211 :新・御神楽少女探偵団1:2005/06/05(日) 02:50:26 ID:Nd3JpCHI
  〜これまでのあらすじ〜
『御神楽少女探偵団』
時は大正の世、「帝都の名探偵」と謳われる御神楽時人探偵事務所の物語。
所長の御神楽時人は推理能力「だけ」がずば抜けている青年探偵(ヤン・ウェンリーっぽい)
推理以外はダメダメなので、助手の女の子三人組が彼の手足になってバックアップ。
ポニーテールの元気っ子、巴。経理担当の眼鏡っ子、千鶴。子爵家令嬢で時人に惚れている、滋乃。
調査や聞き込みは三人組が担当し、時人はおいしい所だけ登場してズバズバ謎を解決していく。
さらに、時人憧れの女性である未亡人の大家さん・守山美和や、金髪ショタ美少年・蘭丸もいる。
彼らを巻き込んだ猟奇事件、人の業をえぐるようなストーリーに、名作の風格を漂わせたが……
「巴が時人を銃で撃つ」シーンで唐突にEND。「続編に続く」ときたからプレイヤーを発狂させた。

『続・御神楽探偵団 〜完結編〜』
プレイヤーがトラウマを抱えつつも待ちに待ってた完結編。例の撃たれた後のストーリーも完備。
そして最後の事件では………時人は、国宝級の仏像の盗難に絡んだ殺人事件に巻き込まれる。
調査と推理の末に時人が行き着いたのは、想い人である守山美和が犯人であるという真実だった。
美和は亡き夫の敵討ちをしていたのだ。時人は想いを伝え、自首を勧めるが、美和は受け入れない。
彼の力を必要とする多くの人々のために、時人は自分のような汚れた女と結ばれてはいけないのだ。
美和は断崖から波間へと消え、差し伸べた時人の手は空を切った。
「その力で多くの人を救って、時人さん」―――時人には、その言葉だけが残された

かくして御神楽少女探偵団は完結し、ほどなくしてメーカーのHUMANも消滅する。
それゆえファンには忘れられない作品となり、隠れた名作として静かに語り継がれていった……
しかし、(何故かエロゲーになって)御神楽少女探偵団は帰ってきた!

『新・御神楽少女探偵団』
あの事件の後、所長の時人は失踪した。探偵事務所は休業状態、そうして二年の月日が流れた。
ある日、満州で働いている滋乃の兄から「大連で時人を見かけた」という情報が入る。
三人組は時人を見つけ出すために、大陸行きを決意するのであった。

212 :新・御神楽少女探偵団2:2005/06/05(日) 02:51:20 ID:Nd3JpCHI
第一話「殺されるべき男」
<捜査編・前>
大連に到着した三人組。早速、時人の目撃情報があったとされる「逢坂町基督教会」に赴く。
しかし教会で彼女達を待っていたのは、神父の無残な死体であった。
被害者は、畑中という敬虔で真面目な青年神父。自室において、両腕を切断されて死んでいた。
他に外傷はないが、死後に腕を切られた可能性もあるという。さらに所持品の日記が紛失している。
その日の神父は朝から顔色が悪く、部屋に篭り切りだったらしい。
そして死亡推定時刻の頃合に、神父の部屋に入ってゆく人間はいなかった。密室状態だ。
さらに神父は、教会の土地を巡るトラブルに巻き込まれており、その件で時人に相談をしていたという。
そのトラブルの相手は、料亭『ことら』店主「寝間虎蔵」。土地を売るよう強要されていたとのこと。
三人は寝間に会いに行こうと出発するが、その途中、教会を寂しげに見やる清楚な美女と出会う。
「美作すえ」と名乗る彼女は、別れ際に気になる一言を残すのだった。
『あの人は、殺されるべき男だった』と……

