雄二に嫌われることを恐れて逃げていたが、雄二が彼女を受け入れたことで「お兄ちゃん」と呼び慕うようになる。

小峯幸(こみね・さち)
1年生にしてクラス委員。良い子の淫乱メイド。制服着用の場面と就寝時・入浴時を除けばほぼ常にメイド服を着ている。
真面目で仕事熱心。頼めば何でもやってくれるうえ大抵の無茶振りも難なくこなしてしまう万能人だが、
天然ボケ気質で言われたことを曲解しやすく、曲解したままどこまでも突っ走ってしまうため扱いに困る子。
基本的にいつも敬語で話す温和で控えめな人物だが一度決めたことは頑として譲らない部分がありいざと言う時の強制力は美浜一。

橘千鶴(たちばな・ちづる)
美浜学園の学園長。少女チック三十路前。お団子頭に丸眼鏡をかけた童顔と間延びした声が特徴という子供っぽい20代後半処女。
おっとり温和で親しみやすく、相談には親身になって応える姿勢から生徒たちの信頼も厚いが親しまれすぎてナメられ気味。
県知事の娘にして海外留学経験もあるれっきとした上流階級のお嬢様で、裏の事情にもある程度通じている割とできる女。
過去に雄二に命を救われたことからその恩に報いようと彼を美浜に迎え入れた。

502 名前:グリザイアの果実[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:30:11.87 ID:uTjOKr6t0 [4/15]
春寺由梨亜(はるでら・ゆりあ)
雄二の身元引受人にしてCIRSにおける上官。モッサリ金髪。
情報佐官でCIRSの室長補と結構偉いキャリアウーマンで、雄二が無茶できるのは彼女の手腕あってこそ。
『仕事』の都合で帰化した帰化日本人で、旧名ジュリア・バルデラ。雄二は普段JB(ジェイビー)と呼ぶ。
頭の悪そうな派手な金髪巨乳が嫌でも目を引くが、作中トップクラスの常識人かつ苦労人。萌える年増。
雄二の理解者の一人であり、今は亡き彼女の親友が雄二を引き取ったのが二人の関係のはじまり。


重要組織解説:

美浜学園
私立美浜学園。現在全寮制。経営母体は東浜電鉄グループで、由美子の父である榊道昭が理事長を務める。
常勤の教師は学園長の千鶴のみで、彼女の専門外の科目の講師は外部から呼び、希望者のみ講義を受けるという形を取っている。
規模は大きく施設も通常の教育機関よりも数段整っているが、現在試験運用中であるため生徒数が少なく、
授業料で経営が成り立たないため東浜電鉄グループの援助と生徒の親からの莫大な寄付によって成り立たせている状態。

CIRS(サーズ):
正式名称・中央調査部諜報第二分室。
日本の国益を侵す存在を非合法な手段をもって処理する秘密機関。
構成員は表向きには自衛隊に属しているらしく、階級は自衛隊に準拠したものが使われている。
一般には知られていないが警察や政治家など公権力の上層部には触れるべからざる国家の暗部として知られており、
その存在を知る者には"市ヶ谷"という隠語で呼ばれるが、雄二は普段『会社』と呼んでいる。

東浜電鉄グループ
関東圏内に路線を持つ東浜急行電鉄を中心とした私鉄グループ。
世襲グループであり、現在のトップは由美子の父・榊道昭。
日本を代表するレベルの大グループだが、強引で悪どい拡大手法から『盗品急行』とも揶揄される。
日々勢力を拡大し続けているが、先代の強引な手法を引き継いでいる道昭の独裁を疎んでいる者も多い。

503 名前:グリザイアの果実[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:35:34.84 ID:uTjOKr6t0 [5/15]
みちるルート共通:

いつも騒がしくおバカな美浜のムードメーカーであるみちる。
一切病気にならない頑丈な彼女だったが、何故か『親友』というワードを聞くと毎度調子が悪くなっていなくなる。

その日いなくなったみちるを心配した雄二が彼女を追いかけると、みちるは海辺の丘に一人佇んでいた。
みちるはいつものような脳天気な笑顔を向けてくるが、どうも雰囲気が違う。
雄二が「お前は誰だ」と問いかけると、みちるは『みちる』ではないことを認める。
知的で達観した雰囲気をまとったみちるに『親友』について聞いてみるが、彼女は特に何も知らない様子。
逆にみちるは雄二に『恋人』について聞き、「やったことがないからキスをしてみていい?」と言って雄二にキスをする。
その後みちるは普段通りに戻るが、みちるのバカさと雄二の天然ぶりが重なって
「あの時みちるがしたことを再現する」という事になり、雄二はみちるにキスをしてしまう。

