多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。

物語

大叙事詩フィソノセイアは、シルバリアースの地に伝わる、百を越える章から成る大叙事詩である。
大きくは、以下の物語から成る。

要約

 精霊交代より数百年。人は巫女たちの導きのもと見かけ上は繁栄していた。
 しかし、いかに災害を予見・回避できたとしても、賽の河原で石を積むような生き方に人心は疲弊しきっており、災害と天候不順が生み出す貧富の差は大きな対立へと発展する兆しを見せていた。
 そう遠くない未来に滅びの運命が訪れるのを知った巫女たちは、精霊王に直接会って直談判してくるという、ミッションインポッシブルにもほどがある過酷な試練に挑戦し、ものすごいドラマの果てにこれを達成した。

トケルヒガと火の巫女/試練の旅

 トケルヒガは自分の配下のうち、最も小さく、最も火が弱く、「今にも」火が消えそうな者、すなわち燃えカスのアトエニタムを選んで言った。「あの人間を冷ますように」

 アトエニタムはさっそく巫女にくっついていた火の粉を払い、巫女の頭に手をのせてこれを冷やした。次にアトエニタムは、自分の火の芽を摘み取り始めた。
 自分の火が消えてしまったほうがずっとよく冷めるであろうことを、アトエニタムは知っていたからである。

 火の巫女が目覚めたとき、既にアトエニタムの火は尽きて、冷たくなっていた。
 巫女は、トケルヒガへの最初の願いとして、己の願いでもなく、己が携えてきた人間の願いでもなく、アトエニタムに再び命の火を与えてくれるようにと願ったので、トケルヒガは12の瞳を躍らせて大いに満足した。

 アトエニタムにとって火の巫女は命の恩人であったから、のちに火の巫女の危機を救ったのがアトエニタムであったとしても、驚くにはあたらないであろう。

チイダと土の巫女/試練の旅

 チイダ紀竜デザーネンスが旅立ったのち、ほんものの砂の竜のように暮らしていた。
チイダはこのごろ、考え方まですっかり竜らしくなっていたので、巫女のことを話には聞いていても、決して従うことはすまいと心に決めていた。
 とは、誰かに従うものではない。そう教わったからである。

 だからこそ、出会い頭に「一緒に《風》を探しに行きましょう」などと言い出す者が現れたとき、チイダはひどく面食らい、12の眼をいっせいに白黒させたのである。

 それはチイダが長い間 捨て切れなかった精霊としての願いが、人の形を得て、ついにしびれを切らして訪ねてきたようであった。

ヨーウィロと水の巫女/試練の旅

 ヨーウィロは自身のちょうど真上に、自分を正確に追いかけてくる浮き輪があるのを見つけ、大いに驚いた。
 考えてもみよ。水の中に、水を見いだしうる者など、そんなに多くないのである。
 
 ヨーウィロが12の眼でしばらく眺めていると、その者は泳ぎ疲れて足をつったらしく、溺れて沈みはじめた。
 するとヨーウィロはなぜだか気分が悪くなった。
 ヨーウィロは、頭上に沈んできた者におっかなびっくり手を差し伸べると、空気の泡の中に入れてやった。
 するとヨーウィロはなぜだか気分が良くなった。
 
 ヨーウィロは思った。自分は何かすごいものを手に入れたらしい。でも、もしこれが、噂の海水飲みの魔女だっりしたら、どどどどど、どうしよう。

不死者ウォレス・ザ・ウィルレスの捕獲

 もしシルバリアース魔王ネビロンによって呪われた地であるのならば、魔王ネビロンが再びこの地を訪れることは望み薄である。ましてや、巫女が精霊王に対してやったように、魔王ネビロンに直談判して許しを請うことなど、ほとんど不可能であろう。

 しかし、そこで火の巫女が「魔王ネビロンを召還すればいい」と言い出した。水の巫女は「こうして…世界は終わるのですね…」と呟いて倒れ、土の巫女は「オタワ!なにもかもオタワ!!」と錯乱したが、火の巫女はやると決めたら絶対にやってしまう子であったので、結局、計画はそのようになった。

