451 名前:天結いキャッスルマイスター ◆l1l6Ur354A :2017/06/11(日) 17:42:13.61 ID:4RsFpOUG0
主人公アヴァロは迷宮の探索と修復、そして建造を専門にする魔法使い「鍛梁師」を生業とするハーフエルフの青年。
独立し自分の工房を持つことを夢見るアヴァロだがハーフエルフであることから仕事に恵まれず各地を放浪して生きてきた。
ある日のこと、インフルース王国の遺跡調査をしていたアヴァロは崩落事故に巻き込まれそこで記憶喪失の少女と出会う。
縁結びの現神フィア。
この巨大な移動要塞「グアラクーナ城砦」そのものだと言うフィアはアヴァロに契約を持ちかける。
神は自分を信仰する人間から力を得る。
だから自分の使徒となり聖地「神響の霞廊」へ向かう手助けをして欲しい。
それは一介の雇われ技師に過ぎないアヴァロにはあまりに危険な選択。
王国の所有物である遺跡を無断利用し立ち入りの禁じられている聖地へ侵入する。
王国、いや世界全てを敵に回してもおかしくない大罪だ。
だが女神が出した交換条件はあまりに魅力的だった。
もし引き受けてくれるならこのグアラクーナ城砦をアヴァロの工房にしていいよ。
迫害されるハーフエルフの身には生涯届かぬかもしれない遠い夢。
それを叶えるチャンスは今しかないのかもしれない。
かくして契約は成立した。二人はグアラクーナ城砦を起動させ北上を開始する。

452 名前:天結いキャッスルマイスター ◆l1l6Ur354A :2017/06/11(日) 17:42:41.99 ID:4RsFpOUG0
三神戦争で機械女神が敗北して以来、文明の退化したディル=リフィーナの世界では
グアラクーナ城砦は戦争の決定打となりうる危険で魅力的な存在。
インフールス王国の王子ギルシュを筆頭に各地の勢力がその力を奪おうと襲来してくるが
手にした強大な武力を用いずグアラクーナ商会として人々の役に立とうとするアヴァロを慕い集まった仲間たちの活躍でこれを突破。
遂に神響の霞廊の目前まで辿り着くがそこでこれまでアヴァロの周囲で暗躍してきた商人ガイダルから衝撃的な事実を知らされる。
フィアが自分自身の肉体の一部だと考えてきたグアラクーナ城砦。
その正体は人間から高度な文明を奪い信仰を強制する現神に反旗を翻した人間が
人間に同情し協力を申し出た一部の神を動力として作り上げた禁忌の超兵器だったのだ。
世界を支配する現神たちが自分たち神を利用する兵器の存在を許す訳がない。
このままではいずれフィアは城砦ごと神々とその僕たちの手により抹殺されてしまうだろう。
ガイダルは自分ならばフィアと城砦を切り離し助けることが出来ると語る。
城砦はそれを作った人間族の血を引く者だけが操作できるのだ。
(アヴァロもガイダルと同じくその末裔だがハーフエルフのため完全な制御ができない)
対価は自分も共に神響の霞廊へ連れて行くこと。
神響の霞廊には城砦の作成情報が封印されている可能性がある。
その封印を解き城砦の力で「神に反逆した人間の子孫だから」というだけで
長きに渡り迫害され続けてきた一族の復讐を果たす。それがガイダルの野望だった。