キス以後のみちるは傍目に見てもおかしな状態で、雄二を見ると顔を赤らめて取り乱すようになる。
雄二の前でみっともない姿を晒したことで落ち込んでしまったみちるを放置する雄二に業を煮やした
『もう一人のみちる』が雄二に『みちる』を慰めるように言うと、
素直になれないみちると雄二の天然さが奇跡のように食い違い「デートごっこ」と称して
おめかししたみちるが雄二のトレーニングにバテバテになりながらついていくという珍妙な光景が日常化する。

猫に「ニャンメル」と名づけたり、水着を持って海に行ったりなど
穏やかな日々を過ごす二人だったが、「今が楽しくてもそれはずっと続かない」という話題に触れると
それから一転してみちるは部屋にひきこもるようになってしまう。

504 名前:グリザイアの果実・みちるルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:40:59.96 ID:uTjOKr6t0 [6/15]
雄二は珍しく外に出ていたみちるに話しかけるとそれは『もう一人』のほうだった。
彼女曰く『みちる』は依存してしまった後いつか失われるのが怖くて雄二に近づけない状態であり、
『みちる』がこれ以上おかしくなる前に医者に診せるべきだという。

雄二は『みちる』に『もう一人』の存在を明かし、医者にかかるように説得しようとするが、
みちるは今まで雄二がみちるに付き合ってきた事に『もう一人』の影響があったことにショックを受け、
「あたしより上手く生きられるならその子があたしの代わりをしたほうがいいのかも」と漏らす。

翌日。久々にデートしようというみちるに付き合うことにした雄二。
だが、いつものデートごっこと違ってニャンメルがいない。
二人はニャンメルを探すと道端で車に轢かれたらしきニャンメルを発見。
必死に動物病院を目指すもニャンメルはみちるの腕の中で息を引き取ってしまい、
身近な大切なものを失ってしまったことに強烈なショックを受けたみちるは精神安定剤を大量摂取して倒れてしまう。

体調が回復した後もみちるはさらに不安定になっていく。
「何も望まない、ただ生きていればいい。それで全てが解決する」と嘯き、
雄二と距離を置いて必死にいつも通りを装うがうまくいかない。
やがてみちるは自分が誰にも必要とされていないのではないかと思い込んで不安に陥り、
「恋人ごっこ」と称して雄二との繋がりを懇願する。

505 名前:グリザイアの果実・みちるルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:46:13.33 ID:uTjOKr6t0 [7/15]
落ち着いたみちるは彼女の半生について話し始める。

みちるは裕福な家に生まれ、幼い頃から多数の家庭教師をつけた英才教育を受けていたが成果なく、
親に文句を言われた家庭教師に虐待を受けたうえ、心臓病が見つかったことで親も彼女を見限り暗い性格になる。

彼女は自殺しようとするが、偶然同じ場所で自殺しようとしていた女の子と出会ったことで親友になる。
一時は希望を見出したみちるだったが、後にその親友に目の前で飛び降り自殺されてしまいそのショックで心臓病が悪化。
病気は心臓移植で回復するものの、代わりにドナーの人格がみちるに宿り二重人格になってしまう。

みちるの状態での記憶は『もう一人』にもあるが、『もう一人』の状態での記憶はみちるにはない。
そのためみちるは当初自身の状態に気づいておらず、要領のいいもう一人の人格は
みちるが困った時に無意識のうちに交代してトラブルを解決してあげていたが、
よかれと思ってしたその事が裏目に出てしまい、みちるは自分が知らない自分が求められていることに混乱。
自身の存在に疑問を抱いてしまい追い詰められたみちるは自傷行為に走ってしまう。
こうしてみちるは「自分を出すと皆が不幸になる」と思い込んでキャラクターを偽るようになったのだった。

みちるは翌日から数日間検査入院をすることになり、雄二は病院へ出発するみちるを見送るが、
去り際の「今までありがとう、さよなら」という別れの言葉に一抹の違和感を覚える。


みちるバッドエンド:Fool on the hill

数日後。戻ってきたみちるは今まで見てきたどのみちるとも違うみちるだった。
検査入院の初日に隠し持っていた薬とアルコールを大量摂取し自殺しようとしたが
病院の処置により死にきれず、脳に障害が残ってしまったのだ。