割烹料亭『ことら』の実の姿は、娼館であった。
店主「寝間虎蔵」、その愛人「浜中夕子」、使用人の「林琴次郎」によって経営されている。
寝間らの恫喝的な態度に追い返される三人だったが、彼らが時人を知っているような様子に不審を抱く。
周辺調査を進めた三人組は、寝間が目障りな時人を捕らえるように、人を動かしていたことを知る。
苦力(中国人肉体労働者)のボスである「梁錫龍」という老人に、急いで協力を仰ぐ三人。
錫龍は、苦力間のトラブルを解決してくれた時人に対して、深い恩義を感じている老人だった。
そして錫龍の力によって、遂に時人の監禁場所が割り出されたのだが……。
その監禁場所とはアヘン窟であった。時人はアヘン漬けにされ、ボロボロの廃人となっていた。
寝間による監禁とは別に、今までの帝都での事件によって時人は傷つき、疲れ果てていたのだ。
そんな時人の心は、まるでアヘン窟を最後の安息地とするかのように、煙の中で死んでいた。
動揺を隠しきれない三人に、さらなる凶報が舞い込む。寝間虎蔵が殺害されたのだ。

213 :新・御神楽少女探偵団3:2005/06/05(日) 02:53:37 ID:Nd3JpCHI
<捜査編・後>
寝間は『ことら』の娼婦調教SMルームで、畑中と同じように両腕を切断されて死んでいた。
ただし脇腹に刺し傷が発見される。ドアには鍵がかかり、今回も密室状態。
その部屋のカギは4個あり、それぞれ寝間、琴次郎、夕子、そして美作すえが持っていた。
実は美作すえは『ことら』の娼婦であり、かつ寝間お気に入りの愛人2号だったのである。
死亡推定時刻は夕方頃。本来寝間は、会合に出かけて夜まで帰ってこないはずであった。
しかし自動車が途中で故障したため、会合に出席せずに徒歩で帰ってきたのだ。殺害はその直後とされる。
遺体の第一発見者は愛人・浜中夕子。
翌朝になって部屋の鍵を開けた彼女は、その殺害状況に激しく動揺して、気絶してしまう。

連続した陰惨な事件に、大連の街では怪しい噂が飛び交っていた。「これは食屍鬼の仕業だ」と。
人を殺して四肢を喰らう「食屍鬼」という伝説があるのだ。その噂に、警察は捜査を撹乱され始めていた。
そんな中で三人は、美作すえと畑中神父が、そして琴次郎と夕子が、それぞれ恋仲であったことを知る。
さらに、『ことら』に身売り少女を仲介する「人買いの清次郎」と「コウ」という老婆に接触する三人組。
そこで畑中神父がコウの捨てた子であること、すえも清次郎が連れて来た娘であることを知るのだった。
畑中の出生の秘密は、教会に出入りする人も知らない事実であった。
しかし「コウ」という醜悪な老女の姿は、教会近くで度々目撃されていたのだ。
畑中が殺された日の朝もコウは教会を訪ねてきており、そしてその本名を聞いていた者もいた。
「美作コウ」であると。

一方、いつも『ことら』の門前で掃き掃除をしていた丁稚が、事件の後に突然クビになったと情報が入る。
「定吉」というその少年は、無理矢理に日本に帰されるところであった。
事件との関わりを察知した三人組は、定吉と接触するために大連港へと急ぐ………

(ここまでのネタバレで真相は分かります。各自、犯人・動機・殺害状況を推理してから<解決編>へ)

214 :新・御神楽少女探偵団4:2005/06/05(日) 03:02:17 ID:Nd3JpCHI
<解決編>
定吉は寝間が外出する度に、自動車が帰ってこないか見張る役目を負っていた。
寝間に隠れて愛し合う琴次郎と夕子に、その帰りを知らせるためである。
しかしあの日は、寝間は車で帰ってこなかった。そのため定吉は気づかなかった。
琴次郎と夕子はSEXの最中を寝間に見つかり、前々から憎んでいた彼を刺したのである。
巴は決着をつけるため一人で『ことら』に乗り込むが、逆に琴次郎達に捕まって犯されそうになる。
間一髪で助けたのは、アヘンに侵されながらも懐かしい「帝都の名探偵」の眼差しをした、時人であった。