453 名前:天結いキャッスルマイスター ◆l1l6Ur354A :2017/06/11(日) 17:43:19.16 ID:4RsFpOUG0
時間も手段も限られているアヴァロたちにとってガイダルの提案はフィアを救う最も現実的な手段。
だがアヴァロはその申し出を蹴る。
目的のためなら非道な手段も問わないガイダル。
そんな男に禁忌の超兵器を渡せば大陸中が戦火の嵐に巻き込まれることになる。
フィアがそれを喜ぶはずがない!!
仲間たちはアヴァロの決断を支持するが先祖から受け継いだ知識と組織力を持つガイダルと袂を分かったことで
神響の霞廊への突入が難しくなったのも事実。
そんな折、聖地を守護するルーンエルフからフィアの処遇を決める会議「精域葉」への出席を打診される。
可能な限り争いを避けたいアヴァロたちは要請を受諾。
そこでアヴァロは天涯孤独の身だった自身の正体を知る。
母はルーンエルフの大司教クードヴァンスの娘ルーダ。父親はルース王家の血を引く貴族アーヴィング。
アーヴィングのパレン家は名門ではあるが権力や財力を持たず没落寸前の家系だった。
そこに目をつけたガイダルたちの組織「魔シキ封錬ノ魔匠」は金の力でパレン家を取り込み
神響の霞廊に侵入するのに必要なエルフの血を手にするべくルーダと婚姻させた。
しかしアーヴィングはルーダを心から愛してしまったことで組織を裏切る。
そして妻と我が子を守るために追っ手から逃れ神響の霞廊へと向かう最中
ルーダと共に命を落としたのだと祖父であるクートヴァンスは語った。
だがそこには疑問がある。なぜ組織を裏切ったにも関わらず両親は神響の霞廊へ向かったのか。
クードヴァンスはそれを「神を救うため」と答え同時にエルフに神響の霞廊の守護を命じたと伝えられる
この地方一帯を支配する神フィユシアは存在しない架空の存在であると告げる。
存在しない神を救うために神響の霞廊を向かう?
理解できない言葉に混乱するアヴァロだがクーヴァンスはこれ以上の問答をしている暇はないとアヴァロたちを強引に出発させた。
(大司教の立場上、表立ってアヴァロに協力できないので襲撃を仕掛けるも突破されるという形を取った)

454 名前:天結いキャッスルマイスター ◆l1l6Ur354A :2017/06/11(日) 17:44:21.60 ID:4RsFpOUG0
全ての真実を知るためにアヴァロたちは神響の霞廊へ突入。
そこに待っていたのは巨大な兵器に封印され狂う神の姿。
それを見たフィアは失っていた記憶を取り戻す。
封印された神の正体はフィアの父パライア。
かつて神々への反逆を企てた人間たちに騙されて兵器に取り込まれ
それを救ったフィユシア神に統治権を譲り渡し天へと消えたはずの神だった。
だがパライアは救われてなどいなかったのだ。
神を動力とした兵器は禁忌であり破壊のためには接続された神すらも討伐の対象となる。
それがディル=リフィーナを支配する現神が定めたルール。
架空の神フィユシアとはその処分からパライアを守るために作られた偶像だったのだ。
(フィユシア神への信仰をパライアに捧げることで生かしている)
フィアは仲間たちの前でどうか父親を助けて欲しいと頭を下げる。
断る理由は何もない。
アヴァロたちはこれまでの旅で出会った人々の力を借りてパライアとフィアを兵器から分離させ救う装置を完成させる。
だがそれこそガイダルの待ち望んでいたことだった。
救出のために封印が解除された瞬間を狙いガイダルは命と引き替えにパライアを暴走させる。
暴走した神は全てを滅ぼす破壊の権化。
アヴァロの脳裏に絶望がよぎったその瞬間、奇跡が起きた。
グアラクーナ城砦が命令もなしに動きだしパライアへと組み付いたのだ。
このチャンスを逃さずアヴァロはパライアを支配する魔石を破壊。
神を兵器の呪縛から解放し正気に戻す事に成功する。
パライアは娘であるフィアとの再会を喜んだ後、今度こそ本当に天へと帰って行く。
それから数ヶ月。
事件の顛末は民衆への影響を考え再び偽りの神話によって塗り替えられた。
グアラクーナ城砦からは神を動力源とする機構は取り外され
フィアと城砦のリンクも失われたかアヴァロは別の機構を取り付けることで移動機能を復活させた。
アヴァロは仲間たちと共に再び旅をスタートさせる。
最愛の女神と共にまだ見ぬ人々と新たな縁を結ぶために。

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