雄二はまるで幼児のようになってしまったみちるを連れ、あの海辺の丘へと向かう。
風に飛ばされてきた白いビニール袋を「ニャンメル」と呼び抱きしめるみちる。
雄二はこれからもみちるを見守ろうと決意するのだった。

506 名前:グリザイアの果実・みちるルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:56:14.81 ID:uTjOKr6t0 [8/15]
みちるトゥルーエンド:わたしのきもち

数日後。戻ってきたみちるは『みちる』ではなく、『もう一人』のほうだった。
雄二が問い詰めると『みちる』は彼女に全てを任せて生きることを放棄してしまったのだという。
雄二は『もう一人』が『みちる』の幸せを願っており、彼女の望みを何より尊重していることを確認すると、
彼女がいつも薬と一緒に持ち歩いていたラムネを薬と偽って『みちる』を無理矢理引きずり出す。
雄二が「みちるはどうしたいのか」と問い詰めると、『みちる』は「死にたい。もう悲しいことは嫌」と言って意識を失う。

目を覚ましたみちるは筋弛緩剤を打たれて箱の中に収められていた。
雄二は身動きできないみちるをクラスメイトたちに死んだと偽り、最後の別れを告げさせる。
箱に収められたままのみちるはその喪失を信じられない一同、特に誰よりも他人に無関心そうな
由美子が自分の死に取り乱す様子を見せられた後、箱の中に収められたまま土中に埋められる。

筋弛緩剤が抜け、改めて孤独と死を実感したみちるは自分との対話の中で「幸せになりたい」という気持ちを自覚。
必死に土の盛られた蓋を押し上げると、そこには雄二が三日間不眠不休でみちるを待ち続けていた。
雄二はラムネを薬と偽っただけで出てくるのなら、『みちる』は本当に死にたいと願っていないと確信していたのだ。
みちるは雄二にいつか悲しい別れをすることになってももう逃げないと誓い、本当の恋人になりたいと告白する。

みちるはもう消えたいと考えることはなくなったが、
代わりにあの日以来『もう一人』が一切出てこなくなってしまっていた。
みちるは彼女の心臓のおかげで今自分が生きていること、
彼女はずっと自分のために行動してくれていたことから恩返しのために彼女の願いを叶えたいと雄二に告げると、
雄二はラムネを薬と偽ったことを応用し、みちるに「鏡を見つめ続ければいずれ出てくる」と思い込ませて彼女を呼び出す。

507 名前:グリザイアの果実・みちるルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:01:34.62 ID:uTjOKr6t0 [9/15]
彼女は少女時代ちょっと変わったことがあった程度のごく普通のアメリカ人の女の子だった。
だが突然の交通事故で植物状態になり、意識はあれど体は一切動かなくなってしまう。
母親は献身的に彼女の世話をし続けていたが、父親は何の兆候もない娘の姿に
「俺たちを縛りつけるだけだ」と徐々に苛立ちを隠せなくなっていく。
やがて母親も限界に近づいていき、このままでは自分たちが壊れてしまうと判断した父親の独断により
彼女は移植用ドナーとして提供され、その心臓はみちるに移植されたのだった。

『もう一人』から「できるなら、もう一度両親と逢いたい」と聞いた雄二とみちるは
JBの協力のもとみちるの心臓のドナーの実家を訪ねることにする。
『もう一人』の母親は守秘義務により移植者の情報を知らなかったが、
みちるを気さくに自宅に入れたうえ、自分にも生きていればみちると同世代の娘がいたこと、
去年死別した夫も千羽鶴を作るなどして娘のことを心から愛していたことを語り、その後も文通をすることになる。


その後。二人のみちるは同時に表に出られるようになり、任意での交代もできるようになっていた。
『もう一人』が母親への手紙を書き終えて『みちる』に交代すると、
『みちる』は手紙にこっそりと「娘さんの部屋の天井裏を調べてみてください」と書き足す。
天井裏は『もう一人』が大事なものを隠す場所。手紙を受け取った母親が天井裏を探ってみると、
そこには「おかあさんいつもありがとう だいすき」と書かれた子供の絵が隠されていた。

509 名前:グリザイアの果実・由美子ルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:17:57.34 ID:uTjOKr6t0 [10/15]
由美子ルート共通:

クラスメイトともある程度距離を置き、集団行動時以外はほぼ一人で行動している由美子。
雄二は彼女と互いに必要以上に踏み込まないようにしており、彼女のプライベートについて知っていることと言えば
趣味が読書と写生であることと、父親である榊道昭とあまり仲が良くないことぐらいだった。

ある日、雄二が由美子の写生に付き合っていると、黒服の集団が由美子を狙って襲ってくる。
その場に居合わせていた雄二により守られた由美子は、雄二に個人的に今後の護衛を依頼する。
当初は雄二も片手間であしらえる程度だったが、日を追うごとに数や質が上がりついには雄二も怪我を負ってしまう。
由美子はそんな雄二に心を許し、自らの出自を語り始める。


由美子は東浜電鉄グループの世襲2世である父・道昭と、落ち目の旧家に生まれた母との間に生を受けた。
しかし、生まれてきた彼女が父や祖父母が欲した跡取りとしての条件を満たさぬ『女』であったことが悲劇の始まりとなる。

母は生来体が弱く、二度の出産には耐えられないと判断されて父に見限られたことで心身を病み、
体調不良の名目で由美子ともども実家に出戻らされ入院することになる。
『商品価値』のない由美子は祖父母に疎まれ、父には目をかけられず、母を除けば心を許せるのは隣家の老婆一人。
学校では一人、家でも一人の孤独な環境に耐えながら母の見舞いを続けていたが、やがて理解者だった老婆も失ってしまう。

絶望しかけていた由美子にとって唯一の救いだったのは、母の体調が少しづつ好転に向かっていたことだった。
だが、退院を間近に控えたある日、由美子に付きまとっていた雑誌記者から1つの記事を見せられる。
「東浜電鉄グループ総裁の愛人に待望の男児誕生、現夫人とは離婚に向けて協議中」
わき目も振らず駆けつけた由美子が病院で見たものは、記事の真実を裏付ける弁護士の群れと、
記事を読んだことによるショックで廃人同然となってしまった母の姿だった。

510 名前:グリザイアの果実・由美子ルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:26:42.47 ID:uTjOKr6t0 [11/15]
母の容態悪化により離婚はうやむやになったものの、母は遠方の施設へ入れられ治療の目処が全く立たず、
祖父母からの風当たりは以前にも増して強くなり、グレようとしても不良からも拒絶され由美子は失意の日々を過ごす。
1年後、空虚な毎日を過ごしていた由美子の前に突然父からの使いが訪れ一緒に暮らしたいと言ってくる。
祖父母に売り渡されたのだと気づいていたが、元より今の生活にも愛着もなかった由美子は祖父母の家を出ることにする。

最初は何も期待せず言われるがままお嬢様学校へと転校し以前同様淡々と日々を送る由美子だったが、
道昭の謝罪の言葉をきっかけに態度を軟化させ、それに伴って学校でも友人が出来るようになり、気持ちも徐々に上向いていく。
そうして家に戻って約1年。幸せになれるかと思った矢先に由美子は使用人たちの話を偶然盗み聞きしてしまう。

「愛人に産ませた男の子が死んだから、子供の中で一番頭がよく操り易そうな由美子が体のいい操り人形にするために選ばれた」
「道昭は興信所を使って過去を調べ上げ、精神科医の指導を受けながら由美子に気づかれぬまま洗脳を施していた」

二度までも父に裏切られていたことを知り絶望する彼女に追い討ちをかけるように、
友人だと思っていた人物が実は榊家の内情を知るために由美子を利用しようとしていただけだったことを知ってしまう。
家族にも友人にも裏切られた由美子は他者を拒絶。学校でカッターを振り回し生徒に怪我を負わせるという事件を起こしたため、
彼女を世間から隔離し体よく管理下に置くための『鳥籠』である美浜学園が造られたのだった。

511 名前:グリザイアの果実・由美子ルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:34:34.54 ID:uTjOKr6t0 [12/15]
その後雄二はJBを通して襲撃犯の正体が未だに由美子が翻意しないことに痺れを切らした道昭の手の者であることを知る。
どうやら道昭はCIRSのほうにも圧力をかけており、JBも雄二をこれ以上かばい立てすることが難しい状況にあるという。

雄二が寮に戻ったとき、由美子が寮まで出張ってきた黒服集団に拉致されてしまっていた。
雄二は追いかけて彼女を救出するが、もはやどこにも安全地帯のない二人は逃亡生活を余儀なくされる。