時人の復活と琴次郎・夕子の逮捕に、喜ぶ三人組。しかし時人は、畑中事件の真相は別だと語り始める。
畑中神父と美作すえは、実の兄妹であった。あの日の朝、コウは息子にその真実を教えに来たのである。
畑中は、近親相姦の大罪を犯してしまっていたのだ。敬虔で生真面目な彼は、罪に耐え切れなかった。
彼は同じく教義上の罪である「自殺」に踏み切ってしまう。真相を日記に書き、畑中は手首を切った。
その夜、すえは畑中の部屋を訪れ、日記によって彼の苦悩を知るのである。彼女は畑中の腕を切った。
「そうですよね、すえさん?」 時人の前には、すえがやって来ていた。
寝間の事件の時も、彼女は後から偶然現場を訪れて、死体の腕だけを切っていったのである。
そうすることによって畑中の事件と関連づけられ、「食屍鬼による殺人」と捜査が撹乱されるからだ。
そう、殺人事件でなければならなかったのだ、畑中の事件は。
すえと愛し合ったことで、畑中は悲しい決断を迫られてしまった。
その敬虔で生真面目な人格を、死後に貶められてはいけない。手首に傷があってはいけないのだ。
「畜生道に堕ちて、教義に反する自殺をした神父」という非難は、畑中のような青年には似合わないのだ…
だから、あの人は自殺ではなく――。すえは寂しげに、巴達に言った。
「『殺されるべき男』だったんです」

こうして街を恐怖に陥れた事件は解決され、帝都の名探偵の名は大連に轟き渡った。
しかし、畑中事件の真相が明かされることがないだろう。時人は私立探偵であって、警察ではないのだ。
ここに二年の歳月を経て、「御神楽探偵事務所」は復活したのである――


194 名前:新・御神楽少女探偵団[sage] 投稿日:2017/03/05(日) 21:52:10.39 ID:bAtXOhA+0 [2/5]
第二話「呪香」
<捜査編・前>
事件解決から一週間後。三人組は時人の療養のため、まだ大連に滞在していた。
そして前回の活躍で大連にも名を響かせた御神楽探偵事務所に依頼が舞い込む。
依頼人の女性は「鶴牧要」。普段は姪の「知佳」の家庭教師をしている。
要は義兄「伊福部武明」が秘めている心配事を調査して欲しいと言う。
調査を進めていると、侵入者に怒鳴る武明の声が屋敷に響き渡る。
だが武明の部屋に駆け付けた皆が見たのは、青褪めた表情で立ち尽くす父と娘の姿だけだった。

二人が一度部屋を離れてから戻った時、武明は急に怒鳴ったのだという。
部屋には麝香の匂いが微かに漂い、誰かが侵入して香を焚いたのだと分かる。
だが屋敷の全員にアリバイがあり、部屋を離れた時間も僅か。動機も分からない。
一方知佳は、いかにも軽薄な浪曲師「玉月福春」に恋していて、その晩も激しく愛し合った。

そして翌朝、向かいの空き家で三流フリーライター「塔婆丈治」の死体が発見される。
第一発見者は要と使用人。死因は急性ニコチン中毒によるもの。
出入りの痕跡が塔婆のものだけな事から警察は自殺と考えたが、三人組は釈然としない。
そこで屋敷を遠巻きにする怪しい男を見かけて追いかけるが、逃げられてしまう。
だが男は一枚の紙を落とした。そこには暗号のように源氏物語の巻名が書かれていた。

195 名前:新・御神楽少女探偵団[sage] 投稿日:2017/03/05(日) 21:52:37.95 ID:bAtXOhA+0 [3/5]
<捜査編・後>
時人は全てが一本の線で繋がると考え、三人に調査を進めさせる。
逃げた男、そして浪曲師「玉月福春」の雇い主は興業屋「矢野茂」だった。
検死結果と現場の状況から、塔婆は一人でいる状態で毒針で死んだとされる。
更に塔婆の口座には大金が振り込まれていて、事件の闇は一層濃くなる。