 儀式を成功させるには、たぶんすっごく強い魔法使い魔女が要る。そして、それは面白がってシルバリアースを滅ぼさない程度にマトモな魔法使いでないといけない。というか手ぶらで頼んでも、引き受けてくれるかどうか怪しい。色々ぼったくられるんじゃないか。
 巫女たちはいろいろ考えた末、シルバリアースの古い御伽噺に出てくる不死の魔法使いウォレス・ザ・ウィルレスを探す旅に出た。まあ、地元の奴ならなんとかなるだろう。安直思考である。

 巫女たちが、全力で面倒事から逃げ続ける不死者ウォレス・ザ・ウィルレスを追い詰め、捕獲することでこの旅は終わりを告げる。

魔王ネビロンの慰めと風の帰還

 試練の旅の後、巫女と精霊による風探しの旅により《理想の鏡》が見出された。
 そこで巫女たちは、捕獲した不死者ウォレス・ザ・ウィルレスの<s>強制労働</s>助力を得て、魔王ネビロンを召還した。巫女たちは魔王ネビロンへと直接《理想の鏡》を贈り、この地に住むものを代表して、許しを請うた。

 魔王ネビロンは、《理想の鏡》の中に故郷の姿を見た。それは、かつての故郷の姿というより、ネビロンが本当に見たかった、現在進行形で発展してゆく故郷の姿であった。魔王は多くを語らなかったが、そこにはかつて己が愛した人間との間に生まれた、魔王ネビロンの子孫の姿までもがありありと映っていたという。ひとことでいうと孫である。かわいい。
 魔王ネビロンは、そこに映る世界に行くことは望まなかったが、それでもなおこの故郷の姿に大いに慰められたので、シルバリアースの呪いは解かれ、ついに風は帰還したのである。

 風はシルバリアースじゅうを吹き抜け、駆け巡り、これまで運ばれなかった植物の種をいっせいに運んだので、この年の春には、大地にありとあらゆる花が咲き乱れ、人と精霊は大いに喜んだ。
 風の精霊王アクシャスが、種を蒔く者、あるいは花粉症をもたらす者、と呼ばれるのはこのためである。

新たなる風(1/3)

 風の精霊王アクシャスの帰還により、シルバリアースには数年間の安定と秩序がもたらされた。

 しかし、パンゲオンのレンズが作り出した小世界マトリショーカスの中で、旧精霊王たちは風の精霊王アクシャスを待って眠りについている。アクシャスがシルバリアースに留まることは、旧精霊王たちの信頼を裏切ることであった。

 そこで風の旧精霊王アクシャスは現精霊王たちの許しを得て、魔王ネビロンの元に赴き、パンゲオンのレンズの中に身を投げ、己のあるべき場所、小世界マトリショーカスの中へと旅立ったのである。

新たなる風(2/3)

 さて、パンゲオンのレンズからアクシャスの同等の存在(アイソレーター)として現れたのは、暴風の精霊王ラースウィンドであった。

 暴風の精霊王ラースウィンドはシルバリアースに襲来し、全てを吹き飛ばそうとしたが、あらかじめ巫女たちからこの話を聞いていた人間たちは この襲来によく備えており、残りの3柱の精霊王が暴風の多くを阻んだので、12回挑んでも何も吹き飛ばすことができなかったといわれる。

 そこでラースウィンドはようやく3柱の精霊王に風を阻む理由を尋ね、この地ではもはや暴風による破壊が誰にも望まれておらぬことを知って、大いに嘆き悲しんだ。
出遅れたっ・・・くやしいっ・・・

新たなる風(3/3)

 魔王ネビロンはこの様子を眺め、場違いな風の精霊王に かつて故郷を失ったときの己の姿を重ね、これをひどく哀れんだので、ラースウィンドのスペルを一文字弄ってリースウィンドへと変えた。11次元の時空存在律がどーたらこーたらというむつかしい話は省くが、魔王なので本気を出せばそのくらいはできるのである。

 かくして風の精霊王の怒りは静まり、新たな風の精霊王リースウィンドは他の精霊王と共にシルバリアースをよく治めたのである。
 めでたしめでたし。

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