素性を隠し細々と逃亡生活を続けて1年。由美子は家事がまったくできないため、
雄二が外で働いて帰宅したら家事をし、由美子は部屋から出ることがないというサイクルが続いていた。
雄二の力になりたい由美子はせめて家事をしようとするが、悉く失敗し大惨事となる。
長い逃亡生活のストレスがそれを引き金に爆発し、自己嫌悪に陥った由美子は
衝動的に雄二だけは見逃してもらおうと道昭に連絡をつけようとし、それが元で居場所を知られてしまう。
逃げるか、戦うか。二人はこれからの生きる道を決める岐路に立つ。


由美子ノーマルエンド:ひとつの道から
逃げ続けることに決めた二人。だが、その逃亡生活は長くは続かなかった。
道昭が養子を取るという強行手段に出たのだ。
唯一の後継者でなくなった以上、道昭が無理に由美子を追い続ける理由はない。
JBの尽力と上からの指示により雄二も『仕事』から解放され、二人は自由の身となる。

雄二は漁港で働き始め、由美子も家事ができるようになり、二人の間にはやがて子供が生まれる。
二人は我が子の顔を見つめながら、いつかこの子が今は失われてしまった絆を取り持ってくれる日が来ることを願うのだった。

512 名前:グリザイアの果実・由美子ルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:43:16.81 ID:uTjOKr6t0 [13/15]
由美子トゥルーエンド:ロワゾー・ブリュー

二人は戦うことを決め、雄二は逃亡する前から準備してきた策を発動する。
雄二はJBや幸を通して東浜電鉄グループの反対派を取りまとめ、1年かけてようやく過半数を集めていた。
この票をもって臨時株主総会を開き、道昭を取締役から解任しようというのだ。

二人は道昭を美浜学園に呼び寄せる。
道昭は由美子に諦めて人形になるように誘うが、由美子は正面からそれを拒み決別する。
だが、道昭は動揺を見せない。反対派取りまとめ工作は既に読まれ握り潰されていたのだ。
驚愕する由美子。そこに道昭へ電話が入る。その相手は国土交通大臣。
反対派工作はあくまで真の狙いを隠すためのフェイクであり、
雄二の真の狙いは最初から東浜電鉄グループの筆頭株主である国土交通省を動かすことにあった。
様子見に徹していた反対派も合流した圧倒的多数で解任の決議が下り、勝敗は決する。

以後は美浜に戻りほぼ以前通りながら少し違った日々を過ごし始めるが、
そんな由美子のもとに、道昭が彼女に持ち株の全てを委譲したという連絡が入る。


※補足
国土交通省が動いたのは、拡大を続ける東浜電鉄グループが国益に抵触する範囲にまで手を出したことで
CIRSの排除対象として認められていたため。雄二たちが動かなくてもいずれ道昭は破滅する運命にあった。

514 名前:グリザイアの果実・由美子ルート[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 21:53:48.50 ID:uTjOKr6t0 [14/15]
3年後。由美子は委譲された株を元手に大学に通いつつ起業し、雄二は『会社』を辞めて彼女を支えていた。
雄二は由美子を遠出に連れ出す。その行き先はかつて由美子の母が入院し、亡くなった病院。
そこには3年前から失踪していた道昭の姿があった。
雄二は由美子を病室の前に残し、道昭に東浜電鉄グループを大きくするという目的のため
非情なまでに道昭を突き動かしていた執念の理由を問い始める。

道昭は9歳の頃からグループ創業者である父から帝王学を叩き込まれ、虐待同然の強迫的教育を受け続けたことで
父が亡くなる頃には父のコピーとして動く完全な人形となっていた。
今となって過去を鑑みても、愛や情を理解できない自分の心はそれを悔いることすらできないと嘆く道昭に、
雄二もまた絶望を絶望と感じることもできなくなったこと、由美子の存在が少しづつ人間の心を取り戻させてくれていることを語り、
どう生きるかは口出ししないが、由美子のために生きていてくれと頼む。
去り際の雄二に道昭は「由美子を自分のような人形にせず、人間として幸せにしてやってくれ」と懇願するが、
雄二はその頼みを断り「いつかアンタも一緒に由美子を幸せにしなくてはならないから」と言い残してその場を去る。

さらに5年後。雄二と由美子の間には一人娘が生まれていた。
道昭は入院していたが、由美子との対話によって少しづつ快復しようやく退院が認められる運びとなった。
由美子は一度は断ち切られてしまった家族の絆をようやく取り戻したのだった。

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