知佳は武明と福春を避けるようになり、落ち込んだ様子で過ごす。
武明も妙な動きをしていて、十数年前に失踪した軍人「佐野四郎」の記録を調べていた。
実は四郎と武明は同じ病棟に収容された負傷兵で、親友と呼べる仲だった。
武明の亡き妻「咲枝」も当時その病院の看護婦で、四郎と武明は恋のライバルでもあった。
しかし四郎は南の坑道付近の目撃情報を最後に、失踪してしまったのだった。

この失踪事件が現在に繋がっていると考え、三人は手がかりを探す。
咲枝の遺品から同じ暗号文が見つかるが、こちらは「桐壷」が「夕霧」になっていた。
病院の資料からは当時の患者名簿に「矢野茂」の名前が見つかる。
その他、塔婆のカメラが現場から消えた事や、要が福春と関係していた時期がある事が分かる。
知佳は三通の封筒を受け取っており、二通は知佳の出生の秘密を仄めかす手紙。
武明がお香に過剰反応する事を証拠としていて、知佳は手紙の指示に従って香を焚いたのだった。
そして三通目で秘密が明かされるはずが、届いたのは福春との情事の写真と別れろという脅迫文。
三人は知り合いに源氏香の話を聞き、その香りに対応する巻名と紋様があると教えられる。
ただし組み合わせの数の問題から「桐壷」は存在しないのだという。
時人はこれまでの情報で真相の推測が立てたが、要が屋敷に戻っていない事を知り助けに向かう。

196 名前:新・御神楽少女探偵団[sage] 投稿日:2017/03/05(日) 21:53:51.51 ID:bAtXOhA+0 [4/5]
<解決編>
時人は秘密クラブから要を救出し、真相を確かめる。
福春と矢野は結託し、盗撮写真をネタに女性達を脅迫してきた。
要も毒牙に掛かったが、知佳だけは守ろうと塔婆を毒殺。三枚目の手紙を偽造して福春と別れさせた。
毒針はファインダーに仕掛けた。塔婆は盗撮直後に死に、カメラは死体発見時に回収。
時人の推理を認め、要は武明への想いを打ち明ける。

当時姉妹の家には借金があり、武明はそれを肩代わりする形で咲枝を娶り、要の生活も支えた。
要は自分達は金で買われたのだと思っていたが、病死する直前の姉から肉体関係がないと教えられる。
咲枝は四郎の子供を身ごもっていて、武明は親友の恋人と子供を支えるためだけに結婚したのだと。
それから要は武明の誠実さに惹かれながらも想いを隠してきた。
だからこそ、矢野達に強要されてきた行為を武明に知られる事は死よりも辛い。
そうして要は、三人組に依頼する事で矢野の陰謀を暴いて欲しいと願っていたのである。

要の告白を聞き届けた時人は、関係者一同を四郎の失踪した坑道に集め、真相を語り始める。
武明は四郎の失踪前日、悪戯のつもりで暗号文の一部を「桐壷」に書き換えた。
だが暗号文の正体は、巻名を紋様に置き換える事で完成する坑道地図であった。
坑道で逢瀬する四郎と咲枝の自作地図に手を加えた、それが失踪の原因ではないかと武明は悩んだ。
そして数週間前、失踪事件の真相を暴露すると脅迫状が届いた。
しかし、そもそも源氏香に「桐壷」は存在しない。
地図を作った四郎がそれに気付かないはずもなく、時人は朽ちたナイフと白骨死体を発見する。
真犯人は、殺した四郎の地図を持っていて、当時病院で武明が地図を書き換えるのを目撃できた人物。
『矢野茂』。矢野は咲枝への横恋慕から四郎を殺害、武明の事も憎み続けていたのだった。

矢野と福春は逮捕され、坑道の外では心配げな知佳が待っていた。
時人は能天気に笑いかけ、手紙はデタラメで知佳は武明の本当の娘だと教える。
武明と知佳は抱き合い涙を流すのを背に、探偵事務所の面々は去っていく。
時人が最後まで口にしなかった、武明が脅迫に屈した本当の理由。
それは実の親子ではないと知って知佳が傷付くのではないかと憂う、親心ゆえの事でしたとさ。

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